タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

子を育て親が育つ

2020-08-28 20:58:12 | つれづれ
初診の方には、「Her Story」という雑誌をお配りしているのです。
待合室のラックにも並んでいるので、待っている間に目を通してくださいね。
良い話が載っているのですよ。

今回は、里子を育てるお母さんの話が冒頭に有りました。
いわゆる不妊症のカップルであったことが幸いした、と言われています。
たくさんの、親に恵まれなかった子たちを育てあげられたのです。
しかも障害を持つ、二重にハンデを持つ子たちです。
その子たちは学校では、里子だからといじめを受けるのだとか。
ですが、私があなたたちを守から、と言い続けて育てられてきたのですよ。
今ではご主人がリタイアされたのですが、その役割を1人の男の子が養子になってくれて、続けられているのだとか。
お母さんのやってきたことを理解しているその子だからこそ、
同じように次の子たちを育ててくれるのだそうです。

日本では少子化と言いながら、親が育てられない子供は、むしろ増えているのです。
その子たちを社会で育てていかなければならないのです。
その前に、育てられない親を出さないような社会に変革しなければいけないのかもしれません。

不妊のカップルでは、子育てができないと親にはなれないという寂しさが有るでしょう?
丹波篠山でも、養子制度や、短期間の里親制度などを利用できるのです。
実際にここ篠山で、養子をもらったり、里親になられている方も知っていますよ。
なかなか真似はできないかもしれませんが、周りに居られたら、どうか温かい目で見守ってあげてください。

子供が育つには、温かい家庭が必要なのは当然ですね。
両親の仲が良ければ子の心身の発達も良好になります。
私も両親が共働きで、鍵っ子でしたが、それでも両親の仲の良さは感じていました。
もしも離婚するような家庭ではどうでしょうか?
子にかまってやる時間も無いでしょうし、それ以上に父親の役割をする人が居なくなってしまいます。
あるいは両親が同性であればどうでしょう?
自分なら受け入れられるでしょうか?

ハーストーリーという雑誌は、「みなさんそれぞれの女性の人生」という意味ですよ。
西洋でヒズストーリーと言えば、キリストのことを指すのですが。
女性こそが家庭の主役であり、地域の主役であるのです。
家庭が幸せになれば、世界までもが平和で幸せになるのですからね。
そんなことまで考えさせられましたよ。

そういうわけで、今日はこれまでお世話になった方々にも、郵送で送ることにしました。
外来を受診される方には、直接手でお渡ししています。
もしご主人に読ませたい、という方は、受付でおねだりしてください。
子を育て親が育つ、この言葉を合言葉にしたいものです。






里帰り分娩の受け入れ再開のお知らせ

2020-08-21 21:32:57 | 産科
少し前に、市内の念仏寺の住職から励ましの書を頂いた時のものです。
今の心「先生の真念」心より感謝しております、と有りました。
とても感激したのですよ。

今回、ようやく市とは和解し、今度記者会見をするそうです。
新聞社にはなかなか思いが伝わらないので、できれば私は敬遠したいところなのですが。

「信念」でなく「真念」と書かれているのは、もちろん間違いでなく、わざと書かれておられるのでしょう。
「真(まこと)」という言葉は、真なる神様、真なる愛、などと使われるからです。
そこには唯一不変の、混じり気のない真実という意味が隠されているのですよ。

我が家の次女は、8月15日生まれで、8月15日の聖人はマリア様なのです。
欧米では、誕生日の聖人にちなんだ名前を付けるのですよ。
しかも真という文字を入れました。
その娘がこの度、教職を辞めてタマル産の手伝いに帰ってくることになりました。
今まで分娩の受け入れを中止の方向で動いていたので、再開となれば人手不足ですからね。

それに加えて今日も、看護職員と調理師さんを採用しました。
これで何とか夜勤も2人体勢になって、現在中止している里帰り分娩も再会できそうです。
そこで、来年の4月1日予定日の方から、里帰りの方の受け入れを再会する予定にしました。
その頃には新型コロナの予防接種も出回っているでしょうしね。
接種は、妊婦さんや医療関係者、高齢者から優先されるようです。
若い方や子供さんは罹患しても、高齢者と妊婦さんにだけうつさないようにすれば、大きなトラブルにはならないでしょうからね。

さて、今夜もお産になりそうですので、この辺で。

P.S.つい先ほどのニュースで、妊婦さんと、新型コロナを診療していない普通の医療従事者は、優先接種者から、はずされるようです。私も妊婦さんも当分の間、接種はできないようですね。






職員、大募集中です

2020-08-14 20:58:59 | つれづれ
みなさんはお盆をどう過ごされていますでしょうか?
タマル産では、昨日からの3日間、外来はお休みを頂いていますよ。
それでも昨日も赤ちゃんが生まれたので、病棟には休みなんて有りません。

その合間を縫って、子どもたちや孫と遊んでいます。
子供は大きくなっても、親にとっては子供のままなのですよね。

ユニトピア篠山は、一部改装されていて、プレイルームができていました。
と言っても、壁を登るボルダリングは、子どもには無理ではないかしら。
私は文部省の指導者講習会の、春山、夏山、冬山と3つとも受けているので、
ザイルを付けて岩肌を登るのは、お得意のはずでしたが・・・
それは遠い昔のようですね。
今は孫に絵本を読んであげることくらいのようです。

さて、昨年から今年にかけての兵庫医大撤退による市の迷走で、
タマル産ではすっかり産科廃止の方向で進んでいて、
職員の欠員の補充もしてこなかったのですが、
この度、市と和解することができそうです。
今回初めて市長からタマル産へのお詫びのお手紙が届きました。
もちろん皆、市民の幸せのために働いているのですが、餅は餅屋で、産婦人科医療に関しては専門家の意見も聞くべきでした。
ですがこの度、ともに連携していこうということですので、
もう一度、タマル産は復活することにしましたよ。

そこで、職員を大幅に増員することにしました。
助産師、看護師、准看護師はもとより、
看護補助、調理師に到るまで、大増員です。
そうは言っても、今は医師だけでなく、看護職員も採用が困難にっており、
給料は特別高いわけではないのですが、それでも赤ちゃんとお母さんのお世話をできるというメリットが有ります。

タマル産で働いた職員は、よく妊娠されるのですよね。
どうも幸せオーラを感じられるようです。
もちろんそんな時は、産休も育休も全取得できますからね。
現に秋から1人、産休入りなので、とくに急募してるのです。
平日だけで夜勤はできないという看護職員も募集しています。
興味の有る方は、お問い合わせください。
まったくの産婦人科未経験の方や、来年、高校や看護学校を卒業される若い方も大歓迎です。
今は看護学校の学費も、市の奨学金で賄えますからね。
何の免許も経験も無い、子育てが終わった30代、40代、50代のお母さんだって、看護補助として働けますからね。

お産は安全、安心、快適に

2020-08-07 20:57:05 | 産科
今日はいきなりグラフからです。
妊産婦死亡数なんて言うと、ちょっと怖い数字かもしれませんが、お産の安全性を示すためによく使われます。
この10万人のお産に対して、80人とか40人の死亡数と言うのは、それは世界でトップクラスの安全な国だということを示しているのです。
それでも日本では1年で100万人近く生まれるので、800人とか400人くらいの母体死亡が起こっているということですね。

私は産婦人科医になって、5千人ほどの出産に立ち会ってきましたから、2人くらい亡くなられていてもおかしくないのですね。
不謹慎な話ですね。
お産では250人のお産に1件は、生命を落とすリスクが有りますが、日本では医療連携によって、そのうちの99%が助かってきたと言われます。

何が言いたいかと言えば、とにかく安全で、というお母さんが増えてきたように思うのですよ。
すでに世界一安全なのに、さらに安全でないといけないと感じるのです。
実はグラフが示すように、2004年頃から確かに母体死亡率は下がってきていますが、その代償として失ったものは、とても大きいのです。

2004年と言えば、タマル産が柏原から篠山に引っ越してきた年です。
この年は福島県立大野病院事件が有った年ですから、産科医療が崩壊した年として記憶されています。
病院は安全性を高めるという意味で、何でもかんでも帝王切開するようになりました。
例えばさかごや既往帝王切開は、軒並み帝王切開する時代に入ったのです。
そして病院の集約化が起こり、センター病院には医師が20人以上も居るようになり、
代わりに医師が数人の地方病院は潰れていったのですね。
開業医も同様に閉める所が増えていったのですよ。
確かに死亡率は少し下がりましたが、それを安全性が高まったと言うのでしょうけれど、
決して、快適なお産になった、とは言えないのではないでしょうか。

まあ、そんな年に篠山に開業したのですから、初めから時代に逆行していましたね。
それでもタマル産では、さかごも普通に産んでもらったり、既往帝王切開でも経膣分娩をしてもらってきたのです。
ですがさすがに最近は、経膣分娩を希望されるお母さんは減ってきましたよ。
それで今年から始めたことと言えば、さかごのお母さんに、外回転術でさかごを治して、頭が下にうまく回転すれば経膣分娩にしています。
もちろんタマル産では希望されれば、さかごのままでも経膣分娩も選択できるのです。
大きな病院は裁判が怖いので、まず帝王切開ですけれどね。

そういえば今年はこの数ヶ月、帝王切開をまったくしていないのです。
前にいつ行ったか、忘れてしまいましたよ。
1人目が帝王切開になってしまうと2人目も帝王切開になってしまうので、やっかいです。
それで1人目の妊娠中の過ごし方がとても大切なのです。

難産の原因で多いのは、へその緒が首に巻いていることと、お母さんの太り過ぎによる赤ちゃんの太り過ぎです。
それでお母さんが太りすぎると注意をしてあげるのですよ。
それが妊婦健診の大きな目的の1つだからです。
今週はある妊婦さんに、妊娠中期ですでに13キロも体重が増加するものだから注意したのですが、
次の健診からは他院に転院すると連絡が有ったようです。
まあ、このお母さんは、他院ではおそらく帝王切開になられるでしょうけれど、そんな時代なのですね。

みなさんは、お産を「安全、安心」という基準で考えられるのでしょうけれど、
もっと「快適に」、と考えられても良いと思うのですよ。
タマル産の目標は、「安全、安心、快適」の3つなのですから。