Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

おらおらで、ひとりいぐも 若竹千佐子(河出書房新社)

2017-12-04 13:01:27 | 日記
今年の文藝賞を史上最年長63歳で受賞…にひかれ読んだ。最愛の夫を結婚生活たった10年で亡くし震えるような悲しみの果てに辿り着いた自由と賑やかな孤独とは?。 著者(主人公)の中に最古層のようにある東北弁は手付かずの秘境で声をかければすぐに凝集凝結して出てくると言っているように東北弁と標準語が気付かないうちに入れ替わり本当に面白く読んだ。何の違和感もないから不思議です。夫を亡くし娘、息子とも疎遠な桃子さん何時までも親だ子だと拘らない。一緒に過ごした時があって、やがて左右に分かれて行く。それでいいんだと言う。人は独り生きていくのが基本、そこに緩く繋がる人間関係があればいい。夫を亡くし身体が引きちぎられるような悲しみがあるのだということを知り、おらの知らない世界もたくさんある。”おら、いぐも。おらおらで、ひとりいぐも”と言うわけです。夫が亡くなってこうあるべき、こうせねばと言う規範はもうなくてよいと桃子さんに私は教わった。そう思ったら穏やかな安らいだ心地になり自由に生きろとおらの内側からの声が聞こえ、それは夫の死を受け入れるために見つけた意味。そして”老いと言うのも一つの文化”と昇華させる。老いて悲しい事ばかり言わないでこれも”文化”なら受け入れられる気がする。桃子さんと同じような環境にある私、少し肩の荷が下りた感じがする。