小説「ある倉庫係の死」(2)
案の定というか、指示されたことはちゃんとやるが、それ以上の融通は利かず、受け答えもはっきりせず、だいたい人づき合いが苦手のようだ。
おまけに時々遅刻をする。
息が臭い。
酒が好きで、毎日朝から飲んでいるようだ。
採用した責任者として後悔の念が度々胸に浮上した。
しかし、皮肉なことに、彼が見直されることになったのはその酒の席でのことだ。
たまに、営業の仕事がうまくいって、いわゆる<夕焼けパーティ>なるものを東京営業所所長主催でやることがある。
最初は営業部員を慰労する趣旨から始まったのだが、現在では業務部や経理部も含めて東京本社全体の懇親の場となっている。
部長以下幹部連中が金一封を出し合って、ビールにおつまみの気楽なものだ。
たまには社長も顔を出す。
「石山も呼んでやるか?」
今回開かれるというので、ボクは飯島課長に言ってみた。
「いいんですか? 酒癖悪そうですよ?」
「彼だけ外すというわけにはいかんだろう」
というわけで彼を参加させた。
─続く─
先日妻に連れられて、隠れ家的な<そば玄庵>なるそば屋に行った。
東八道路を西の方へ行ってトヨタのレクサスの先を曲がったところにあった。
茨城産のそば粉を使った、そばが命という年寄りのオヤジがひとりで切り盛りしている。
細い、しこしこした堅めのそばだ。
ぼくらは鴨南蛮そばを食べたが、隣の客のおろし盛りそばもおいしそうだった。
案の定というか、指示されたことはちゃんとやるが、それ以上の融通は利かず、受け答えもはっきりせず、だいたい人づき合いが苦手のようだ。
おまけに時々遅刻をする。
息が臭い。
酒が好きで、毎日朝から飲んでいるようだ。
採用した責任者として後悔の念が度々胸に浮上した。
しかし、皮肉なことに、彼が見直されることになったのはその酒の席でのことだ。
たまに、営業の仕事がうまくいって、いわゆる<夕焼けパーティ>なるものを東京営業所所長主催でやることがある。
最初は営業部員を慰労する趣旨から始まったのだが、現在では業務部や経理部も含めて東京本社全体の懇親の場となっている。
部長以下幹部連中が金一封を出し合って、ビールにおつまみの気楽なものだ。
たまには社長も顔を出す。
「石山も呼んでやるか?」
今回開かれるというので、ボクは飯島課長に言ってみた。
「いいんですか? 酒癖悪そうですよ?」
「彼だけ外すというわけにはいかんだろう」
というわけで彼を参加させた。
─続く─
先日妻に連れられて、隠れ家的な<そば玄庵>なるそば屋に行った。
東八道路を西の方へ行ってトヨタのレクサスの先を曲がったところにあった。
茨城産のそば粉を使った、そばが命という年寄りのオヤジがひとりで切り盛りしている。
細い、しこしこした堅めのそばだ。
ぼくらは鴨南蛮そばを食べたが、隣の客のおろし盛りそばもおいしそうだった。
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