昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(263)思い込み先走りの日

2015-05-22 04:26:52 | エッセイ
 みたか認知症の家族を支援する会のI代表からお誘いがあった。
「ICUの学生さんが40分ほど時間を使う予定ですが、大澤さんにもご小説の構想についてミニトークを・・・」
 ボクは「レロレロ姫の警告」のことだと思った。
 
 アマゾンで「予期せぬ名作」などという過分な評価を得ていたし、ICUの学生さんにもPRするチャンスと思ったのだ。

 前夜、NHKの<アスリート魂>という番組で、なでしこジャパンのエースストライカー、大儀見優季さんのドイツでの活躍、苦悩ぶりを放映していたのを思い出した。
 ドイツのチームでも期待されていた彼女も、点が取れなくて悩んでいた時期があった。「もっと声を出して、自分にパスを出してもらうようにアピールしなきゃ!」監督に呼ばれて言われた。
 それから彼女は変わった。積極的に自分にパスをするように具体的に声や手でアピールした。
 
 
 
 そして点がとれるようになった。
 

 ボクの人生はまさに<糾える縄のごとし>だった。
 
 その中から、運よく今回中学校の同窓生の支援でこの本は出版できたのだ。
 
 今日のチャンスにアピールしなければ!
 朝方雷鳴が轟いていたが、晴れ上がって爽やかな東八道路をボクは勇んで歩いた。
 

 しかし、求められたトークは「レロレロ姫の警告」ではなくて、今ブログで執筆中の認知症をテーマにした作品<雪舞う日>だった。・・・当然だよね、早合点もいいとこだ。
 
 そして参加したのはICUの生徒さんではなくて、聖路加国際大学看護科のSさんだった。

 しかし彼女の取材の中で、認知症のご家族を持ち介護をされている方々のいろいろなご苦労を知ることができ、<雪舞う日>を執筆する上で多大の収穫があった。
 また、「レロレロ姫の警告」も彼女に個人的にアピールさせていただくこともできた。
 勘違いではあったが、それなりに充実した一日だった。
 

  

 

エッセイ(262)日本の自立外交の第一歩

2015-05-20 03:45:32 | エッセイ
 安倍首相がアメリカの議会で演説し、日本は戦後70年にして初めて普通の国になった。  
 
 さらに、過去の過ちを乗り越え、未来に向かう日本の新たな姿勢を示す<70年談話>が控えている。

 早速戦後70年を過去の植民地支配や侵略の過ちを清算する機会にするよう、欧米の日本研究者らが声明を出した。
 
 さらに賛同者が457名に増えたという。

 <声明文の要旨>

 *日本の歴史家が正確で公正な歴史を求めることに賛意を表明
 *「慰安婦」問題は日本、韓国、中国の民族主義的な暴言でゆがめられてきた
 *「慰安婦」の身に起こったことを否定したり、過小評価したりすることはできない
 *「慰安婦」になった経緯や正確な人数は確定されなくても、大勢の女性が意思に反して拘  束され、恐ろしい暴力にさらされたことに変わりはない
 *過去の不正義を認めることは難しいが、そうすることで民主主義は強化される
 *戦後70年の今年は、日本政府にとって過去の植民地支配と侵略の問題に立ち向かい、指導力を見せる絶好の機会だ。

 
(人類の歴史認識は、産業革命に端を発する植民地主義的帝国主義にまで遡らなければ、真の反省にはならない)
 <70年談話>がどうなるかはともかく、これからの日本は積極的平和主義を旗印に自立していくしかない。
 

 その第一歩を踏み出したようだ。
 
 しかし、戦後の戦勝国体制を崩したくない中国からいちゃもんがつけられた。
 
 韓国も同調した。
 

 しかし、その他の表立った反対は今のところない。
 
 ただ全会一致でないと採択されないので、日本の提案はボツになりそうだ。
 しかし、今までは保護者のアメリカに気づかって、こんな提案もできなかった日本が、ともかくささやかながら世界の平和のために自立の第一歩を踏み出したと評価したい。
 

 イチローの配慮がマリーンズの新監督に感謝された。
 
 他に気を配る日本人の特性は大切にしたい。

 


三鷹通信(118)第13回読書ミーティング

2015-05-16 20:03:56 | 三鷹通信
 現役編集者主宰の読書ミーティングも今回で13回目。
 先ずは、講師から<文学賞とベストセラー>について。
 かつては芥川賞、直木賞など、受賞するとメディアに取り上げられ、ベストセラーになったが、最近「受賞=売上増」が期待できるのは以下の4つのみ。
 ①直木賞、②このミステリーがすごい1位、③料理本レシピ大賞、④本屋大賞・

 ①直木賞:古くは山本周五郎、井伏鱒二、源氏鶏太、司馬遼太郎、池波正太郎、城山三郎、五木寛之、山崎豊子、宮城谷昌光、伊集院静等々、流行作家の登竜門であり、受賞作は100万部超が普通だった。
 ところがこの五年間で注目を浴びたのは
 2013年上半期「ホテルローヤル」桜木紫乃…50万部
 
 2011年上半期「下町ロケット」池井戸潤・・・30万部のみ。
 

 ②このミステリーがすごい1位
  2015年「満貫」米澤穂信・・・30万部
  
  2013年「64」横山秀夫・・・30万部
  
  気鋭の批評家や大学のミステリー研究会が選んで、ミステリーファンに読んで損がないという信頼感を与えている。

 ③料理本レシピ大賞
  2014年大賞「常備菜」飛田和緒・・・28万部
  
  書店と取次会社の有志で実行委員会を組織して運営する。
  1万円のエントリー料を取って運営費に充てている点がユニーク。 
 
 ④本屋大賞
  2014年「村上海賊の娘」和田竜・・・200万部
  
  2013年「海賊と呼ばれた男」百田尚樹・・・200万部
  2012年「舟を編む」三浦しおん・・・150万部

  いずれも100万部を超えている。今や出版業界の救世主的大賞。
  書店有志で組織する本屋大賞実行委員会が運営。
  まさに、「売り場からベストセラーをつくる!」
  *特徴的なのは、
   上下の高額重厚長大本。
   受賞が決まった直後なのに、在庫十分で、帯やポップができている。
   メディアがばっちり取材する。
   映画化ドラマ化がすぐ決まる。


  2015年「鹿の王」上橋菜穂子・・・すでに100万部
   
  「鹿の王」とは群れを支配する者(鹿)を指すのではなく、群れの存続を支えて時には自分の命を張るほど尊ばれる者を指す。
 異なる神、文化、習慣を持つ国が、致死の病に対して協力していく物語。
 現在の世界の国や民族のありかたにも一石を投じているように思う。
 人と病気(病原)の関係でもおなじであることを黒狼熱治療で述べている。
 
 作者、上橋菜穂子は「精霊の守り人」「獣の奏者」シリーズで知られる。
 
 国際アンデルセン賞を受賞。
 文化人類学者として、オーストラリア先住民アボリジニの研究者でもある。
 
 続いて<参加者の推薦本>

 「慟哭の海峡」門田隆将
  
 第二次世界大戦中、10万を超える日本兵が犠牲になった台湾とフィリピン間のバシー海峡での悲劇。
 熱帯炎天下の海を12日間漂流。仲間がことごとく衰弱し、狂って死ぬ中、ただひとり生き残った男の慟哭の体験。死に行くものの肝も食べたという。
 アンパンマンの作者であるやなせたかしの弟も亡くなったひとりだった。
 国同士の利害関係に巻き込まれ、死に追いやられた若者たちの過酷な悲劇を描いたノンフィクションだ。
 複雑な家庭環境ながら京都大学を卒業エリート軍人となった愛すべき弟の死を心から悼んだ兄は、自らのからだを削って困っている相手に与えるアンパンマンを生み出した。
  
 
 「歴史の中の日本」司馬遼太郎(小生の推薦)
  
  圧倒的に読者をひきつけてやまない司馬遼太郎の作品。
 人はそれ司馬史観と呼ぶ。研ぎすまされた歴史観と豊かな創造力は、激動する歴史の流れと、その中に浮沈する多彩な人間像をみごとにとらえ、それをわれわれに現代人の問題として明快に解き明かしてくれる。
 小生がこのエッセイ集の中で、特に惹かれたのは「競争の原理の作動」という一節だった。
 かの勝海舟は、欧米のアジア侵略を防ぐには、中国、朝鮮、日本の三国が締盟しなければならないと説き続けていた。
 つまり、当時腐りきっていた中国でも朝鮮でも、そのうちそれを一新させる勢力が興ってくるはずだと見ていたのだ。

 当時中国から来た有力者が、瀬戸内海の島々のてっぺんまで耕された棚田を見て、「耕して天に至る、貧なるかな」と言ったという。
 
 我が国の村々の百姓たちは、他家より一枚でも多くの田畑をもちたいがために地理的に耕作し難い土地まで開墾するという競争の原理が古来より働いている。
 ところが、中国・朝鮮の専制体制は、競争の原理を封殺するところにその権力の安定をもとめていた。中国や朝鮮では、そういうことまでして田畑を広げてもそれが公田になるだけだから、競争してでもという衝動が農民の側に生じなかった。
 そんなところでは、勝海舟が期待したような維新は起きっこなかったのだ。
 
 
 ちなみに、司馬遼太郎は日露戦争で勝ち、太平洋戦争で負けたのは、当時の軍人エリートの差であることについても見抜いている。 
 
 「気の発見」五木寛之・望月勇
 
 寺や神社に立ち山に囲まれると霊気を感じ、晴朗な気分になる。自分自身がリラックスし、元気が満ちてくる感覚。それが気だ。気が入ることで、心身の緊張が緩み、古い澱のようにかたまっていたストレスが発散されていく。時に科学の力を超える「見えない力」、その不思議と人間のエネルギーの持つ可能性を作家と気功治療師が充分に語り合う。
  
 *祈りが気をもたらす。
 *動物にも気功はきき、動物が治ると飼い主の気持ちも癒される。
 *ヨガと気:リラックスしてゆっくり長い呼吸ですることで肉体と精神が気で繋がる。
 *この世の中に存在するありとあらゆるものは<気>でつながっている。


 「本で床は抜けるのか」西牟田靖
 
 都内の木造アパートの床に積み上げられた本、本、本。「そのうち床が抜けてしまうのでは?」と不安におそわれた著者は、解決策を求めて知人、著名人を取材。
「蔵書をまとめて処分した人」「蔵書を電子化した人」「私設図書館を作った人」
「大きな書庫を作った人」
 さらに「東日本大震災と本棚」「自炊(電子化)代行は違法か」
「本と家族の問題」という問題にも触れている。
 そしてまさかのオチ・・・著者自身が本を溜めすぎて離婚・・・

 再び講師より<ロングセラー>について。

「悲しみよこんにちわ」フランソワーズ・サガン
 
 17歳、早熟で残酷な少女が、自分の気に入らない父の再婚相手を。ボーイフレンドを使って陥れ、死に追いやる話。
 サガンが18歳のときに出版された処女作。22か国で翻訳され世界的なベストセラーに。
 昔、文学少女を魅惑したあまりにも有名な冒頭。
 ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義的な感情であり、私はそれをほとんど恥じている。ところが、悲しみはいつも高尚なもののように思われていたのだから、私はこれまで悲しみというものを知らなかった。けれども、ものうさ、悔恨、そして稀には良心の呵責も知っていた。今は絹のようにいらだたしく、やわらかい何かが私に蔽いかぶさって、私をほかの人たちから離れさせる。
 
 作者のサガンは、360億円相当の印税収入を手に入れ、パーティや乱痴気騒ぎに明け暮れる日々。死ぬまでギャンブルにのめり込み、麻薬にも手を染め、不法所得や常用で何度も有罪判決を受けた。
 太宰治みたいな破綻型天才作家は、男女を問わず世界中にいる。 
以上、二時間半。プロも参加されているので得難いエピソードも数多く、とてもわが非才では書き切れません。
 ご興味のある方は、推薦本のあるなしに関わらず、参加してみませんか?

 

 


三鷹通信(118)ベランダの可憐な花々

2015-05-11 03:57:17 | 三鷹通信
 狭いベランダに家内が丹精を込めて植物を育てています。
 大きなベコニアやパッションフラワー、月下美人、ガジュマルなど足の踏み場もないほど増えてます。
 

 そんな中、今可憐な花々が真っ盛りです。
 
 
 
 
 
 
 



 摘んで、玄関やリビングを飾っています。
 
 
 

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三鷹通信(117)新緑の中、バーベキュー

2015-05-10 04:17:50 | 三鷹通信
「三番目でいい場所がとれました。天気も持ちそうです!」
 Gさんからメールがはいった。
 今日は武蔵野公園でミニミニのバーベキューパーティが行われる。
 朝9時、家を出る。雨がパラパラと降っている。すぐ止むだろう。
 
 東八道路を西へ歩く。右手に国際基督教大学の森、左手は野川公園だ。

 野川公園の入口だ。
 
 眼下に公園の名前の由来である野川のせせらぎ。
 

 野川公園は東八道路を挟んで南北に広がる。目指す武蔵野公園は北側の野川公園の先だ。
 
 橋を渡る。

 おっ! 昔ゴルフ場だった名残だ。懐かしいなぁ。ここでゴルフをしたっけ・・・。

 
 武蔵野公園に到着。

 
 バーベキューコーナーで、やってる、やってる。
 天気予報の影響か、前ほど混んでいない。

 
 既に我々のメンバーはそろっているようだ。

  
 薩摩焼酎にシャンパン、そしてビール。
 酒類の差し入れは豪華で豊富。
 ボクの差し入れはソーセージ。「パリッとはじけて美味しい」と評価された。
 
 いっぱい食べて、十分飲んで、放談連発。
 新緑の中、心地よい、心の癒されるひと時。
 朝早くから場所取りをしてくれたGさんが心地よさそうに寝ている。
 またやりたいね。
 


 

 

三鷹通信(116)チラシ配布

2015-05-09 04:10:46 | 三鷹通信
 80歳も近い歳になると、生き延びるにはかなりの努力が必要となる。
 先ず、ボケないように頭を活性化しなければならない。
 そのため7年前からこのブログを開設し、ほぼ毎日頭を悩ませている。
 さらに引っ込み思案のボクを奮い立たせ、いろいろな会合に参加するようにしている。
 しかし、右脚関節が固定化しているボクの場合一番重要なのは体力の活性化である。

 戦後間もなく小学6年生の時、病を得て当時の医学では特効薬もなく、固定化するしか方法がなかった。中学では松葉杖をついていた。
 

 それでも、不自由ながら松葉杖もとれ就職もでき、ゴルフもできるようになった。
 しかし、今から20年前働き盛りの頃、真夜中に車を運転していて首都高速の霞が関出口付近で壁に激突、意識不明の事故を起こした。居眠り運転だった。
 
 幸いにも親切な方の通報で救急車に乗せられ、近くの慶応病院で応急手術を受け、三鷹の日赤病院で折れた脚の金属補強手術を受けた。
 
 (こんな具合かな?)
 
 当時の担当医が「よし。うまくいった!」と叫んだから手術は完璧だったのだろう。
 それから20年異常は発生せず、恐れていた金属交換の再手術も受けないで済んでいる。
 萎えた筋肉は回復せず、左脚に比べて短く不自由だが、日常生活に支障なく、ゴルフもできていた。
(茨城ゴルフ倶楽部のメンバーだった頃は、Bクラスだったが何回も入賞し、優勝もしている。)
 
 さすが2年ほど前ゴルフからは足を洗い、最近では身体を鍛えるのに散歩をすることにしている。
 毎日図書館や駅まで往復4~5キロの道を6、000歩ぐらい歩く。
 そして今回ついでだからと、チラシ配布スタッフ募集の誘いに乗って、昨日初めて三鷹の住宅街をチラシを配りながら歩いた。
 
 230軒、13,500歩歩いた。
 絶対配布してはいけない禁止宅とかあって神経を使うが、五月晴れ風が爽やかで心地よかった。
 カラスが置き忘れた買い物かごを狙ってましたよ。
 
 さらに三鷹のことも足でかせぐ勉強ができそうだ。
 お小遣いにするには大変だが、しばらく続けてみよう。


   

なるほど!と思う日々(336)「レロレロ姫の警告」アマゾンの評価

2015-05-06 03:44:17 | なるほどと思う日々

 「レロレロ姫の警告」昭和のマロ(著)文芸社 文庫本
 インターネット書店<アマゾン>で紹介いただいております。

 <商品の説明>
 石田家の長女として生まれた石田愛は、天上界から地上に降り立ったレロレロ姫だった。
 生まれたときは難病を患っており、会話もままならない姫だったが、成長するに従って、自身に課せられた使命を悟り、自然に逆らうのはやめよとのメッセージを世間に発進し始める。
 意外な展開を迎える終末では、著者からのメッセージが読み取ることができるファンタジー小説。

 <カスタマーレビュー>

 ①アマゾンのカスタマー 2015/1/6 ☆5つ
  
  表題から想像されるより遥かにスケールの大きな作品で驚きました。

 ②SVくん 2015/4/30 ☆5つ

 たまたま読んで驚いた。文芸賞になってもよい作品と思う。
 無条件におもしろい。
 発達障害の孫をもたれた祖父の魂の叫びかと推察するが、客観化して一篇のすぐれた小説に仕上げられた。SF,且つ風刺小説である。
 該博な素養が窺われ、巧まずしてよい環境論になっている。
 文章も非常に読みやすい。
 但し、多くの読者の注目を惹くには、もう少しタイトルに工夫があったらとだけ思う。

  
 初版第2刷まで発行しましたが、さらに3刷に向けてPR中です。
 ご支援をいただければ幸いです。(昭和のマロこと、大澤 隆)

 

言葉(23)憲法について

2015-05-05 04:43:15 | 言葉
 <憲法>についていろいろな人が語っている。
 先ずはイザヤ・ペンダサン。
 憲法は日本人には常に手をつけられないものである。
 明治憲法にも現憲法にも憲法改正の規定があるが、いずれも空文である。
 明治憲法は不磨の大典であったし、現憲法は無比の平和憲法であるから──
 

  
 ということは、これは絶対にいわゆる<法律>ではなく、日本教の宗教的律法いわば一種の聖典乃至は宗団戒規なのである。どの宗教でも、その基本的な律法は神聖不可侵だから絶対に手がつけられない。
 そこで実情にそぐわなくなると、さまざまな解釈を施して実情にあわせた。
 イエスの時代にはそれがパリサイびとの仕事であった。
 

 文字通り典型的な「神学者の争い」である。いずれにせよ絶対に、冷徹氷のような法理論の一分のすきも見せない冷静な議論とは程遠いものである。そしてそれが当然であろう。
 日本国憲法は一種の宗団戒規か、信徒規定なのだから。

 見田宗介:植谷雄高さんは憲法第九条は幻想、けれどもそういう幻想を持つことはいいことだといっておられましたね。第九条が幻想であることが分からない人たちと、そういう幻想をもつことのよさを分からない人たちによって論争がなされていますが、僕は「あゝいう幻想を持つのはよいことだ」という立場に共感します。
 
 
 山崎正和:いま私たちが見ているのは、世界史上初めての画期的な「文明の統一」だ。それはグローバル化というよりも、「近代化」というレベルでの滔々たる趨勢なんです。例えば、自然科学や、その応用である科学技術はイスラム原理主義のテロリストですら受け入れている。度量衡や暦といった人間生活を規定するもの、絵画の遠近法や音楽の記譜法といった文化面でも世界がほとんど一つになった。
 従って遠い将来、近代化の流れの中で世界が一つの国になる可能性はある。ただそれは、主権国家の連合体のような形になるだろう。すでに世界貿易機構(WTO)や京都議定書のように世界的な取り決めができ、国家主権の部分的な移譲が生じている。
 こうしたことが広がって、「世界のかたち」ができれば、やがてその収斂点として世界の基本法ができる。
 そのとき日本国憲法は世界憲法の重要な骨組みの一つになるでしょう。

 文明の統合が進むと、不思議なことに文化は逆に多様化していきます。国家レベルではない地域文化やエスニック文化、世代文化が活性化していく。一方で法はますます理性的で普遍的なものになっていかざるをえない。・・・

 人権思想というのは、ある意味で利己主義と背中合わせです。資本主義というものも、私利私欲を追及する。それは認めなければならない。
 
 必要なのは、<私利私欲の追求がすなわち公益につながるような仕掛け>をつくることでしょう。例えば累進性のある所得税はそういう仕掛けです。
 
 
 人類の強欲という「レロレロ姫の警告」を認めつつも、人類は<叡知>と<気概>をもって対応策に取り組まなければならないのだと、三島くんが気づいたところだ。
 
 なお、本作に関するアマゾンの二つ目のカスタマーレビュー(☆五つ)を見つけましたので紹介いたします。
 <SVくん様>
 予期せぬ名作:たまたま読んで驚いた。文芸賞候補になってもよい作品と思う。
 無条件におもしろい。発達障害の孫をもたれた祖父の魂の叫びかと推察するが、客観化して一篇のすぐれた小説に仕上げられた。SF,且つ風刺小説である。該博な素養が窺われ、巧まずしてよい環境論にもなっている。文章も非常によみやすい。但し、多くの読者の注目を惹くには、もう少しタイトルに工夫があったらとだけ思う。

 SVくん様、望外なコメントありがとう。痛み入ります。昭和のマロ。
 

三鷹通信(115)五月晴れ、花の散歩

2015-05-04 03:43:52 | 三鷹通信
 昨日は五月晴れ。
 同窓会幹事会が開かれる三鷹駅の近くの消費者センターまで歩いてみました。

 近くのお宅の家、すばらしい花々。
 

 人見街道に入る。マンション前の目に鮮やかな白いつつじ。
 
 

 バス停。
 
 市役所前。
 


 豪邸前の花々。
 

 市の施設前。
 

 若葉通りのマンション通り。
 

 



マンションの前。
「この花壇はボランティアの方々のみなさんが管理されています」との立札。
 
 
 五月晴れの中、心地よい風に誘われて、6000歩の花の散歩でした。


エッセイ(261)安倍首相の訪米に思うこと(4)

2015-05-02 11:11:45 | エッセイ
 (昨日のブログを修正、そして加筆しました)

 安倍首相の訪米が、少なくともオバマ政権に好意を持って受け入れられたことは間違いない。それはオバマ大統領が敢えて日本語で表現した「お互いのために」という言葉に表れている。
 日本が今までより応分の負担を増加させることに米国は満足の意を示したのだ。

 しかし、先輩の言葉を借りれば乳母日傘で平和で豊かな70年を過ごすことができたのは米国のおかげであるが、一方でこの対応は米国自体の国益拡大に不可欠な条件だったわけで、日本が一方的受益したというのは間違いだ。

 今もって広大な米軍基地を提供し、多額な駐留負担をしている現実を見れば明らかだ。
 そのギブアンドテークの関係に今回、日本自身の軍事的負担を課してきたという点で、いささかその関係は変質することになる。
 今までおんぶにだっこで、日本国民が血を流すことはなかったが、これからはそうはいかないことになるということだ。
 つまり、日本も普通の国として行動せざるを得なくなった。
 70年間のある意味<隠忍自重>の姿勢を捨てて、頭をもたげて<前向きになる>ことを意味する。
 
 <力の論理>で動く世界政治の中で<前向き>ということは、必然的に<軍事的強化>を意味する。
 
 これが中韓のもっとも恐れるところだろう。
 極論すれば、国や民族、宗教的抗争、それは脅しの最終兵器<核兵器>をちらつかせながらの抗争であり、その真っ只中に日本も放り込まれるということだ。
 
 今後の日本独自の政治姿勢が問われることになる。
 
 安倍首相は先の大戦を痛切に反省し、戦後70年で培った平和の尊さを<積極的平和主義>というかたちで世界に訴えていくと述べた。
 <力の論理>で行動する象徴的な存在とも言える米国と強力な同盟関係を結んだ立場でそれは可能なのだろうか?
 
 しかし、自立した日本の立場で訴えることが出来るとしたら<積極的平和主義>しかない。
 そのためにどこから手をつけるべきか?
 まさに<歴史認識>しかない。

 ただ中韓が言うところの日本だけに責任を負わせる<歴史認識>ではない。
 近代文明が起きた産業革命にまで翻る必要がある。
 今日の先の見えない混迷の文明をもたらしたのはどこに原因があるのか?
 <人類の近代史に対する歴史認識>を問わなければ解決策は出てこない。
 
 同盟国の米国をはじめ、現在の<力>を信奉する世界を支配する国々を相手とする難しい仕事ではあるが、これこそ日本の役割と自負して行動を開始すべきだ。
 
 現在の歪んだ人類文明は、英国が産業革命により力をつけた後、植民地主義的帝国主義で世界を支配しようとした力まかせの強欲な姿勢に端を発しているのは間違いない。
 
 しかし、それに倣って現在の世界政治を支配する地位を得た国連常任理事国が、その傷口(すべてを<力>により解決しようとする姿勢)に触れられることを良しとするわけがない。
 ましてやわが同盟国、米国などは<核兵器>を使用して無辜の人たちを無差別に殺傷した罪を問われることになるのだ。
 戦後70年で平和国家に変身した日本が、この問題をまともに提起しても彼らが受け入れるわけがない。
 傍から徐々に小出しに迫る戦略を取らざるを得ない。

 特に<力>を誇示する最終兵器<核兵器>の存在が問題だ。
 キューバ危機を想起してほしい。
 まさに核戦争が勃発し人類が破滅する瀬戸際を経験しているのだ。

 現行のNPT(核拡散防止条約)などで日本の発言力を強める一方、取りあえず「人類を救う世界賢人会議」なるものを東京で開催しようではないか。 
 

 課題は、物騒な<核兵器>問題だけではない。
 科学の発達による自然(空気や水)の汚染問題、地球温暖化問題など、現在の人類文明は岐路に差し掛かっていることを認識すべきだ。
 わが「レロレロ姫の警告」では、「自分さえよければいい。今さえよければいい。先のことはどうでも」という強欲な人類は自然界のガンだと喝破している。
 
 姫の意を汲み取り、歪んだ人類文明を<気概>をもって解決に取り組むリーダー、三島くんは現れるのか?