タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

子育ては罰ですか?

2022-01-28 20:38:41 | つれづれ
今日の料理は、タマル産のインスタで見れますよ。
https://www.instagram.com/tamar_birth_kitchen/

もうすぐ赤ちゃんが生まれるので、急いで書きますよ。
今週は3日懸かりのお産も有りましたしね。
赤ちゃんを産むお母さんにとっては一生で数回のことなのでしょうけれど、
私にとっては2日に1回は、夜もお産の介助をしているということです。
今週の難産のお母さんは、帝王切開をしてくれと懇願されたのですが、
ちゃんと赤ちゃんを産めた後には、とても感動と感謝をしてくださいましたよ。
すっかり笑い話になっています。

お隣の韓国の合計特殊出産率は日本の1.34よりさらに低くて0.84です。
あと10年もすれば日本もそうなるのでしょうね。

そこで今回は、「子育て罰」という本を紹介しておきましょう。
副題は「(子育てに冷たい日本)を変えるには」、と有ります。
著者は末冨芳、桜井啓太両氏です。

親、とくに母親に育児やケアの責任を押し付け、父親の育児参加を許さず、
教育費の責任も親だけに負わせてきた、日本社会のありようそのものです、というのです。

そしてその原因は政治や学校あるいはPTAにあるとしています。
子育て世代は、税金が上がっても、公教育費を大学まで積極的に進めるべきだと考えているのにです。
その政治家とは、いわゆる男性社会ですからね。

ここから先は私の意見ですが、これを改善するには、皆が投票に行くしかないでしょう。
1票の格差の是正が必要だと言われますが、
所詮、多数決は人数の多いグループの意見が通るのです。
要するに子育て世代ではなくて、高齢者の意見で税金の使われ方が変わります。
私は丹波篠山市長に提案したことが有るのですが、
若い人には1.5票分の投票権を与えられないか、人数の少ないグループの意見も聞くようにと。
ですが現実には、不謹慎な言い方をすれば、生い先短い人のための政治なのですよ。
政治家は当選することが目的になってしまって、有権者の数ばかり気にするからです。

あと10年か20年で、日本でも韓国と同じように赤ちゃんに会えなくなるかもしれないのですよ。
今を逃すとそうなるのです。




しばらく里帰りの立ち会い分娩は禁止です

2022-01-21 20:27:25 | 産科
今朝はこの冬一番の大雪になりましたね。
皆さんが来院される前に、クリニックの周囲に融雪剤を蒔いて、早くから暖房を付けてお待ちしていましたよ。
朝は高校生たちが自転車でクリニックの前を駆け抜けていきますしね。

さて、今日は予定を変更して、里帰り分娩のお話を致しましょう。
突然、丹波地域でも新型コロナ感染症が増えだしました。
保健所もギブアップのようで、今日から丹波方式での濃厚接触者への対応が変わりましたので、お知らせします。

内容は、保健所はもう濃厚接触者の指示を出さないということです。
施設や職場や自分で自己判断でしなさいというものです。
定義は1m以内でマスクをどちらかが付けない状態で15分以上の接触があった場合、というものです。
症状が有る場合だけ診察を受けて、その他は自宅で自分で隔離するのです。誰も指示しませんが。
そして濃厚接触者も感染者も、10日すれば再検査をせずに復帰できるのですよ。
細かい例外はここでは省略し、妊婦さんに関係の有るところだけ抜粋しました。

昨日タマル産では、もうすぐ予定日の里帰り分娩の妊婦さんが濃厚接触者に指定されました。
せっかく里帰りされているのに、ご主人が都会から訪問されて、翌日に発熱され、ご主人がPCRで陽性だったのです。
予定日まで2週間というところで、10日間の自宅待機になられたのですよ。
もしこの間に陣痛が始まれば、再度検査をして、陽性になれば帝王切開です。
陰性であれば感染症対策をしての分娩になります。
幸い、今回は県立丹波医療センターで受け入れてもらえることになりましたが、
時期によっては、神戸市内まで行かないといけないところでしたよ。

さて、ここでしばらく注意が要りそうです。
おそらくこれから2ヶ月近く、感染症が増えるでしょうから、
里帰り分娩をされる方はよほどの注意が必要です。
都会から帰省されることが多いでしょうから、1週間以上は里に居て、
すぐには妊婦健診には来ないようにしてくださいね。
ご主人とは産後まで会わないようにしてください。

ご主人については、陣痛が始まっても来院されない方が良いでしょう。
とても残念ですが、まん延防止期間の間、立ち会い分娩は避けてくだい。
もし後から感染が発覚した場合には、スタッフ全員が濃厚接触者となり、
10日間、クリニックを閉める必要が出てきます。
そうなると外来も入院も受け入れできなくなるからです。

今までは、ご主人はマスクさえすれば立ち会い分娩を許可していたのですが、
おそらく2月いっぱい、感染者数が落ち着いてくるまでは辛抱してくださいね。

では里帰りでないご主人の立ち会い分娩はどうするか、と言えば、これは自己判断になりますが、
大阪や神戸市内に通勤されている場合は、立ち会いしないでください。
もし妊婦さんにうつしてしまえば、お母さんや赤ちゃんの生命にも関わりますからね。

以上がお知らせでした。




2020年の不妊治療の成績

2022-01-14 20:43:50 | 不妊症
毎年、1月には帝王切開と不妊治療成績を公表していますよ。
帝王切開は2021年の成績で、先週報告しましたね。
本日は不妊治療の成績なのですが、2年前の2020年に受診された方の成績です。
2021年の成績でないのは、検査と治療に1年近くかかるからですよ。

過去10年分の成績を比べてみました。
青い部分がタマル産の不妊外来を初めて受診されてから1年以内に妊娠された方の割合です。
48%ですから、治療を続ければ1年以内に半分の方が妊娠されるということです。
緑の部分が体外受精や顕微授精に紹介した方の割合です。
今回は半分近くにもなりました。増えてきたものです。
タマル産では15年ほど前までは体外受精の治療を行なっていたのですが、今は他院を紹介しているのですよ。
オレンジの部分は、1年経っても妊娠しなかった方の割合です。
わずか6%で、何年も無駄に患者さんへの治療を長引かせていないのです。

この結果から少し考察をしてみましょう。
多少のでこぼこは有りますが、青い部分は減少傾向にあり、傾向としては妊娠成立率が徐々に下がってきているようです。
これにはいくつか原因が有って、1つ目に、治療開始年齢が遅くなってきているということが有ります。
2つ目として、タマル産での治療はより短期間に限定してきているからです。
人工授精は以前は6回から8回くらいまですることも有ったのですが、
今では年齢に合わせて2回から6回までとし、それで妊娠されない場合はすぐに体外受精を勧めているのです。

体外受精は神戸アドベンチスト病院か小野レディースクリニックに紹介することが多いですよ。
以前は英(はなぶさ)ウィメンズクリニックや大阪のクリニックに紹介することも有ったのですが、
通院に疲れてしまう方が多いものですから。
そこでの成績は必ずしも返事が無いので統計は取れていません。

この4月から体外受精の注射が保険適応になるとか、手技自体も保険適応になるのかどうか、
人工授精にも保険が広がるとか、いろいろと噂が有りますが、直前まで発表されませんからね。
ですが一斉に体外受精を受ける患者さんが増えるのは間違いないでしょう。

23年前に丹波で初めて体外受精の治療を始めたのがタマル産でした。
それから7年で、分娩のみにスタイルを変更したのです。
その頃はまだニーズが今ほどではなかったからです。
もしそのまま体外受精の治療を続けていればどうなっていたでしょうか?
おそらく小野レディースクリニックのように、お産はやめて不妊治療だけになっていたでしょうね。
丹波圏のためには、むしろお産専門になって良かったと思っていますよ。
体外受精なら多少遠くても、みなさん通いますからね。

丹波篠山市でラッキー

2022-01-07 20:29:26 | 産科
明けましておめでとうございます。

最近では年賀状を書くことも無くなりましたか?
それでもまだまだこうして皆さんから、赤ちゃんの大きくなられた姿の賀状を送っていただくのです。
受付に貼らせていただいています。


30年以上も送ってくださる方も居られます。
ということは赤ちゃんではなくて立派な大人になっているのですね。
あるいは卵巣がんで治療して、その後さらに20年くらい経つのに元気だという賀状も。
1枚ずつにいろいろ思い出が湧いてくるのですよ。
ちなみに送っていただいた方には、ちゃんと上の年賀状の返事をお送りしていますからね。

さて、年の初めに昨年の医療成績の統計を取ってみましたよ。
というのも兵庫県のシステムに毎年、報告義務が有るからです。
みなさんも各医療施設の情報が簡単に調べられるのを知っていましたか?

タマル産で昨年生まれた赤ちゃんは166人でした。
一昨年が169人だったので、結局、新型コロナにも関わらず、落ち込みは少なかったのです。
都会ではすごく落ち込んでいるようですけれどね。

166人のうち帝王切開で生まれたのは、わずか4人でした。
その前の年は3人でしたから、率で言うと2年連続2%ということになります。
普通はどこの病院でも30%くらいですからね。
166人生まれるとすれば50人以上は帝王切開になるものです。
ところが丹波篠山市で産むと、46人は帝王切開せずに産めたということです。
ちょっと驚いてほしいポイントです。

丹波市で産むと100人中30人が帝王切開になるのに、
丹波篠山市では100人中2人だということですよ。

よく、大きな病院で産むと安全で安心だと最近では言われますね。
ですが帝王切開するといろいろと合併症が有るものです。
まず、出血がたくさんします。
輸血をすることも増えるでしょう。
産後の日断ちも悪くなります。
次も帝王切開ですからね。満足感も少ないかもしれません。
一番大きなことは生命への危険度が大きな病院の方が大きいかもしれないということです。

昨年は実験的に、里帰りで管理不十分な大きなお腹の初産婦さんと、さかごの初産婦さんを大きな病院に紹介してみました。
ですがあまり良い顔をされなかったので、今年は以前のように、基本的にタマル産でみんな診ていく予定です。
本当はリスクの高いお産の人は、大きな病院が積極的に受け入れていくべきだと思うのですが、
最近は大きな病院は低リスクのお産ばかり受け入れていますからね。
これでは地域医療センターとしては機能していないのではないでしょうか。
県立病院として多額の助成金を受け入れているのにね。

タマル産が帝王切開率が低いと宣伝したら、ある人が「タマル産は帝王切開はしないのですね」と言われたとか。
そんなことはありませんよ。
昨年の4人の帝王切開のうち、2人は緊急の帝王切開でした。
どうしても100人のうち1人は、緊急で帝王切開になってしまうものです。
ですがわずか1%のことです。
そして残り2人の帝王切開の適応は既往帝王切開でした。
前回が帝王切開だったので、繰り返しの帝王切開だったということです。
この1%分も避けられないことです。
ですからどんなに頑張っても、2%が限界ですね。
これ以上は下げられませんし、これ以上低いところは世界中どこを探してもないでしょう。

丹波篠山市の妊婦さんはラッキーですよ。
世界一安全なお産ができるのですからね。