タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

マクドナルドを知っていますか?

2012-04-27 19:47:35 | 婦人科
グラフは、若い女性に子宮頸癌が増えていますよ、というものです。
どうして増えてきているのか、と言えば、
性行動が活発になってきているから、というわけです。
東京では高校生の半数に性体験があると言われます。
子宮頸癌になる原因は、性行為でパピローマウィルスをうつされるからに他ありません。

最近の手術のお話をしましょう。
県立柏原病院で、妊娠前に子宮頸癌の少し前の状態が見つかり、
子宮の出口を切ってしまわれた方が居られました。
こういう手術を子宮頸部円錐切除術と言います。

今回、手術後にも関わらず無事に妊娠されました。
県立柏原病院も先生の入れ替わりがあったのでタマル産に来られた、というわけです。
先ほどお話したように子宮頸癌が増えているために、
しかも出産年齢が上がっているために、
子宮の出口を切った後で、妊娠される方が増えてきたわけです。

当然、子宮の出口が緩くなっていますから、
早産しやすくなります。
だから妊娠5ヶ月くらいで、子宮の出口をくくる手術をすることになります。
これには2種類の手術様式があり、シロッカー手術とマクドナルド手術があります。
タマル産ではどちらもできるのですが、主にマクドナルドというのをします。
こっちの方が簡単に3分もあればできる手術ですから。
実際には脊髄麻酔をかけたり、消毒したりで、30分ほど準備にはかかるのですが。

でもね、たかがウィルスをもらったくらいで、
妊娠したり、出産するのがたいへんになるなんて思ってなかったでしょう?
まさか人間よりウィルスの方が賢くて、子孫をたくさん作れるなんてね。
だからね、10代で性行為していてはいけないのですよ。
でもどうしても我慢できない人は、早く結婚して、早く赤ちゃんを産めばいいのですよ。

こんなこと書くと、反感を持たれそうですが、
これは本当のことなのです。
性行為は遊びではないのです。
だから小鳥たちのように、ちゃんとつがいになってから、
赤ちゃんを産めるようになってから、にしてくださいね。
笑っていてはいけませんよ。

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チェックしてみてくださいね。

ごめんなさいね、おかあさん

2012-04-25 20:30:50 | つれづれ
ごめんなさいね おかあさん
ごめんなさいね おかあさん
ぼくが生まれて ごめんなさい
ぼくを背負う かあさんの
細いうなじに ぼくはいう
ぼくさえ 生まれなかったら
かあさんの しらがもなかったろうね
大きくなった このぼくを
背負って歩く 悲しさも
「かたわな子だね」とふりかえる
つめたい視線に 泣くことも
ぼくさえ 生まれなかったら

ありがとう おかあさん
ありがとう おかあさん
おかあさんが いるかぎり
ぼくは生きていくのです
脳性マヒを 生きていく
やさしさこそが 大切で
悲しさこそが 美しい
そんな人の生き方を
教えてくれた おかあさん
おかあさん
あなたがそこに いるかぎり


この詩は、やっちゃんが書いたものです。
彼はすでに昭和50年6月11日に亡くなっています。
この詩を書いて2ヶ月も経たないうちに。

もっと詳しく知りたいと思われたなら、扶桑社文庫の
「お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい」
という向野幾世さんの本を探してください。
このやっちゃんに詩を書く事を教えたのが、向野幾世さんです。
向野さんのお父さんもまた、脳性マヒだったのです。

今日、その向野幾世さんが神戸に講演に来られていて、
うちのカミさんが行ってきました。
今回、東北で家族を失った子どもたち25人をクリスマスからお正月にかけて、
暖かいキプロスに連れて行かれたのです。
日本を出る時はあまり興味を持たれなかったそうですが、
キプロスでは大統領から、国民全体で大歓迎を受けたそうです。

でも子どもたちは山の上の教会で、
ばらばらにうずくまって、声を出さずに泣くそうです。

やっちゃんは奈良に生まれました。
私も奈良に居た時に2人、脳性マヒのお母さんのお産の主治医をしました。
病室に畳を入れて、そこで今で言うアクティブバースをするのです。
もちろん脚は開きませんが、そんなことぜんぜん問題ではないのです。
赤ちゃんはむしろ楽に生まれてくるようにみえます。

やっちゃんは早産で、しかも難産であったようです。
お母さんこそが苦しまれたでしょう。
でも医師はそれ以上に苦しんでいるのだろうことまでは、誰も想像だにしないでしょう。
そして、天の神様は、もっと深い痛みを感じておられるでしょう。


優しさこそが大切で
悲しさこそが美しい

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OHSSを覚えましたか?

2012-04-24 21:06:12 | 不妊症
PCOという病気の女性はすごく多いのです。

PCOというのは何度か書いているので、覚えてもらえたでしょうか?
普通は毎月1個しか大きくならないはずの卵胞なのですが、
たくさん小さな卵胞ができてしまう病気です。
だからなかなか排卵しなくて、月経周期が数ヶ月に1回になる、という病気のことです。
初診の時に超音波検査で、縮んでしまった子宮と、たくさんの卵胞で腫れた両側の卵巣が特徴です。
ホルモンの負荷試験という検査をすると、特徴的なパターンになるので、
病気の程度まで分かります。

治療は排卵誘発剤を使うのですが、飲み薬ではなかなか苦労します。
だから昨年あたりからタマル産の不妊外来では、自宅での自己注射を積極的にすすめています。
それが手応えとしてすごくよくて、今年になってからもこの治療で3人の方が妊娠されました。
ですが問題は多胎妊娠なんですね。
それとOHSSです。

OHSSとは卵巣過剰刺激症候群という、ホルモン注射による人為的な病気のことです。
もともとたくさん卵胞が大きくなる方に注射をするものだから、
その注射のせいで、たくさんの卵胞が一斉に大きくなるのです。
最後に排卵させる注射に変えるのですが、
この時点で4つも5つも大きな卵胞があれば、その周期はキャンセルします。
え~、せっかく頑張ったのに、という思いもあるでしょうし、
だいたい正確にいくつが大きいかは数えにくいのです。
みんな真ん丸ならいいのですが、卵胞は互いに押し合いへし合いするので、
いびつな形をしているからです。

なんとか排卵させる注射まで行ったとしても、
排卵した後に残っているたくさんの卵胞がさらに大きくなっていきます。
だから普通は親指の頭くらいの卵巣が、
テニスボールかソフトボールくらいまで大きくなってしまうこともあるのです。
こうなるとお腹の中に腹水が溜まってきます。
血管の中の液体成分がお腹の中に漏れ出たから起こるので、
血管の中は脱水になります。
だから血が濃くなって血栓症を起こしたり、
肺に水が溜まって肺水腫になったりします。
ひどい場合は入院が必要になりますし、最悪、生命にも危険が及びます。

そんな危険も少しですがある注射薬です。
でも使わないと妊娠しない方が多いのも事実です。
体外受精の時は同じような注射薬ですが、その場合は毎日クリニックで注射します。
もちろん副作用は同じように出る方は居られます。
ただし、ひどくなりそうな方には、採取した人間の卵を全部凍らせるのです。
そうすると妊娠しないので、妊娠した時ほどには副作用が出ないのからです。
一度でも強い副作用が出た方は、体外受精と受精卵の凍結をセットでうけられるといいでしょう。

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今日は院内での講習会があって、更新するのが遅くなってしましましたね。

篠山でお産できる所は?

2012-04-23 20:42:23 | 産科
ニコちゃん7歳、ヒロト君5歳、お母さんのお腹の中に赤ちゃんができたんだよね。
ちゃんと動いていたのも見たよね。ちょっと不思議だったかな?
でも私からすれば、お母さんがとてもお母さんらしくなっていたのが印象的でしたよ。
そしてお父さんもね。

前回は病棟が空っぽになった話をしましたが、
1日も空くことなく、また赤ちゃんが生まれましたよ。
お産の病院なんだから当たり前ですよね。
この春、兵庫医大篠山医療センターさんもお産をやめられるようで、
篠山ではタマル産でしか赤ちゃんを産めなくなってしまいました。

今さら、なぜお産をする病院が減るのか、なんて言っても皆さんの興味は薄れてしまったでしょう。
だから、うんと減ったら、また気づいていただけるでしょうか。

最近あった妊娠の話をさせていただきましょうか、
それとも楽しい話がいいかな、と迷ってしまうのですが、
お産の現場も知っていただくためにあえてお話します。
赤ちゃんは五体満足で生まれてくるものだと思っておられるでしょう?
ですが、50人に1人は大きな異常を持って生まれてきます。
お母さんが糖尿病だと、その4倍から8倍の確率で、異常を持って生まれてきます。
だから13人に1人が大きな異常というわけです。

大きな異常っていうのは、例えばこの前退院されたお母さんですが、
その赤ちゃんのお姉ちゃんは、小さい時に心臓の手術をしたのです。
今では定期検診だけですが、もちろん他の人より注意して生きていかなくてはいけません。
また先日は妊娠初期から赤ちゃんの形がおかしいな、と思う胎児がいたのですが、
何でも100%異常と断言できないと、お母さんには言えませんので様子を見ていました。
ちょっと普通と違う可能性がある、なんて言ったらだれでもパニックになってしまうからです。
だから確実になるまで待って、しかも大きな病院を紹介して、もう一度検査をしていただきます。

それでもやっぱり無脳症、という診断でした。
それはね、頭の中に脳が無いっていうことです。
それだったら流産してしまうんじゃないかと思われるでしょうが、
ちゃんと予定日までもって、普通に生まれてくるのですよ。
しかも呼吸もできます。
脳と言っても、新しい脳の部分が欠けていて、生命維持を司る延髄なんかはあるからです。

生まれて呼吸もするのですが、長くは生きられません。
私が若かった頃は全員に超音波検査をする病院の方が少なかった時代です。
だから出生届を書いて、同時に死亡診断書を書くか、
あるいは少しの間生きていても生きていなかったことにして、死産証書を書くか、だったのです。
あるいは呼吸をしないように安楽死させてあげる、などという時代でした。

ですが、今では全員に超音波検査をします。
でもね、こんな環境はわずかこの15年ほどだけの事なのです。
そして日本などの先進国だけなのですよ。
全国の市町村はこの超音波検査を妊娠中に2回だけしか認めませんが、
2回しかしない産婦人科はもはや無いでしょう。
だから14回の健診のうち12回の超音波検査は無料なのです。
血液検査なんてひどいもので、1万円分検査しても7千円しかもらえないなんてザラ。

初めに戻りましょう。
日本人は医療に最高のものを求めます。
そしてそれを達成するには莫大な医療費がかかります。
でも、それが無料だと信じ込んでいる。
だから産婦人科が無くなっていくんですね。
そんな無茶な、ということです。
もちろん他にも原因はありますよ。でも今回のことはそういうことでしょう。

月曜日はレバレンド・ムーンのことばを贈っています。

神はなぜ人間を必要とするのでしょうか?
それは神の理想を成就するためには
神も永遠に喜べる人間が必要です。

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うつと更年期

2012-04-20 20:27:10 | 婦人科
今日、母子2組が退院されて、一時的に入院患者さんがゼロになってしまいました。
こんな事も年に数回はあります。
でも、おしるしがあるという妊婦さんからも電話が入っているので、
この状態が長く続くとも限りませんが。
それでも今晩は3人プラス私が当直しています。
だから入院がゼロなら、タクシーのメーターを見ているような感じでしょうか。
それは冗談ですよ。

ときどき患者さんに合わせて新薬を入れたりするんです。
タマル産は院外処方ではないのです。
だって、入院で使う薬が多くて、それに夜中の薬局が開いていない時に使いますからね。
ということは薬を全部、施設内に置いているわけです。
だから気軽に新薬を置くというのも難しいわけなんです。

最近置いた新薬は、うつ病の薬です。
産婦人科なのに、うつ病の薬ですか?
そう、更年期の症状って、人によって様々なんですよ。
ホットフラッシュと言って、顔が真っ赤になったと思ったら、次は引いていたり。
息切れや動悸、眠りが浅くて夜中に何度も目が覚めるタイプ。
頭の後ろの首のあたりから痛んでくるとか。
めまいで始まる方も居られます。
めまいだと、耳鼻科に行かれる方もあります。
もちろん動悸なら内科に行っちゃうとか。
でも婦人科に来てもらいたいところですね。

そして、うつの症状が出る方。
もちろん死んでしまいたい、などの本格的なうつ病は精神科に紹介します。
ちょっとしたうつ病なら、抗精神薬を置いていたのですが、
今回はSSRIというお薬です。

仕事や家事などに集中できないとか、
一日中憂鬱な気分になるとか、
自分に価値がないと思うなどの「こころ」の症状や、
食欲が落ちたり体重が減る、
夜寝付けない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める、
イライラしておちつかない、疲れやすい、気力がわいてこない、
などの「からだ」の症状が出たら、それは「うつ病」かもしれませんよ。
女性の場合は更年期とうつ病の区別があまりつきませんからね。

ちょっと、自分もそうかしら、と思われたなら、婦人科を足がかりにどうぞ。

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