タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

備蓄用の液体ミルクのお話

2019-03-29 20:35:30 | 産科
別に企業の回し者ではありませんが、今話題の液体ミルクが4月下旬から発売になるというニュースです。
どうもまだまだ災害時用という捉え方のようで、普段使いとは言えないもののようです。
グリコさんと明治さんが発売するようで、グリコさんのものは紙パック、明治さんのはスチール缶です。
そのため賞味期限はそれぞれ半年と1年なわけです。
災害時用と考えれば、賞味期限が長い方が良いですね。
設定価格も、単位量においては明治さんの方が安いようですし。
希望小売価格は232円(税込)のようです。

1歳近くなら、1日分の備蓄量が240ミリリットル缶で5本必要で、
それに使い捨ての哺乳瓶が付いているセットが良さそうです。
それを最低でも数日分は用意しておきたいですね。

以前、篠山に末日聖徒イエスキリスト教会が有ったのです。
彼らは1年分の食料を常に備蓄しておくそうですよ。
参考になりますね。
アリとキリギリスのようです。

もう1つ、今日はニュースをお知らせしておきましょう。
4月1日から一部の男性も風疹の予防接種をしましょう、というお知らせです。
男性の場合は、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間の生年月日だと、
この4月1日から第5期の予防接種を受けましょう、という案内が来るのでしょう。
しかも費用は無料だというのですよ。

それなのにタマル産にはなかなか予防接種が入って来ないので、篠山市に連絡してみたのですが、
どうも6月頃からになるようですよ。
まだまだ準備ができていないのだそうです。
ですがどうしてもそれまでに受けたい男性は、領収書を残しておけば、後で返却されるとのことでした。
男性の場合は、まず風疹抗体価の検査をして、数値が低ければ予防接種という流れのようです。

でもちょっとおかしな話です。
一番重要なはずの女性への予防接種は、無料ではないのですよね。
6,000円のところが3,000円に助成は有ります。
あるいは風疹だけでなく、麻疹(はしか)も流行っているので、ついでに麻疹風疹ワクチンなら、
9,000円のところが6,000円ですよ。
女性の場合は、初めての妊娠で風疹の抗体検査をした時に予防接種が必要かどうか分かることが多いです。
妊娠する前から検査するのが本来は一番良いのですが、そこまで気が回る女性は少ないでしょう。

ですが突然始まるこの処置に、世の中、てんてこまいのようですよ。
まず薬問屋だんでさえ、風疹の予防接種がいつ次に入荷されるかさえ分からないのです。
そんな状況で男性が受けるとなれば、女性の分まで回ってきませんよ。
実際、タマル産では最近はまったく入荷できなくなりました。
できれば小児科が有る施設の方が予防接種を備蓄しているのではないでしょうか。

でもそれもまたおかしな話で、男性の場合は小児と同じ、定期予防接種対象ですが、
女性の場合は定期ではないので、篠山市が供給する予防接種は使えないはずなのです。
他の施設はどうごまかしているのでしょうね。
定期でない予防接種は、薬問屋さんからタマル産に優先して入れてもらうようにしてもらっているはずなのですが。

もう1つ言えば、タマル産は消費税対象の施設なので、6,000円の税金480円が別途かかるのですが、
これはサービスで内税にしています。
結局、よそで受けてもらった方が本来はありがたいのですよ。
世の中、不思議なことがいっぱいですが、
さて、どれくらいの男性諸氏に、4月から、いえ6月から予防接種を受けてもらえるのでしょうね。

新生児の不整脈

2019-03-27 21:01:36 | 産科
このブログでも、みなさんの1ヶ月健診の写真をよく使わせていただいていますが、
そのバックに有る絵は、マークエステル先生の描かれたものですよ。
待合室や診察室に有る絵もそうです。
日本神話を題材にして、最近では舞踏や映像と融合した舞台などもされています。
そのマーク先生は、この4月16日から4月21日まで、銀座のアートホールで展覧会を開かれるので、
興味が湧けば、調べてみてくださいね。

さて、タマル産ではここ連日、赤ちゃんが生まれていますが、
その中の1人の赤ちゃんは、生まれた時に不整脈が有りました。
トン、トン、トン、トトンと、こんな感じです。
とりあえず済生会病院の小児科の先生に相談したのですが、
生後数日で、たいていは自然に消失するだろうとの意見でしたので、様子を見ているところです。

もちろん、先天性心疾患ということも頭に置いて、観察していますからね。
いろいろと小児科のガイドラインを調べてみたところですよ。
確かにお母さんに基礎疾患が無い場合は、経過観察で良いと有ります。
頻脈性の場合は、心室細動などになってはいけないので、ちょっと注意が要りそうです。

それに対して徐脈性の場合は、ちょっとその原因として興味深いものが有ります。
私の学生時代の知識を思い出してみるなら、お母さんが膠原病という病気の時は、
赤ちゃんに不整脈が生じることが有る、と教えられたのを覚えていたのです。

そうですね、お母さんに抗SSA抗体や抗SSB抗体が認められる時は、よく胎児や新生児に徐脈性の不整脈が起こります。
SSとはシェーグレン症候群の略なのですが、AとBが有るのです。
ツバが出ない、目が乾燥する、などの症状が出る膠原病なのですよ。
他にも全身性エリテマトーデス(SLE)や、リウマチなどでも陽性になる抗体です。
どちらにしてもお母さんに基礎疾患は無さそうなので、知識として知っておけば良いことですね。

そうそう話は飛びますが、先日婦人科の外来に来られた女性が、両頰に赤い蝶々のような赤みが見られたのです。
皮膚科にもかかっておられたので、そんなことはないのでしょうけれど、
念の為に蝶形紅斑を疑って、SLEという膠原病が隠れていないか、血液検査をしておきました。
これも昔の知識で検査したのですが、「抗核抗体」の中でもダブルストランドというものを検査したのです。
これってSLEに特徴的だからです。

実際に今でも抗核抗体は保険が利きますしそれで良いのですが、
最近ではスクリーニング検査としては、「エリアCTDスクリーン」という検査の方が良いようです。
というのもいろんな膠原病の陽性率が、抗核抗体では60%ほどが陽性になるだけですが、
エリアCTDスクリーンでは94%ほどが陽性になるようです。
だからこれからは膠原病のスクリーニング検査と言えば、こちらをした方が良いのですね。

だんだんと専門的になってきたので、今日はこのへんで。


不妊治療の膣錠入れました

2019-03-25 21:33:39 | 不妊症
今日のタマル産の不妊外来では、2人の患者さんに妊娠反応が陽性になりました。
さらに1人は先週に妊娠反応が陽性になり、今日は子宮の中に胎嚢が見えましたよ。
さらに1週間経て、胎嚢の中に胎児が見えて、心拍も確認できるようになれば治療終了です。
そこまでいけば正常妊娠なのですが、途中で流産したり、妊娠反応だけで胎嚢が見えないことも有ります。
そこで不妊治療には、よく黄体維持療法としてプロゲステロン(黄体ホルモン)を使用するのです。

写真は、タマル産にも最近導入した女性ホルモン剤の1つ、プロゲステロン膣錠なのです
不妊治療でも体外受精の時は、今までは注射をする施設が多かったのですが、
最近ではこの膣錠が好んで処方されます。
わざわざクリニックに行かなくても、自分で使えるからですね。

この膣錠、ちょっと前に発売されたのですが、以前は外国から個人輸入して、ろうそくのロウに溶かして作っていたのですよ。
私も開業したての頃は体外受精もしていたのですが、その時は自分で作成していたのです。
膣錠ならば高濃度に子宮に作用するので、妊娠維持に向いているのですね。
1つだけネックとしては、高価だということです。

そこでタマル産では、現在は一般不妊治療しかしていないので、
あまり高価な薬を使うのも気が引けるので、飲み薬を使用しています。
注射は痛いですからね。
今日妊娠反応が陽性になった2人の方には、黄体維持療法として、プラノバールという薬を処方していました。
保険が利きますからね。

プラノバールの本来の適応症は不正性器出血などで、
保険外では中等量ピルや緊急避妊ピルとして使う薬です。
なので黄体機能維持療法には適応が無いのですが、経験上よく効くのです。
保険で適応が有る薬に、プロゲストン錠の5ミリグラムという薬も有るのですが、
こちらは切迫流産の治療薬として使われるくらいなのですが、
飲み薬では所詮、腸から吸収されても肝臓で代謝され、子宮にたどり着く頃には効果はかなり薄れてしまいます。

ということで、なかなか妊娠しない女性に対しては、
体外受精の時にしか使用しない薬で、高価な薬で保険も利きませんが、
とりあえず試してみようかと、置いてみることにしましたよ。
子宮内膜が分厚くならないPCOという病気の女性に使ってみようと思っています。

私は京大病院での4年のうち3年は研究ばかりしていたのですよ。
そのテーマがまさに子宮内膜の増殖と分化です。
要するに受精卵が子宮に着床しやすい環境を整える研究です。
子宮内膜を培養して、プロゲステロンやエストロゲン、テストステロンやサイトカインなどを添加する実験です。

これには添加物の濃度が非常に重要になります。
生体内の濃度をシャーレの中で再現しなくてはなりませんからね。
ホルモンというのは、濃度によって促進的に働いたり抑制的に働いたり、逆の作用をすることが有るのです。
国際不妊学会でこの成績を発表した時も、司会者のテルブサデー教授から質問されたのが、
その実験でのホルモン濃度のことでしたね。
成果はJCEMという世界的な雑誌に載っているのが自慢です。

この頃は月に15日ほどいろんな病院の当直に行っていましたよ。
昼間は実験、もちろん正規の給料は無し。
保険も年金も長いこと入っていませんでしたからね。
医者はさぞ稼いでいると思われるでしょうが、
稼ぎたければ企業に勤めてください。
医者は清貧、と決まっていますからね。今も、そして一生そうですよ。

道徳の教科化が始まります

2019-03-22 21:24:20 | 産科
春分の日は、どこかへ出かけられましたか?

タマル産では祝日でも、難産の初産婦さんのお産を1日かけてお手伝いしていましたよ。
きっと他院だったら帝王切開になっていたであろう出産でした。
大きくて、へその緒が引っ張れていて、まだ子宮口が6センチだと言うのに心音が下がってきたのですから。
でもね、そこは経験で乗り越えましたよ。
一般の病院では産婦人科医はお産の時には居ますが、陣痛の経過までは診ないのです。
タマル産では、経過をずっと診るのが他院と違うところですからね。
こうしてまた1件、ちゃんとしたお産のお手伝いができましたよ。

写真は、春分の日の大阪でのイベントに、我が娘家族が参加しているところです。
田舎にも、こんな企画が有ったらおもしろいでしょうね。
誰か企画してくれませんかね?
こうして実際には孫育てしていなくても、写真は送ってくるので楽しんでいますよ。
生後10ヶ月になって、つかまり立ちもできるようになったようです。

ところで今は春休み、という人も多いのでしょう。
高校生や若い女性もたくさん来院されるています。

最近来院されたある女性は、性感染症を4種類も持っておられました。
淋菌は細菌ですから抗生物質で治ります。それでも最近では耐性菌のことも多いのですが。
クラミジアは細菌とウィルスの間のようなものなのですが、これもある種の抗菌薬で治ります。
外陰部尖圭コンジローマという性感染症はウィルスなので、一時的にしか治りません。
保険適応の塗り薬も有るのですが、外科的に切除するかレーザーで焼く方が早く治ります。
でも調子が悪いとまた顔を出すのですよね。それに他人にもうつしますからね。
そしてヒトパピローマウィルス、これが一番やっかいですよ。
21歳にしてすでに子宮頚部異形成という状態です。
HPV16型を持っておられたので、将来、高頻度で子宮頸がんになりますからね。

これが1人の若い女性に見られた感染症です。
聞けば、前の彼氏がホストだったのだとか。
今の彼氏には今度はうつす番で、治療に行ってもらっているようです。
さてこの女性は今後、幸せになれるのでしょうか。

ここで新たな言葉ですが、「ホスト」とやらが流行しているようですね。
芸能人でも隠さずに報道していますからね。
若い子たちも、憧れてしまうのでしょう。

また別の高校生の話です。
やはり性感染症を認めたので、誰にうつされたのかと聞いたら、
彼女だそうですよ。
そしてまた彼氏にうつしているのです。

また新しい言葉ですね。近頃の高校生は女性同士で性行為しているのだそうです。
最近の中高生の教科書は、このLGBTとやらを正当化して教えているようです。
こんな過激な教育では、興味を持った子たちが、同性同士での性行為は良いことだと思ってしまうのですね。

はっきり言いましょう、性的少数者を差別してはいけませんが、
あえて公表することでもないでしょう。
医学的に治療するのなら、保険診療で外見を変える手術ができるそうですが、
それよりもホルモン療法で本来の性を認識できるようにしてあげる方を優先するべきでしょう。
もう1つ、結婚するまで純潔を守れる人が居るように、
たとえ性的嗜好が違っても、道徳的に純潔を守ることだってできるわけです。

この4月から、中学校では道徳の授業が復活するようですね。
再開される目的は、いじめ問題に対応するためのようですが、
最も人としての本質的な問題である、「性」の問題を議論させないといけないでしょう。
それは安易に遊びの道具ではなく、将来幸せな家庭を築くことまでを意識したものでなければなりません。
家庭でも、学校だけにまかせておかず、きちんと教育しなければなりませんね。
私たち親は、こどもたちのことを、ちゃんと理解しているでしょうか?





子育てを楽しんでいますか?

2019-03-20 20:12:39 | つれづれ
写真は、篠山市住吉台の音矢(おとや)くん、2月12日生まれ。
「優しく、強い子になってください。
4人目でしたが、思ったより長かったので、その分しんどかったです。」

1人目、2人目は京都で、3人目からはタマル産でのお産でしたね。
5人目も可能性が有りそうかな?ということでしたが。

この3月までは比較的、お産の予約は少ないのですが、
4月から予約を断るくらいの出産を予定しているのです。
昨晩も、みなさんが休んでいる間に、2人の赤ちゃんが生まれましたよ。
そうですね、この20年間、1日の休みも無く働いています。
まあ私よりも、自分の子供たちに十分なことをしてやれなかったことに、少し悔いは残りますけれど。
それでも使命感だけでやっていますよ。
ちょっと恩着せがましいかもしれませんね。

先日外来を受診された或る患者さんが居られて、
話だけですぐ帰られたので、何も思っていなかったのですが、
その後にグーグルに悪意の有る投稿を延々と書かれていましたよ。

他院で複数回診察されて、けい留流流産と診断されていて、
いつ大出血が起こるか分からないと言われているのに、連日大阪まで通勤しているそうです。
それでタマル産に来られたのは、大病院が休みで、しかも仕事も休みの土曜日ですよ。
上の子のお産は近くの病院だった方です。

もとからタマル産で健診する気も無かったようですので、
仕事を休んで以前よりかかられていた病院を受診するように勧めただけなのですけれどね。
それが冷酷だと、私に対する不満だけでなく、タマル産に通われている妊婦さんの悪口まで書くものだから、
来週には弁護士に依頼して法的に対応する予定です。

最近は匿名で誹謗中傷してはストレスを発散する類の人が居ますが、
そのうち痛い目を見ますよ。
すでにアメリカでは、クリニックに悪意の有る投稿をしただけで、
業務妨害の代償として数千万円の賠償金を請求された事例も有るのですからね。

ニュースでは連日、医療機関の悪口ばかりを書きますが、
ほとんどの医療機関は、多忙な中でも精一杯良心的な医療を心がけているはずです。
先日書いたように、医師の働き方改革が成されなかったことでも分かりますよね。
報道機関はまずそちらを報道すべきで、ごく一部の例外的な記事ばかり載せるのはどうでしょう。

ちょっとアホらしくて、呆れてしまっていますが、
身近に有るクリニックに退場して欲しいのでしょうかねぇ?
結局我が身に返ってくることになるのにね。
いつも頭の中が悪意に満ちている母親に、ちゃんと子育てができるのでしょうかねぇ。

それに比べて写真のお母さんは、いつも明るく子育てを楽しんで居られますよ。
付き添いのお婆ちゃんにも、子育てがたいへんでしょうと尋ねてみたのですが、
それどころか手伝えることに喜びを感じておられました。
それこそが、地上天国ですよ。
天国は空の上に有るのではないのですよね。
今現在、自分の生活の中に存在しているものなのです。