タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

今年のSTI調査結果

2021-10-29 20:06:41 | 婦人科
インフルのワクチンが30人分入荷されました。
コロナではありませんよ。
妊婦さん用のインフルエンザワクチンですから間違わないように。

内科でもインフルは受けられますが、妊娠中の方はなるべく妊婦さん用のワクチンを受けてください。
何が違うかと言うと、内科では数十人分が1瓶に入っているので、防腐剤が入っています。
防腐剤は水銀でできているので、もし可能であれば、妊婦さん用の1人分ずつ個包装された、防腐剤の入っていないものがオススメです。
おそらくタマル産でしか受けられないのではないでしょうか。

予約は外来の予約と同じで、LINE予約が可能です。
新しくインフルワクチンというのを作っておきましたから、そちらからご予約ください。
あさって、10月31日の日曜日の2時と、11月1日の月曜日の午前の2回の枠を取りました。
もし予約者が少なければ、再度ご案内するかもしれません。

それでは今日の話題です。
毎年この時期には全国的に性感染症(STI)の全数調査が有ります。
10月はまだ終わっていませんが、今のところ今月のSTI新規感染者は6名でした。
毎年これくらいです。

たいていは症状が有って来院されるのですが、妊婦健診で症状が無くても見つかることがときどき有ります。
今月は妊婦さんはゼロでした。
感染者は19歳、19歳、20歳、29歳、36歳、39歳と、若い女性に多かったです。
最近は70歳代でもご主人と死別後に感染される方も居られますけれど。

内訳はクラミジア子宮頸管炎が3名、性器ヘルペスが2名、尖圭コンジローマが1名でした。
皆さんは他人事だと思われるでしょうけれど、調査には含まれていませんが、
子宮頸がん検診で引っかかる方は、たいていはSTIですからね。
尖圭コンジローマも子宮頸がんも同じヒトパピローマウィルスというウイルスの感染でなるのです。
型が違うだけですからね。
子宮頸がんのウィルスもSTIの調査に含めれば、倍の人数になるでしょう。

最近、子宮頸がんワクチンを打つ中学生がポツポツと出てきました。
来年あたりにはまた推奨されるようですから、一斉に受けると良いですね。
赤ちゃんのうちにいろんなワクチンを受けておけば良いのですが、
中学生になってから受けるかどうか考えると迷うのですよね。
ましてや大人や高齢になってから、今回のようにコロナワクチンを受けるかどうかで迷う方が多いのです。
物心が付いてしまうとやっかいですね。

それと最近では低容量ピルを飲む女性が増えてきましたが、
妊娠は抑制できても、STIは抑制できません。
それでは不妊症が増えるのは当たり前ですね。
妊娠しにくくなったり、うまく妊娠しても産後に癒着胎盤になったりしますからね。
性教育をちゃんと受けないといけないのですが、放ったらかしでしょう?

帝王切開になるもう1つの理由

2021-10-22 20:39:45 | 産科
昨日は朝一番に赤ちゃんが生まれたので、お昼に孫の七五三のお詣りに行ってきました。
とりあえず3歳まで無事に大きくなってくれたことに感謝です。
子供は事故が多いですからね。

昨日のお産も、孫のお産の時も、へその緒が胎児に巻きついていたのです。
へその緒が首や胴体や足に巻いていると、100%、お産の時に心拍数が下がります。
それまでトントンという音が聞こえていても、トオーン、トオーンというゆっくりとした音に変わるのです。
こうなると急いで赤ちゃんを産ませてあげなくてはなりません。
ここでなかなか技術が要るのですよ。
この技術を習得すれば、タマル産のように帝王切開率がわずか2%になりますからね。

前回、帝王切開率が上がる原因の1つとして、お母さんが太って赤ちゃんも太ることだと言いましたが、
2つ目の原因は、この臍帯巻絡なのです。
タマル産では世界で唯一、ウォーターベッドで楽にお産ができるはずなのですが、
臍帯巻絡が強い場合だけは、他院と同様に分娩台でのお産になります。
場合によってはさらに吸引分娩になることも有りますよ。
たまにウォーターベッドで産めなかったと悲しまれるお母さんが居られますが、
元気な赤ちゃんを経膣的に産めたのだから喜ばないといけません。

ウオーターベッドの利点は多いのですが、まずは会陰裂傷が起こりにくいです。
分娩台で産むと、会陰裂傷が起こります。
だから他院では会陰切開と言って、生まれる前に会陰をハサミで切るのですね。
それは分娩台で足を拡げると、会陰が突っ張って、それ以上延びないからなのです。
ウォーターベッドなら、軽く足を開くだけですから、まだまだ延びる余地が有るの裂傷が起こりにくいのですよ。

ところで他院で赤ちゃんを生まれた方なら分かるでしょうが、
妊婦健診で胎児に臍帯巻絡が有るか無いかなんて、教えてもらわなかったでしょう?
事前に知っていれば、心の準備ができて、難産でも頑張ろうという気持ちになれるかもしれませんね。
これにはソフロロジー式分娩教育というものが役立つのですが、それは助産師外来で練習してください。

それと胎児が大き過ぎて生まれにくそうだ、くらいは言われたかもしれません。
そして生まれにくそうだから陣痛が来る前に帝王切開しましょう、と言われたから帝王切開をされた方も多いでしょう?
ところがタマル産では、陣痛が来る前に帝王切開をすることはまず有りません。
さかごの場合で希望する方以外はですけれど。
他院で帝王切開が必要と言われても、タマル産では、まず生まれます。

あまり自慢話をすると信じてもらえないでしょうけれど、
丹波篠山の方は幸運なのですよ。
世界で一番帝王切開率が低い市で産むのですからね。

帝王切開の原因は貧困?

2021-10-15 20:14:21 | 産科
消防署の裏山を車で登ると母子(もうし)小学校が出てきますが、その近くに母子大池が有ります。
タマル産からはわずか11キロ、車で19分しかかからないのですが、穴場スポットですよ。
ちゃんと駐車場やトイレも有ります。

写真は母子第2展望所なのですが、紅葉には少し早かったようです。
その先に「紅葉とせせらぎの道」という遊歩道が整備されていて、往復6キロほどです。
ですが途中で折り返しても良いでしょう。

反対側では、永沢寺の花のじゅうたんも綺麗です。
ここに我が家のお墓が有るのですよ。
25年前に篠山に引っ越してきた時に、真っ先にお墓を建てました。
そこに兄が入り、その後に父と母も入りましたから、親孝行ではありませんか。
地方ではもともとの住民と引っ越してきた住民の不和が問題とされています。
お墓の問題は大きいと思うのですよ。
だから宗教や地域に関係なく入れるというのは良いのではないでしょうか。
まさか都会から来て土葬になるというのは信じられないものですから。

わが師の1人、新島襄先生は、京都の東山にお墓が有ります。
当時はキリスト教が受け入れられなくて、市内に葬る許可が得られなかったから町外れだったのです。
ここ篠山に来てからも、家族で新島先生のお墓をお参りしました。
その志を継ぐ者の1人としてです。

心地よい季節になってきましたから、みなさんも近くに散策に行かれてはいかがでしょうか。
そうそう、私は大丹波(だいたんば)の観光大使にもなっているものですからね。
大丹波とは、京丹波と兵庫丹波も含めた丹波地方という意味ですよ。

前置きが長くなりましたから、今日は産婦人科のワンポイントレッスンです。
最近は大きな赤ちゃんが多いのですよ。
原因は実は貧困だと言われます。
貧困だと赤ちゃんが小さくなるのでは?と思われるでしょう。
ですが実際には大きくなるのです。

それはパンとジュースだけ、という食生活の妊婦さんが多いからなのですね。
パンとジュースなら200円で1食になりますよ。
子供にも菓子パンだけで済ませていませんか?
本当は妊娠中の食事は低カロリー、高タンパクと言われます。
パンは控えめ、砂糖や果糖の入った飲み物はダメです。
代わりに味噌汁や魚、豆料理、お豆腐などはベストですよ。
そうすればブクブクに太った赤ちゃんは生まれません。

ブクブクに太った赤ちゃんは他院ではすぐに帝王切開になってしまいますよ。
だから3人に1人は帝王切開なのです。
あるいは陣痛誘発剤を使用されるのです。
大きな赤ちゃんは予定日より遅れてさらに大きくなりますからね。
そうです、帝王切開になる一因は、貧困だったのですね。

ところがタマル産ではほとんど帝王切開にならないのには理由が有ります。
妊娠中に太らないように食事指導をします。これは不評ですけれど。
それと予定日辺りで、妊婦健診の際に、卵膜剥離という処置をしてあげます。
少し痛いと言われますが、陣痛に比べれば微々たるものです。
たいていはその日の夜か次の日には陣痛が始まるのですよ。
それで大きくなり過ぎる前に、そしてなるべく薬を使わずに、生まれてくれるというわけです。

さて今週もそれで大きな赤ちゃんが予定日少し前に生まれました。
今日もこれから夜中に赤ちゃんが生まれそうですよ。

産科医療補償制度の中身

2021-10-08 20:56:44 | 産科
今日、お城の近くの商店街を通ったら、観光客の人波が復活していて、華やぎが戻ってきていましたよ。
皆さんのお家でも、ハロウィンの飾りつけなどされていますか?
収穫に感謝する季節になりましたからね。

さて、お産の費用は全国的に50万円前後ではないでしょうか。
都会ではもっと高いようですが。
タマル産では、42万円プラス初産婦さんで予約金の1万円と79,800円となっています。
経産婦さんでそれより2万円割安ですが、1日だけ入院期間も短くしています。
夜中や休日に生まれても追加費用は有りませんし、
そもそも個室費用が無料です。
しかもお産で2日がかりでも追加費用は頂いていませんから、すごく良心的ですね。
帝王切開だけもう少し高いのですが、年に3人ほどですしね。
そうそう、さかごでも吸引分娩などの異常分娩でも追加費用は有りません。
ただしこれはタマル産だけで、他院ではもっとお高いでしょう。

さて、その42万円は手続きをしなくても無料分です。
ですがその内訳はご存知ないのではないでしょうか?
もともとはその内の3万円は保険料で、新生児が脳性麻痺になった時に保育料が支払われるためのものです。
だから実際の産婦人科の売り上げは39万円でした。
ちなみに高齢者の方が介護施設に入院されても、1ヶ月に50万円ほどで、お産の入院と変わりません。
保険がきくので10万円代です。
産婦人科は救急医療でリスクが高く、人手も必要ですが、介護施設の方が実入りは良いのですよね。

それは置いておいて、産科医療補償制度という保険は当初予想されていた以上に利用者が少なく、
3万円の保険料が現在では16,000円に半額ほどになっています。
ただし42万円のところは不変です。
それが来年の1月からはさらに下がって12,000円になるのですよ。
補償を受けるより産婦人科を訴えて、1億とか2億もらう方が効率が良いですからね。
補償の方は生涯で3,000万円だけですから。
補償を受ける人が増えないのももっともです。

それではダメだと、補償される範囲が大幅に増えることになりましたよ。
今までは1,4000グラム、32週以上の赤ちゃんが対象でしたが、
来年からは体重制限無し、28週以降の赤ちゃんからです。

ですがこの制度には根本的なところで間違いが有ることが分かりました。
それは胎児の心音を計測する分娩監視装置が、あまり役に立っていないということなのです。
それに加えて、へその緒からの採血で酸性かアルカリ性かで元気具合を調べているのですが、
どちらも新生児の低酸素症に伴う脳性麻痺との相関が認められなかったのです。
だからそれらの検査に関係なく補償をしていこうということに変わります。

ということはこれまで産婦人科医が悪いとされてきたことは、冤罪なのではないか、ということです。
少し難しかったですか?



帝王切開するならどこで?

2021-10-01 20:46:26 | 産科
緊急事態宣言が解除されるというので、昨日は一足早く保育園のお迎えに行ってきましたよ。
これが小さな幸せなわけです。

さて、前々回の続きになります。
私が20年以上前に開業する前は、兵庫県立塚口病院に勤務していましたから、
そのまま居れば、今頃は県立尼崎総合医療センターの部長になっていたことでしょう。
部長ってね、年齢が来れば誰でもなれるのですよ。
言っては何ですが、地方の部長は、中央から左遷されてきてなるものです。
まるで自民党の選挙戦のようなものなのです。
まあ、ですがそんな権力闘争に興味は無く、日本のお産が変化してきていることに危機感を覚えたための開業だったのです。

当時も今も日本でのお産の半分は診療所で、半分は病院で行われています。
そして診療所でのお産は帝王切開がすごく少ないのに、病院でのお産は1/3が帝王切開なのです。
私の師匠は、「帝王切開なら外科医で十分」と言っていましたからね。
産婦人科たるもの、赤ちゃんを産ませてあげなくてはならないという使命のもと、開業したというわけです。

20年前のタマル産では、さかごのお産も、ほぼ皆さん経膣的に産んでもらっていましたよ。
それが当たり前の時代だったからです。
ですがその頃から病院では、さかごと言えば帝王切開となり、今ではお母さんたちも帝王切開が当たり前と考えられるようになりました。
それで今ではチャレンジしたいというお母さんも無くなってきました。

そこで私は外回転術で、頭位に直してから経膣分娩するということもしてきたのですが、
やはり初産婦さんでは直らないことも多く、帝王切開を希望されるのですよね。
そんな事情で、今回初めて、帝王切開を県立病院にお願いしました。
今まではさかごの帝王切開はタマル産でしてきたのですが、時代も変わったので、どうせ帝王切開なら次も帝王切開ですし、
病院を紹介する方針に変えたというわけです。

そこで1つだけ問題なのが、いつ紹介するかということです。
というのも、妊娠中期はさかごって多いのですが、たいていは何もしなくても36週ごろまでには自然に頭位に直ります。
先日も36週の健診で自然に直っていたお母さんが居られましたし、
人によっては陣痛が来てから回転して直ることも有るのですよ。
それで今回は36週になっても治らなかった初産婦さんを紹介することにしたというわけです。

ただし結果は、県立病院の部長が嫌がるのですよ。
県立病院なのにね。
もっと早い時期に紹介しろと言われます。ですがさかごが直るかどうかぎりぎりのところまで診ないと、
帝王切開するかどうかも判断できませんし、子宮の出口の状態では、経膣分娩の方が良いことも有りますからね。
だいたい開業医の悪口まで言われる始末ですよ。
開業医は楽して儲かるとでも思われているのでしょうね。
まったくその逆なのですけれど。

それで今後はどうするかですが、やはりタマル産で帝王切開しましょうか。
それともなるべく経膣分娩を勧めましょうか。

タマル産では帝王切開率はわずか2%弱です。
病院なら丹波市でも西脇市でも30%ほどですよ。
ただしさかごを事前に紹介すれば1%も切るでしょう。
どうしてこんなに方針が違うのかと、ふしぎに思われませんか?

私は若い頃に20箇所以上の病院で働きましたが、自分で言うのもはばかれますが、
こんなに帝王切開率が低いところは有りませんよ。世界的に見てもです。
1つだけ、綾部の夏山先生だけは1%を達成しておられましたけれど。
ですが時代が違いますからね。
今は裁判が多いですから無理はできない時代です。
なるべく事故にならないように、しかも帝王切開にもならないように、
そして帝王切開が減れば輸血する患者さんも減ります。
その方がお母さんにとっても、安全だと思うのですが。
何も大きな病院で産むことだけが安全だとは思いません。

ですが、なかなか理解してもらえない世の中になってきたものです。