Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

草すべり

2009-12-01 14:08:11 | 日記
南木佳士著「草すべり その他短編」文芸春秋刊を読みました。南木佳士は大好きな作家で数々(と言っても彼は寡作)の作品を読んで来ました。長野県佐久市の勤務医で4歳で母親を亡くし祖母に育てられた事、神経の細やかさからうつ病になりその間の諸々の事は彼の作品を読むと良く解る。医者にありがちな傲慢や気負いが全くなく自然体で、彼の眼は森羅万象すべてに優しいのです。川釣りから山登りに癒しを求めて信州の山々へ出かけていらっしゃるのですね。疎遠だった高校時代の女生徒とある日浅間山へ登る…どんな場面に出会っても決して激高しない、彼女や自然に対する描写は淡々と冷静でありながら温かく優しいのです。「ダイヤモンドダスト」や「阿弥陀堂だより」は勿論「トラや」も愛情溢れたいい話でした。何時も彼の作品は読後、何回も本を撫ぜてしまう。いとおしくなるのです。次は不思議な縞枯れ現象のある蓼科の”縞枯れ山”へ登って何か書いて欲しい。私的に”思い”のある山なのです。