昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(309)昭和を代表する3人の首相(1)

2014-10-22 04:01:29 | なるほどと思う日々
 昭和の首相について語った保坂正康氏の講演がとても興味深かったので、ここに抜粋してみる。
 
 昭和には前期、中期、後期と3つの顔がある。
 歴代の首相で分けると、若槻礼次郎から鈴木貫太郎までの前期に15人。
 東久邇内閣から吉田茂内閣までの5人が中期。
 後期は吉田茂から竹下登までの12人。
 昭和という20世紀の2/3を占める時代に32人の首相がいた。

 その中で、前期を代表するのは東條英機という軍人首相だ。
 
 中期の占領下においてはなんといっても吉田茂。
 
 そして後期は、戦後民主主義の中から生まれた大衆の欲望を政策化した田中角栄だろう。
 

 3人の共通点は?
 お縄を頂戴した(監獄に入った)経験をもつ。
 32人の首相の中でこの3人だけだ。
 
 東條英機は敗戦の責任を問われて巣鴨プリズンに入り、東京裁判を受け刑死する。
 吉田茂は敗戦の年に、和平工作を画策しているという疑いで憲兵隊に逮捕され3か月ほど獄に入っている。
 田中角栄は昭和22年に炭管汚職で逮捕された経験があるが、本質的に獄に入ったのはロッキード事件の時だ。

 その獄につながれた理由は、いずれもアメリカがからんでいる。
 東條はアメリカと戦い東京裁判の報復を受ける。
 吉田はイギリス、アメリカに恩義があるという主張がもとで憲兵隊に逮捕された。
 田中はアメリカを出しぬいて中国と国交を回復したことが、アメリカにとって危険な政治家と見做されたことがロッキード事件の背後にあった。

 アメリカ! アメリカと戦い、占領され、それから協力体制を組むという、我々の20世紀<昭和>はアメリカとの絡みで作り上げられたことが分かる。
 ミズリー号の艦上で降伏文書に調印する時、マッカーサーはペリーが浦賀に来たときの星条旗をこれ見よがしに額に入れて日本代表に見せたそうだ。
 
 
 その意図するところはこうだ。
「我々がおまえたちの国をどれだけ支えたか。おまえたちの国を世界の中に引っ張り出してきて、相応の利益も与えた。日露戦争でおまえなんかの国が勝つわけがないだろう。それを間に入ってロシアを説得してポーツマス条約で勝利という形を作ったのは我々だろう。おまえたちは何を考えているんだ。俺たちに逆らってやった報いがこれだぞ」

 ─続く─