昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

有名人(2)女の魅力(2)

2008-11-20 03:13:16 | 女の魅力
 今、朝2時40分。
 騒がしいテレビの音で目が覚める。
 妻が見ている。
 ワールドカップ最終予選。
 ドーハにおける対カタール戦だ。
 前半田中達也が得点し、日本が1-0でリードしている。
 休憩が終って後半開始早々、玉田が1点を加えた。
 日本の動きがいい。

 <女の魅力>

 NHK生活ほっとモーニングの黒崎めぐみ。
 

 知性を秘めたつぶらで、うっとりとした大きな瞳とちょっと下がった眉。
 笑う時はメールの絵文字のように顔の中心にX印の皺を寄せてはばからない。
 ちゅっとしたくなるような、ぶちゅっとした半開きの大きな唇。
 後ろで纏めた豊かな黒髪からのぞく耳は知的に立っている。
 スマートなスタイル、すっきりとした細い足をひも付きの靴が際立たせる。
 ひざ頭に組んだ両の手のしなやかな指先が絡み合って気持ちを表現し、ふくよかな深みのある、やさしい、気取らない、しかししっかりとした口調でしゃべる。

 <包容力のある気取らない知性> それが彼女だ。
 
 今、中村俊輔のコーナーからショートコーナーを使って、俊輔がゴール遠めにクロスを上げる。
 待ち受けたトーリオが頭で合わせて、ゴール!
 決定的な3点目だ。
 カタールの観衆の一部が帰り始めたという。

 さて、ふたたび黒埼めぐみ。
 ゲストの言葉を前のめりで聞き取ろうとする。
 からだの奥から発するエネルギーを感じる。

「柵も何もないから、海に飛び込みたくなるね」
 泉谷しげるが松島の絶景ポイントを見ながら感想を語る。
「いけませんよ」とめぐみ。
 やんちゃ坊主をたしなめる優しいお母さんだ。
 まだ、独身だというのに。
 
 今、ゴールキーパー川口が片手一本で相手のゴールを防いだ。
 

有名人(1)女の魅力(1)

2008-11-19 06:09:49 | 女の魅力
 赤坂のサントリーホール。
 開演一時間前に着いてしまった。
 幸い座席券の交換を行っていて、寒い中を行列しなくて助かった。
 目の前のサンドイッチ・レストランで食事を取る。
 屋内はすでに満員で外のテーブルになったが、柱のヒーターが点火されていてそんなに寒さを感じない。

 アークヒルズの二本の高層ビルの窓々には煌々と明かりが灯っている。
 それに挟まれたスペースには、これから始まる夜の歓楽に期待を膨らませる人、仕事はまだ宵の口とばかり胸を張って歩いている人、ひと息入れるために出てきた人たちが交錯する。

 幸い席は一階の前から八列目、真ん中に近い。
「何言ってるの、音楽を聴きにいくんでしょ。そんなもの必要ないでしょう。笑われるわよ」
 家を出るとき妻にオペラグラスを持っていくように言ったら笑われてしまったが、ここなら確かに必要ない。
 今日の主役は千住真理子なのだ。
 

 梅田俊明指揮の東京都交響楽団が演奏するヨハン・シトラウスのオペレッタ<こうもり>序曲から始まった。
 滑らかで、ソフトな、心を落ち着かせるような調べが、逆に何かを期待させるように胸を波立たせる。
 素晴らしい演奏に拍手が起る。
 
 さらに一段と拍手が高まると、腰高に尾羽をつけた白に輝くドレスの裾をなびかせ、ヴァイオリンと弓を胸の前に掲げ、千住真理子が胸を張り、颯爽と登場した。
 まだ一音も発しなくても胸をときめかす存在だ。
 
 彼女は、オーケストラの紡ぎ出すベートーヴェンの〈ロマンス>第2番、へ長調、作品50の音色に、目を閉じ静かに十分身を浸らせてから、しなやかに弓を撓らせて力強い音を繰り出す。
 ウイーンの古い民謡を基にしたというクライスラーの<愛の喜び、愛の悲しみ>では、魂に響くような低い音色で訴えるように奏でる。
 同じクライスラーの<中国の太鼓>では、ハイテンポのテクニックを惜しげもなく披露し、全体的に荒々しいとも言えるほどの力強さを示した。

 演奏が終ると、どうだと言うように弓を高く掲げ、笑みを含んだ口元をきっと引き結んで、白鷹のような鋭い目つきで観衆の大きな拍手に応える。
 今、最高に油が乗った千住真理子を十分に観賞した。

 「何?これ、まだ始まる前から書いていたの?」
 妻がぼくのアンケート用紙を見て笑った。
 <とてもよかった>に丸をつけ、<今後呼んでほしい演奏家>に千住真理子と書いてある。
 
 
 

ペット(2)ハムスターのバブ2

2008-11-18 06:03:02 | ペット
 ハムスターの<バブ>、今では十姉妹の<チュイ梵天>以上にわが奥方の愛情を引きつけている。
「バブラシテ、ママちゃんですよ。ママチュリのバブ」
 妻は外出から帰ってくると、何はさておき、バブが就寝中であろうとおかまいなしに巣の中から引っ張り出す。
 ご当人は迷惑そうに目をつむったまま、妻の手のひらからピンクの足をだらりとぶらさげたままになっている。
 
 「ほら、バブ、みかんよ」
 ひざの上に納まると、ピーナッツに、パン、ごはん、ハムに油揚げ、なんだって食わしちゃう。
 目をつむったままムシャムシャ食べている。
 食べ飽きるとプイッと横を向く。
 油揚げみたいに好きなものだと、がばっと起きて喰らいつき、小さな手で押えて夢中で食べる。
 手を出すとツッと横を向き、それでもしつこくちょっかいを出すと、グッと呑み込んでしまう。
 ほっぺのえさ袋はパンパンになっている。

 食べ終わると、ひとしきり小さなピンクの両手を使って顔を洗う。
 とても清潔好きだ。
 途中で黒い小さな丸薬のようなフンをすることがあるが、鼻でプイッとからだから遠ざけるように弾き飛ばす。
 巣の中のフンもこうして全て外へ出す。
 おしっこがしたいときは、手から逃げるようにからだをくねくねさせるのですぐわかる。
 ケージへいれてやると一目散に砂場に走っていく。
 それもいつも同じコーナーで用をたす。
 たまに意志が通じなくてケージに戻れない時など、テーブルなど冷たい所へ置いたりすると、そこでおもらしすることはあるが。
 
 寝て食べるだけが彼の生活ではない。
 たまに畳の上に放すと、最初はおずおずと様子を窺っているが、やがて慣れると、あの短い足でよくそんなにと思うほどのスピードで、あっという間に隅っこへ行き、タンスの裏へと入ってしまう。
 この時ばかりは、獲物に喰らいつく時とともに、彼に野生を感じる。
「ぼん天と一緒に手で掴んでみたい」
 妻は言うが、とんでもない。
 一発でぼん天はのどもとに食いつかれちゃうよ。恐ろしい。

 チュイぼん天は、声をかけたり、ごはんつぶをやると、「チュイ」と声を出し敏感に反応する。
 妻が咳をすると、どうしたどうしたとばかり巣から飛び出してきて「チュイ、チュイ」と鳴く。
 そのうち咳が止まるとよかったとばかり、「チュークリ、チュークリ」と声高にさえずる。
 
 それに対し、バブは声をかけても知らん顔。
 自分の名前も分からないようだ。
 買ってやった感想野菜や、栄養十分との謳い文句のハムスター用の餌も、ヒマワリの種以外はプイと横を向いて憎たらしいほど見向きもしない。
 外の餌が欲しい時はゲージの入り口を歯でくわえてガタガタと音をさせ、出せと要求する。
 朝方など、放っておくと一時間でもガタガタしている。
 もっとも歯が伸びるのを防ぐために磨いているのかもしれないが。

 昼はほとんど寝ている代わりに真夜中回転車で運動する。
 何キロにもなるという。
 こんな時は外へ出ておいでと呼んでも、餌をやろうとしても見向きもしない。
 身勝手ボーイだ。

 それでも、シルバーにグレーの背すじ、あるかないかのしっぽのついた丸いお尻。
 からだを丸めて大きな真ん丸い目を見開いて、かわしい手で餌をつかんで食べる様は何とも可愛らしい。
 息子も妻に似て帰宅すると必ず「バブラシテ、ダメでちゅ」などと顔を突き合わせて挨拶している。
 ぼくがたまにいじっていると「お父さんまで」と笑われる。
 物は言わねど、今や我が家の人気者。
 出て行くことは考えられない<我が家の居候>だ。
  

ペット(1)ハムスターのバブ1

2008-11-17 06:20:30 | ペット
 妻のひざの上、エプロンの中でウチのハムスター<バブ>は丸くなって眠っている。
 シルバーグレイの、ビロードのようなすべすべした毛ざわり。
 柔らかい大福もちのようだ。
 

 「ほら、チュッと言わそうか?」
 妻はいたずらっ子のように顔をほころばせて、指をバブの口に近づける。
「チュッ!」
「言った。もう一度」
 うれしそうに何度も繰り返す。
 その度にバブは、いい迷惑だと言わんばかりに顔をぷいっと横へ向ける。
 調子に乗って「十チュッするまで」なんて言ってる。
「いいかげんにしろよ。こっちへ貨しな!」
 ぼくがチョッカイをかける。
「ダメ! ママのバブだもんね」

 バブは娘が去年の秋買ったハムスターだが、亭主のアレルギー反応を理由にウチヘ<居候>として預けられることになった。
「ちょっとだけよ、世話がたいへんなんだから。早く持って帰ってよ」
 彼らが顔を出すたびに妻は言っていた。
 ところが、人が手を出すとすぐ噛みついていたバブを、妻はいつの間にか一切噛みつかないように手なずけてしまった。
「持って帰るとおかあさんが可哀そうだから」
 娘婿からそう言われるほど愛情をそそいでしまった。
「ほら、見て、かまないでしょう?手の中で眠るのよ」と自慢している。

 「警戒心の強いハムスターは馴らすのがむずかしく、人の手で眠るのはまれです」
 NHKの小動物の飼い方というテレビ番組で言っていた。
「噛まれたからこわい」
 以前飼っていたという山瀬まみも言っていた。
 妻はそんなハムスターを自家薬籠中の物にしてしまった。

 妻はまた、十姉妹も手の中で落ち着かせると言う実績の持ち主だ。
 ぼくの会社の倉庫に飛び込んできた茶色の貧相な十姉妹をもらってきて、今も飼っている。

 <チュイ梵天>という名前だ。
 
 頭の毛が三本ほど逆立っているのが梵天さまみたいで、チュイと鳴くことから妻が命名した。
 最初、その姿から<オソマチュ>だったのが昇格した。

 <バブ>も妻がつけた名前だ。
 最初、妻がこのハムスターを見た瞬間に<かわいい、バブラシテ!>と発したことから来ている。
 バブバブと赤ちゃんが言ったとかいうが、そのあたりからきているのだろうか。
 ともかく妻は変な名づけの名手なのだ。
 チュイ梵天のことも、最初、<ピチュクリ>とか言っていた。
 
 結局バブは、返す、返すと言われていた居候の身から、ぼん天と並ぶ我が家の一員としての座をしっかりと確保してしまった。

 ─ 続く ─
 
 

 
 

エッセイ(22)黒人大統領誕生

2008-11-08 08:21:48 | エッセイ
 アメリカで初の黒人大統領が誕生した。
 多民族国家だからもっと早く黒人が大統領になってもよさそうだったが、なかなかそうはいかない情況が存在していた。
 実質的には白人大統領の下、アメリカは白人に牛耳られていた。
 黒人が大統領に選ばれたら暗殺されるのではなどという不穏なうわさも飛ぶくらいだ。
 人種差別に関する感覚が理屈を越えて存在することをぼくは実感したことがある。
 
 仕事で社長とニューヨークのバスに乗った時のことだ。
 まだ、ぼくは若かった。

 バス始発の停留所は大きなビルの地下にあり、薄暗く、十台以上のバスが行き先別に陰気に配置されていた。
 発車間もないバスのステップの前で、運転手だろうか、黒人の大男が三人、ぼそぼそと何事かしゃべっている。
 客にスペースを作ってやろうなどというなどという配慮は微塵もない。
 彼らの間をすり抜けてバスに乗り込む時、言い知れぬ圧迫感と恐怖感に襲われた。
 そそくさと社長を先導して一番奥のシートに座ったが、あの黒人たちの暗くて陰湿なワーキングエリアに誘い込まれたような恐れを感じた。
 先に予測できないようなことが待ち受けているのではという不安が襲った。
 
 いくつかの先のバスストップでバスはしばらく停車した。
 バスの運転手は何も告げないまま黙って降りてどこかへ行ってしまった。
 静かな田舎町の商店街だ。
 すぐ前に小奇麗な陶器類をショーウインドーに飾った店がある。
 気づかない間に、社長がバスを降りてショーウインドーを眺めている。
 いつもの好奇心旺盛な社長の唐突病が始まった。
 やばいなと思った瞬間、社長は店の中に入って行った。
 運転手は戻ってきて何の合図もなく車を発車させた。
 ぼくはびっくりして大声を上げた。
「ストップ!ストップ!」
 後ろから社長が走ってくるのが見える。
 運転手はしぶしぶという感じでバスを止めた。
「ソーリー、ソーリー」と言いながら社長は乗り込んできた
 ぼくは、発車する前に確認しろよ、と言いたかったが、運転手は・・・お前らの責任だろうが・・・という冷たい目でぼくらを眺めた。

 それ以来、ぼくは黒人に対して恐怖感を抱くようになった。

 今回、アメリカ国民の直接選挙によって、圧勝で、アメリカ初の黒人大統領が誕生した。
 黒人は20%に満たないが、国民自身が自らの代表として黒人を選んだのだ。
 これはある意味、白人社会の中で、感情的な人種の壁を打ち破った画期的なことといえる。
 イラク戦争、金融危機などでアメリカの世界における地位は揺らいでいるとはいえ、まだ世界をリードする力を有している。
 世界平和を考える時、人種、宗教などの超えがたい壁がある。
 少なくとも世界をリードするアメリカを引っ張る大統領に、黒人がなったということは、人種の壁が破られたという点で、ベルリンの壁が壊された時よりさらに評価されるべき事件と言えるかもしれない。

 YES,WE CAN.
 アメリカだけではなく、世界がCHANGEする可能性がある。
 

エッセイ(21)勝負事

2008-11-03 10:52:35 | エッセイ
 だいたいぼくは、麻雀とか競馬、ゴルフ、勝負事が好きだ。
 バブルの時代を生きたぼくは、株と競馬で財産を摩ってしまった。
 最近は心を入れ替えて、やるにしてもお遊び程度に留めている。

 勝負事が好きだからよく星占いを見る。
 信じるわけではないが、参考にしたりする。
 ちょっと控えようとか、少し強気にとか。
 
 先週末は占いによればツイテいた。
 
 ところが、土曜日の毎月恒例の麻雀会では結論から言えばダメだった。
 参加者32名中、多分半分以下だったろう。トビ賞にも預かれなかった。
 最初、女性ふたりが一緒だった。
 ぼくはだいたい女性に弱い。
 それが二人だ。
 嫌な予感がした。
「わたしポンポン蒸気って言われてるの」
 始まる前にひとりの女性が言った。
 ポンポンとなきまくるタイプなのだ。
 相手のことなんかおかまいなし。
 自分本位なのだ。
 ぼくのようにリーチで引っかけたりする技巧派には厄介な相手だ。
 おまけにもう一人の女性も行くとなったらどこまでも他人のことなんかしっちゃあいないというタイプだ。
 嫌な予感は的中してぼくは大きなマイナスをくらった。
 その後、3回戦って少し取り戻したとはいえ、プラスに浮上することはなかった。

 翌日の日曜日、競馬に臨むにあたって、作戦を立てた。
 9レース精進湖特別と10レース錦秋ステークスに絞った。
 しかも本命の単勝狙いだ。
 10レースの本命エスポワールの方がより確率が高いと見ていた。
 しかし同じ騎手松岡が騎乗する9レースのスノークラッシャーも捨てがたい。
 先ずこれに全額投入して、バイバイゲームを狙おうと欲張った。
 しかし、昨日のこともある。
 ぼくは占い通りにツイテいるとは限らないのだ。
 欲張らない方がいい、わずかだけ試してみた。
 案の定、クラッシャーは3位に沈んだ。
 ぼくはツイテいたのかも。
 すてんてんにならずに済んだ。

 10レースは全額本命単勝に投入、2.6倍になった。
 元手を残して、天皇賞を遊ぶことにする。
 ぼくは今年のダービー馬ディープスカイと上位に必ず絡むダイワスカーレットに絞って、3連複を買った。
 本命のウオッカが入れば、7倍にしかならないが、他の馬が割り込んだら何十倍になる可能性もある。
 十分遊べる。
 レースは大接戦となった。
 ところが、ぼくはディープスカイの馬番を1番と勘違いしていた。
 1番はずっと上位で頑張っていたが、4コーナーを回ったところで後退した。
 ぼくはその時点であきらめた。
 ・・・若いディープスカイでなくてやっぱりウオッカだったか・・・と。
 鼻差、2センチでウオッカがダイワスカーレットを抑え天皇賞を制した。
 しかし、3位は馬番2番のディープスカイ、ぼくは3連複を的中させていた。
 調子にのって、ウオッカを勝に導いた武豊騎乗の12レースの本命クリーンの単勝を買った。
 それも当てた。
 
 競馬を見ながらも、10チャンネルの石川遼の活躍も気になって時々合間にチャンネルを変えて見ていた。
 前日3打差で深堀を追っていた遼くんは16番ロングパットを決め、逆転したところだった。
 18番では池へ入れるピンチだったが、冷静にウオーターショットを決め、1打差で尊敬する深堀を制して、プロ初優勝を成し遂げた。
「最後はいいことがあると信じていました」
 彼は涙を流しながらも、気取りなく、率直に、しっかりとコメントした。
 見ているぼくも爽やかな気分に満たされた。
 やはりぼくはツイていた。
 競馬界とゴルフ界の歴史的瞬間をテレビとはいえ、目撃できたのだ。

 信じられない結末が待っているイタリア旅行記に水を差したようで申し訳ありません。
 ブログを毎日休みなくアップすることは大変です。
 たまには異物が入りますがご容赦下さい。