昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(160)北朝鮮・金正恩の落としどころ

2013-05-10 06:15:08 | エッセイ
 <落語談義6>

 熊さん:あれほど強面だった北朝鮮がこのところ静かですね? これからいったいどうなるんでしょう?
 ご隠居;そうだな・・・。ミサイルを今にもぶっ放すぞって威勢がよかったのにな。
 熊さん:中国までもが銀行取引を止めるなんて言い出したんでだいぶ弱ってるみたいですね?
 ご隠居:中国までにそっぽを向かれたんじゃ、北朝鮮も八方ふさがりだもんな。これから国連制裁の効果がじわじわと効いてくるぞ!
 熊さん:じゃあ、どうしようってんですかね? やぶれかぶれで戦争に突入なんてことにならなきゃいいんですが。
 ご隠居:恐らくそうはならないだろう。
 熊さん:そんなこと断言できるんですかい?
 ご隠居:金正恩の顔を見ればとてもそんなことできる顔じゃないね。
 熊さん:だって、韓国を火の海に、アメリカだってなんてずいぶん過激なこと言ってますぜ?
 ご隠居:あれは軍に言わされているだけだよ。金正恩自身はけけっこう考えてるんじゃないの? このまま突っ張ってい続ければ我が身が危ないって。最近、ミサイルの一部を撤去したとか、国民は田植えに専念せよとか言い出しているし。ちょっと変化が見られる。
 熊さん:でも、核はぜったい手放さないって言ってるし、アメリカは核を放棄しなければ
絶対話し合いには応じないって言ってるし・・・。
 ご隠居:結局、リビアのカダフィの前例に従うんじゃないの?
     
 熊さん:カダフィの前例?
 ご隠居:あれだけ強引だったカダフィは経済制裁に音を上げて、結局核放棄を宣言してアメリカと国交正常化を果たすんだ。
 熊さん:たしかにそれしか金王朝の生き残る道は今やないというわけだ。でも、強硬な軍部を彼はコントロールできるんですかい? 
 ご隠居:確かに、核保有しか北の生きる道はないって言い続けてきたんだものな。しかし彼自身が十分国の独裁者としての地位を確保したと認識できた段階で、これまでの核保有戦略を推進してきた軍のトップを更迭して、カダフィの前例にならって核放棄宣言をする。だってそれしかないことを彼はバカじゃなさそうだから分かってるよ。
 熊さん:彼にそんなことできる資質があるってどうして分かるんですか?
 ご隠居:彼はスイスに留学して西欧の空気に触れているし、勉強もしている。それに彼とつきあいのあった藤本料理人をわざわざ呼び寄せて日本に並々ならない関心を抱いていることを示している。藤本氏が横田めぐみさんを返したら日朝関係はうまくいきますって言ったら、うんうんって頷いていたらしいじゃない。彼には十分柔軟性があると見たね。
     
 カダフィのときだって、国際社会に復帰してからイタリアから植民地支配の謝罪と賠償を引き出しているんだ。
 熊さん:へえ、そうなんですか。
 ご隠居:金正恩くんがバカじゃないことに期待しようじゃないか。