昨夜(ゆうべ)はLANDAYA X のコンサートだった。あれってコンサートって言えるのか?アフリカンパーカッションのグループの演奏会だ。会場は、川西町ライブスペースジャム。入ってみて、客席のセッティングに驚いた。奥のステージに椅子が並べられ、客席の一隅には数々のアフリカンドラムが置いてある。ステージは当然狭いので、そうね、30席もあるかどうか、すでに8割方が埋まっている。入場した生徒たちも、まずはとまどう。自分たちの席がない。いつも、高校生は安く見せてもらってるんだから、遠慮して座れって言ってるので、仕方ない、客席側で立ち見ってことにする。
これがなんと、実にたくらまれたシチュエーションだったんだな。今回の企画の主催者テルさんのグループがまずは、前座で盛り上げる。最初は、お客さんもじっくり聞くという姿勢。でも、だんだんとテルさんのジンベ(ギニアではそう発音するってことだ)が熱を帯びる。立ち見の高校生を挑発する。彼のパフォーマンスにつられて生徒たちの身体が揺れ始める。さらに、楽器を置いて身振りで誘う。テルさんとは以前アフリカンドラムのワークショップで遊ばせてもらってるから、演劇部員たちも最初からノリがいい。知ってるってことは強みだ。
いよいよ、ギニアのドラマー・カラモコさんが登場。その刻むリズムは迫力いっぱい。激しく力強く難解なリズムをこともなげに打ち出す。さらにダンサー兼ドラマー・セクバさんがコミカルな動きで観客を誘い出す。もう、こうなっちゃ、我慢できないよ。部員たち次々に引っ張り出されては、へんてこなダンスを披露する。さらには合唱?リーダーの歌った歌詞を繰り返すってパターンだけど、当然なに言ってるかわからない。だから、らららーとかあああーとか適当に調子を合わせる。このいい加減さがとてもいい。要するにダンスも歌も型があっても決まりがない。本当はあんのかもしれないけど、メンバーたちはそんなことより踊ること、声を出すこと、楽しむこと優先で誘ってくる。アフリカの音楽は、じっくり聴くってもんじゃない。観客も一緒に参加して盛り上げていくものなんだってことがよくわかった。
て、ことで、演奏空間は置農演劇部と若い人たちで埋め尽くされる。お年寄りはステージ椅子席でにこやかに見守るって形ができてしまった。なんか、置農生ばっかりノリノリで楽しんでていいのか?って時々気になったけど、彼らが夢中で踊り狂うから、コンサートも盛り上がっているわけで、これはこれで正解なんだって思うことにした。
ぶっ通しの2時間。踊り続けた2時間。今日の収穫は、これまでどっちかって言うと控えめだった3年女子が、他をさしおいてしゃしゃり出たことだ。彼女たちの中で、何かの扉が開かれたんだ。それは、自信のなさだったかもしれない。羞恥心だったかもしれない。過剰な自意識だったかもしれない。旧来の道徳観だったかもしれない。ともかく、彼女たちを押しとどめていた何かがアフリカのリズムに誘われて外されたんだと思う。こうやって人間は心を開いて行くだと思う。こんな貴重な経験を多くの高校生に分けて上げたいって思う。だから、置農演劇部に入りなよ、ってここで言ってもなんの効果もないか。
フィナーレは全員で、みんながいるから問題ないさ、と日本語で歌い、リズム遊びで盛り上がって終わった。LANLAYAはギニアの言葉で信頼!