Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

奇縁まんだら

2008-07-30 09:02:37 | 日記
瀬戸内寂聴著、日本経済新聞社刊、「奇縁まんだら」を読んだ。寂聴が晴美の時代から、いやその前、学生時代から出合った偉大な作家との縁が書いてあり、興味津々であった。女子大時代、お能を観に行った能楽堂で白絣の上布に夏袴をきりりとつけて、惚れ惚れするような美男の島崎藤村に出会った事、この瞬間、「小説家になろう」と言う意志がゆるぎないものになったと書いています。正宗白鳥、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、佐藤春夫…と錚々たる面々。しかも彼女がまだ駆け出しの時代に出会っている。特に三島由紀夫には「愛の渇き」がとても面白かったのでファンレターを出したとの事。その返事が来た。それは、「ファンレターの返事は一切出さない主義だけれど、あなたの手紙はあんまりのんきで愉快だから…」と言う事で、何回か文通をした。寂聴の最初のペンネーム三谷晴美。三島由紀夫が選んでくれたそうです。
その後、家に招かれ初めて会い、彼の瞳がきらきらと暗闇の猫の目のように金色に輝いていて、これが天才の目というものかと感動したと書いています。天衣無縫の寂聴と個性の極めて強い三島との隠れた交友を知り、ある種の共通点が二人にはある…いろいろ考えて見ると理解出来る。画は横尾忠則の三島由紀夫。