昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(575)吉方病院(5)

2019-10-29 04:18:57 | エッセイ
  ボクはAリハビリ師の献身的な努力のおかげで、杖があれば自立歩行が認められるほどになった。
 手術した脚は、リハビリ室における強化のみならず、廊下や階段の歩行、運動靴を履いて外で病院の周りを歩けるまでになった。
 Aリハビリ師は、午前に、午後にとしつこいぐらいボクに関わってくれた。
 「ボクばかりじゃなくて、他の患者さんにも・・・」と言ったほどだった。
 彼は、「大澤さんのよくなろうとしている積極的な気持ちに乗っかっているだけです」と言ってくれた。
 そして、ついに退院が近いことを証明するように、ボクは四階に移動させられた。

 毎週、その廊下には車椅子の人たちが集まってリハビリ師の指導の下、リハビリ体操が行われていた。
 そして、その日の朝、リハビリ師と一緒に、例の白衣に黒のスリットの入った洒落たデザインの若い看護師が指導していた。

 ─続く─