昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(576)吉方病院(6)

2019-10-30 05:46:45 | エッセイ
 ところが、そのシャープな若い看護師の足元がおぼつかない。
 ボクは、思わず彼女に手を差し伸べひきよせた。
「どうしたの? ふらふらしてるじゃない・・・」
 しかも、痩せてやつれているみたいだ。
 彼女は、指導する位置から離れて、ボクの方へ寄ってきた。
「ちょっと体調をくずしちゃって、今度検査入院することになったの・・・」

「検査入院? この病院で?」
「いえ、別の病院よ・・・」
 
 ・・・どこの病院へ入院するのだろう・・・
 聞きそびれてしまった。
 それっきり、彼女とは離ればなれになってしまった。
 
 姿かたちといい、まさにボクの想い出の<つばめちゃん>だった。