Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

牧水の恋 俵万智(文藝春秋)

2018-12-01 18:40:47 | 読書
始めから終わりまで小枝子との恋の歌です。”白鳥は哀しからずや海の青空のあをにも染まずただよふ”は有名で牧水記念会館も隣町にある。他人の奥さん小枝子を愛し、愛してやまなかった思いが胸にこたえます。恋の浮き沈み、成就しそうなあやふやさが続きお酒に溺れ身体を壊し、それを歌から順を追って俵万智は追求した。牧水の愛は時には殺気立った雰囲気に包まれ何とも哀しい。しかし完全に小枝子と破綻したと悟った牧水は歌壇で活躍し始めた女流歌人喜志子に助けを求めるように結婚、身も心もボロボロだった。
長女の岬子さんはN高等女学校(私の隣町)の交友会報に「父は世界中で一番淋しくて淋しくていた人ではないかと思ふ。死の前のあの瞳の表情など思ひだすと胸をしめつけられるくらいお父さんを可愛そうに思ふ」と書いているそうです。結婚して四人の子どもがいても最後まで小枝子の姿は牧水から消えなかったと言う事だったと思う。切ない…。