タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

赤ちゃんを産むのは何のため?

2016-12-28 21:22:46 | つれづれ


篠山市新荘の虎希朗(ときろう)くん、11月18日生まれ。
「朗らかな子に育ちますように。
久しぶいrの出産、やっぱり痛かったです。
皆さん優しくて話しやすい方ばかりです。
ハーブティーが日替わりでうれしかったです。」

赤ちゃんの洋服を見ましたか?
虎キチになるのは、間違いなさそうですね。
年末ですから、お産の時の写真も大放出です。
一昨日から6人も続けて生まれたので、ちょっとヘトヘトですよ。
ですが、明日から少し外来はお休みをいただきますからね。
と言っても、年末年始の予定日の人が今年は多いので、どうなりますことやら。

それでも今年も、無事、1年が終わりそうで、ホッとしていますよ。
柏原と篠山で開業して、長い年月が経ったように思います。
今月は、おでこにボトックスの注射をしてあげたり、
無数のホクロを取ってあげたりもしました。

そんな女性たちは、タマル産で以前赤ちゃんを産まれた方だったりします。
産む時だけでなく、その後また訪ずれてくださると、懐かしいのですよ。
この仕事は、感謝されることも有れば、逆に憎まれたりもする仕事ですからね。

それでも、何年かして再診される女性は、離婚されていることが本当に多いのです。
あるいは産む前からお父さんが居られなかったりね。
タマル産では、毎朝、朝礼をしているのですよ。
1つは、レバレンド・ムーンの講演文を読むこと。

もう1つは、ピュアラブ宣言というものです。
その内容をおおまかに言うと、
自分の人格を磨く、
結婚しては不倫をしない、
真実の愛を中心とした幸せな家庭を築く、
そして、世界平和にこの生命を捧げるというものですよ。

赤ちゃんを産むのは、どうしてですか?
本能からですか?
愛を育てていくためですね。
それをお手伝いするのが、タマル産の使命なのです。


分娩体位考をもう一度

2016-12-26 21:10:01 | ウォーターベッドバース
篠山市味間新の充希(みつき)ちゃん、11月5日生まれ。
「健やかに、笑顔いっぱいの子に育ってください。
お産は何回してもたいへんですが、ととも幸せになれます。
手のこんだ温かい食事、家でもまねしています。」

食事はね、自慢なんですよ。
まったくの日替わりですから、おそらく前回妊娠時とは、まったく違う食事だったでしょう?
前回妊娠時の献立を調べて作ることも有るのですよ。
ちゃんとノートに、何を出したかまで記録されているのです。
まるでカルテ並みではないですか。

それでは、今日はいよいよ年末ですね。
外来で有った質問に、お答えしておきましょうか。

お産の時に、他院と同じように分娩台で産めますか?という質問でした。
タマル産ではフリースタイルという類の分娩方法ですから、
逆に不安になるようですね。
あるいは友人から、分娩台でないと足が滑って力が入りにくかった、と聞くことも有るようです。

それで、希望によって、分娩台でもぜんぜん構いませんよ。
ただね、せっかくですから、一度ウォーターベッドでのお産も経験してもらいたいですね。
できれば両方して、3人目の時に選んでみてはどうでしょうか。

タマル産で、ウォーターベッドのお産を始めたきっかけは、
もちろんミッシェルオダン先生の「バースリボーン」という本を読んだからです。
それから世界中のウォーターバースの本を個人輸入して、たどり着いたのです。
今なら個人輸入は簡単ですけれどね。
日本でも当時、「分娩体位考」という本が、医療者の間では話題になりましたよ。

オダン先生の方は、精神的なお話で、言うなれば野生に戻りなさい、というものです。
これには根拠が有るのですが、興味の有る方は、著者の本を読んでくださいよ。

分娩体位考の方は、科学的な著作です。
床に近い位置で産むことは、医療者や家族と視線が近しい関係を作れるというものです。
分娩台では、周囲の人が威圧的に感じるからです。

それに脚を脚受けに乗せると、それ以上会陰が延びないので裂けてしまうのですよ。
それで会陰切開が必要になります。
ですが脚を自由にすると、会陰に延びる余地ができて、会陰裂傷が小さくて済むのです。
だから会陰切開をしなくてもいいのですよ。
陣痛の間に、のたうちまわっても、叫んでも、しゃがんでも、何でもできるのです。
分娩台なら縛られたまま、身動きが取れませんからね。

ウォーターベッドの中の水は温めたお湯なので、
陣痛の時の背中の痛みが軽減されるのですよ。
マッサージ効果も有りますしね。
だいたいお産が近い時に、分娩台まで移動するのは、けっこうたいへんです。

デメリットも有るのでお話しておきましょう。
緊急の処置がしにくいです。
ですからお産が長引いたり、胎児の状態が悪くて吸引分娩や帝王切開になる可能性が有る時は、
処置のしやすい分娩台に移っていただくことも有ります。
もともと分娩台は、お産するお母さんが気持ちよくという意味で作られたものではなく、
医療者が処置しやすいように作られたものですからね。
分娩台でお産してもらうと、とてもがっかりされる方が多いです。
次回はウォーターベッドで産みたいとね。
ですが、産み方なんて、それほどこだわる必要は有りませんよ。
要は、医療介入がなるべく少ないお産を目指しているということです。

最近、知り合いから聞いた話で、笑い話のようなものが有りました。
オダン先生は、毎年、講演のために鎌倉に来られるのですよ。
その鎌倉での話です。
やはり感銘を受けた助産所が有るのでしょう。
1人目の時は、部屋に縄が1本、ぶら下がっているだけだったそうです。
好きにするようにと言われたようです。
さすがに2人目は、無痛分娩の病院で産んだそうです。
痛みが無いので、楽だったとか。

両極端なお産をされたわけですね。
この分だと、もし3人目を妊娠したら、また無痛分娩を選択されるでしょうね。
ですがちょっと待ってください。
タマル産のウォーターベッドで1人目を産んでください。
すると、産んだ、という感動が味わえると思いますよ。
それも本来のお産よりはずっと楽なはずです。
すると、2人目の時は、もっと楽に産めるでしょうから、
3人目ならわざわざ背中に麻酔をしなくても、簡単に産めてしまうでしょう。
私が理想としているのは、そんな感動できるお産なのです。

開業するまでに、20箇所くらいで、お産を手伝ってきました。
メインで働いたのは3箇所ですが、若い時はよく応援に行きますからね。
一番性に合っていたのは、綾部の夏山先生のところでしょうか。
今はもう亡くなられましたけれどね。
そこは古い旅館を改造しただけの施設なのです。
ですがその実、医療器械は最先端のものばかりで、
帝王切開率はたったの1%だと言われていました。

そんな風になりたいですね。
ただ放ったらかしではないのですよ。
普通の病院のようにただ安全なだけではなくて、すごく快適に過ごせるということですね。





陣痛誘発の適応を知ってください

2016-12-21 21:07:21 | 産科


上の写真は、神戸市北区藤原台の怜奈(れいな)ちゃん、11月1日生まれ。
「知性と魅力的な容姿を持った人になってほしい。兄妹仲良く。
計画的にスムーズに出産できたので安心して産めました。
みなさん話しやすくて良い方ばかりで助けて頂きました。
次もLDR分娩は希望したいです。」

下の写真は、今朝生まれた5人目の赤ちゃんです。
弟くんでしたよ。みんな夜中なのに起きていますね。

今朝、というか今日の丑三つ時にも、もう1人赤ちゃんが生まれました。
過期妊娠というものです。
だから私は、昨日の朝からずっと仕事をしているような気になりますよ。
年末は外来がとっても混んでいますからね。

それで、今日は陣痛を誘発するお話をしましょうか。
たまに有るのは妊娠42週の過期妊娠、
あるいは41週の末頃の予定日超過になっても赤ちゃんが生まれない場合です。
ただし、タマル産ではこの予定日超過は、あまり無いのですよ。
どうしてかと言うと、予定日が大幅に遅れそうなお母さんには、
より自然な卵膜剥離という方法で、陣痛が起こりやすくしてあげているからです。

予定日というのは、あくまで平均なのです。
予定日より早く生まれる赤ちゃんが半分、
予定日より遅く生まれる赤ちゃんが半分ですからね。
それでも、みなさん予定日より遅れると不安になってくるのです。
だから予定日を過ぎたら、卵膜剥離してあげると、
その夜か、次の夜には陣痛が自然に起こることが多いのですよ。
なのでタマル産では過期妊娠が少ないのです。
それでも生まれてくれない場合は、陣痛誘発をします。

他に陣痛を誘発するのは、前期破水の場合ですね。
普通は陣痛が来て、子宮口が10センチ開いてから破水すると、
スルッと生まれることが多いのですが、
先に破水から始まったような場合は、難産になることが多いのです。
24時間以上経つと、赤ちゃんもお母さんも熱が出てくるので、
生まれてから母子が別々に入院する羽目になってしまうことだって有るからです。

もう1つ、陣痛を誘発する理由は、
先日も有ったのですが、妊娠高血圧症候群の時です。
妊娠後期にお母さんの血圧が徐々に上がってくるような場合は、
胎盤の働きが悪いということなので、それ以上保たせてあげる必要は無く、
元気なうちに産ませてあげるのです。

もう1つ最近の例でも有りました。
さかごの時ですね。
帝王切開しても良いのですが、是非産みたいというお母さんには、
自然の陣痛を待つよりも、メトロイリーゼという方法で陣痛を誘発してあげた方が、
ずっと安全に生まれるからです。

他には、まれにすごく大きな赤ちゃんのことが有るのですが、
早めに陣痛をつけて、大きくなり過ぎる前に産んでもらうということも有りますが、
この場合は、多少大き過ぎても自然の陣痛の場合の方がうまくいくことも有るので、迷うところです。

以上、思いつくままに陣痛誘発の適応を書き並べてみました。
この他に、陣痛がまだ無いお母さんへの陣痛誘発でなく、
陣痛が来たけれども、なかなか強くならない場合は、陣痛促進剤として使うことも有ります。
同じ薬なのですが、使い方が異なります。

陣痛促進剤として使う場合は、陣痛が強くならないということですから、
原因で一番多いのは、へその緒が首に巻いている時ですね。
この場合は、陣痛が長引くことが多いのです。

タマル産では、基本、自然分娩をお助けしていますが、
場合によっては、陣痛誘発剤や陣痛促進剤を使うことも有る、というのは知っておいてくださいね。

さて、もうすぐクリスマスですね。
みなさんからは、カエルの貯金箱に1年間、寄付をしてくださって有難うございます。
クリスマスに毎年、開封して、「オギャー献金」というものに振り込んでいますよ。
なんだか今年は重たくなっている感じがします。

それと、以前お話しした、世界地図が出来上がりました。
みなさんにお配りしていますよ。
実は普通の広告と違って、カンボジアに井戸を掘るために作られているので、
高額なカレンダーなのです。
だから是非、大切に使ってくださいよ。
その原資は、みなさんの診察料ですから、みなさんも知らず知らずのうちに献金しているのですよ。

ルミナリエは遠いけれど神戸イルミナージュなら

2016-12-19 21:21:26 | つれづれ
篠山市宮田の彩喜(さき)ちゃん、10月28日生まれ。
「秋の紅葉のように彩豊かに明るく、喜びあふれる幸せな人生を送れますように。
クリニックに着いてからはすぐに生まれてきて、ホッとしました。
親身になって話をしてくださり、とても嬉しかったです。」

初めてのお産なのに、陣痛かわからないほど楽だったようですね。
ブログに時間差が出て来て、秋に生まれた赤ちゃんの紹介なのですが、
すっかり冬になってしまいましたよ。

今日は、もうすぐクリスマスですから、先日行った神戸イルミナージュの写真でもどうぞ。
今はもう、フルーツフラワーパークと呼ばないのかな。
来年の2月12日までの夕方にされているようです。
タマル産の飾り付けの参考になるかな、と思い出かけてきたのです。


今年はレーザー光による飾り付けがブームなので、
タマル産でもメタセコイヤ並木を照らしているのですが、
残念ながら出力が弱くて、近寄らないと分からない、という有様ですから、みなさんには宣伝できませんよ。

そのメタセコイヤですが、一時は絶滅品種と言われていたものなのですが、
今では日本中に見られますよね。
12年前に植えた時は、背丈ほどのものだったのに、
今では3階の屋根も超えるほどに成長しています。
1年に1メートルほど伸びています。ものすごいな。

そのせいで木の根っこが雨水管を侵食するので、
年末に大掛かりな工事をする羽目になってしまいました。
木を切るか、根だけ切るか、という状況で、後者を選択したという訳です。
スプリンクラーの工事がようやくピークを済んだところなのですけれどね。

すっかり寒くなってきましたから、
ノロウィルスやら、風邪には注意してくださいね。
せっかくですから、風邪をひいた時のワンポイントアドバイスです。

仕事を休んで家で休養を取るのが一番です。
そうは言っても休みたくない(本人は休めないと思っている)人は、
妊娠中、あるいは妊娠していなくても、初期には漢方薬がオススメです。
ある記事には、葛根湯には麻黄が入っていて、交感神経刺激作用が有るから
妊婦と言えども一概にはすすめられない、と書いて有りましたが、
それなら抗生剤は良いのでしょうか?
すぐにカンジダ膣炎などの副作用が起こりますし、
日本以外の国で、風邪に抗生剤を処方する国は無いのにも関わらず。

風邪の初期なら葛根湯を数日のみ使用するというのが基本ですが、
妊婦さんで心悸亢進が有るようなら、
もう少し軽い処方薬の、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などを試してみるのも良いでしょう。

風邪の中期には、症状に合わせて、小柴胡湯(しょうさいことう)や
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などを使います。
後に残ったコンコンという咳には、麦門冬湯(ばくもんどうとう)などでしょうか。

繰り返しますが、温まってから、早く寝るのが一番なわけです。
必ずしも薬を使わないといけないわけではないですからね。

日本のお産はなぜ安全なのですか

2016-12-16 21:24:53 | 産科
篠山市大山下の木葉(このは)ちゃん、10月26日生まれ。
「季節ごとに形を変えながら生き生きとしている木の葉のように育ってください。
3人目、とっても早いお産で驚きでした。
3人ともタマル産でお産ができ、感謝の気持ちでいっぱいです。」

お姉ちゃんにお兄ちゃん、そして妹が生まれましたね。
上の子たちが、健診にもいつも一緒に来てくれていました。

いよいよ年末が近づいて来て、慌ただしくなってきましたね。
ところで、日本が世界で一番、お産が安全だと知っていますよね。
アメリカなどの方がイメージ的に安全そうですか?
どうして日本は安全なのでしょうか?

私が思うに、アメリカでは、クリニックでは妊婦健診のみで、
分娩は大きな病院で行なっているでしょう?
アメリカって広いですから、クリニックなら近くに有っても、
病院までなら、1時間かけて行く妊婦さんも多いのではないでしょうか?
その点日本では、近くのクリニックでもお産できるでしょう?
というか、日本でお産する女性の半分はクリニックでのお産ですからね。

天理に居た時に、同じ医局の内科の先生は、奥さんの5人目のお産の際に、
一山超えたオジさんのクリニックまで、
陣痛が始まった奥さんを乗せて行かれたのです。
ところが5人目なので、途中の車の中で生まれてしまったのですよ。
いくら医師だと言っても、内科の先生ではお産はできませんからね。
その話は医局では笑い話になりましたし、
当時は5人も子供を産むなんて信じられませんでしたよ。
やはり宗教心の有る家庭だったからなのですね。

とにかくお産は近くの産めるところで、というのは必要条件でしょうね。
ところが日本では、今、これが崩れようとしています。
これまではお産の半分はクリニックで、
そして残りの半分は未熟児センターの有るような周産期病院か、総合病院だったのです。

それが大野病院事件をきっかけとして、
総合病院でのお産ができなくなりました。
つまり周産期センターとクリニックだけが、今は生き残っている状態です。

急減している総合病院の産婦人科は、医師がたいてい1人だったからです。
医師を派遣していた大学病院は、1人部長と言われるこの制度を廃止して、
周産期センターだけに重点的に配置するようにしたのです。
ちょうどこの頃、医局制度反対という報道が席巻きしたという別の問題も有ったのですが。

例えば丹波圏なら、まず日赤でのお産できなくなりましたね。
どことは書きにくいのですが、おそらく次にお産の件数が少ない病院が引き上げるでしょうね。
その次に県立柏原病院が、豊岡病院のように地域の周産期センターとなれるかどうかは、
産婦人科医師が7〜8人居て、未熟児専門の小児科医のローテーションが組めるようにならないと無理でしょう。
2年後の建て替えに期待されているかもしれませんが、
病院の設計にNICUが有るかどうか、みなさんはご存知ですか?

さらにその次に、今、問題になっていることが有ります。
これは誰も気づいていないでしょうが、
愛媛県の母体死亡が2件有ったクリニックの話題です。
私はなにも特殊な事件だとは考えていませんし、
産婦人科医会が調査に入ったものの、違法なことをしていたわけではなかったと報告しています。

それでもネットでは、非難殺到ですよ。
医師専用のネットでも、肯定的な意見は有りません。
おそらくこの事件は、日本のお産事情を転換させる事案となるでしょうね。
すなわち1人医師のクリニックは近い将来、消滅することになるでしょう。

さっきも先輩開業医の産婦人科の先生から電話がかかってきて、
いつまで続けられるかわからへんね、という危惧でしたよ。
閉めることができる先生は、一斉に閉院されるのではないでしょうか。
われわれのように、開業後浅い医師は、やめるにやめれませんけれどね。
断っておきますが、私はみなさんから請われる限り、やめるつもりは有りませんからね。
だた、時代は劇的に変わっているようです。
そして、中傷によるネット裁判は、今日も勢いづいていますしね。

それで最後に生き残るのは周産期センターだけになるでしょう。
ですが、その時には分娩施設までの移動が1時間もかかり、
また違うリスクが出てくるのです。
すると、現在世界で一番安全なはずの日本のお産は、どんどん順位を下げていくことになるでしょう。
そしてやっと気づくのです。
むかしの方が良かったじゃないか。
だって近くで産めたのだし、ということになるのでしょう。