昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(572)吉方病院(1)

2019-10-26 13:08:45 | エッセイ
 鳥取の雄大な砂丘や巨大砂像を楽しんだ後、大山ロイヤルホテルで足を滑らせたボクは股関節を骨折し、前回述べたように急遽米子空港から羽田へ戻り、慶応病院の親切な整形外科医の紹介で、自宅近くの、武蔵野市の吉方病院に入院した。
三鷹駅の北口、武蔵野警察の先、大きなマンションの手前にひっそりと佇んでいるような病院だった。
 ・・・ともかく一度自宅マンションに戻りたい・・・
 ここの院長先生と向き合ったボクは懇願した。
「先生、とりあえず、麻酔薬でも使って痛みをとめていただいて、家へ帰りたいのですが・・・」
「患者に麻酔薬を打って、家へ帰す? そんなバカな事できるわけないでしょう!」
 確固たる信念を持った医師の顔で、院長は言った。
 そして、ボクの気持ちとすれば、この病院に閉じ込められることになった。

 そして、この病院は、強烈な院長医師の個性と、看護師、介護師、リハビリ師軍団で構成される独特な組織から成り立っている病院であることを認識することになる。
 
 ─ 続く ─