タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

手足口病やRSウィルスに注意してください

2017-07-31 21:17:54 | つれづれ

最近退院したばかりの赤ちゃんのお父さんたちです。
お産にも、お父さんの活躍が欠かせませんね。

この土日は、天気が悪かったせいか、一度に3人も赤ちゃんが生まれましたよ。
やはり難産になるのは、へその緒が首に巻いている赤ちゃんたちでしたよ。
妊婦さんには、事前に巻いていることをお教えしているのです。
その方が心の準備ができますからね。
ですが他院では教えてもらわないでしょう?
それほど重要視されていないのかもしれませんね。

最近のニュースと言えば、手足口病やRSウィルスが流行していることでしょうか。
RSウィルスは秋から冬に流行するカゼですが、今年は夏から流行しているようです。
どちらも子供がなる病気ですが、先日はお父さんから妊婦さんに感染したかな、というカップルも居られましたからね。
気をつけてくださいね。

それでは今日のお話です。
スーパーに買い物に行けば、どうしても10%割引だとか、半額シールに弱いのですよ。
これは医療の世界でも有るのですよ。
これまでの薬は1日1回の注射だったのですが、
今度の薬は1ヶ月に1回の注射で良いのですよ、と話すと、
患者さんは受け入れが良くのるのだそうです。
これを、アンカリング効果と呼ぶのです。
なるほどね。

子宮内膜症の薬には、最近では低容量ピルを処方することが多くなってきましたが、
以前は、とくに40代の女性では、GnRHアゴニストという薬を処方することが多かったのです。
今でも子宮内膜症に子宮筋腫を合併するような場合では、よく使用するのですよ。
それは低容量ピルでは保険適応が無いからです。
GnRHアゴニストは商品名で言うと、フセットとかブセレキュアとか言うのですが、メーカーによっていろんな呼び名です。
これは1日に3度、鼻に噴霧する薬なのですよ、めずらしいでしょ?

他にも月に1度だけ注射するというものも有ります。
ですが最近、タマル産では、常時在庫するのはやめました。
理由は噴霧する薬より注射する薬の方が倍以上高いからです。
やはり1日3回より1ヶ月に1回の方が常に喜ばれるということでもないようです。
そこには価格、という要素も加わりそうですね。

ついでに言っておけば、タマル産は院内処方です。
最近ではどこの医院も院外処方でしょ?
院外処方は損をしないのですが、院内処方は期限切れの薬は処分したり、
2年ごとに値下がっていくので、仕入れた時より処方時の方が安くなって逆ザヤになったりするのです。
それでも産婦人科のように、緊急を要する薬が多いところでは、
院外処方にするということはできませんからね。
それで、あまり使わない薬は在庫しなくなるわけなのですよ。

まるでソドムとゴモラのようです

2017-07-28 21:28:51 | つれづれ



東京都江戸川区の康成(こうせい)くん、6月20日生まれ。
「優しく、元気な子に。そして何にでもチャレンジしてください。
不安でいっぱいだった気持ちが、最後は前向きになれました。
妊娠中は体重管理で制限していたのもあり、お料理にさらに感動しました。」

初めてのお産は、里帰りでしたね。
すっかり江戸っ子ですね。
赤ちゃんの名前も、お父さんから一字をもらっているのですよ。
外国で言えば、ジュニアという感じかな。

外国人にとれば、「ソドムとゴモラ」というお話は誰でも知っています。
日本人で「夕鶴」のお話を知らない人はないですものね。
ソドムとゴモラというのは、酒池肉林のお話ですよ。

聖書の創世記に出て来るのは、その昔、フリーセックスで退廃したソドムとゴモラという町に、
火の柱が落ちて、滅ぼされたというお話です。
せっかく信仰深いロトは事前に逃されていたのですが、
その妻は神様の指示に従わずに振り返ってしまったために、石に変えられてしまうのですが。

現在では、科学的、あるいは考古学的には、紀元前3123年6月29日の小惑星の衝突だと言われているのです。
ですがそれは事実を表わしただけで、町は良く無い行いによって、放っておいても滅びたのでしょう。

先日も若い女性の飛び込み出産が有って、
健診も何もせずにいきなりのお産です。
それでも赤ちゃんは無事に生まれたのは良いのですが、
胎盤が剥がれないのですよ。
癒着胎盤という病気ですね。
これではまた2人目の妊娠が心配になります。

癒着胎盤は性感染症で起こる病気です。
あるいは流産や中絶の後でも起こりやすいです。
最近続けて経験したのは、他院で子宮の奥の体部のポリープだと言って、
そうは手術を受けられた女性たちも居られました。

性感染症が有ると、卵管が詰まってしまうので、よく不妊症になられます。
仮に妊娠しても、子宮外妊娠になることもよく有りますよ。
両側の卵管で子宮外妊娠を繰り返し、
結局、タマル産で体外受精をしてあげて妊娠されたことも有ります。
ただし現在では体外受精はしていませんけれどね。

最近、梅毒がものすごい勢いで増えているのは、前にお話しましたね。
結婚される年齢が上がり、結婚前に付き合うパートナーが増え、
性感染症になる機会が増えているからですね。
あるいは、結婚してもすぐに離婚してしまうので、
子供が居てもまたすぐに付き合ってしまうのです。
子供への虐待や性感染症が増えるのは当然ですね。

またソドムとゴモラのような事態にならなければ良いのですが。
それともまた起こらないと、分からないのでしょうか?
メランコリアという映画を一度観られてはいかがでしょう。
カンヌ国際映画祭で、キルスティン・ ダンストが主演女優賞を受賞していますから。
監督はラース・フォン・トリアーです。
地球への小惑星衝突の日のできごとですよ。
映画通としてはラース監督のダンサーインザダークもおすすめです。
こちらは、現実とは理不尽なものだという話です。

乳がんの新しい検査

2017-07-26 21:12:33 | 婦人科


宝塚市山手台の柚(ゆず)ちゃん、6月19日生まれ。
「強く、芯の通った子になってください。
お産は、短い時間で良かったです。
上の子が来てもゆっくりできて、天国のようでした。」

こども2人がたいへんお世話になりました、と結んでありました。
3人目はもうちょっと先かもとも。
楽しいお母さんでしたよ。
他にも、他の方のお産の時の家族写真もたまってきたので載せてみますね。

宝塚からの里帰り出産でしたよ。
宝塚の平野マタニティクリニックさんからですね。
同じ宝塚のサンタクルスザタカラヅカも、どちらも私の後輩です。
大学のワンゲルの後輩で、山登りもしたりしたものです。

けっこう医師の世界って、狭くて、それが良くもあり、悪くもありというところでしょうね。
大学ではもう1つ、端艇部にも入っていたのですが、その先輩の産婦人科の先生が、
最近、近くに産婦人科ができてたいへんだよ、というコールです。
それもクラブの後輩だと言うのですからね。

薬局などは、隣の薬局との距離がいくらと決まっているのですよ。
ですが病院や診療所には、そんな決まりはないのです。
しかも建物は引っ越すということもできませんから、新しい方が何かと集客効果が有りますよね。

今では医療職は人気で、将来に安泰だと思われていますが、
「清貧」の覚悟が無いと、選択するべきではありませんからね。

長い前置きでした。
一昨日の読売新聞のニュースからです。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20170724-OYT1T50007.html
国立がんセンターからの報告で、
血液1滴で、13種類のがんが分かりますというもの。
ただし3年後をめどに、というニュースでした。

マイクロRNA検査というのですが、がんそのものが放出する物質を検査するのですよ。
ですから乳がんなら前ガン状態を含めて、97%が検出できたというものです。
ですが、これって、以前からタマル産ではすでに開始していますからね。
3年も待たなくても、明日クリニックを受診してもらってもできますからね。
明日は休診日でしたが。
このマイクロRNA検査(ミアテスト)は、20代の女性でも、妊娠中でも受けることができますよ。
http://www.tamar.jp/nyuugan

厚生省は、この検査を将来的に人間ドックに組み込みたいようですね。
もちろん早期発見、早期治療のためにですよ。

最近、乳がんに関しては、おもしろいニュースも有ったので、まだ未確認ですが噂話をしておきましょう。
今までのマンモグラフフィーは、40歳以上が適応ですが、日本人は乳腺が詰まっていて硬いので、
あまりうまく撮れないよ、というものなのです。
おまけに2枚の板で両方向に挟んで撮るのが痛いらしいですね。

それで新しく開発中の乳腺用のCTでは、乳房を挟むのではなくて、
吸引カップで吸引して、優しく引っ張るのだそうです。
しかも2方向からだけでなく、CTの方を回転させて、360度から撮って、立体的に再現するようです。
これは日本発ですが、おもしろくなりそうですね。
発売されたら買ってみましょうか?
でも受けてくださる方は多いでしょうか?そこが問題ですね。

3ドルのお産のセット

2017-07-24 21:20:40 | ウォーターベッドバース
小野市の天嶺(たかね)くん、6月19日生まれ。
「高嶺の花のように、考えるだけでなく、自分自身で行動してください。
お産は、今までで一番の痛みでした。
優しく、何でも教えてもらえました。」

高嶺の花、って、ひょっとしてマンガの主人公ですか?
もう若い人には付いていけませんよ。

昨日は日曜日でしたが、夜中から次の夜中までに、3人も赤ちゃんが生まれました。
3人のうち2人のお母さんは産後に弛緩出血を起こして、いろいろと処置をしましたよ。
産後に子宮の収縮が緩むと、出血が増えることがまれに有るのです。

輸血をするほど出血するということは、タマル産では年に1人も無いくらいですが、まれには有ります。
輸血をする場合は、大きな病院に救急車で、医師同乗で、転院していただくのですよ。

出血を抑えるためには、まずは子宮収縮剤の点滴をします。
点滴をすると尿が溜まるので、溜まると子宮の収縮には逆効果となるので、
膀胱に管を入れ、トイレに行かなくても良いようにします。
そして3番目は、物理的にお腹の上から子宮を圧迫するのですよ。
これがもっとも有効だったりします。

昨日は私も夜中に2時間近くも子宮を圧迫しました。それでちょっとお疲れですよ。
子宮を押している間、産婦さんとおしゃべりです。
眠らせないためと、意識が遠のかないか反応を見る意味も有ります。

「放っておいたら出血が増えて、生命にかかわるのですよ。」
「え〜?」
何せ、お産は初めての経験ですから、いろんなことをされても戸惑うことばかりでしょう。

話は変わりますが、このブログを読まれる6分ほどの間に、
世界では3人の産婦さんがお産で亡くなられているのです。
1人はこの弛緩出血などのため、
1人は10代の低年齢での妊娠のため、
1人はお産の環境が不衛生なため、へその緒を切るキットが無いためと言われます。

詳しくはですね、次の動画を見られると分かりますよ。
ただし英語ですが、字幕が有ります。
それに丁寧な英語なので、英語の聞き取りの勉強にもなりますよ。いろんなテーマも興味を引きます。
https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170724-00002731-ted

それで、へその緒を切るセットですが、
今までは1セット2ドルほどで作成されて途上国に配られていたようなのですが、
これが不評だったと言うのです。
それでズバイダ・バイさんが揃えたのが、
吸水シートと、清潔な使い捨てのメスの歯、へその緒を止めるクリップ、それに手袋と石鹸です。
1セット3ドルと少し高くなりましたが、という解説です。
この女性、自分の母を自分のお産で亡くされたそうです。
自分も新生児期の感染症で長く治療を受けられた方のようですよ。

このキットを世界中の女性に配ることができたら良いでしょうね。
ですが使い方の教育も要りそうですね。

ところで、私のカミさんは3人目、4人目を自宅で産んでいます。
この時に私は、自宅出産用に、殆ど同じようなものでセットを組んでいました。
ですからズバイダ・バイさんよりずっと先に行っていましたね。
また自慢してしまいました。
さらには、会陰裂傷用の縫合セットも用意していましたけれどね。

実は、タマル産を開業した時にとてもこれが役に立ったのです。
というのも、タマル産の分娩室はLDRで、たいそうな分娩台は無いからです。
それにウォーターベッドの上で産んでいただくことが多いですしね。
だから、今でも、自分の経験をもとに組んだ分娩セットだけでお産に挑んでいるのです。
よく、救急車の中にも同じようなセットが有りますし、
何度も救急車内で、分娩の準備をしたことも有りますが、
タマル産のものの方が優れていますよ。

ずうっとこれでやってきたのですが、
最近は、お産の時には点滴のルートを取るところが大きく変わりました。
予防的な処置ですからね。
本当は産婦さんを固定してしまうのでイヤなのですが、
最近の風潮からすれば致し方ないかと。

それで結局、タマル産では、クリニックの中で、自宅出産のようなことをしている、ということです。
ですが、最近、病院でも、病院の中に助産所を作ろうというのが、国の方針ですからね。
残念ながらそうは簡単に行かないでしょうけれどね。
それは、助産師が責任を負える体制にはなっていないからです。
だいたい8時間毎にコロコロ変わっていては、お産の進み方に誰も責任を持てないでしょうしね。




医師応援のおしらせ

2017-07-21 21:24:32 | つれづれ
丹波市山南町の宗祐(そうすけ)くん、6月15日生まれ。
「お父さんの名から1字、もらいました。
お産は安産だったと思います。
お料理はいろいろすごかったです。」

健診には、いつもお姉ちゃんが付いて来てきていましたね。

以前からタマル産では、ときどき非常勤の先生に手伝ってもらっています。
本当は私1人でもできるのですが、というか、非常勤の先生が居られても必ず私もバックアップしていますよ。
ところでこの秋は、お産のラッシュなのです。
そこで、来週から毎週、神戸大学から応援に来ていただくことになりましたよ。
この夏から秋だけになるか、その先もずっとかは、まだ未定なのですけれど、
とりあえず忙しい間だけでもです。

タマル産では妊娠10ヶ月の健診が火曜日なので、
予定日超過の妊婦さんや、骨盤位のお母さんなど、リスクの高い妊婦さんは、
火曜日から誘発して、水曜日に産んでもらうことが多いのです。
平日の昼間の方が、他院も輸血できる体制が整っていますし、
人手が多いので、安全性が高いからです。

もちろんタマル産でも、火曜日と水曜日はとくに人員を多めにシフトしているのです。
今度から医師も、火曜日、水曜日は2人体制にして、より安全性を高めるというわけです。
水曜日は予定の帝王切開もしている曜日なのです。
そうは言っても、年に10件ほどで、月に1件ほどなのです。
緊急の帝王切開は、年間でも、わずか数件なのですよ。
大き病院では帝王切開率が高いですから、
タマル産と同じ規模であれば、月に5件は有るところでしょうが。
それで手術も手伝ってもらうことにしますよ。
もうすでに1人のお母さんでは、一緒に手術して、息もピッタリですからね。

最近は不妊症の治療でも、高度不妊治療は他院とタッグを組んでいますしね。
大阪の扇町ARTレディースクリニックの朝倉院長や、
神戸の英ウィメンズクリニックの塩谷院長、
京都では足立病院の畑山院長です。
どの院長も、昔から一緒に仕事をしてきた仲ですからね。しかも同じ頃に開業したのです。

最近の無痛分娩の報道を見ると、無責任な報道がとても多いのです。
無痛分娩の6割は診療所だから、多すぎるとかね。
だって、お産の5割は診療所なのだから、そんなものでしょ。

大きな病院は人手が多いから安全、という意見も有りますが、
実際は、たとえ医師が複数働いている病院だって、夜間は産婦人科医が0人ということも多いですよ。
夜は家で待機して、呼ばれたら出動するのです。
それに対して診療所なら、夜間は必ず1人は居るのですからね。
私が以前勤務していた兵庫県立病院でも、夜間の産婦人科の医師は0人でしたからね。

日本のお産の半分は診療所が扱っていて、しかもとても少ない医師数で頑張っており、
それで支えてきたのですよ。
もし、診療所が全部無くなれば、病院だけになり、医師はこれまでの何倍も必要になりますよ。
ですが、そんなことは不可能なのです。
だから診療所を潰そうなどと考えてはいけないのですよ。
そう、安全にお産できなくなるからです。

だいたい、お産で生命を落とすのは、診療所ではなくて、多くは病院なのですからね。
もちろん診療所では危険になれば、大病院に搬送するからなのですが、
それでも大病院でも救えないものは救えないのです。
もしお産のすべてが大病院に集中したとしても、母体死亡率は減らないのでしょう。

みなさん、うそっぱちだらけの報道に、騙されてはいけませんよ。
ですが、こう毎日、にせの報道を流されてはね。
医療不信や、政治不信を助長するばかりですね。
外来で診る患者さんも、初めから疑いの目で見る患者さんが多くなりましたよ。
それで、セカンドオピニオンだとか、転院が流行るのです。

今日も1人、不妊外来の患者さんが治療の途中で転院されました。
1回目の治療で、化学的妊娠まで行ったところなのですが。
もうちょっと頑張れば、保存的な治療で妊娠されたでしょうに、残念ですよ。
お互い信頼し合った方が、結果が良くなるということは確かです。