タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

甘い薬は母の味

2016-01-29 21:18:11 | 婦人科
写真は、先日生まれた赤ちゃんのお姉ちゃんとお父さんです。
お姉ちゃんも、赤ちゃんが生まれるところを見るのは、良いと思うのですよ。
案外、大きくなっても覚えているのもですからね。
その方が兄弟姉妹の仲が良くなるでしょうね。

さて、今日は薬のサンプルが送られてきました。
正確には薬ではなくて、薬を包むオブラートのようなものです。
実際には、ゼリー状のものなのですよ。
錠剤やカプセル、漢方薬や子供用の粉薬なんかを、ゼリーでくるんで飲み込んでしまうためのものです。
あまりメーカー名を出すのも何なので、調べてみてください。

私も漢方薬で試してみましたが、まあ何とか飲み込めましたよ。
でもちょっと苦いかな。
喉には引っかかりにくいので、エイッと気合いを入れて飲む必要はなさそうです。

篠山のクリニックで、最も漢方薬の処方をしているのは、タマル産だと納品業者さんから聞いたことが有ります。
ただし病院は除いてですが。
内科もそうですが、婦人科が最も良い適応なのでしょう。

月経が不順だとか、更年期で調子が悪くなっただとか、
つわりがひどいとか、不妊症で精子に元気がないだとか、
子宮頸管粘液の分泌が少ないとか、いろんな場合に、まず漢方薬を進めてみるのです。
ホルモン剤より副作用が少ない、というのもありますよ。

ところが、漢方薬は粉薬なので飲めない、と言う女性が結構居られるのです。
そんな時はお湯に溶かしたり、オブラートで包んで飲んでください、と指導するのですが、
そんな時邪魔くさいことまでしてもらえることは少ないようですよ。
漢方でも、丸薬になっているものも有りますから、タマル産には無いのにリクエストされたり。

丸薬と言えば、正露丸なんかが有名でしょう?
婦人科でよく処方するものに、確かに丸薬も有るのですよ。
ただし全部では無いので、全面的に変えるのも躊躇しています。
しかもコスト高ですからね。

それで、この服薬補助ゼリーのコストを調べてみたら、
378円で10回分、1週間以内に、と書いてありますが、
節約すれば、1週間で21回分、安く買えば300円ほど、
4週間で1,200円ほどですか。
書いてある通りに飲めば、3,000円強ですけれど。

薬が喉を通らないお婆ちゃんや、
あるいは、若くても神経症の女性にも良いかもしれません。
そう言えば、小さい時に、母親にオブラートに薬を包んで飲ませてもらった記憶が有ります。
今の人はオブラートって、知っているのでしょうか。
だからやっぱり子供さんに飲ませてあげるのが、愛情を注ぐことになるのかもしれませんね。
子供用なら初めからシロップで良いわけかな。

田舎で不妊治療

2016-01-27 21:50:46 | 不妊症
篠山市味間南の天翔(あまと)くん、12月28日生まれ。
「みんなから愛され、幸せに、天に大きく翔んでください。
みなさん親身になっていただき、快適に過ごせました。」

若いお母さんですが、3人目だったのですよ。
みなさん、赤ちゃんを産む毎に、お母さんらしくなっていかれますね。

親の愛を知るには、やはり自分が親になってみなければ分からないものです。
夫婦の間の愛もそうですね。
兄弟姉妹の愛もそうです。1人っ子では、愛が育たないかもしれませんよ。

ネットでニュースを見るのは当たり前になっていますね。
ドイツの企業が精子の動きを活発にする、スパームボットという装置を開発したというニュースが有りました。
https://www.youtube.com/watch?v=Ww-x-VIFh-Q
これは一度見たら、忘れられないものになりそうです。
動きの悪い精子のシッポを介護してあげるような、ミクロの装着具ですよ。

精子の動きが悪いことによる不妊症は、頻度的には高いです。
こういう場合は、人工授精をしてあげるのです。
人工授精とは、精子を子宮の中に入れることを言います。

精子は膣内に射精された後、子宮の中を登っていかなければならないのです。
さらに卵管の中を登って、そこで待っている卵子まで辿り着かなくてはならないのですから。
子宮頸管粘液は、細菌が入ってこないように殺菌作用が有るために、
元気な精子しかここを通り抜けることはできないのです。

さらに卵子の壁(透明帯)をくぐり抜けて受精するためにも、
精子のシッポの回転による推進力は必要なのです。
これを手助けできたなら、もっと受精の確率が上がりそうですね。
まだヒトでの成績ではないようですが。

この初歩的な治療で妊娠しなければ、体外受精に進むことになります。
ただし体外受精の段取りをしていても、元気な精子が少なければ、顕微受精に回ることも有ります。
顕微受精とは、卵子1個に対して、1匹の精子を細い針やレーザーで透明帯を突き破って、
精子を卵子に注入する技法です。
これにも先ほどのスパームボットが使えそうですよ。

顕微受精は、スポイトを操作するのに技師の手腕が問われるところですが、
ここが改善されれば、より成功率が上がりそうですね。

お正月に、タマル産での不妊治療の成績を公開しましたように、
人工授精でも、けっこうのカップルが妊娠されるのです。
それでも場合によっては体外受精までおすすめすることも有ります。
まだまだ抵抗が有る方が多いようですが、不妊専門医がすすめる場合は、従った方がいいと思うのですよ。

それで神戸方面なら英ウィメンズクリニックさんに紹介することが多いです。
そして今回から大阪方面なら、扇町レディースクリニックさんに紹介しています。
英さんの塩谷院長も扇町さんの朝倉院長も、私の先輩で、しかも優しい。
もちろん成功率が高いのは言うまでも有りませんが。
とくに朝倉先生とは、治療周期中でも、頻繁にやりとりをして、患者さんに即した治療をしていますよ。
これで田舎に居ながら、わずかな労力で、都会の治療を受けられるのですから、
時代も変わったでしょう?

もう1つ、ネットでおもしろい記事が。
中国のある精子バンクでは、ドナーから提供される精子の合格率が年々低下しており、
2006年の合格率は45・9%だったのが、10年には37・9%、
14年は17・9%となり、15年上半期には17・8%になったそうです。
この5年だけでも半分以下になる計算だそうですよ。

私が考察するに、中国では癌になる人が著増しているように、
環境ホルモンのせいではないかと疑っていますよ。
世界的に、この精子の能力の低下が言われていますね。
さて、ヒトはいつまで子孫を残すことができるのでしょうか。








妊娠中の静脈瘤

2016-01-25 21:12:51 | 産科
昨年、ピルの副作用で静脈血栓症になることが有る、という話が話題になりました。
この静脈血栓症って、ご存知でしょうか?

ちょうど足の付け根、ソケイ部の辺りの深い静脈に血栓ができて、痛みを生じます。
もしくはいきなり、血栓が肺に飛んで、肺梗塞になることが有ります。
こうなると突然の呼吸困難になったりするのです。

私の経験では、むかし中容量ピルで、この肺梗塞の副作用が出た人が1人居られます。
同じ病院で治療していただきました。

ピルの副作用ではないのですが、妊娠中の中期頃に、
突然、足の付け根が痛むという方が居られて、
整形に紹介したのですが様子を見るようにと言われ、
痛みが続くため、さらに外科に紹介したら、この深部静脈血栓症であることが判明し、
治療を受けられました。

もう1人、卵巣癌の化学療法中に、静脈でなく、動脈血栓症となった方が居られ、
血管外科の有る病院に搬送し、血栓除去のカテーテル手術を受けられました。
この時は股関節の痛みとは別に、その末梢である足の甲側の動脈の脈拍がよく触れませんでした。
カテーテル手術の間、放射線の透視装置下で血栓を除去するのですが、
血栓を取り除くところまで見せてもらったのを覚えています。

ただ、妊娠中に股関節が痛むという方は、けっこう居るられるのですよ。
だからそんな時は、いきなり血管外科へ、とはいきません。
少し様子を見られてもいいかもしれませんね。
もちろん増悪すれば、精密検査の適応になりますよ。

そこまでいかなくても、妊娠中はよく、足(下肢)の静脈瘤を訴えられることが有ります。
これは深部の静脈でなく、浅いところの静脈の流れが悪くなるために起こるものです。
さらに表層の静脈では、蜘蛛の巣のような、と表現されますが、
表在性血栓性静脈炎ということも有ります。

いずれも、弾性ストッキングを着用して、なんとかお産まで我慢してもらうのですよ。
産後は急速に改善していきますからね。
もちろん持続する場合は、外科の先生に相談することになります。

以前は弾性ストッキングもサイズや長さもいろいろなものを揃えていたのですが、
手術時のものだけの在庫としていますよ。
マタニティー用のものは、ネット通販や薬局で買ってくださいな。
マタニティー用には、おへそまでのものが有りますよ。
外陰部の静脈もよく腫れますからね。

ですが一番いいのは、ご主人に寝る前に足を下から上にさすってもらうことなのですが。
そんなきとくなご主人だったらいいのに?

綺麗になりたい

2016-01-22 21:30:29 | 美容医療
篠山市今田町の璃子(りこ)ちゃん、12月20日生まれ。
「12月の誕生石の瑠璃から。明るく元気に育ってください。
へその緒が首に巻いていたけど、普通分娩で生まれてくれて良かったです。
みなさん親切で、いろいろと気にかけていただき、良かったです。」

今朝、生まれた子も2回、首に巻いていましたよ。
生まれる前から巻いているかどうかをお教えしているのですが、
心配される方が多いです。
でも3、4人に1人は巻いていますからね。
それでも巻いていなければ、安産間違い無し。
巻いていると、難産になる傾向が有りますが、こればかりはトライしてみないと分かりません。

さて、今日は美容外来で、ほくろの除去の患者さんと、目の下のシワの患者さんが来院されました。
ホクロは時間が経過すると徐々に膨らんでくるのですが、
膨らんでいるものは多少大きくても、案外、綺麗に取れます。

それに対して、皮膚の浅いところに有るのもので、
取るためには少し掘り起こさないといけないようなものは、少し傷が凹んでしまいます。

タマル産では炭酸ガスレーザーで蒸散するのですが、
術後、大きいものはテーピングを1週間から2週間ほどしていただきます。
小さなものは、何も処置しなくても大丈夫かもしれません。
よくお化粧はしてもいいかと聞かれるのですが、
怪我したようなものですから、テーピングをしていないところは、避けられると無難でしょう。

もう1つ、女性のシワでよく気にされるのは、
ホウレイ線と並んで、目の下、おでこ、鼻のシワです。
場所によって、綺麗にする仕方も異なります。

今日の処置は、目の下から鼻にかけての浅いシワだったので、
ヒアルロン酸の注射になります。
ヒアルロン酸にも種類がいろいろと有り、
目の下のように浅い場合は、粒が細かいヒアルロン酸を使用します。

ホウレイ線のように、深いシワには、ヒアルロン酸でも粒子が大きなものを使用するのですよ。
先月来施術している豊胸の治療には、ヒアルロン酸でも、とくに大きな粒子のものを使用します。
この場合は数年、効果が有ると言われています。
一度に治療しても良いのでしょうが、けっこう胸が張るので、数回に分けて施術中です。

もう1つ、おでこや眉間のシワは、
ボトックスと言う、筋肉の動きをマヒさせる注射をします。
これは、とても効果的で、施術後2週間ほどすると、おでこがピンと張ってきます。
本当におでこにシワが寄らなくなるのですよ。
私も自分にしたことが有りますが、半年ほどは効果が有りますよ。

それで今日、目の下のシワにヒアルロン酸を注射した方は、
すぐに効果が有るなんて、と喜んで帰られましたよ。
けっこうリピーターになられる方が多い処置です。
ただし、最近の円安で逆ザヤが生じており、ほとんど無料奉仕中ですよ。

まあ、ちょっとしたことで、コンプレックスを改善できるなら、それはそれでいいのではないでしょうか。
中島みゆきさんの「化粧」という歌が、私の若い頃に流行しました。
「化粧なんてどおでもいいと思っていたけれど〜、せめて今夜だけは綺麗になりたい〜」
それもまた女心ですね。

今のお産の現状に警鐘を鳴らす人は無いのでしょうか

2016-01-20 21:12:57 | つれづれ
丹波市市島町の晴哉(はるや)くん、12月15日生まれ。
「晴天のようにほがらかに何事も。
お産が軽かったこともあり、すごく安心できたお産でした。
お料理はお野菜が多いのが嬉しかったです。毎回食事を楽しみにしていました。」

野菜をもっと摂らないといけませんよ。
私も最近、とくに注意していますからね。

今更ですが、産婦人科の事情は、急激に変わってきていますね。
いわゆる集約化の問題です。
個人開業の時代は徐々に終わりを告げているようで、
大病院志向がますます強まっています。
中規模病院も沙汰され、わずかここ数年の日本中で、大病院の産婦人科医師数だけが増えています。

私もその流れに反対するわけではありませんが、その弊害には目を覆うばかりですよ。
みなさんは大病院なら、紹介される妊婦さんも多いので、帝王切開が多くて当たり前だと思われるでしょう。
ところが、近隣の3次医療施設でさえ、紹介患者さんは6分の1にも至りません。
実は直接、受診されている方が殆どなのです。

大病院では3人に1人程度が帝王切開になります。
それはとくに合併症が無くても、そうなのです。
診療所では同じような妊婦さんが受診されているのに、
たいてい10人に1人くらいしか帝王切開になりません。
とくにタマル産では20人に1人くらいです。
帝王切開数だけで良し悪しを判断するのは良く無いのでしょうが、
もっとも気になるところでは有りますよね。

先日もタマル産で最後まで診てあげようか、
それとも少しリスクが有るので3次施設に紹介しようかと、
迷いながらも紹介した患者さんが居られるのですが、
行けばたちまち帝王切開になりました。
こんなことならこちらで診ておいてあげれば良かったと思いますよ。
必要が有れば、赤ちゃんだけ診てもらえばよかったですね。
帝王切開の理由は年末であわただしかったから、です。
主治医もお正月はゆっくりしたかったのでしょう。

もう1つ、気づかれていないでしょうが、
私が研修していた頃は、女性医師の数は10人に1人、2人だったのですよ。
それが今では若い世代の産婦人科と言えば、女性医師の方が多くなりましたよ。
これも女性にとっては、同性で良いと感じられる方も多いのでしょうが、
私に言わせれば、産婦人科は整形などと同じで、外科であり、
力仕事も多いのですよ。
例えば吸引分娩やクリステル胎児圧出方などがそうです。
緊急時には、男手が必要なのですけれど?

白い巨塔ではないのですが、
大きい病院の医師は、診療所の医師よりも格が上だと勘違いしているところが有ります。
あるいは患者さんに対しても、横柄な態度であることが有ります。
今までは済生会病院などにも稀に紹介していたのですが、
ちょっと自信を持ってはオススメできないな、と感じているのですよ。
とくにあそこの若い女医さんはひどい態度ですね。

近くでは開業医の丸尾先生や小野先生も退職されましたし、
そうは言っても、時代は移り変わっていくのですね。
それでもうちの子たちは、畳の上で生まれました。
もちろんそれを真似してほしいなんて考えていませんよ。
ただ、私も半世紀前に畳の上で生まれたのです。
わずか半世紀前のことなのに。
そしてその産婆さんの頃から日本人は、世界一お産が安全だと言われていたのです。

お産できる場所が3次施設のみになり、
2、3人に1人が帝王切開で産むようになる時代がすぐそこまできているのですが、
それで皆が満足できるのでしょうか。