何と著者は京大の物理学科卒の細胞生物学者なんですね。名前は知っていたがまさか理系だったとは知らなかった。大学院に中々受からず愛する河野裕子との結婚は紆余曲折。その過程が違う境遇にありながら、夫と私の結婚の道のりと似ていて胸が苦しくなること度々であった。私たちは夫の母親の一人息子を”どこの馬の骨”に取られまいと猛烈反対だった事です。夫がN市へ転勤になった時も一年間で50通の手紙のやり取りはあった。彼らほど高尚なやり取りではないけれど…。「愛する人を失ったとき、それが痛切な痛みとして堪えるのは愛の対象を失ったからだけでなく、その相手の前で輝いていた自分を失ったからでもある」と彼は書いている。冷静な考えですね。