昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説<手術室から>(36)目の手術(11)

2015-09-29 05:24:05 | 小説・手術室から
 先生の声が秀三に近づき温かい手術用のカバーが体にかけられた。
 右目だけむき出しにされて顔がぴったりと覆われた。
「あなたの目は奥が深いからちょっとたいへんかもね」
 上からとつぜん先生の声が降ってきた。
     
 言うや否やぐさっと麻酔の注射が目に打ち込まれた。
 胸がズキッとする。

「お隣を先にやりますから待っていてくださいね」
「・・・」
 ・・・なに? 冗談じゃないぜ! そんなせわしいことで大丈夫なのかい!・・・
 思わず口に出かかった。
 村上先生が同時に二人の患者を捌くのだ。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>

 スモ女、能町みね子の視点。
 
 あの旭天鵬が大島親方になって初めて場内警護の役をしている。
 勝利した弟子が脇を通ったら、優しい目をしてタッチしてる。
 
 (いけないんじゃないの?)

 負けた弟子が脇を通った。
 
 こんどは(もっと稽古せんかい!)という厳しい目だ。







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