タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

卵管検査の意義

2024-03-29 16:01:28 | 不妊症
今日のお昼はおもしろいことに、とんかつの柳川鍋でしたよ。
ちょっと変わっているでしょう?

さて4月は丹波篠山市でも議員選挙が行われますね。
タマル産の存続を希望する方は、ぜひ子育て支援に注力する議員さんを応援してくださいね。
具体的には安井ひろゆき議員さんに投票しましょう。

市はお産も外科救急もやめてしまった兵庫医大にいまだに毎年、数億円も助成しているのですからね。
西宮の本院が赤字経営になってしまったので、丹波篠山市に助けてもらおうと、大幅に助成金のアップを申し出ているそうですね。
それに対してわずかばかりのタマル産への助成に対して文句を言う一般人や市会議員さんが多いのには閉口してしまいますよ。
ポストに悪口を投函する人や、人伝に悪口を言う人がいるのですよ。助成金は助産師さんや看護師さんの増員のために使われているのですけれどね。
私の給料なんて20年間ほど無料だったのですよ。
そう、無料奉仕です。最近はようやく給料が出るようになったところです。
そんなわずかな収入ですが、多くを世界の平和のために献金していますよ。
給料を何に使おうが放っておいてもらいたいものですね。

さて今日は前回の続きの不妊治療のお話をしましょう。
前回は主にPCOSの話でしたね。
赤ちゃんが欲しくなって1年経っても妊娠しなければタマル産の不妊外来を受診してください。
年度ごとに5万円までは無料ですよ。
この3月末でいったん終了ですから、助成の申請をしてくださいね。
そうすると不妊検査はすべて無料になるのですから。
ただし年収制限が有るのですが、これは早く撤廃するべきでしょう。
カップルで働けば所得税が累進課税で多く支払っていますから、それ以上にに子育て罰を課す必要はないのです。
それどころか働いていない人は子供を欲する人は少ないでしょう。
子供をそれほど欲っしていない人への助成というのは間違っているでしょう。

本題でした。
今日は卵管の検査のお話です。
卵管は細いストロー状になっているので、ここを通り抜けられる元気な精子だけが、
その先の卵管膨大部で待っている卵子まで辿り着けるのですよ。
だから精子が元気無かったり、性感染症で卵管が詰まっていたり、子宮内膜症という病気で卵管が癒着していたりすると受精までいかないのですね。

それで卵管の検査は重要なわけです。
通りが悪いと子宮外妊娠になりますからね。
左右どちらかの子宮外妊娠で手術された方は、反対側でも子宮外妊娠になる確率も高いのです。
そんな場合は体外受精しか治療法は無いので、タマル産でも以前は体外受精をしてあげて何例も成功しています。今は他院を紹介していますが。

その卵管の検査には大きく分けて2つの方法が有ります。
1つは造影剤を注入してレントゲンで透視する方法です。
ですがこれはあまりお勧めではありません。
それはヨードを含む造影剤によって、一時的に甲状腺機能低下症となって、逆に不妊症になるからです。
この点は神戸の隈病院の先生も指摘しておられますよ。
水溶性のイソビストでも10%に、油性のリピオドールでは25%の症例に起こります。

それを考えれば炭酸ガスを通す通気テストがお勧めです。
外来で数分でできますし、被曝の問題も有りませんからね。
痛みも少ないのです。
さらには卵管の動きまで分かりますからね。
タマル産ではもちろんこちらの方法でしています。

マウスで実験をしていた私のようなドクターなら分かるのですが、
マウスの子宮に炭酸ガスを注入するだけで、子宮が妊娠したようになって、妊娠率が高まるのです。
だからヒトでも、子宮内膜が厚くなるので、この検査の後に妊娠する女性が多いというのは、経験的によく知られた事実ですよ。
ですが上に書いた通り、造影剤では逆に一時的に不妊症になることが有りますからね。

そういうことで、卵管の検査をしましょうと言われたら、積極的に受けてくださいね。




不妊症の原因で多いPCOSについて

2024-03-22 15:38:14 | 不妊症
今日のクリニックのお昼は、ハンバーグでした。
なんだハンバーグかと思われるでしょうけれど、プロが作ると、焦げ具合が絶妙なのです。
中にはレンコンも入っているのかな・コリコリ感も有りましたよ。
残念ながら今陣痛で入院されている方は食欲がなくて食べれませんでしたが、代わりにご主人が食されています。

私も健康に良いと言われるものはけっこう試しています。
妊婦さんがご飯がおいしくて太るとよく言われるので、そんな時は玄米食をすすめるのです。
私も白米に玄米を混ぜています。
しかもね、無農薬のものですよ。
これからの時代は無農薬というだけでアドバンテージが有りますからね。

さて今日は、不妊症のオーソドックスな話題です。
月経が不規則な女性の多くは、PCOSです。
日本語では多嚢胞性卵巣症候群というのですが、長いのでPCOSです。
私の博士論文もこのPCOSに関するものでしたし興味深いですよ。

診断はこの月経周期の異常と経膣超音波検査で予想がつきます。
さらに血液検査で男性ホルモンが高いか、LHという下垂体ホルモンが高いか、
の3つ揃えば診断されます。
タマル産ではこのホルモンの検査は重要視していて、負荷試験という形で検査をしています。
内科でも糖尿病を診断するのに、1回の血糖値でも測れるでしょうけれど、糖負荷試験をしますね。そんな感じです。

男性ホルモンが高いと男性型の多毛症になります。
多毛症の治療には抗男性ホルモンが良いと思うのですが、保険診療の範囲で安全に使えるものはなさそうです。
それよりも対症的に排卵誘発剤を使うことが一般的なのです。
もし多毛症で困っておられるなら、タマル産の美容皮膚科を受診してください。
youtubeでおもしろい動画を見つけましたよ。ロシア人の脱毛事情です。
https://www.youtube.com/shorts/1VUZsGO69OY
以前パレスチナの日常を描いた映画を観たことが有るのですが、
女性たちはチューインガムのようなもので手入れしていましたよ。日本でも有るようですが。
ですが彼女らの日常はすでに奪われてしまっているのでしょうね。

私もyoutubeデビューしたので、最近はまっていますよ。
https://youtu.be/Z4fIe-zbfv0
現在は終末の世界で、善と悪とが戦っています。
みなさんが新型コロナワクチンを騙されて打ったのもそうせいでしょう?
自然災害だと思っていることも兵器として確立されている技術ですよね?
アンテナを張ればすぐに分かることです。

ですが諦めてしまっているのでしょうか?
それとも日々日本人にだけ流されるくだらないニュースのようでニュースでないものを報道され続けているせいでしょうか?
これを解決するのは祈祷しかありません。
というわけでyoutubeデビューしてみたのです。






地方での消防隊との搬送訓練

2024-03-15 16:09:17 | 産科
今週のお昼の1つから〜
●鶏ももポワレとお野菜
●蛸と烏賊のマリネ
●ミネストローネ
●菜の花カシューナッツ炒め
●蕗の酢味噌和え
○ショコラパンナコッタとクコの実

最近は牛肉より鶏肉の方が消費量が増えているそうです。
安いからというだけではなくて、健康のためという話ですね。

お産で生命を落とすことがあるなんて、誰も想像しませんよね。
ところが世界一安全と言われる日本でも年間50人ほどの妊婦さんが亡くなっています。
兵庫県でいえば、毎年1人くらいの感覚でしょうか。
初発の症状が出るのは診療所半分、病院半分ですよ。
決して診療所で多いとは限りません。
それどころかこれだけ帝王切開が増えれば病院での事故も増えるでしょうからね。
実際、帝王切開中の死亡例も2%有りますよ。
さらには最近、無痛分娩が流行っているらしく、よくもまあわざわざ命懸けでしますよね。

お母さんがお産で亡くなる原因で一番多いのは産科出血です。
産科の出血ってね、バケツで水を流すごとくに出血することが有るのですよね。
タマル産では輸血しないといけないようなお母さんが年に1人有るか無いかです。
この数も他院よりずっと少ないのですよ。
最近は全国的に出血による母体死亡数は減少していたのですが、2020年度以降は再び増加傾向にあるので、
院内での訓練以外に、「院内・地域のシステムについて、今一度見直してね」という通知が日本産婦人科学会から出されたのですよ。

そこで兵庫県では、通報システムをバージョンアップさせようと、先日オンライン勉強会が開かれました。
通報システムってどんなものかというと、ネットに受け入れられるベッド数が載っているので、検索してね、というものです。
でもね、仮に朝一で登録したとしても、刻一刻と入院患者数や医師が手術中かどうかなんて入力できないのですよ。
まして入力補助者が24時間コンピューターの前に座っているわけではありませんからね。
結局、先の通報システムは機能していないので誰も使っていません。
そして今回のバージョンアップですが、びっくりするほど事務の人が現場を知らずに作ったとしか言いようのないものなのですよ。
お金の無駄遣いですね。
結局電話を1本した方がよほど効率が良いのです。

それではとばかりに、私は議員さんを通して消防署に搬送訓練を申し入れたのです。
他の医療施設もこの際とばかりに何件か個別に申し込まれたようです。
その結果ですが、結論を言うと、消防署は個別には対応できないのだそうです。
何条何がしにそう書いてあるかららしいのです。
なんだ、それなら初めからお互いに貴重な時間を使わなければ良かったですね。

産科の危機的出血では2〜3時間で心停止に至ります。
だから2時間以内に神戸大学に到着しなければなりません。
初発症状からは処置が30分、大学病院への電話連絡から返事までおおよそ15分、それから消防に出発依頼してからタマル産を出発するまで15分はかかるでしょう。
さらに救急車で1時間15分ほどかかるのです。
だから2時間15分という計算です。
そこでこの15分を短縮する相談をしたのですが、断られたという次第です。

理由は彼らは公務員であって、急いで交通事故を起こしてはならないし、搬送先を間違えてもいけないし、
制限速度も守らなければならないということです。
そうか、私たち医療者は消防隊のことを医療従事者だと思っていたのですが、そうではなくて、公務員だったというわけです。
定年まで無事故無違反でいかなければならないのですね。

最近のニュースで、鳥取県では救急医と消防隊との間にパワハラが有ったとして、救急の部長と副部長がクビになったそうです。
救急課は産婦人科以上にミスが犯せない、極限の状態で指示を出しますからね。
さてこれからの時代、どちらが正解だと思われますか?
結論は明白で、患者さんより自分達の身の安全です。
東日本大震災では自分の生命を捨てて避難誘導をした義人の姿が伝わりますが、そんなヒーローは要らないということなのですよ。

更年期のお話をしましょう

2024-03-08 15:42:11 | 婦人科
今日のお昼は「つけそば」でした。
あんかけのような感じですが、初めての食感でしたよ。
私の娘は大学時代に丸亀うどんでアルバイトしていましたし、
私も若い頃は焼きそばやで働いていたのですよ。
そうそう昨日の夜も私が食事当番の焼きそばでしたし。
家族で麺好きというわけですね。

昔のことになりますが、新潟で日本産婦人科学会が有った時に、
連日先輩ドクターに、そうめんを食べに連れて行かれたのが懐かしいのです。
新潟は越乃寒梅や八海山も美味しいのです。
今は一滴もお酒は飲みませんけれどね。

さて今日はめずらしく産科や不妊症でなく、婦人科の話題をしてみましょうか。
婦人科を来院する患者さんといえばまず、若い方のホルモン剤の処方か性感染症、
50歳前後の出血と、更年期症候群、それに老年期の子宮下垂のどれかです。
その中で今日は更年期症候群のお話です。

よく調子が悪いと血液検査をしてくれと言われます。
でもね、更年期症候群は血液検査でなく、症状を点数化して重症度を判定することになっています。
もっとも一番困っている症状を軽減させれば良いということになるのですが。

更年期はイライラや首の後ろの痛みを訴える方が多いです。
このような症状には加味逍遙散(カミショウヨウサン)は劇的に効きますね。
ひどい場合は女性ホルモン剤や西洋薬も処方しますよ。
女性ホルモン剤の中では飲み薬よりも塗り薬の方が肝臓で代謝されない分、副作用が少ないのです。
女性ホルモン剤の飲み薬は肝臓の数値が上がりますからね。

更年期を過ぎると一気に女性は老けてしまいます。
ゴメンなさいね、ですが実際に手のしわやほうれい線が気になる方が増えるのです。
それに脱毛や髪の毛の張りが無くなることでしょう。
60歳くらいまで女性ホルモン剤の塗り薬を使われてはどうでしょうか?
ほうれい線には、ヒアルロン酸の注射を半年に一度するという方法もありますよ。
髪の毛の栄養剤や増毛剤も美容皮膚科として処方しています。

更年期の症状には反対に、虚症のことも有ります。
不眠になったり、メンタルの不調になったりする場合ですね。
そんな時は加味帰脾湯(カミキヒトウ)から試されてはどうでしょうか。
こちらもひどい場合は女性ホルモン剤をお勧めしますよ。
他にはとくに不眠に対しては、抑肝散(ヨクカンサン)もよく効きますね。
もっともコーヒーの世界的な消費量が増えていますが、
やめるか、午前中だけにすることから始めた方が不眠には効果的なのは明らかですけれど。

更年期を、辛いながらも我慢して乗り越えるか、
少しだけ薬の力に頼ってみるかというのも良いということです。
そうでなくても自分で勝手にサプリを飲む人が増えましたからね。

最近、趣味で始めた動画作成ですが、AIで作ったお母さんに「赤とんぼ」を歌ってもらっているので、ご視聴はいかがでしょうか。
ただしこちらは個人としてやっているので、クリニックとは関係ありませんよ。
youtube動画はこちらhttps://youtu.be/dfeZ0xMELcc
スマホ版はこちらhttps://youtube.com/shorts/AS2kvEcN5hw?feature=share









今の若い者は、みたいな小言

2024-03-01 18:34:06 | つれづれ
写真は先週の夕食からです。
金曜の夜は洋食が多いのです。
今週は赤ちゃんがたくさん生まれたので、調理場もたいへんですよ。

さて先々週は神戸市北区で勉強会が有ったので参加してきましたよ。
神戸大学の腹腔鏡の指導医や済生会病院の院長以下数名のドクター、アドベンチスト病院、三田市民病院、県立丹波医療センター部長の丸尾先生などが参加されていました。
話題と言えば、若いドクターの興味は今や腹腔鏡手術ですね。
経験を積めば認定制度が有って、次の就職に有利になるようですよ。
その次はダビンチなどのロボット手術ですって。
ですがそんな高価な機械はいつまで経ってもなかなか触らせてもらえないのです。
今のドクターは教えてもらわないと何もできないのですから、かわいそうな時代です。

私の時代は腹腔鏡や顕微鏡手術、体外受精など、ほとんど自分で開拓してきました。
今年は医師の労働時間の規制も始まりますから、長時間病院に居るのは無理になります。
私の頃と言えば、月に15回は当直して、さらに昼間は通常の仕事をして、研究室で研究もして、と大忙しでしたけれどね。
もっとも今は月に30回の当直をこなしていますよ。
ですが今そんなことすれば、病院から過労死すると言われてお咎めを受けることでしょう。

要するに産婦人科のドクターでお産に興味の有る人は居なくなったということです。
しかも昔と違って女医さんが増えましたから、当直を免除されたりします。
これでは病院でお産をするなんて無理だと思いませんか。
助産師が居ると思われるでしょうが、目の前に医師が1人居るとして、
助産師を雇用するなら5人は必要です。週に40時間しか働けないからです。
1週間は168時間で、産休や育休、年休が有りますからね。
それでは助産師だって分娩介助の経験も積めませんよ。
ましてや3人に1人は帝王切開ですからね。

結論を言えば、ちゃんと赤ちゃんを産もうと思えば、経験豊かな開業医でしか難しいということです。
ですが今はちゃんと産みたいという女性が減っているので、困らないのかもしれませんけれど。

今日の外来は、タマル産で2人産んだベトナム人のお母さんが、
里に帰ったからと、お土産でお菓子をくれましたよ。
長らくそんな経験を忘れていたので、昔はそうだったなと懐かしんでいます。
いえね、物が欲しいのではありません。
いつまでもタマル産で産んだことを感謝してもらえることが有難いということです。