タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

卵管はイソギンチャク

2012-07-31 20:42:19 | 婦人科
今日は不妊検査の1つ、卵管の検査についてお話しましょう。

卵管って、イメージできますか?
精子は膣から入って、子宮の頚管という管を上って、
次に左右に2カ所ある子宮から卵管への入口、卵管角(らんかんかく)を上ります。
そこの辺は細いので、卵管狭部と言われます。
これがだんだん太くなっていき、卵管膨大部というところまでたどり着くと、
やっとそこに卵が待っているのです。
卵細胞は、さらにその先のイソギンチャクのような卵管采(らんかんさい)から
吸い上げられてきています。

さて、たったこれだけの精子と卵子の出逢いの場なのですが、
先ほどの卵管狭部が詰まっていることがよくあるのです。
それを検査するのが、卵管の検査なのです。
詰まる原因は流産や中絶手術、STDが多いでしょう。
大きく分けて、造影検査というのと、通気検査というのがあります。

まず卵管造影検査はとても大掛かりですよ。
放射線室まで行ってから、内診台でのような格好をとり、
子宮に金属の管を入れて、造影剤という液体を流すのです。
これをレントゲン装置で連続的に骨盤の中の造影剤の流れを観察するのです。
そしてチャンスの時に写真を撮ります。そして数時間後にももう1枚、
というのが一般的でしょうか。
何が分かるのかと言えば、ちゃんと卵管が通っているかと、
子宮の中の形を見るのと、
骨盤の中の卵管の癒着なんかを見たりします。
でもこれって、大きい病院でしかしないかもです。

診療所や不妊専門病院では、たいていは卵管通気テストというのをします。
タマル産でもこちらをします。
内診台で子宮に入れたチューブから炭酸ガスを通して、
卵管の通り具合をみます。
こちらは聴診器をお腹に当てて、直接卵管の動きを音で感じます。
プルプルプル、プハーという感じで、ガスが通っていくのがわかるのです。
よく通気テストは左右どちらが通っているか分かりにくいと言われますが、
聴診器だけでもけっこう分かるものです。
その通り具合を地震計のような器械で記録して、そのパターンで
癒着しているとか、閉塞しているかとか診るものなのです。

ついでに言うと、子宮に入れる管は普通は金属の管なのですが、
これはけっこう痛いので、タマル産ではゴムの管を使っています。
検査の費用は100点、つまり1000円、ってことは自己負担300円なのに、
ゴム管は2500円もするのが玉にきずかな。もちろん器械本体も何十万円です。
いつもコストの話ですが、やればやるほど赤字になることもあるのが医療ですから。
でも痛くない方がいいですよね。

この検査をした日は夜に肩が張ったりします。
お腹の中に炭酸ガスを入れただけなのに、お腹が張るのは不思議でしょう?
これも説明が難しいのですが、放散痛(ほうさんつう)というのです。
肩の神経をお腹の神経が脊髄の同じ所に入って行くので、
違う場所の痛みだと感じてしますのです。
もっとも肩が張れば、卵管が通っていたという証拠にもなるので重要な所見です。

ちょっと不妊の検査の予行演習になりましたか?
不妊の検査は言うほど怖いものでもなく、コストもリーズナブルですので、
悩まれている方は早く受診をされるべきです。
手遅れにならないうちに。

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先週は久しぶりの子たちが多く来たので、写真を撮っておきました。
みんなお母さんと似ているでしょう?