タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

膣の細菌そう

2018-11-30 21:38:43 | 不妊症
もう明日から師走ですよ。

タマル産では、毎年この時期にクリスマスツリーを飾っています。
入口のオリーブにも、今日はクリスマス飾りを私自ら飾ってみました。
年末年始のお休みは、12月29日の土曜日から1月3日の木曜日までです。
もちろん急患の方やお産の方は、24時間、いつもの電話番号で繋がりますからね。

少し驚いてしまうのは、夕方になると電話が繋がらないクリニックも多く、
そんな婦人科で妊婦健診をされている妊婦さんが時々居られます。
残念ながら、飛び込みでの救急診療はしていませんからね。
タマル産で産む予定の近隣の方は、初期から受診してくださいよ。
来年の3月と4月の予定日の方は、ほぼ予約で埋まりました。
今妊娠すると、来年の6月か7月頃になるのでしょうか。

さて今日の話題は、膣の細菌のお話です。
まれに居られるのは、膣が臭うと言われる女性。
確かにタンポンを長く使用された女性や、感染が有ると、悪臭が有ります。
ですが、自分で臭うと言われる女性では、それほどでもないことが多いのです。
どちらかと言うと、自分の体臭自体を気にされる方が問題かもしれません。

ですが、こと妊娠に関しては、いろいろと意味が有るのですよ。
一般向けの不妊雑誌を見ていたら、子宮内の細菌の検査で、
乳酸菌が多い女性は妊娠率も高いし、流産や早産も少ないということが書かれていました。
それに対して乳酸菌が少ない群では、妊娠率も低いし、流産、早産も多いのです。

これは以前から何度も書いていますが、データとして、
乳酸菌が90%以上だと妊娠率が70%ほどに対して、
乳酸菌が少ない女性では、妊娠率は33%ほどということです。

タマル産では、不妊症で来院された女性に、一番最初にする検査が、この膣内の細菌培養の検査です。
ところが世界的に不妊検査を受注している会社では、
膣ではなく子宮内からサンプルを取って、細菌を遺伝子検査するのだそうです。
培養ではどうしても引っかからないことも有るからだそうですが、
検出できた細菌の一覧を見ると、どうも一般的な保険が効く細菌培養検査でも良いような気もしますけれど。

確かに細菌培養検査でも、大腸菌やGBS、腸球菌などの菌をよく検出します。
抗生物質をカゼなどでよく処方してもらう女性は、カンジダ感染を繰り返しますしね。
こういう場合は、膣に乳酸菌の錠剤を入れると効果的なのだそうですよ。
ただ保険診療の範囲では、これに見合う薬が無いので、
適応外の使い方をするか、ネットや薬店で売られている薬を使うのが良いかもしれませんね。

ヨーグルトを日常的に食べる女性は、細菌も少ないという口コミも多いようですが、
なるべくプレーンのヨーグルトで、砂糖を入れない方が良いでしょう。
口からの乳酸菌が、果たして膣内まで改善するかですが、
効果は有ったという成績も有るようですね。

不妊症の女性だけでなく、
カンジダ膣炎を繰り返す女性、
切迫早産や、実際に早産した女性、
子宮外妊娠や癒着胎盤の既往の有る女性、
ヒトパピローマウィルスが原因で子宮頚部異形成になっている女性などは、
乳酸菌を試してみると良いでしょうね。

ピロリ菌の除菌はだいじょうぶ?

2018-11-28 21:19:17 | つれづれ
写真は、伊丹市荒巻の星乃香(ほのか)ちゃん、10月25日生まれ。
「のびのびと明るく、優しい子に育ってください。
ソフロロジーの呼吸法で、1人目の時より落ち着いて前向きにお産できました。
みなさんのおかげで頑張ることができました。」

2人目ですが、タマル産では初めてのお産でしたね。
10ヶ月に入ると、毎週ソフロロジー形式でのお産の練習をしますからね。
余裕を持ってお産に挑めたのではないでしょうか。

さて今日もこれからお産の入院が有るようですから、急いでお話しましょう。
篠山の子供たちに関わるお話です。

おとなでは、胃がんの予防のために、ピロリ菌を検査して、陽性なら除菌するのですよね。
便で検査するので、痛くなくて便利ですね。
私の祖父も、カミさんの父も胃がんで亡くなりましたから、
ピロリ菌の検査を受けておけば良かったですね。

でもね、こどもは受ける必要はないのですよ。
これは日本小児栄養消化器肝臓学会の、小児ヘリコバクター・ピロリ感染症の診療と管理ガイドライン2018によります。

日本では1997年から世界に先駆けて、こどもへのピロリ菌の除菌を始めたのです。
そして篠山市のように、自治体単位でこどもたちに検査や治療が行われてきたのです。
ですが今回、これが見直されたのです。
それはこどもに対しては、エビデンスが無かったということなのです。
無症候のこどもに、ピロリ菌の検査や治療をするのは、医療介入でやり過ぎ、ということなのですね。

他の根拠として、ピロリ菌の除菌をした方が、アレルギー疾患が増えたのです。
これは新生児にもよく言われています。
抗生剤を使用すると、アレルギーの子が増えるようですね。
タマル産でも、使用する時はなるべく短期間にしているのはそのせいです。

さっそく篠山市も、このガイドラインを受け入れていかなくてはならないのではないでしょうか?

話は変わりますが、妊婦健診では、みなさんに貧血の検査をしますよね。
この時に血小板の数が少ない特発性血小板減少症という病気が見つかることが有ります。
そんな場合は便の検査をして、ピロリ菌を調べたりするのですよ。
まだ行ったことは有りませんが、ピロリ菌を除菌すると血小板数が正常化すると言われています。
おもしろいですね。

リコンビナント製剤のメリットとデメリット

2018-11-26 21:24:45 | 不妊症
写真は、篠山市真南条上の渓(けい)くん、10月22日生まれ。
「夫と息子と妹に囲まれて、あったかい気持ちで産めました。
家族がゆったりと病室で過ごせるので、嬉しいです。」

妊娠中からとっても頑張りましたね。

さて、今日は不妊症の話題です。
不妊症の治療と言えば、排卵誘発剤を飲んだり、注射したりすることが多いのです。
排卵しにくい女性だけでなく、ちゃんと排卵している女性でも、刺激すると妊娠率が高まるものです。

この排卵誘発剤には、hMG(FSH主体)とHCG(LH主体)という2種類の下垂体ホルモンが含まれています。
そのhMGは、閉経後の女性の尿から分離しているのですよ。
そしてHCGは、若い女性の尿から分離しているのです。
だからどちらも不純物が多いのです。アレルギーが出やすかったりもします。

以前はhMGには、FSHとLHが1:1の製剤が多かったのです。開業した頃はこの製品でした。
ですがOHSSという副作用が出やすかったのですよ。
その後さらに精製されて、FSHとLHが1:0,0053の製剤を使っていました。
ここ数年前からは、リコンビナント製剤という100%ピュアなLH製剤を使っています。

リコンビナント製剤とは遺伝子組み換え技術によって、人工的に作られたものなのです。
力価も安定しているのです。
難を言えば、若い女性にはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの副作用が出にくくて良いのですが、
卵巣機能が低い女性には、効果も少なくなって、薬の量が多く必要になったりするのです。

リコンビナントFSHは、製剤名で言えばゴナールエフという製剤で、
家で自分で注射できるようになっています。
この製品が出るまでは、不妊治療と言えば、毎日クリニックに通院する必要が有ったのです。
だからとても不妊治療の負担が減ったのですよ。

それでも、いくら便利になっても、患者さんの不満は治まらないものです。
今日来院された女性は、たった1周期治療しただけで、高価なので中止したいと言われます。
昨日受診された女性は、週末しか来院できないと言われていたのですが、
なんとか週に2回ほど通院してもらい、リコンビナント製剤を使用したのですが、
反応が悪かったのですね。それで1周期でギブアップです。

初診の時にお話するのですが、やはり1年くらいは治療を継続するつもりでないと、
なかなか妊娠しないのですよ。
治療を継続さえしていただければ、多くのカップルが妊娠されるのですが、
なかなか続かないというのが現状です。
むしろ精神的な要素で妊娠できないと言えるでしょうね。

人工授精の成功率なんて5%〜8%くらいと言われているのです。
数回やってダメだったからと、すぐに諦めるようでは妊娠は望めないのです。
だって、何も原因の無いカップルだって、妊娠するまで1年近くかかることも多いのですからね。

タマル産では、今日からまた新しい治療も開始しましたよ。
それはHCG製剤は、若い女性の尿からの製剤だと言いましたが、
こちらも今日からリコンビナント製剤に変えました。
値段は少しだけ上がりましたが、安い薬です。
HCGもピュアなものになったので、副作用も少なくなったというわけです。

しかもね、注射キット化されているので、こちらも自宅で注射することが可能なのです。
1周期に1度きりしか使用しないので、一般不妊外来では自宅で使用する機会は少ないのですが、
体外受精を受けておられる女性は、夜中に注射する必要が有り、
そんな時は自宅でできるので便利ですよね。
今罹っているクリニックと相談されてはいかがでしょうか。

実は第3段として、黄体維持療法についても、改革を予定しています。
タマル産では、常に進化を止めませんよ。

風疹もリンゴ病も

2018-11-21 21:20:25 | 産科
写真は、丹波市山南町の美咲(みさき)ちゃん、10月17日生まれ。
「自分に素直に、のびのびと育ってください。
上の子も立ち会えて良かったです。
上の子が泊まらせてもらえて、ゆったりと過ごせました。」

2人目なのですが、前回は他院でのお産でしたね。
上の子と一緒に産んだり、泊まったりするお母さんも、よく居られますね。

タマル産では、明日から外来は2連休です。
土日は開いていますよ。
昨日から先ほどまで、赤ちゃんが続けて4人生まれたので、ようやく休みで嬉しいのです。
ほぼ徹夜で仕事をしていますからね。

今日の1ヶ月健診のアンケートでは、次のお産の時まで元気でいてください、
という励ましのお声を頂きました。
まだそんな年ではないと思いたいのですけれど。

ところで、今年から病医院のホームページが広告の規制対象になったのですよ。
おそらくブログやフェイスブックもでしょうね。
患者さんの声を取捨選択して載せるのはダメなのだそうです。
来院を誘導することになるそうです。
ですから上記のような患者さんの声は、これから載せないようにしないといけませんね。
対策としては、赤ちゃんの名前や命名の理由くらいしか載せないようにしないとね。

帝王切開の数や、不妊症の治療成績なども、規制の対象になるでしょうね。
それで、来年の年初に向けて、ホームページやブログ、フェイスブックは、
リニューアルしようと考えています。
乞うご期待と言うよりは、縮小方向で考えていますよ。

さて、1つくらい新しい話題をしておきましょう。
今、風疹の予防接種が品薄です。
小児科などでは、風疹麻疹ワクチンというのがまだ有るかもしれないので、それでも構いませんよ。
医師会は厚生省に対して、風疹ワクチンの増産をお願いしたようです。
ニュースになると、いっぺんに影響が出ますね。

風疹もそうなのですが、今度はリンゴ病が流行しだしたようです。
リンゴ病もまた、妊娠中には罹ってはいけない病気なのです。
リンゴ病と言うのは、子どものほっぺたが、リンゴのように真っ赤になる病気です。
私の学生の頃は、まだ原因不明と習いましたが、今では原因ウィルスは分かっていますよ。
パルボウィルスというウィルスです。

天理に居た時ですから、今から30年近く前のことです。
部長の患者さんで、妊娠中期の赤ちゃんが、お腹の中で突然亡くなったことが有りました。
私が入院の主治医となって、お母さんの血液検査を九州の大学に送ったのです。
リンゴ病を疑って、当時はまだ日本では2箇所ほどしか、このウィルスの同定ができなかったのですよ。
そうそう、エボラ出血熱のウィルスの研究施設に対して、
住民が反対しているようですね。
医学の発展に貢献せずに、功績だけを無料で受けるという考えはどうなのでしょうね。
研究者の方がよっぽど危険を冒して、みなさんのために研究しているというのにね。

結論は、妊娠中にリンゴ病になると、
たいていは何も起こらないのですが、羊水過多で見つかることが多いのですが、
胎児水腫になって、突然死することが有るのですよね。
妊娠中に罹ってはいけないトーチ症候群には含まれていないのですが、
このウィルスも罹ってはいけないのです。
ですが、今年は流行しそうですよ。


ついに大阪では梅毒患者一千人超え

2018-11-19 21:02:07 | 婦人科
写真は、最近生まれた赤ちゃんとお父さん。
お母さんは今、入院中なのですよ。

さて、昨日の市長選と市名変更の選挙、結果は予想通りでしたか?
私としては、とても残念な結果に思えてしまうのですが、結果を受け入れなければいけません。
また、奥土居氏が政治家を引退されると聞き、市にとってもとてももったいないことです。
既得権イコール高齢者の意見が大きかったのでしょう。
若者の未来は、本当にこれで良いのでしょうか?

例えば市民病院問題、この時代に地方が公設の市民病院を持つ必要が有るのでしょうか。
私立病院の方が医療レベルも高いのではないですか。
お隣の三田市でも、市民病院は無くそうとされているのですよ。

例えば、子育ての問題。
先日も、タマル産を受診された経産婦さんが、保育園の先生から、タマル産で診断書をもらってくるようにと言われたそうです。
もちろん偽の診断書ですよ。
よく小学校の先生や公的な施設からこう言った依頼が有るのですよ。
それが有れば、保育園に入れてもらえるそうです。
そんなことしなくても、希望すれば全員が入れるようにしてはどうでしょうか。

一番大きな問題は、若い人が都会に出て行く問題ですよ。
みなさんが年老いた頃には、誰もここに残っていないかもしれないのですよ。
もっと真剣に考えないといけないでしょう。

つい熱くなってしまいました。
今日の話題に移ります。
読売新聞の記事にリンクを貼りますね。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181119-OYT1T50076.html?from=ytop_main5

大阪では、ついに今年、梅毒患者が千人を超えたようです。
ここ丹波圏では、まだ拡大していませんが、時間の問題でしょう。
主婦や妊婦にも広がっているようですからね。

今日、来院された女性で、クラミジア感染症の既往が有って、
過去に2回、子宮外妊娠になり、両側の卵管を手術で切除したそうです。
それで今度、体外受精を受けられようとされています。

今日の別の患者さんは、彼氏がクラミジア感染症で治療していないのに、
知っているのにそのまま性行為をしたそうです。
それで心配になって来院されたのですよ。
いい加減な彼氏と、そしてそれを許す20代の女性です。
それより排卵期だったので、アフターピルをお勧めしましたけれど。

そして昨日は、不妊外来で検査と少しの治療後、体外受精に紹介した女性です。
検査でクラミジア感染症が分かり、治療をしたのです。
ですが卵管通気試験で、卵管の通りが悪いことが判明したので、
治療はほどほどに紹介したのですよ。
だって、うまく妊娠されても、子宮外妊娠になる確率が高くなりますからね。

そうそう、子宮卵管造影検査という別の検査が有りますが、
これは百害有って一利無しですからね。
微妙な通過性まで分かりませんし、ヨードを含んだ造影剤の副作用も有りますしね。

今、緊急に性感染症対策が必要なのです。
このままでは日本は滅びますよ。
子供が産めなくなるからです。
みんな体外受精を受ければ良いのですか?
お金もかかるし、そこまでしたくないというカップルも多いですよ。

根本的な解決策は何でしょうか。
日本の若い人の貧困問題が1つ。
性産業を仕事にしている若い女性が、丹波圏には非常に多いです。
みな大阪に働きに出ています。

もう1つの解決策は、教育です。
高校生、あるいは中学生から、純潔教育を受けさせないといけません。
避妊方法ばかり教えていては、フリーセックスを勧めているのと同じことですからね。
市長さん、聞かれているでしょうか?