おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

気になる肢を載せてみます [Ⅱ]

2021-11-30 | マンション管理関連試験等サポート   
                  《前回と異なり 解答を各々の下部に記しました》  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【問 31】 あるマンションにおける次の管理規約の定めのうち、区分所有法の規定によれば、無効とされるものはどれか。

 総会の議事録は、その会議の状況を録音したテープの保存をもって、書面による作成に代えることができる。
 特別決議事項に関する議決権割合は専有部分の床面積割合によるものとし、普通決議事項に関する議決権割合は1住戸1議決権とする。
 
 
  1 無効
    録音テープによる方法は認められていない。   
   (議事録)
    第四十二条 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなけ
    ればならない。
 
  4 有効
   各区分所有者の議決権は、共用部分の持分割合によるが、これについては規約に別段の定めをする  
   ことができるので、本肢のように特別決議事項に関する議決権割合と、普通決議事項に関する議決 
   権割合を異なるものとすることも理論的には可能である。
   
  (議決権)
   第三十八条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合によ
   る。
  (共用部分の持分の割合)
   第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
   4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
 
H23
【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理組合A(以下本問において「A」という。)の管理者B(以下本問において「B」という。)とマンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)C(以下本問において「C」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか

 本件契約がBが法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤に基づいて締結された場合には、BがCに対してその認識を表示していないときでも、Bは、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な部分に錯誤があることを理由に本件契約の取消しを主張することができる。
          
     4 誤り
       本肢ではその動機が相手方に表示されていた場合にのみ錯誤による取消しを主張できる
       本肢ではBがCに対してその動機を表示していないのでBは法律行為の目的及び取引上の
       社会通念に照らして重要な部分に錯誤があることを理由に本件契約の取消しを主張するこ 
       とはできない
       
    (錯誤)
     第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的
     及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
     一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
     二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
     2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされているこ
       とが表示されていたときに限り、することができる。
     3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項
       の規定による意思表示の取消しをすることができない。
     一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
     二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
     4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することが
       できない。
【問 4】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結されたが、同契約において、Bに管理事務を行わせるためAに帰属する管理事務室(以下本問において「本件管理事務室」という。)を無償で使用させる旨が定められている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 本件契約に別段の定めがない限り、本件管理事務室の通常の必要費については、Aが負担する。

 Aは、本件契約の本旨に反する本件管理事務室の使用によって損害が生じた場合、Bに対し、その賠償請求をすることができるが、本件管理事務室の返還を受けたときには、その時から1年以内に請求しなければならない。
          
      3 誤り
        使用貸借においては借主が借用物の通常の必要費を負担するので Bが負担
        することになる
      
     (借用物の費用の負担)
      第五百九十五条 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
      2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
     (買戻しの実行)
      第五百八十三条 
      2 買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第百九十六条の規定
      に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請
      求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
     (占有者による費用の償還請求)
      第百九十六条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額そ
      の他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したとき
      は、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
      2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増
      加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させる
      ことができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償
      還について相当の期限を許与することができる。
     4 正しい
     使用貸借において契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支
     出した費用の償還は 貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない
     
    (損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
     第六百条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費
     用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
     2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間
     は、時効は、完成しない。
 

【問 5】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が所有する居住の用に供するマンションの専有部分について抵当権を設定する場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。
      
     2 正しい
     成年後見人は成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物又はその敷地について抵当権
     の設定その他これらに準ずる処分をするには 家庭裁判所の許可を得なければならない
     
    (成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
     第八百五十九条の三 成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又
     はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分
     をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 
【問 6】 甲マンションと乙マンションの各敷地が隣接している場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

4 甲マンションの管理組合は、乙マンションの敷地の樹木(乙マンションの管理組合の所有)の枝が境界線を越えるときは、その枝を自ら切除することができる。
              
    4 誤り
    隣地の竹木の枝が境界線を越えるときはその竹木の所有者にその枝を「切除させる」ことができ
    るのであって 自ら切除することはできない
    
   (竹木の枝の切除及び根の切取り)
    第二百三十三条 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除
    させることができる。
    2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
 
【問 10】 マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続について管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)が管理者等に対して行った次の説明のうち、正しいものはどれか。

1 管理費の滞納額の全額でなくても、滞納者が一部の支払いであることを明示して、一部の額を支払ったときは、その残額についても時効が更新されます。

2 滞納管理費を裁判外において書面で請求する場合、内容証明郵便により、6箇月ごとの催告を継続すれば、そのつど管理費債権の消滅時効の完成が猶予されます。
       
     1 正しい
     債務者が一部の支払いであることを明示して一部支払いをした場合は 時効の更新事由の
     「承認」に該当する
        
    (承認による時効の更新)
     第百五十二条 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
     2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていな
       いこと又は権限があることを要しない。
     2 誤り
      6箇月ごとの催告を継続しても 肢にあるようなそのつど管理費債権の消滅時効の完成が
      猶予されるということはない
     
    (催告による時効の完成猶予)
     第百五十条 
       催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
     2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時
       効の完成猶予の効力を有しない。

【問 11】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されたが、同契約では、Bが管理費等の滞納者(以下本問において「滞納組合員」という。)に対する同契約所定の督促を行っても、当該滞納組合員が支払わないときは、Bは責めを免れ、その後の収納の請求はAが行うものとされている場合に関し、Aが検討している次の方策のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
 
ア 滞納組合員に対して、連帯保証人を選任してもらい、以後は、滞納組合員と連帯保証人との間の保証委託契約を、もっぱら根拠として、滞納分について連帯保証人に対して請求したい。

イ 滞納組合員に対して、管理費等の債務が時効により消滅するのを防ぐために、時効完成前に、時効の利益を放棄する旨の文書を提出させておきたい。

ウ 滞納組合員が、Aに対して金銭債権(悪意による不法行為に基づく損害賠償、人の生命又は身体の侵害による損害賠償以外の債権)を有しているときは、滞納額と同債権にかかる債権額とを対等額にて相殺したい。

エ Aの収納請求の事務上の負担を軽減するために、滞納組合員に対して、以後は、管理費等を供託所に供託させることにしたい。
       
     ア 誤り
     保証契約は 債権者と保証人が締結する
     保証委託契約は 債務者と保証人とで締結する  
     債権者が連帯保証人に対して請求するには 前者の契約が必要となる
     債権者と連帯保証人となろうとする者の間で連帯保証契約を締結する必要があり
     その連帯保証契約に基づいて債権者が契約当事者である保証人に請求を行うことになる
     保証委託契約の契約当事者ではない債権者が 保証委託契約を根拠にして連帯保証人に請求を
     することはできない
     
    (保証人の責任等)
     第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責
     任を負う。
     2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
     3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面
       によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

     イ 誤り
       時効の利益は 時効完成前にあらかじめ放棄することができない 
     (時効の利益の放棄)
      第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
 
     ウ 正しい      
     二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において双方の債務が弁済期にあるとき
     は各債務者はその対当額について相殺によってその債務を免れることができる
     本肢では双方の債権が金銭債権であり 特に相殺が禁止される事由もないから相殺することが
     できる
     
    (相殺の要件等)
     第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁
     済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることがで
     きる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
     
    (不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
     第五百九条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
     ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
     一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
     二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)
 
     エ 誤り
      供託が可能となる要件が定められている
      収納請求の事務上の負担を軽減するためのような理由によって供託することはできない
      
     (供託)
      第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託する
      ことができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
      一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
      二 債権者が弁済を受領することができないとき。
     2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に
       過失があるときは、この限りでない。
 
【問 30】 管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 管理者に選任することができるのは、自然人、法人を問わず、また区分所有者でなくてもよいが、規約に定める理事長と同一人でなければならない。
         
     2 誤り
      管理者については区分所有法に特にその資格について規定はなく 自然人 法人を問わ
      ず また区分所有者でなくてもよい
      標準管理規約によると「理事長は、区分所有法に定める管理者とする」とされているが
      区分所有法上は管理者が規約に定める理事長と同一人でなければならないという条項はない
       
    (選任及び解任)
     第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任
           し、又は解任することができる。
【問 37】 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 規約で、集会の成立要件について、議決権総数の4分の3以上の組合員の出席が必要と定めることができる。

3 規約違反の区分所有者に対し違反行為の停止請求の訴訟を提起することを決議する場合でも、その者の議決権行使を認めなければならない。

4 共用部分の大規模修繕工事により、専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときでも、その専有部分の所有者の承諾は必要でない。
          
    1 正しい
     会議を行うために必要とされる最小限度の出席者数を定足数という
     集会の成立要件としての定足数について区分所有法に規定はなく 本肢のような規約を定
     めることもできると解される
          
    (議事)
    第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権
          の各過半数で決する。
 
    3 正しい
     区分所有者が、規約に違反する行為をした場合には違反行為の停止等を請求する訴訟を提起
     するには集会の決議によらなければならない
     この場合に義務違反者の議決権行使を認めない旨の規定はなく 議決権行使を認めなければな
     らない
     
   (共同の利益に反する行為の停止等の請求)
    第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれが
    ある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、そ
    の行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ること
    を請求することができる。
    2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
    4 誤り
    共用部分の大規模修繕工事によりその形状又は効用の著しい変更を伴う場合は 区分所有者及び
    議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議だけでなく共用部分の変更が専有部分の使用に
    特別の影響を及ぼすべきときは その専有部分の所有者の承諾を得なければならない
    
   (共用部分の変更)
    第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分
         所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この
         区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
       2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきと
         きは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

<続く>


気になる肢を載せてみます [Ⅰ]

2021-11-30 | マンション管理関連試験等サポート   

管理業務主任者試験

平成時代の過去問題の肢で 平成21~平成25の 気になるものを羅列してみました

令和3年4月1日時点で施行の法令にて 参考に眺めてみてみてください
(自身のスケジュールに支障のない
方は どうぞ)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

H21

【問 1】 管理組合法人を一般の法人と比較した次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 一般の法人の成立は、民法その他の法律の規定によるが、管理組合法人の成立は、民法の規定による。

【問 4】 マンションの301号室をAとBが共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

4 Aが死亡した場合に、Aに相続人がないときには、301号室のAの持分は国庫に帰属する。
 
H22

【問 2】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)であるB(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
 
2 Bが、A及びB双方の責めに帰することができない事由によって委託業務に係る債務を履行することができなくなったときには、Bは、Aに対して、委託業務費の半分の支払いを請求することができる。



【問 3】 民法で定める代理人と区分所有法で定める管理者又は理事を比較した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 権限の定めのない民法上の代理人は、保存行為をする権限を有しないが、管理者は、保存行為をする権限を有する。

3 管理組合法人においては、理事が民法でいう代理人に該当し、管理組合法人が民法でいう本人に該当する。

4 民法上の代理人が損害保険契約をするためには本人から代理権を授与される必要があるが、管理者は、権限内の行為として自己の判断により共用部分につき損害保険契約をすることができる。

 
【問 5】 マンションにおいて、その建物又は敷地上の工作物若しくは樹木についての設置・保存又は栽植の瑕疵により、他人に損害が発生した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 敷地上の樹木の栽植の瑕疵により他人に損害が発生した場合に、樹木は土地の工作物ではないので、樹木の栽植を行った者が損害賠償責任を負い、樹木の占有者は責任を負わない。

【問 6】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ウ 本件契約がAとBとの通謀虚偽表示に当たる場合であっても、当事者間においては同契約の効力は妨げられない。
 
 
【問 10】マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。

ア 滞納額が、60万円以下の場合は、通常の民事訴訟でなく、少額訴訟制度(民事訴訟法の「少額訴訟に関する特則」)によらなければならない。

ウ 管理費を滞納している区分所有者が、民事再生手続開始の決定(民事再生法(平成11年法律第225号)の「再生手続開始の決定」)を受けた場合でも、管理費の消滅時効の完成は猶予されない。
 
【問 31】 あるマンションにおける次の管理規約の定めのうち、区分所有法の規定によれば、無効とされるものはどれか。

 総会の議事録は、その会議の状況を録音したテープの保存をもって、書面による作成に代えることができる。
 特別決議事項に関する議決権割合は専有部分の床面積割合によるものとし、普通決議事項に関する議決権割合は1住戸1議決権とする。
 
 
H23
【問 1】 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の管理組合A(以下本問において「A」という。)の管理者B(以下本問において「B」という。)とマンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)C(以下本問において「C」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか

 本件契約がBが法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤に基づいて締結された場合には、BがCに対してその認識を表示していないときでも、Bは、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な部分に錯誤があることを理由に本件契約の取消しを主張することができる。

【問 4】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約(以下本問において「本件契約」という。)が締結されたが、同契約において、Bに管理事務を行わせるためAに帰属する管理事務室(以下本問において「本件管理事務室」という。)を無償で使用させる旨が定められている場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 本件契約に別段の定めがない限り、本件管理事務室の通常の必要費については、Aが負担する。

 Aは、本件契約の本旨に反する本件管理事務室の使用によって損害が生じた場合、Bに対し、その賠償請求をすることができるが、本件管理事務室の返還を受けたときには、その時から1年以内に請求しなければならない。
 

【問 5】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が所有する居住の用に供するマンションの専有部分について抵当権を設定する場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 
【問 6】 甲マンションと乙マンションの各敷地が隣接している場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

4 甲マンションの管理組合は、乙マンションの敷地の樹木(乙マンションの管理組合の所有)の枝が境界線を越えるときは、その枝を自ら切除することができる。
 
 
【問 10】 マンションの管理費の滞納に対する対策及びその法的手続について管理業務主任者(マンション管理適正化法第2条第9号に規定する者をいう。以下同じ。)が管理者等に対して行った次の説明のうち、正しいものはどれか。

1 管理費の滞納額の全額でなくても、滞納者が一部の支払いであることを明示して、一部の額を支払ったときは、その残額についても時効が更新されます。

2 滞納管理費を裁判外において書面で請求する場合、内容証明郵便により、6箇月ごとの催告を継続すれば、そのつど管理費債権の消滅時効の完成が猶予されます。
 
 
 
【問 11】 マンションの管理組合A(以下本問において「A」という。)とマンション管理業者B(以下本問において「B」という。)との間で管理委託契約が締結されたが、同契約では、Bが管理費等の滞納者(以下本問において「滞納組合員」という。)に対する同契約所定の督促を行っても、当該滞納組合員が支払わないときは、Bは責めを免れ、その後の収納の請求はAが行うものとされている場合に関し、Aが検討している次の方策のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 滞納組合員に対して、連帯保証人を選任してもらい、以後は、滞納組合員と連帯保証人との間の保証委託契約を、もっぱら根拠として、滞納分について連帯保証人に対して請求したい。

イ 滞納組合員に対して、管理費等の債務が時効により消滅するのを防ぐために、時効完成前に、時効の利益を放棄する旨の文書を提出させておきたい。

ウ 滞納組合員が、Aに対して金銭債権(悪意による不法行為に基づく損害賠償、人の生命又は身体の侵害による損害賠償以外の債権)を有しているときは、滞納額と同債権にかかる債権額とを対等額にて相殺したい。

エ Aの収納請求の事務上の負担を軽減するために、滞納組合員に対して、以後は、管理費等を供託所に供託させることにしたい。
 
 
【問 30】 管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 管理者に選任することができるのは、自然人、法人を問わず、また区分所有者でなくてもよいが、規約に定める理事長と同一人でなければならない。
 
 
【問 37】 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 規約で、集会の成立要件について、議決権総数の4分の3以上の組合員の出席が必要と定めることができる。

3 規約違反の区分所有者に対し違反行為の停止請求の訴訟を提起することを決議する場合でも、その者の議決権行使を認めなければならない。

4 共用部分の大規模修繕工事により、専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときでも、その専有部分の所有者の承諾は必要でない。
 
 
【問 38】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

2 集会所のみを共有する1戸建て住宅で構成される団地管理組合は、団地管理組合法人になることができない。
 
 
H24
【問 3】 マンションの管理費の支払債務と時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

2 区分所有者が、管理組合に対して負う管理費の支払債務が時効により消滅した場合には、管理費の支払いの遅滞によって発生した遅延損害金も消滅する。
 
 
H25
【問 11】 マンションの管理費の支払義務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

2 区分所有者が破産手続開始の決定を受けたとしても、当該区分所有者は、破産手続開始決定の日の翌日以降の管理費の支払義務を免れない。

 
【問 36】 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、誤っているものはどれか。

4 管理組合法人が、集会の特別決議によって解散する場合には、区分所有法第3条の団体としての管理組合はなお存続する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 誤り
 「区分所有法の規定」による。  
(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。

 誤り
民法(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する

※ 次の条文もあることを 一応 理解しておくべきなのだが・・そのことは考慮外としての出題
  と解される
(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
      ※ 前条 というのは <特別縁故者に対する相続財産の分与・958条の3>
  
※(民法第二百五十五条の適用除外) の場合のことに注意
(分離処分の禁止)
第二十二条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
第二十四条 第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない
〔敷地利用権には共有者がいるので 相続人がないということでその共有者らに持分が属することになってし 
 まうと 専有部は国庫に 敷地利用権はその共有者らに ということで分離してしまい分離処分禁止の趣旨
 を貫くことができなくなってしまうので 分離処分が禁止の場合は255条を適用しない(敷地利用権持分
 は他の共有者に帰属しない)とされる
 結果として 敷地利用権も国庫に帰属することになる<特別縁故者に対する相続財産の分与・民958の 
 3のことは考慮外としてのこと>〕
 
 誤り
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは債権者(A)は反対給付の履行を拒むことができる(危険負担における債務者主義)
Aは委託業務費の「全部」の支払を拒める
 
(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

 2誤り   3誤り  4誤り
 権限の定めのない代理人は保存行為をする権限を有する
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為


 管理組合法人はその事務に関し区分所有者を代理する
  管理組合法人においては管理組合法人が代理人 本人が区分所有者という関係になっている

(成立等)
第四十七条 
 6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。


 民法上の代理人が損害保険契約をするためには本人から代理権を授与される必要がある
  管理者は損害保険契約に基づく保険金額の「請求及び受領」については代理権を有するけれど損害保険契
  約の「締結」については当然に区分所有者を代理するというわけではない
(権限)
第二十六条 
 2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。
 第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額 
 並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様と  
 する。

 誤り
民法の工作物責任の規定は 竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用されている
樹木の栽植の瑕疵により他人に損害が発生した場合 第一次的には占有者が責任を負うことになる

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
 
 誤り
通謀虚偽表示は当事者間においても無効
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
  
 ア 誤り    ウ 正しい
 
肢の場合に 少額訴訟による審理及び裁判を求めることが「できる」ということで 必ず少額訴訟によらなければならないということではない

(少額訴訟の要件等)
第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる
ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
 

管理費滞納者が再生手続開始の決定を受けた場合 その再生手続開始決定の時に時効の完成が猶予されるということではなく 債権者が再生手続に参加した時に 時効の完成猶予の効力が生ずる

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
 [続く]