タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

これからは助産所で産むのだそうです

2020-02-28 21:18:43 | つれづれ
天皇誕生日を挟んだ3連休はいかがお過ごしでしたか。
タマル産では3人の赤ちゃんが生まれましたよ。

私はその間隙を縫って、京都丹波に有る丹波ワインハウスに工場見学に行ってきたのです。
ここから車で40分ほどの距離です。
義母が住んでいるので、よくその前は通るのですが、入ってみたのは初めてなのです。
この時期、ブドウは休眠期なのですが、ちゃんと畑から工場内部まで無料で案内してもらえました。
時期外れですから参加者は4組だけです。
本気の農家の若者らしい3人組みに、初老のおしゃれなカップル、外国人のバイカー3人組みと、
私たち夫婦ですよ。

8ヘクタールほどのブドウ畑を2人だけで世話をされているのだそうです。
工場の中は発酵させて、ビンに詰める作業がされているのですが、
こちらもイタリア留学もしていたという女子2人が働いているのだそう。
意外と少人数で作業されているのは、世界と価格競争で勝ち残るためのようです。

帰りにノンアルコールの発泡ワインをたくさん買ってきました。
若い頃にイタリアでの学会で発表してきたことが有るのですが、
その時にレストランの食事とともにに出てきた赤ワインは、
大きな5リットルくらいのビンに入っていて、お婆さんが給餌されていたので、
おそらく自家製だったのでしょうね。
その素朴な味は今でも懐かしいのです。

ちょっとブドウ作りには興味が有って、
赤ちゃんが少なくなって産婦人科医をやめたら、農家に転向するかもしれませんよ。

残念ながら今週に丹波篠山市から今後の説明が有って、
ささやま医療センターさんはお産はやはり中止されるのだけれど、
これまで通り毎年1億2千万の助成をしていくことに決定されたようです。
市民税を払っている約3万人で割ると、1人当たり3万円徴収されている計算です。

それだけではなく、助産所を作るのだそうですよ。
そこで分娩もするのだそうです。
助産師を10人以上雇って、医師は雇わずにするというのだから、
まるで昭和初期のようですね。
しかも費用は年間1億円は超えるでしょうから、さらに3万円で、
私たち市民は毎年、お産するかしないか分からない事業に6万円もの税金を使わされるということです。
それで良いのでしょうかねえ。
来週の市議会で決定されるそうですが、反対する人は居ないのでしょうか。

それでタマル産がお産を頑張っているでしょう、と何度も言っているのですが、
もちろん市からの助成はまったく考えていないそうです。
これだけ少子化なのですから、産婦人科ではもはや食べていけず、
そこで本気でブドウ作りも考えているというわけです。
少しばかり大げさだったでしょうか。


新しいALSO教育ブログラムとは

2020-02-21 21:34:08 | 産科
丹波篠山マラソンも中止が決まったようです。
私が篠山に引越してきたのも、学生時代にマラソンに参加したのがきっかけなのですけれどね。

さてタマル産では、そんな非常事態でも、産科の非常事態に備えているのです。
前の土日には、当院の助産師がALSO講習会に参加してきたのです。
2日間に渡っての兵庫では神戸大学主宰による講義と実習です。
会の主催者は産婦人科学会でも助産師学会でもない、ただのNPO法人ですよ。
ところが全国的にこの勉強会に参加する施設が増えているのです。
それがなぜかというお話です。

私が京大病院で研修をした年には8人の研修医が居ました。
うち2人だけが女医で、すでに女医1人と男性医1人は他界しています。
ところが今年の入局者も同じく8人だったようですが、全員女医さんです。
そう、時代は変わっているのですね。

最近、医療の世界でも長時間労働が禁止される方向に有りますね。
産婦人科医とコンビニの経営者は寿命が短いのだそうですよ。
なってはいけない職業の代表です。
女医さんでは当直回数も少なくなりますし、1人あたりの労働時間も短くなるし、
産休や育休も必要となり、現場は混乱しているのが実情です。

そこで考え出されたのが、チーム医療です。
もともとアメリカなどはチーム医療が先行していたので、普通分娩だけでなく、異常分娩にも助産師が関わっていけるように。
だって今では助産師になるのに6年かかりますよ。
さらに今度はアドバンス助産師という制度ができて、2年ごとに更新で、免許を取ってからもさらに勉強することが増えたのです。
助産師さん自体、学校も増えていますからね、赤ちゃんは減っているのに。

結局、赤ちゃんを産むためには、これからは集約化された大病院で産むことになりそうですね。
そしてそこではチーム医療と称して、助産師主体のお産が繰り広げられるようです。
いわゆる院内助産ですね。

だから私がどうのこうの言うことではないのですが、
今までならお産の半分は熟練した医師の居る診療所で行われてきたのです。
ですが今ではお産がとてもハイリスクなものと解されるようになってきて、
NICUの有る病院でしか産みたくないという流れになっていくのでしょうね。

そこで始まったのが、医師会主宰でも助産師会主宰でもない、
アメリカ方式のALSO教育プログラムです。
メリットも有るのですがデメリットも有り、アメリカの教科書をそのまま訳しているので、
使えない薬も有ったり、日本産婦人科学会のガイドラインにも反するような内容も有るところでしょうか。

ですがさっそくタマル産ではこの内容を取り入れて、例えば流産の治療もアメリカ式にしましたよ。
日本式では、流産と言えば、入院して子宮の中を吸引して掃除するというやり方です。
アメリカ式では、手術をせずに薬を使って月経のように流してしまうやり方です。
出血は多めになりますが、入院をせずに済むし、子宮を傷つけるリスクも減りますよ。
デメリットは、中絶に使う人が現れることでしょうか。
だから日本では公的には認められていないのですが、ALSOはすでに主要な手技にしてしまったのです。

ほかにもこれから順次、ご紹介していきましょう。
これが参加者ですよ。ですが次回の勉強会は、コロナウィルスのせいで中止になるようですが。



HPV予防接種を受けた中学生のその後

2020-02-14 21:44:33 | 婦人科
今日はバレンタインデーでしたか。
毎年、職員一同から頂くのですが、今年で卒業宣言をしましたからね。
甘いものを控えるように皆さんに言っているのに、私だけ食べてもいけません。

さて、いろいろ産婦人科のニュースも有るのですが、今はコロナウィルスのことばかり気になるでしょう。
もとはコウモリから抽出されたウイルスですが、人為的に改変されたようですね。
カナダで権威だった中国人研究者で、カナダを追放されて武漢で研究していたようです。
中国では湖北省や遼寧省が既に都市封鎖されたようです。
ワクチンが開発されていない現状では、対症療法しか有りませんからね。
マスクが無いなどとパニックになっていますが、むしろ食糧などはどうなっているのでしょうか。

医療者の立場としては、インフルエンザ対策に準じた方法を報道すべきなのでしょうが、
すでに中国では医療者も大量に感染しているようですし、私たちももっと根本的な準備が必要です。
以前、篠山にも末日聖徒イエスキリスト教会の宣教師が来られていたのですが、
彼らの教えでは、常に1年分の食糧を保存しているのだそうですよ。
感染症だけではありません、地震などの災害にも役に立ちますからね。

丹波篠山のように、原発事故に備えてヨウ素剤を蓄えるなどというのは、私にはナンセンスにしか思えませんけれど。

まあ結局ウィルスは予防接種しか根本的な対策は無いわけです。
例えば子宮頸癌の前段階の子宮頸部異形成にしても、原因はヒトパピローマウィルスなのですから、
中学生時代に予防接種を打っておけば、2/3程度は防げるはずです。
残り1/3はタイプが違うので、現在のところは防げませんよ。

10年ほど前になりましたか、中学生の女子に予防接種をしましたね。
今は積極的な勧奨の連絡は来なくなっていますけれど。
最近、タマル産を来院した中で、子宮頸部異形成の20代の女性が2人、居られたのですよ。
この2人は特別で、中学生の時に予防接種を受けたのだとか。
にも関わらず、子宮頸部異形成になったのです。

そこで次の検査として、ヒトパピローマウィルスの16型と18型、それに悪さをするあと12タイプのウィルスの検査をしたのですが、いずれも陰性だったのです。
この2人に関してはとくに問題となる16型と18型は予防できたのですね。
というか、当時の予防接種はこの2つのウィルスしか予防できなかったのです。
その後に4つのタイプを予防できるものが出だして、現在もその予防接種です。
海外ではさらにたくさんのタイプを予防できるものが使われているようですよ。

ではこの子たちは今後、どういう経過を辿るでしょうか。
まだ歴史が浅いのでよく分かっていないのです。
ですが、とりあえずは試験切除や円錐切除術は必要なさそうです。

マスコミの空気も変わってきていて、中学生に予防接種を再開する動きは有るのです。
だって、海外では一般的なものなのですから。
今回、日本産婦人科学会は国に、男子中学生にも予防接種を受けるように要望しました。
この話は私が以前から、このブログで書き続けていたのですが、
集団として予防するには男子も接種しなければならないのです。

むかし風疹の予防接種は、やはり女子中学生だけが受けていた時代が有ります。
今頃になって、中年男性に風疹の予防接種を受けるように勧めているのですが、
今更受ける人は居ないのです。
風疹になってはいけないのは妊婦さんだけなのですが、
やはり集団としての感染を防ぐためには、男子も女子も受けなければならないのですよね。
私の言ってきたことが、ようやく認められたようで、嬉しいですね。
だからコロナウィルスの話も、信じてもらえると嬉しいですよ。

今月、個別にヒトパピローマウィルスの予防接種を受けたいという中学生が申込されました。
今も無料で受けられるのですよ。
ただし個人では良くても、集団にはあまりメリットはないのですね。

NIPT検査は年齢に関係なく受けられます

2020-02-07 21:36:01 | 産科
昨日は新型肺炎も懸念される中、神戸のアンパンマンランドに行ってきました。
タマル産で生まれた孫も今年2歳になるので、先日お話したようにスローライフとする予定です。
今までは子育てを楽しむ余裕も無かったのでね。

神戸の町は外国人が消えてしまい、閑散としていましたよ。
それでもアンパンランドには、若い親子がたくさん来ておられました。
高田純次の「じゅん散歩」の取材班にもつかまってしまいましたよ。

都会ではこんなところに若い人たちが集まっているのですね。
丹波篠山でも、若い人たちが集まれる場所が有れば良いですね。
もっとも、お金の掛からない、市の制度の方が好まれるのでしょうけれど。

さて、今日はアドベンチスト病院からの案内をお知らせしておきましょう。

兵庫県では、新型出生前診断、いわゆるNIPT(ニプト)検査を受けたければ、
神戸大学、兵庫医大、関西労災病院、神戸アドベンチスト病院、
そして私の居た県立尼崎医療センターの5箇所で受けられます。
済生会病院も受けられるはずですが、一覧表には記載が有りませんね。

以前は35歳以上だとか、上の子がダウン症だったりすると35歳未満でも、受けても良いということになっていました。
今は、年齢に関係なく、誰でも希望すればできるようになっているのですよ。
詳しくは神戸アドベンチスト病院のNIPT検査で調べてください。
用意するのはタマル産からの紹介状で、
申し込み自体は自分でアドベンチスト病院のホームページから申し込むことになっています。
リンクを載せておきましょう。
https://kahns-nipt.resv.jp/

費用は、値下げされて、181,500円だそうです。
実施する時期は、妊娠10週から15週頃で、
スクリーニング検査が陽性となれば、確定診断の羊水検査が追加で必要になり、
137,500円別途かかります。

これだけ書きましたが、決して検査を受けることをオススメしているわけではありませんよ。
自分たち夫婦で決めてください。
検査が有ることを知らなかった、とはならないようにお願いします。
今のところタマル産を受診中の方で希望するカップルは殆ど居られませんからね。
希望しない方がむしろ普通です。

ただしね、裁判所の判例では、35歳以上の妊婦さんが、ダウン症の赤ちゃんを産んで、
産婦人科を訴えたことが有るのです、そんな検査の説明は受けていないと。
そしてこの訴えが認められて、産婦人科は賠償金を支払わされたのですよね。
おかしな話でしょ?
ですがこれが時代の流れなのです。

社会から障害の有る人を葬ろうとする裁判所の判断は間違っていますよね。