ハムスターの<バブ>、今では十姉妹の<チュイ梵天>以上にわが奥方の愛情を引きつけている。
「バブラシテ、ママちゃんですよ。ママチュリのバブ」
妻は外出から帰ってくると、何はさておき、バブが就寝中であろうとおかまいなしに巣の中から引っ張り出す。
ご当人は迷惑そうに目をつむったまま、妻の手のひらからピンクの足をだらりとぶらさげたままになっている。
「ほら、バブ、みかんよ」
ひざの上に納まると、ピーナッツに、パン、ごはん、ハムに油揚げ、なんだって食わしちゃう。
目をつむったままムシャムシャ食べている。
食べ飽きるとプイッと横を向く。
油揚げみたいに好きなものだと、がばっと起きて喰らいつき、小さな手で押えて夢中で食べる。
手を出すとツッと横を向き、それでもしつこくちょっかいを出すと、グッと呑み込んでしまう。
ほっぺのえさ袋はパンパンになっている。
食べ終わると、ひとしきり小さなピンクの両手を使って顔を洗う。
とても清潔好きだ。
途中で黒い小さな丸薬のようなフンをすることがあるが、鼻でプイッとからだから遠ざけるように弾き飛ばす。
巣の中のフンもこうして全て外へ出す。
おしっこがしたいときは、手から逃げるようにからだをくねくねさせるのですぐわかる。
ケージへいれてやると一目散に砂場に走っていく。
それもいつも同じコーナーで用をたす。
たまに意志が通じなくてケージに戻れない時など、テーブルなど冷たい所へ置いたりすると、そこでおもらしすることはあるが。
寝て食べるだけが彼の生活ではない。
たまに畳の上に放すと、最初はおずおずと様子を窺っているが、やがて慣れると、あの短い足でよくそんなにと思うほどのスピードで、あっという間に隅っこへ行き、タンスの裏へと入ってしまう。
この時ばかりは、獲物に喰らいつく時とともに、彼に野生を感じる。
「ぼん天と一緒に手で掴んでみたい」
妻は言うが、とんでもない。
一発でぼん天はのどもとに食いつかれちゃうよ。恐ろしい。
チュイぼん天は、声をかけたり、ごはんつぶをやると、「チュイ」と声を出し敏感に反応する。
妻が咳をすると、どうしたどうしたとばかり巣から飛び出してきて「チュイ、チュイ」と鳴く。
そのうち咳が止まるとよかったとばかり、「チュークリ、チュークリ」と声高にさえずる。
それに対し、バブは声をかけても知らん顔。
自分の名前も分からないようだ。
買ってやった感想野菜や、栄養十分との謳い文句のハムスター用の餌も、ヒマワリの種以外はプイと横を向いて憎たらしいほど見向きもしない。
外の餌が欲しい時はゲージの入り口を歯でくわえてガタガタと音をさせ、出せと要求する。
朝方など、放っておくと一時間でもガタガタしている。
もっとも歯が伸びるのを防ぐために磨いているのかもしれないが。
昼はほとんど寝ている代わりに真夜中回転車で運動する。
何キロにもなるという。
こんな時は外へ出ておいでと呼んでも、餌をやろうとしても見向きもしない。
身勝手ボーイだ。
それでも、シルバーにグレーの背すじ、あるかないかのしっぽのついた丸いお尻。
からだを丸めて大きな真ん丸い目を見開いて、かわしい手で餌をつかんで食べる様は何とも可愛らしい。
息子も妻に似て帰宅すると必ず「バブラシテ、ダメでちゅ」などと顔を突き合わせて挨拶している。
ぼくがたまにいじっていると「お父さんまで」と笑われる。
物は言わねど、今や我が家の人気者。
出て行くことは考えられない<我が家の居候>だ。
「バブラシテ、ママちゃんですよ。ママチュリのバブ」
妻は外出から帰ってくると、何はさておき、バブが就寝中であろうとおかまいなしに巣の中から引っ張り出す。
ご当人は迷惑そうに目をつむったまま、妻の手のひらからピンクの足をだらりとぶらさげたままになっている。
「ほら、バブ、みかんよ」
ひざの上に納まると、ピーナッツに、パン、ごはん、ハムに油揚げ、なんだって食わしちゃう。
目をつむったままムシャムシャ食べている。
食べ飽きるとプイッと横を向く。
油揚げみたいに好きなものだと、がばっと起きて喰らいつき、小さな手で押えて夢中で食べる。
手を出すとツッと横を向き、それでもしつこくちょっかいを出すと、グッと呑み込んでしまう。
ほっぺのえさ袋はパンパンになっている。
食べ終わると、ひとしきり小さなピンクの両手を使って顔を洗う。
とても清潔好きだ。
途中で黒い小さな丸薬のようなフンをすることがあるが、鼻でプイッとからだから遠ざけるように弾き飛ばす。
巣の中のフンもこうして全て外へ出す。
おしっこがしたいときは、手から逃げるようにからだをくねくねさせるのですぐわかる。
ケージへいれてやると一目散に砂場に走っていく。
それもいつも同じコーナーで用をたす。
たまに意志が通じなくてケージに戻れない時など、テーブルなど冷たい所へ置いたりすると、そこでおもらしすることはあるが。
寝て食べるだけが彼の生活ではない。
たまに畳の上に放すと、最初はおずおずと様子を窺っているが、やがて慣れると、あの短い足でよくそんなにと思うほどのスピードで、あっという間に隅っこへ行き、タンスの裏へと入ってしまう。
この時ばかりは、獲物に喰らいつく時とともに、彼に野生を感じる。
「ぼん天と一緒に手で掴んでみたい」
妻は言うが、とんでもない。
一発でぼん天はのどもとに食いつかれちゃうよ。恐ろしい。
チュイぼん天は、声をかけたり、ごはんつぶをやると、「チュイ」と声を出し敏感に反応する。
妻が咳をすると、どうしたどうしたとばかり巣から飛び出してきて「チュイ、チュイ」と鳴く。
そのうち咳が止まるとよかったとばかり、「チュークリ、チュークリ」と声高にさえずる。
それに対し、バブは声をかけても知らん顔。
自分の名前も分からないようだ。
買ってやった感想野菜や、栄養十分との謳い文句のハムスター用の餌も、ヒマワリの種以外はプイと横を向いて憎たらしいほど見向きもしない。
外の餌が欲しい時はゲージの入り口を歯でくわえてガタガタと音をさせ、出せと要求する。
朝方など、放っておくと一時間でもガタガタしている。
もっとも歯が伸びるのを防ぐために磨いているのかもしれないが。
昼はほとんど寝ている代わりに真夜中回転車で運動する。
何キロにもなるという。
こんな時は外へ出ておいでと呼んでも、餌をやろうとしても見向きもしない。
身勝手ボーイだ。
それでも、シルバーにグレーの背すじ、あるかないかのしっぽのついた丸いお尻。
からだを丸めて大きな真ん丸い目を見開いて、かわしい手で餌をつかんで食べる様は何とも可愛らしい。
息子も妻に似て帰宅すると必ず「バブラシテ、ダメでちゅ」などと顔を突き合わせて挨拶している。
ぼくがたまにいじっていると「お父さんまで」と笑われる。
物は言わねど、今や我が家の人気者。
出て行くことは考えられない<我が家の居候>だ。