おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

会計担当理事さんのお仕事

2021-06-14 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

管理会社への委託なしで 住民さんたちが 自ら管理運営なさっているマンション

も 割合としては大きくなくても 昭和50年代頃建築までのもので 戸数も少なめ

というところあたりのもの ? に 多くあるケースなのかな という感じがします

 

要するに 建物設備維持など 屋上補修・給排水設備・外壁補修・全般応急修理・

ポンプの入れ替え・電気関係設備のこと などなど 

自身たちで 部門ごとの各専門業者を選び 直接契約し 会計も自分たちで帳簿をつけ

予算・決算作業も行い ということで 通常あるスタイルである管理会社との委託契約

条項にあることを ホボ すべて ナントカこなしておられるのです

規模もさほどでなく 組合員数もさほどでない というところでは 可能 というか

なんとかデキそうな 管理運営システムだともいえます(もっとも そのスタイルを

保持している最大の所以は おそらく 委託金額への懸念だろうと思われます 

それなりの資金を減らし続け定期的支払債務を背負うことにはなるが頼んでしまおうか

いや 経費をかけて依頼してしまえるほどの財務状況にはない なので シンドイこと

もあるのだが やむを得ず それを継続してきている 

ということなのでは ? とも思われます)

 

自主管理マンションの情況も サマザマ

今までの経験上で 一番気になるのは 会計処理のあり方(徹底して まずは現金の動き

を追いかけて ナントカ 出納簿に数字を埋める主義式の処理<この数字は ○年前の 

△△工事の支払のようにもとれるが・・・でも 同様の工事が一昨年にもあったようだが

それぞれの 一部であるような それとも なにか他の先払いなのか な ? 備考欄に

メモでもあれば あるいは 取引先ごとの様子がわかるノートでも せめてあれば・・> 

のようなことで 

資産状況を掴むためには帳簿の明瞭性が乏しすぎて 独特の 一人よがり過ぎるような?

自己流の 会計手法が延々と申し合わせの下に受け継がれて そうとう長いこと会計担当

役員さんが固定もしていて 少しばかり ? イカガナモノカ と 心配な点が チラホ

ラ眺められ

ということも あったりで)です

 

収入の計上も 支出の計上も 現金の収入・現金の支出と結びついているということで 

計算の簡便・確実・安全性 というイメージが一方にあったりしますが 現金主義の困

るところは 収支が必ずしも正しい期間に計上されないこと だといえるでしょう

組合員であるAとBの管理費は 月額 1万円とします

ある月に Bさんは未納でした

Bさんのその管理費は 未納ということで現金が動かないので 収入を現金の入金時点

で計上する現金主義だと 記帳なしです

発生主義であれば 収入を現金の動きではなく管理サービスの提供が行われた時点で計上

という考え方をするので 未収入金として記帳されて 未納であることがわかります

収支計算書の収入と貸借対照表の未収入金にも登場することになります

(現金主義だと Bさんの滞納している管理費<未収入金>が 決算書のどこにも登場しな

 い ということにもなってしまいます)

 

支出のことについても

例えば 

修繕工事があって 今月完了し 金額は10万円(消費税込み)だけれども支払は翌月末 

という場合

現金主義だと
現金の出金によるので    収支計算書にも貸借対照表にも 計上なし(現金の動きはないので)

ということで 決算書をみても 完了済みの工事が在ったこと 来月10万円の支払をする義務が
あることも把握できません

発生主義だと
サービスの提供によるので  収支計算書に修繕費として 貸借対照表に 未払金として 登場

ということで 代金が支払われていなかったとしても 取引の実態(工事完了で修繕費が未払い

であること)をより適切に示すことができます

 

 

というようなことですが 会計処理の知識も 役員さんは特に 学習しておいたほうが好いことは

間違いありません(委託先に任せ切り というのは よくないと思います)

 

 

さて

本日の マンション管理士過去問題 2019年度(令和元年度)

〔問 35〕 
規約が標準管理規約の定めと同一である甲マンション管理組合の平成30年度
(平成30年4月1日から平成31年3月31日まで)の収支予算案に関連し、平成
30年4月に開催された理事会において、会計担当理事が行った次の説明のうち、
適切なものはいくつあるか。
ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。

ア 
平成29年度の管理費に未収金があったため、その未収金相当額については、
平成30年度収支予算案の管理費に上乗せして計上し、不足が生じないように
してあります。

イ 
今年度は、管理規約改正原案の作成に係る業務で専門的知識を有する者の活
用を予定していますので、それに必要な費用については平成30年度収支予算
案の管理費会計に計上してあります。

ウ 
平成29年度の総会で承認され平成29年11月に工事が開始された大規模修繕
工事が、予定どおり平成30年4月20日に完了しました。
前年度に前払した工
事費の残額の支払を5月10日に予定していますが、5月27
日に開催予定の通
常総会で収支予算案の承認を得る前に支払う必要があるため、
規約に基づき、
理事会の承認を得てその支出を行うこととします。

エ 平成29年度収支決算の結果、管理費に余剰が生じましたが、その余剰は
平成30年度の管理費会計に繰入れせずに、修繕積立金会計に繰入れすることと
します。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

適切なのは イ ・ ウ で  正解は 2

 

ア について

 発生主義の原則によるとすると 管理費は月毎に収入として計上し それに

 対応するはずの入金がなかったときは 未収金として処理する

 平成29年度の管理費に未収金があるのなら

 (借 方)          (貸 方)
  未収金  ○○○       管理費収入  ○○○

 と 仕訳がなされることになる

 そうであるので 平成29年度の管理費は 平成29年度の収支決算に計上済

 み なのだから 重ねて平成30年度の管理費に上乗せして計上することは

 適切
ではない

 

イ について

 専門的知識を有する者の活用に要する費用には 管理費を充当する
                       (標準管理規約27条9号)


  (管理費)
 第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
               九  専門的知識を有する者の活用に要する費用


 専門的知識を有する者の活用に要する費用を平成30年度収支予算案の管理費
 会計への計上は
 適切

 

ウ について

 肢の大規模修繕工事は 平成29年度の総会で承認されていて 工事費の残額は
 予算案の承認を得る前の5月10日に支払うもの なので 標準管理規約の
 <第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
 に該当するので 理事長は 理事会の決議を経てこれを支払えるので 
 適切


 (収支予算の作成及び変更)
第58条
理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければ
ならない。

理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を
得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合に
は、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
 二  総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る
    経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得な
         いと認められるもの





エ について

  標準管理規約に 条項があり 修繕積立金会計に繰入れするとの会計

  担当理事の説明は 適切ではない


 (管理費等の過不足)
第61条
収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度にお

ける管理費に充当する。


 

 

 

ということで 毎度の文言で恐縮 ですが 以上のこと 

マンション住民さんも 知っておいて好い知識である 

と 

思われます

 

                                                   

                                                        はたけやまとくお事 務 所