昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(261)安倍首相の訪米に思うこと(4)

2015-05-02 11:11:45 | エッセイ
 (昨日のブログを修正、そして加筆しました)

 安倍首相の訪米が、少なくともオバマ政権に好意を持って受け入れられたことは間違いない。それはオバマ大統領が敢えて日本語で表現した「お互いのために」という言葉に表れている。
 日本が今までより応分の負担を増加させることに米国は満足の意を示したのだ。

 しかし、先輩の言葉を借りれば乳母日傘で平和で豊かな70年を過ごすことができたのは米国のおかげであるが、一方でこの対応は米国自体の国益拡大に不可欠な条件だったわけで、日本が一方的受益したというのは間違いだ。

 今もって広大な米軍基地を提供し、多額な駐留負担をしている現実を見れば明らかだ。
 そのギブアンドテークの関係に今回、日本自身の軍事的負担を課してきたという点で、いささかその関係は変質することになる。
 今までおんぶにだっこで、日本国民が血を流すことはなかったが、これからはそうはいかないことになるということだ。
 つまり、日本も普通の国として行動せざるを得なくなった。
 70年間のある意味<隠忍自重>の姿勢を捨てて、頭をもたげて<前向きになる>ことを意味する。
 
 <力の論理>で動く世界政治の中で<前向き>ということは、必然的に<軍事的強化>を意味する。
 
 これが中韓のもっとも恐れるところだろう。
 極論すれば、国や民族、宗教的抗争、それは脅しの最終兵器<核兵器>をちらつかせながらの抗争であり、その真っ只中に日本も放り込まれるということだ。
 
 今後の日本独自の政治姿勢が問われることになる。
 
 安倍首相は先の大戦を痛切に反省し、戦後70年で培った平和の尊さを<積極的平和主義>というかたちで世界に訴えていくと述べた。
 <力の論理>で行動する象徴的な存在とも言える米国と強力な同盟関係を結んだ立場でそれは可能なのだろうか?
 
 しかし、自立した日本の立場で訴えることが出来るとしたら<積極的平和主義>しかない。
 そのためにどこから手をつけるべきか?
 まさに<歴史認識>しかない。

 ただ中韓が言うところの日本だけに責任を負わせる<歴史認識>ではない。
 近代文明が起きた産業革命にまで翻る必要がある。
 今日の先の見えない混迷の文明をもたらしたのはどこに原因があるのか?
 <人類の近代史に対する歴史認識>を問わなければ解決策は出てこない。
 
 同盟国の米国をはじめ、現在の<力>を信奉する世界を支配する国々を相手とする難しい仕事ではあるが、これこそ日本の役割と自負して行動を開始すべきだ。
 
 現在の歪んだ人類文明は、英国が産業革命により力をつけた後、植民地主義的帝国主義で世界を支配しようとした力まかせの強欲な姿勢に端を発しているのは間違いない。
 
 しかし、それに倣って現在の世界政治を支配する地位を得た国連常任理事国が、その傷口(すべてを<力>により解決しようとする姿勢)に触れられることを良しとするわけがない。
 ましてやわが同盟国、米国などは<核兵器>を使用して無辜の人たちを無差別に殺傷した罪を問われることになるのだ。
 戦後70年で平和国家に変身した日本が、この問題をまともに提起しても彼らが受け入れるわけがない。
 傍から徐々に小出しに迫る戦略を取らざるを得ない。

 特に<力>を誇示する最終兵器<核兵器>の存在が問題だ。
 キューバ危機を想起してほしい。
 まさに核戦争が勃発し人類が破滅する瀬戸際を経験しているのだ。

 現行のNPT(核拡散防止条約)などで日本の発言力を強める一方、取りあえず「人類を救う世界賢人会議」なるものを東京で開催しようではないか。 
 

 課題は、物騒な<核兵器>問題だけではない。
 科学の発達による自然(空気や水)の汚染問題、地球温暖化問題など、現在の人類文明は岐路に差し掛かっていることを認識すべきだ。
 わが「レロレロ姫の警告」では、「自分さえよければいい。今さえよければいい。先のことはどうでも」という強欲な人類は自然界のガンだと喝破している。
 
 姫の意を汲み取り、歪んだ人類文明を<気概>をもって解決に取り組むリーダー、三島くんは現れるのか?