ステージおきたま

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おもしぇくねえもんはおもしぇくねえなだ!高校演劇山形県大会雑感②

2008-11-26 22:33:46 | 演劇

 今回の審査員の先生方で、も一つ関心したこと、それは、実に優しい、思いやりのある、慈悲深い講評をしてくれたってことだ。凄い!どこの学校についても丁寧に見て、きめ細やかに批評してくれた。冷たく投げやりな僕などからは、なるほど、そういう見方もあったんだぁ、って気づかされることしきりだった。高校生が一所懸命作った舞台だもの、ああいう温かい目で見なくちゃだめだよね。

 と、わかってはいるんだけど、駄目なんだよ、僕は!どうしてこうも冷ややかなんだろう?なんだってああも意地悪なんだろう?性格がひねくれてんだよな。根性がねじ曲がってんだよ。まあ、育ちの悪さってことなんだと思う。だから、これから書く言いたい放題も、あんまり気にしないでほしい。どこぞの頑固爺が、ぶつくさ言ってるよ、って軽く聞き流してほしい。でも、くそっ!何言ってやがる!って奮発の導火線にでもしてくれれば、嬉しいけれどね。

 で、今回の県大会について言うと、おもしぇくねぇ!つまらねぇぞ!って舞台が多かった。いや、面白かったのももちろんあったよ、例えば新北の『ナユタ』とか、米中央の『おばけ』とか、山東の『蟹工船』とか。じゃ、何がおもしぇくねぇって感じたか。それはそれぞれ作品によって違う。相変わらず女生徒のきんきん早口言葉は少なくなかったし、装置もっと手いれろよ!って学校もあった。でも、一番はやっぱ台本だよね。

 どこがどうって書くと波風も立つから、一般的な作劇法の話しとして振り返ってみたい。って言っても、これは結局僕の好みってことだから、ほんと、気にせず、へっ、つまらねえこと言ってやがるって読み飛ばしてもらえばそれでいい。

 まず、ストーリーだ。観客を一時間引っ張り通せる筋立てってもんが何より必要なんじゃないだろうか。次どうなるの?それから?ふむふむ、それで?これが欲しいんだよな、僕としては。ありきたりなのはダメ。眠くなるようなのはダメ。たとえそのテーマが普遍的であったとしても、題材やエピソードがどっかで聞いたことあるようなものは、もうそれだけで拍子抜けしちまう。やっぱり、オリジナリティがあってインパクトのあるもの、それ見つけなくちゃ。

 次に大切にしたいのは、演出や台本における工夫だ。手練手管って言ってもいいし、外連って言ってもいい。見る者をあっと言わせる何か、うとうとしかかった奴の横っ面張り飛ばすような何かが欲しいんだよ。自分のこと言っておこがましいけど、置農の『Let's Dance』にはいくつかそういった仕掛けを仕込んであったはずだ。かのスゥイングガールズでお馴染みのSING SING SINGを踊っちまうとか、ラストシーンで体育館の壁が突如取っ払われて星空が広がるとか、台本について言えば、里帰りしてた日系二世と軍国少女の組み合わせなんかだ。これでどうだ?って結構苦心惨憺してんだよ。そういった観客の眠気を覚ます工夫が必要なんだと思う。

 あと、見る者が引いちゃうようなのはダメだよな。やりすぎ、暗すぎ、動かなすぎ、どれもだめだと思う。この点、最初の5分は絶対大事だよ。かの蜷川大先生も言ってる通り、オープニングの5分でいかに観客の心をつかむか、ここが勝負だと思う。とは言うものの、置農の舞台も最初の5分作りきれていないんだ。つまらねえよ!これが東北に向けての一つの課題だね。

 最後にやっぱ、手間暇かけるってことかな。装置にしても衣装にしてもメイクにしても道具にしても、おっ、頑張ってんじゃん!ってさりげなく主張するものが欲しいと思うんだよ。ちなみに、置農の手間暇のいくつか。もんぺもらん子先生の衣装も手作り、長いす、蓄音機、昔風ラジオ、すべて手作り、パネルは全部で14枚。吊りものパーツも合わせると21枚ってちょっと記録じゃないか。音も古いラジオの音のように加工してあるからね。もっとも、この点は、今大会では、楯岡の松、山西の大木、新北の仏壇と台所シンク、東根の山小屋風サーバー室、米中央の移動型装置、日大のSEなど、力作が多かった。

 などなどといっぱし風に、偉そうな口きいてきて、ちょっと恥ずかしくなってきた。ここらでもうやめておこう。こういうひねくれた見方しかできない僕だから、まず審査員に呼ばれるってことはあり得ないだろうね。それはこっちも願ったりだ。だって、つまらねえ芝居見てると寝ちまうもんね、って、おっとまた口がすべった。

 

コメント (4)
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