
売春を行った女子高校生が、補導されたときに述べる言葉は次のようなものである。

「相手も楽しいし、自分も楽しいし、世の中だれにも迷惑をかけていない。そのうえお金まで入る。どうしていけないのか」
これに対する反論はなかなかむずかしい。
彼女たちの言っていることは、前提なしの無条件の話し合いに基づく合意が絶対であり、それを外部から拘束する法的、倫理的規範は一切認めないということであり、まさしく、超法規的、超倫理的な<話し合い>が絶対的な<義>であり。これに干渉する権利は誰にもないということなのである。・・・

当時は天皇は神様であり、不磨の大典といわれた憲法は絶対である。
とすると、天皇は自由に首相を任命できるはずであり、法的にはこれを阻止しうるものはないはずである。
ところが当時の陸軍には<三長官会議>があった。
これは法的には何の根拠もない会議、いわば私的な<話し合い>である。
ただ陸軍の意向を表明するため、参謀総長、陸軍大臣、教育総監の三人が話し合いをするということにすぎない。
この三人は別個に天皇に直属しているのである。

彼らは、これを利用して、天皇の首相任命権に対して、実質的に拒否権を行使できることになってしまった。

いわば、日本を敗戦に導いた最大の要因は、軍部すなわち<軍隊一家>ともいうべき共同体の要請が、すべてに優先し、国民はその要請に対応すべき存在とされてしまったことである。
簡単にいえば、軍共同体維持のため、機能集団としての軍隊が機能するという状態である。


司馬遼太郎氏曰く。
「東条英機という人は成規類聚の権威でしてね。それを盾にして人々の違反を追及して権力を握っていった人ですな。あれが一番こまります」と。
成規類聚はいわば陸軍の社規社則である。
軍人は、就業規則を読まない社員同様、通常はそれを読まない。
だが、それに違反しているといわれれば、どのような提案も引っ込めざるを得ないのだ。
それは結局、この規則が<陸軍共同体の話し合いの原則>を守るために使われているにすぎないからである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます