昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(577)はかない恋

2019-10-31 04:57:20 | エッセイ
 いつものように、キミは待っていた。
 当然のように、二人は同じバスに乗った。
 一番後ろに二人並んで席を占め、そっとからだを触れ合った。
 何もしゃべる必要はなかった。
 そしてボクが降りるべきバス停が近づいてきた。

 ボクはキミの手を握った。
 走り去るバスの窓からキミは手を振る。
 ボクも手を挙げて応える。
 
 しかし今は、
 キミは姿も見せない。