20年以上前テレビでこの映画をみて大好きになった。勿論テープに撮り原作も読んだ。私の心の中に大切にあったその”バベットの晩餐会”を先日またテレビで見る機会があった。19世紀のユトランド、片田舎の牧師館に住む姉妹の熱い信仰に生きている姿。パリコミューンに追われ突然やって来た家政婦バベットの宝くじにより開かれた晩餐会が質素を旨とし、信仰に生きている田舎の年老いた信者につかの間の幸せを与える。美味しいディナーに思わず言葉を出したくなる人々は、はっと思い直し「神のために祈りましょう」と言う。全編を光と影が覆い静かに流れる物語は本当に心を打つ。亀のスープから始まってキャビアのパンケーキ載せ、鶉のフォアグラ詰めパイケース、シャンパンはヴーヴ・クリコ(同じ種類を飲んだ事がある!)と華やかであるはずのディナーが粛々と進められ、村の人々の心が温かくなっていく。