10月11日 紅葉には少し早いが西上州・南牧村の山へハイキング。
場所は群馬県下仁田町の奥、南牧村の九十九谷(くじゅうくたに)。
紅葉と奇岩・怪石の群馬の名所では、妙義山がポピュラーですが、この南牧村・九十九谷は交通の不便さもあってか、群馬県の人もあまり知らない奇岩と紅葉の隠れた景勝地です。
普段はハイキングなど好まない妻も何故か行って見たいと云う。
何も無い辺鄙な場所ですから、早朝にオニギリを作ってでLet's go!!
初めに目指すは九十九谷手前の古刹・黒瀧山不動寺。
流石に遠いですね、カーナビも途中までの案内で終わりです。
でも、かろうじて寺の道路標識を発見して一安心。
黒瀧山・不動寺の駐車場に止めましたが、他には誰の車も無し。
駐車場から不動寺まで急な車道をテクテクと・・。
どえりゃ~辺鄙な所なのに立派な寺が忽然と現れてビックリ!
切り立った岩壁の下に大きな山門もあり、その手前には天然記念物の「黒瀧大杉」の巨木が屹立しています。
断崖絶壁に沿った横長の広い境内には山門・宿坊・鐘楼・不動堂・大雄宝殿・開山堂などの堂塔伽藍が並び、その奥に真っ黒な断崖から流れ落ちる黒瀧泉や天女窟があります。
今は深山幽谷の只中にある静寂な黒瀧山・不動寺ですが、江戸時代には五代将軍・徳川綱吉(犬公方)が潮音禅師を座主とする不動寺に帰依し、黄檗山黒瀧派本山・不動寺は最盛期には末寺を全国に1200寺以上擁して隆盛を誇っていたそうです。
宗派が禅宗の黄檗宗ですから、精進食の普茶料理が名物。
開山は1300年前で、僧・行基が自ら彫った秘仏・金躰不動明王をご本尊とする山岳信仰の霊場です。
不動寺の可愛い娘さんから「九十九谷は見晴し岩の下を巻いて行って下さい、判りづらいから充分注意して・・・」とご丁寧なガイドがありました。(行けば判るだろうと、適当に聞き流したのが後悔の元になります。)
九十九谷までのコースは不動寺の横から犬に吠えられながらの登り坂、暫くは杉林の杣道を上ります。
登り詰めると黒瀧峠の案内板、真っ直ぐ下ると不動寺とは正反対の上底瀬の集落に行き着きますが、左に折れて九十九谷方面へ・・。
ほどなく足のすくむ怖い岩場が出てきました。
両側が切り立った断崖絶壁!!
世に言う馬の背どころではありません、これが登山で言う「ナイフ・リッジ。」です。超狭い岩尾根で人一人がやっと通れる幅だけの道を上がったり下がったり。
鉄鎖すがり付きながら切り立った岩場をつたわって進むと、眼下には霊山・黒瀧山と中腹の不動寺が、又、遥か霞んで妙義山に似た岩峰・鹿岳(かなだけ)も望めます。
鉄鎖と鉄梯子で岩場を幾つもよじ登り、苦労の甲斐あってやっと第一ポイントの見晴し岩に到着。
御嶽神社の分神の小さな石造りお社が頂上にポツンと・・・。
さえぎる物は何も無い360度の大パノラマ!!
西上州と秩父の山並みが薄い秋靄に包まれていました。
空気が澄めば富士山も見えますよ。
写真の奥には上底瀬集落がひっそりと佇んでいました。
不動寺の娘さんに注意されたばかりなのに、見晴し岩から九十九谷への道が判らず、あちらこちら・ウロウロ迷い「八甲田山・死の彷徨」が思い出され、仕方なく先ほど通った黒瀧峠へバックしました。
黒瀧峠から上底瀬へ下り、秋の野花や石碑など見ながら九十九谷へのルートを探しました。
日頃の行いが良いのか、運よく英会話のNOVAじゃなく農婆に教えて貰って下底瀬からの九十九谷ルートに入る。
またまた杉林の中を登って行きます。 登りの小道が次第に細くなって最後は跡形も無く消えてしまい、それからは道無き杉林の中をヤブ漕ぎしながら上部の尾根稜線めざし・・・。
やっとの思いで尾根道に到達、しばし歩いて鷹ノ巣岩(上写真)で遅めの昼食です。
その後予定していた反対側から何とか九十九谷の上部に辿り着きホットひと安心。
下の後方には歩いて来た上・下底瀬集落が小さく見え、風化・侵食作用で奇怪に造形された岩壁が谷一面に広がっています。
でも、一番の見所九十九谷の岩上の恐ろしいこと!!
頼りになる手摺りも鎖も全くありません! 両側は落ちれば生還期し難く、確実な死があるのみ!
仕方なしに絶壁の上を慎重に恐る恐る歩伏状態で進みました。
喜んでハイキングに来た妻も腰が抜けそうになり「二度と九十九谷には来ない!! ハイキングもヤメた。」・・・って。
そうでしょうボヤク気持ちは解かりますね、道に迷って杉林をヤブ漕ぎして、疲れた挙句に恐怖心を煽る岩壁の上部を這うのですから。
奇岩の九十九谷からの景色をゆっくり見ている余裕も無く、
やっとのことで、恐怖の九十九谷を抜けて、7~8分程で午前に一度来た見晴し岩に再度到着。
迷ってなんと遠回りした事でしょう。 (7分のところを底瀬集落まで下りて反対側から登って2時間30分。) 「後悔先に立たず」ってホント!
黒滝峠までの帰り道の途中も、ご覧のとおり鎖場とナイフリッジの連続です。
でも、紅葉には少し早かったが、天気は良く、無風状態で最高のハイキング日和。 普段は馴染みの薄い西上州の山並みも鮮やかに眼に焼きつきました。
帰りに不動寺の娘さんに「道に迷うから九十九谷への標識板を作ってね。」と云ったら、「やっぱり迷いましたか!?」・・・だって。
ハイキング好きでスリルを求めたい人にはオススメです。
2006 10 27(金)記。 前橋市 のち薄 最高気温20℃
10月27日 テディベアの日 読書の日
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ずいぶん辺鄙な場所のお寺まで行きましたね。
でも、山奥の古刹で若い頃の座禅は良い想い出になった事と思います。
今の時期が紅葉真っ盛りです、再び不動寺を訪ねて九十九谷ハイクなど如何でしょうか?
南牧村の神戸と申します。
あまりにも素晴らしい写真で感心しました。
実は今、群馬県の県民リポ-タ-をしていたり、日刊ブログ新聞「ぶらっと」の地域ライタ-をしています。
南牧村に少しでも人を呼びたいと思い、4/28.29の大例祭の案内を出すについて、馬の背の写真を探しててお宅様のHPに辿り着きました。お願いです。
リンク派って宣伝します。何枚か写真もお借りしました。村の為・・田舎、ふるさと再生するようネット張ってPRしています。どうか宜しくお願いします。まずはご報告します。ご了承下さい。
(お宅様のメ-ルアドレスが解らないのでここでの書き込みですいません。
西上州の南牧村の活性化のために頑張ってるんですね。
私には真似の出来ない大変に立派な事と感心しています。
ツトムBLOGの画像が少しでもお役に立てれば幸いと思います。
宜しければ綺麗な元画像をお送りいたします。
後ほど、神戸様に連絡を致しますので宜しくお願いします。