昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(70)貿易会社(28)

2013-12-22 03:47:23 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
 かくして岩田専務は不死鳥のごとく蘇った。
 未だ国交がなく、大商社が取引できなかったソビエト連邦との商取引でハザマトレーディングが共産圏貿易御三家の一つと評されるほど成功を収めることが出来たのは、狭間社長が人を得たことだ。
 M造船から吉原専務を迎え、M造船を手の内に入れた。
 そして引き継いだ岩田専務はソ連の魂を鷲づかみにする豪のものだった。
 
 膨大な土地を擁し、多数の民族を抱えるソビエト連邦はスターリンを得て巨大な官僚国家を作り上げた。
 
 思想家レフ・トロッキー曰く。
 「大衆にとって無名の存在であったスターリンが完璧な戦略計画をいだいて舞台裏から突如として出て来たなどと考えたら素朴であろう。否、スターリンが自分の道を探しあてる前に官僚が自身を探し当てたのである。かれらはみなそれぞれの地位にあって<朕は国家なり!>と考えている。だれもが容易にスターリンの中に自分を見いだす。しかしスターリンも官僚ひとりびとりに自分の精神の片鱗を発見する」と。

 つまり、ソ連は官僚で形成される国なのだ。
 岩田専務はその本質を見抜き、果敢にその懐の中に飛び込んだ。
 相手がのどから手の出るほど欲しがったトランジスタ製造装置を、ココム違反と知りながらも、分解し形を変え届け大物官僚の評価を得た。
 手土産で小役人を籠絡し、VIP並みの処遇を受けるほどの人脈を築いた。

 今回も紙の原料のパルプを製造する前工程のプラントの輸出を決めてきた。
 
 木材の皮を剥ぎ、パルプの原料となるチップに加工する一連のプラントだ。
 輸出する前に、実際の稼働状況を事前調査と称してソ連貿易公団は技術者のみならず、幹部官僚が何人か同伴するという。
 
 プラントを製造するC機械工業とともに、ボクは通訳の石山くんとともにそのスケジュールを立て、お供する担当に任命されたのだ。
 なんのことはない、ソ連のお役人の接待係だ。

 ─続く─

 <来年期待されるもの>
 玩具として、スエーデンの開発した<キネティックサンド>なるものが紹介されていた。
 
 一見、ありふれた砂なのだが、握ると粘土のように粘り気があっていろいろな形に成形できる。しかもその辺にくっついたり汚したりしない優れものだ。
 早速孫のお土産にと近くのスーパーやデパートのおもちゃ売り場に行ってみたがなかった。

 全日本フィギャー選手権で羽生結弦くんがSPで103.10という最高得点をたたきだした。
 先日のグランプリでカナダのパトリック・チャン選手を破った時の最高点を上回るものだった。
 文句なし!の、観客の魂を鷲づかみにする演技だった。
 来年の間違いなき我らが<希望の星!>だ。
 
 
 
 


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