タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

里帰りの逆子はやっかいです

2018-04-27 21:07:49 | 産科
篠山市住山の詩(うた)ちゃん、3月26日生まれ。
「人の気持ちを考えられる、優しい子になってください。
3人目のお産だったので、落ち着いて産むことができました。
ご飯が美味し過ぎて、幸せ過ぎて退院したくなかったです。」

赤ちゃんの名前を決めるのって、楽しいですよね。
早くから考えられる方も居られるでしょうし、
生まれてから考える方も居られるでしょうけれどね。
この赤ちゃんは、生まれて顔を見て決められたそうですよ。

子供たちが大きくなった時に、自分の名前の由来を親に聞くと、
自分が愛されて生まれたんだということを理解してくれるでしょうからね。

さて今日も2人、赤ちゃんが生まれました。
昨日も生まれたので、続いていますよ。
そこで今日は、最近のお産から感じたことをお話しましょう。
それは「さかご」のお産です。

さかごの頻度は、だいたい1から2%と言われます。
滅多に無いのでよく分かりませんよね。
さかごは経膣的に産むと怖いのでしょう?と言われます。
あるいは帝王切開が当たり前でしょ?とも考えておられます。

それで最近は、めんどくさくなって、帝王切開したら?という気分ですよ。
本当は産ませてあげたいのですよ。
開業した19年前から、タマル産では逆子でも、経膣的に産んでもらった方の方が圧倒的に多いのです。
ですがここ最近は、どうも積極的になれませんね。
それは無理をしても喜ばれなくなってきたからです。

例えば難産になりそうなお母さんは、普段の妊婦健診でだいたい分かるものです。
それでもなるべく、これまでの経験を生かして産ませてあげるのです。
タマル産では帝王切開率がすごく低いのですからね。
ですが最近は、無痛分娩で楽に産みたいと考えるお母さんも増えてきたでしょう?

観念論はここまでにして、ではなぜ逆子になるのでしょうか?
経験上一番多い原因は、「原因不明」でしょうか。
1人目は普通に産めたのに、2番目の子は最後までさかごだったという場合です。
もちろん1人目でも、あまり原因となりそうなものが見当たらないのに、さかごという場合です。

次に多いのが、胎児の首にへその緒が巻いている場合です。
引っ張れて、頭が下がってこないのですね。
こういう場合は、経膣的に産むと、お尻から生まれて、最後に引っ掛かりやすい頭が出る頃に、
へその緒が圧迫されて、仮死で生まれることが有るのです。

さかごになる3つ目の原因は、前置胎盤ですが、
この場合は、帝王切開でしか産めません。
4つ目の原因は、子宮に子宮筋腫が有る場合です。
これも場所によっては帝王切開が良いでしょう。
あとは稀に、子宮奇形というものが有ります。
子宮の中が丸くなくて、V字型に2つに別れている場合などかな。
他にも成書を見れば載っているかもしれませんが、日常的にはこんなものです。

それで原因不明なら経膣的に産んでも良いと思うのですよ。
日本産婦人科学会によれば、いくつか条件は有ります。
有る程度胎児が成長しているとか。
早産する時などは、胎児が小さくて却って難産になるので、さかごの場合は帝王切開の方が良いのですね。
すぐに帝王切開できる体制が整っているかとか。
お母さんの骨盤の広さが十分かとか。
これは賛成しかねますね。誰だって産めますよ。

最近続けて、へその緒が首に巻いていることによる逆子のお産で来院されました。
しかも2人とも里帰りで、数回しか診察していません。
まだお互いに慣れ親しんでない関係です。
里帰りのお母さんには気を使うのですよね。

それで1人のお母さんは、先週帝王切開をしていただきました。
もう1人のお母さんは、福知山の病院に通われていたので、
そちらの病院に戻って来月初めに、帝王切開を受けられる予定です。

タマル産では、難産の方にはすごくメリットが有ると思うのですよ。
何せ、医師がけっこう面倒を見てくれて、経膣的に産めることが多いからです。
ですが、初めから帝王切開になると分かっている初産婦さんにとっては、メリットが少ないのです。
しかもこの5月の連休です。
緊急事態でも、なかなか高次の医療機関でも人手不足のことが多いのです。
緊急で輸血がしたいとなっても、時間がかかってしまいますからね。
それで敢えて、里帰りせずに元の病院に戻っていただいたという訳ですよ。

このあたりは、臨機応変に考えていただければどうでしょうか。
もちろん、さかごでも経膣的に産みたいということであれば、
いつでもお付き合いしますよ。

卵管通気テストは悪者ではない

2018-04-25 20:48:26 | 不妊症
写真は、篠山市今田町の愛蘭(あらん)くん、3月22日生まれ。
「兄弟でたくさんのことを学んで、たくさん成長してください。
ただただ安産で、ウォーターベッドで産めて嬉しかったです。
みなさん優しく、楽しかったでーす。」

3人とも、タマル産生まれです。
一番下のあらんくん、アランドロンみたいね。
私もね、大学の英語の授業では、白人の先生にアランと名付けられました。
アランってね、「L」の発音が難しいのですよ。
高校の英語の白人の先生は、テレビにもよく出られるジェフ・バーグランド先生。
「赤ふじ米」の宣伝はご存知ですか?
英語の授業なのに、日本語しか喋られない先生でしたよ。

さて、今日の話題は、不妊治療の卵管通気テストによる医療事故の話題です。
それにしても産婦人科関係のニュースは、よくやりますね。
最近でも、昔の法律では問題無かったのに、今の法律からすると、
過去の強制不妊手術は違法だったのではないか、とか。
その前は、無痛分娩で過去を紐解いてみると、何人かのお母さんが亡くなっていただとか。

大野病院事件の後は、その類のニュースがたくさん有ったのですよ。
看護師の内診問題もその1つです。
看護師業務で、直腸に指を入れて、座薬を挿入するのは当たり前です。
分娩中に子宮の出口の様子を診て、お産が近いかどうか医師に知らせるのも当たり前。
この時も大きなニュースになって、看護師が診れないなら、お産が続けられないと、
たくさんのクリニックが閉鎖しました。
その後日本産婦人科学会は、看護師は内診しても良いと正式に発表したのですよ。
タマル産では看護師さんには内診してもらっていなかったので、この時はやめませんでしたが、
看護師に内診されたと騒がれたお母さんが居られましたよ。

例えば腹腔鏡の手術や、胃カメラの検査で患者さんが亡くなっても、話題にもならないでしょ?
ですが実際には、毎年たくさんの方が亡くなっています。
こと産婦人科に関しては、ニュースにするとおもしろいらしく、
フェイクニュースだらけですよ。

解説しておくなら、
今回の事故は、ある1人の若い大学病院の医師の過失です。
それを世間一般の不妊治療にまで拡大解釈されては、不妊治療中の方が不安に思われます。
通常の卵管通気テストでは危険なことは有りません。
子宮の出口を開く時に、これは流産手術などでも同じですが、
副交感神経反射というのが有って、血圧が下がって意識が無くなることは有ります。
子宮内に細菌が居ると、押し込んでしまって、腹膜炎になることも有ります。
ですがこれらの合併症は滅多にないのですよ。

九州の場合は、お腹から腹腔鏡の検査をしながら、
膣からは子宮内に空気を通したというものでしょう?
通常の検査で同時にここまでするのは、やはりアグレッシブな施設だからでしょうね。
しかもどちらからも炭酸ガスを注入することになっています。
先進医療を追求している施設は、一般的なやり方とは違うことをしたということでしょう。

さらに卵管通気テストのメリットをお話ししておきましょう。
こんなすばらしい検査は無いのに、ニュースでは叩かれていますから。
今は卵管通気はせずに、造影剤を使用する卵管造影検査が一般的だと報道されています。
ですが、卵管造影検査は絶対に受けてはいけません。
だいたい、不妊治療施設でも、半数はこの検査をしていませんよ。
それは造影剤にはヨードが含まれており、
検査に使用する程度の量でも、半年ほど身体に残留し、
甲状腺ホルモン値に異常を来して、かえってこの間、不妊症になるからです。
これは甲状腺の治療では関西随一の隈病院の先生が指摘されています。

他にも、昔から卵管通気テストの検査の後には、自然妊娠が多いと経験上言われてきました。
その理由は、マウスの実験でも分かりますが、
マウスの子宮に炭酸ガスを通すと、子宮内膜が分厚くなるのです。
これを脱落膜化と言います。
先日もお話しましたね、ホルモン剤を使用するとこうなるのですが、
薬を使用しなくても、炭酸ガスだけで同じ効果が得られるのですよ。

あるいは偽妊娠(ぎにんしん)と言われます。
妊娠していないのに、妊娠したような子宮になるのですから。
それでこの卵管通気テストは、検査だけではなく、治療としても使われるのです。
実際、タマル産でも、1人目の不妊治療の時にこの検査の後に妊娠したので、
2人目の不妊治療の時にもこの検査をして欲しいと言われたことが有りますよ。

この報道のおかげで、今日も通気テストに際して、
患者さんにいつもより時間をかけて検査の説明をする羽目になりました。
これで不妊治療を中断する女性が出てきたら、誰が責任を取るのですかね。
あるいは、産婦人科医は、産科医療だけでなく、
不妊治療でも叩かれ出したということでしょうかね。

もうこれ以上、医療に期待し過ぎないでくださいよ。
テレビでは、100%成功する外科医の話が流行っているのですか。
そんなものは、夢物語ですよ。
どうか早く、目を覚ましてくださいな。

入院時の持ち物

2018-04-23 21:31:29 | 産科
今日は、里帰りしてきた長女を連れて、西松屋に買い物に行ってきたのですよ。
普段からベビー用品は、何か新しい物が無いか、とチェックはしているのですよ。

タマル産では、妊娠中期の母親学級のソフロロジー教室で、
入院時の持ち物リストをお渡ししていますよね。
でも意外と少ないのですよ、あらかじめ買っておくものは。
というのも、当初は「手ぶらで入院できる」というのをコンセプトにしていたのです。
ですが最近では、各人の好みもありますから、一部のものだけ持参していただいています。
でもたいていの物はクリニックでご用意しているのですよ。
例えば、お母さんのパジャマや洗面道具ですね。
お産では血が付いたり、汗をかいたりするので、何枚も使用しますが、
洗濯なんてしていられませんからね。
費用については、予約金という形で頂いています。

結局買い物に行っても、退院後の赤ちゃんのオムツやら肌着、哺乳瓶くらいでした。
あとはおくるみに、清浄綿くらいですか。
詳しくは助産師さんに聞いてくださいよ。
そう、経営者だって、自分でちゃんと買い物しているのですからね。
写真は、洗面用具の入れ物ですが、今は変わっているかもしれません。

そうそう、最近、入院時の説明ブックというのを、病室の引き出しに入れているのですが、
開業20年目、移転後15年を機に、新規に作り直しました。
特に力を入れたのが、「避難経路」です。
昨年新規に取り付けたスプリンクラーの位置とかですね。
避難経路は3方向有るので、入院されたら、ブックで確認してくださいね。

もう1つは、入院中に、スマホで安く観られるように、
free wi-fiを導入したことです。
さっそく動画を観ておられるようですが、ネットサーフィンくらいにしていただかないと、ちょっと重すぎるかもしれません。

まあ、思い出すのは、長女が30年ほど前に生まれた時のことですか。
医師国家試験が終わったところで、発表は5月、
その前の4月に生まれたものですから、まだ医師免許証は無くて、
お産は見学しかできなかったのですよ。
自分で取り上げたのは、長男からなのです。
だからこの時は、祇園のフランス料理店で皿洗いのバイトをしていましたよ。

開業医のお母さんが助産婦さんで、その方に取り上げてもらいました。
哺乳瓶の煮沸消毒なんかを教えてもらいましたよ。
鍋にお湯を沸かして、消毒するんだとね。
今はみなさん、どう指導されているのでしょう?
なかなか教えられた通りにはしていないのではないですか?

最近では電子レンジでチンして消毒するとか、
哺乳瓶の消毒液につけるとかされているのでしょうか?
タマル産では、多人数の赤ちゃんが使用するので仕方なく、乳首は消毒液に浸けていますよ。
でもその成分は知っていますか?
トイレハイターと一緒ですね。次亜塩素酸ナトリウムです。
赤ちゃんの口に入るものだから、ちょっと薄めだというだけのことですね。
キッチンハイターとか、塩素系消毒薬と言われるものです。

哺乳瓶は、もちろん殺菌しているのですよ。
ところで消毒と殺菌の違いは知らないでしょう。
お湯で沸騰させるのは、消毒です。
これに高い圧力を加えて沸騰させるのは、オートクレーブという機械で、
殺菌なのです。
でもね、あまり綺麗すぎるのも、どうかとも言われますね。
赤ちゃんに、病気への抵抗力が無くなるんじゃないかとね。
床に落ちた食べ物くらい、ホコリを払って食べるくらいの方が、良いのかもしれませんよ。

ついでにもう1つ、消毒のことでこだわっていることが有ります。
タマル産では、赤ちゃんのお尻拭きと、お母さんの乳首にケアには、
清浄綿をお勧めしていますが、これは消毒液の入っていないものを。
そしてお母さんの会陰の消毒には、消毒液の入っているものを指定していますよ。
さらに言えば、赤ちゃんのお尻を拭いたりするのには、
保湿剤の入っていないものがオススメです。
けっこう、こだわっているではないですか。

胚と卵巣と子宮内膜と

2018-04-20 21:25:14 | 不妊症
今日は篠山市の方が来られて、篠山市子育てふれあいセンターの資料を置いて行かれたので、
ちょっと宣伝しておきましょう。

ささやま、たんなん、にしき、こんだの4箇所設置されているようです。
それぞれの利用時間が異なるので注意してください。
利用できるのは、0歳から修学前の親子です。
気軽に覗かれてみてはいかがでしょうか。
丹波市さんでも、同じような活動が有るのではないですか。

少し前に、着床のお話をしました。
着床とは、精子と卵子が卵管の中で受精をし、
分割しながら子宮の中に流れてきて、
子宮内膜にくっつくことを言います。
受精だけでは妊娠とは言えず、着床して初めて、妊娠と言えるのです。
ただし臨床的には、超音波で肉眼的に確認できるところになって初めて妊娠成立と言います。

この辺りのことを前回は説明したのですが、すっかり忘れられたでしょう?
それでも今日はその続きです。
だってこの分野は、私が長年、研究してきたところなのですから。

受精卵は分割すると、胚と呼ばれるようになります。
アメーバのように触手を延ばして、子宮に張り付くのです。
子宮内膜の表面の上皮細胞を剥がしながら、基底膜と言われる膜の上を這うようにです。
この辺りは受精着床学会の学会誌にもむかし、載せています。

この着床に際して、胚は、hCGというホルモンを分泌しています。
hCGは卵巣を刺激して、卵巣からプロゲステロンを分泌させます。
そしてこの卵巣ホルモンであるプロゲステロンは、子宮内膜を分厚くさせるのです。
もっともプロゲステロンが働くには、ベースにエストロゲンとテストステロンも必要ですが。
これもJCEMという雑誌に私が投稿しています。

局所ではプロゲステロンは、もっと小さなサイトカインという物質を介して作用しています。
その1つがLIF(リフ)という物質なのですが、
これは共同研究者の小島先生が発表されています。
彼は今、西宮で開業していますよ。
以前、篠山マラソンに走りに来ていた時に、タマル産に寄ってくれました。

このように胚と卵巣と子宮は、着床に関して共同作業しているのですね。
ちょっとした「ずれ」で妊娠しなくなります。
それが脱落膜化異常による着床不全という、不妊症の1つの原因なのです。

排卵してからちょうど1週間で子宮に着床するのですが、
着床できるのは、わずか2日間だけだということが分かってきました。
子宮が分厚くなる脱落膜化という現象が早すぎても遅すぎてもいけないのです。

子宮内膜が脱落膜化する意味はというと、
いつでも着床できるとすれば、悪い胚でも着床してしまうのを防ぐためです。
悪い胚が着床してしまうと、流産を繰り返してしまいますからね。
逆に、着床できる期間が短すぎると、良好胚も受け入れられなくなってしまうので、
加減が難しいところですよ。

着床する頃に、子宮内膜が10ミリ以上分厚い方が良いのです。
不妊症の女性には、よくプロゲステロン製剤を処方するのはそのためです。
タマル産では、保険が利くように、飲み薬を処方することが多いです。
hCGを注射することも有りますが、最近の流行では有りませんね。

体外受精の時などは、どうせ自由診療なので、
保険は利きませんが、プロゲステロンの膣座薬を処方されることでしょう。
自分で使用できるので、クリニックに通う必要はなくなりますが、
日に3度、膣に挿入しないといけないというのは、少し抵抗が有るかもしれませんね。
施設によっては、プロゲステロンの注射剤を数日おきに注射しているところも有ります。
ただしこちらは飲み薬と同じで、全身的に効果は有りますが、
子宮局所の濃度は上がらないかもしれません。
ですが統計的には、有意差は無いという意見が多いようです。

使用する期間ですが、体外受精では妊娠8週まで使用することが多いようです。
ですがタマル産では飲み薬で黄体期の補充療法をして、
しかも妊娠5週までしか使用しません。
これには私なりの理由が有って、半世紀以上前でのアメリカでの事件のためからです。
切迫流産の薬として、むかしはエストロゲンとプロゲステロンの合剤が使われていて、
生まれた赤ちゃんは問題無かったのですが、
その子たちが15歳くらいから20歳くらいになって、
卵巣がんや精巣がんが増えたというのです。
この事件は、サリドマイド事件と、もう1つの大きな事件でしたからね。

なかなか妊娠中の薬というものは、後世にならないと、影響は分からないものですからね。

不妊治療でいきなり仕事をやめなくても

2018-04-18 21:07:19 | 不妊症
今日は久しぶりに予定の帝王切開が有ったものですから、
写真を用意しておくのを忘れてしまいました。
それで少し前の、この冬のものですが、私の写真としてみましたよ。
長田区での復興のシンボルとしての鉄人28号です。

アニメの主題歌は、もちろん今でも歌えますよ。
ですが、私の生まれる前から、有った漫画なのですね。
スポンサーがグリコだけあって、ポーズも決まっているではないですか。

さて、最近のニュースでは、「不妊治療で離職16%」という記事です。
厚生労働省の調べですから、ある程度信頼できる数字でしょう。

日本では現在、夫婦の5、5組に1組が不妊治療の経験が有ると言います。
ちょっと前までは10組に1組、次に7組に1組と言われていましたが、
治療経験者がどんどん増えてきますね。

ただこの記事を読んで、そうだろうな、と思う反面、もったいないとも思うのです。
不妊治療といえば、とりあえずは一般不妊治療から開始するべきなのです。
ところが最近ではいきなり体外受精や顕微授精から始めるカップルも多くなりました。
それでは遠方まで通わなければならないし、遅くまで診療している施設も少ないでしょう。
どうしても仕事との両立が難しくなるのです。
それで仕事をやめてしまうか、治療を中断するかになってしまうのですね。

もったいないな、と思うのは、もし一般不妊治療から始めていれば、
タマル産のように、土日や夜間も開いている施設だって有るのです。
最近では丹波地域だけでなく、豊岡や福知山などから来院される方も多くなりました。
だって、タマル産より北には、不妊外来が無いからですね。

一般不妊外来では、どれくらいの頻度で通院していただくか、と言うと、
だいたい週に2回のペースで、数ヶ月から長くても1年としています。
ただ仕事の関係で日曜日の、週に1回だけ、という方も多く、
その場合はこちらも少し苦労しますよ。

そんな頻度でも、今日も昨日も、一般不妊外来では妊娠された方が居られました。
先日、同じ職場の方が、職場の上司からでしょう、
仕事への影響を聞いてくるように言われたようです。
公務の職場として、対応していこうとされているのかもしれません。
確かに今は治療を隠す時代ではありません。
ですがやはりプライバシーに関わる治療ですから、
初めは穏やかに始められても良いのではないでしょうか。
もし遅刻や早退しなければならなくなれば、臨機応変に相談されるくらいで良いでしょうね。

大上段に構える必要は無い、ということです。
長くても1年、その原則を守ってください。
ただし35歳以上、40歳以上では、一般不妊治療はさらに短い期間しか想定していません。
ここまでで妊娠されなければ、体外受精や顕微授精を紹介しています。
この場合は、やはり遠方での治療のための通院となり、
仕事をセーブするか退職する必要が出てくるかもしれません。

生理休暇や、産休のように、不妊治療休暇というのができれば、
仕事をやめる必要はなくなり、産後も働き続けることができるのですが。
そんな制度をどなたか政治家の方は考案されてはいかがでしょうか。
そうでなければ若い人たちが都会に流れて行ってしまいますよね。



もう一度おさらいしておきましょう。
何も体外受精までいきなりしなくても、
タマル産では一般不妊治療だけで、1年以内に、7割から8割のカップルが妊娠されています。
この間に、仕事をやめた、と言われた方はあまり聞きませんよ。