ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

キャスト全員・スタッフ全員!

2007-01-22 21:36:36 | インポート

 三日後に迫った置農演劇部校内公演のゲネプロが、昨日、終わった。やれやれだ。部員16名を二つに分けて、二本の芝居を作ろうってんだから、本当にようやるよ。16を二つに割れば、8。そのうち舞台に立つのはなんと6。つまり、演出と舞監を除く全員が役者ってわけだ。もう一チームも然り。じゃあ、音響は?照明は?舞台スタッフは?これらすべて相手のチームがやる。つまり、自分の芝居が終わるとすぐスタッフに早変わりして部署に着くってわけだ。一昨日までは役作りで精一杯だった役者達、会場の設定とともに、ようやく裏方の打ち合わせができたという次第。それぞれのチーム1時間かけて、相手のチームに照明やら音響やらを事細かに御願いした。台本に必死で書き込む部員たち、みんな真剣!!だって、失敗したら相手のチームに顔向けできないからね。って言うか、その後なんて言われっかわかんないから。

 昨日は最初に、その打ち合わせの通り、一度通してみた。いやあ、いくら真剣にやったからって、昨日の今日じゃ上手く行くはずはない。音は出ない。明かりは消えない。色は間違える。道具はあっちゃこっちゃ。いやはや大変な右往左往だったが、ともかく時間がない。見切り発車でゲネプロ突入。事前のあたふたが信じられないくらい、まずまずの出来になっていた。ホッホッホッの一安心。あと、三日間、通しを大切に繰り返し本番を迎えるばかりだ。これからの三日間、スタッフはもちろん、役者も一気にレベルアップするはずだ。だからこそ、今日の通してでは、あえて、きつい言葉で叱咤した(怒鳴りとばした?)。

 それにしても、なんで、役者もスタッフも一緒にやるような無茶な舞台を作るのかっていうと、これはもう、私の信念を通り超えて、妄執だ。理由は、できるだけ多くの部員に舞台を踏んでほしいからってことだ。部員には、役者に向くのもいれば、スタッフばっちりって奴もいる。「役者でなきゃって嫌!」、って我が儘者も、「舞台はちょっと」、って尻込みするのもいる。声の良し悪し度胸のあるなし。舞監や照明は専門職だから、これは是非とも育てたい。となると、どうしても分業が効率的ということになる。スタッフはスタッフ、役者は役者ってわけだ。一般に劇団はこのパターンで活動を行っている。それが、良い芝居を作る条件だったってことは重々承知。高校生だって、その方がよりましな舞台が仕上がるってのは言うまでもない。

 でもねえ、そいつぁ、ちっと違うんじゃないかって思っているんだ。高校生の演劇部活動は、まずは教育活動だと思う。それぞれの分担仕事で精一杯力を付けて協力し合うことも、大いに教育的だが、舞台に立って、人前で大声で台詞をしゃべり、夢中になって役になりきるってのは、これはもう、何ものにも代え難い貴重な体験なんだと思うんだ。もしかしたら、と言うより、まず間違いなく、多くの生徒とって、この数少ない経験が、一生に一度か二度のものになるんだよ。ってことは、これは彼らの人生の宝物になるってことだ。こんな凄いことをやれるのに、少しばかりの完成度追求のために、その大きな可能性を棒にふりたくないじゃないか。

 だから、この校内公演は、見に来てくれる人たちには申し訳ないが、確実に上手くない。あまりの下手さにウンザリする場面もあるかも知れない。でも、日頃、ほとんど声を出さないような子が、一生懸命長台詞をしゃべり、いつもは、恥ずかしがって、下ばかり向いてる生徒が、しっかと視線を中空に放つのを見れば、その姿や声はきっと観客の素直な心に届くに違いないと思うのだ。感動とは言えないが、何か心打つものがきっとある。

 とは言え、下手でいいんだってもんじゃないぞ。おい、やる気あんのか!声が観客に聞こえなくて、何が芝居だよ!舞台出んなら、それだけのことやれよ!!って厳しく最後のだめ出しをしていこう。

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