タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

安全なお産はどこでできる?

2019-10-25 21:17:02 | 産科
写真は、丹波篠山市後川中の都紅珠(つぐみ)ちゃん、9月1日生まれ。
「たくさんの人を笑顔いっぱいに輝かされる子になってください。
3人目のお産だったので、気持ち的に楽でした。
赤ちゃんを預かってもらえたりしたので、とてもゆっくりできました。」

1人目のお産はたいへんだったのですが、その後は楽に産めましたね。
お産の少し前に、くるくる寿司屋さんでバッタリ会ってしまいましたよ。
妊婦さんには、お寿司はあまり良くないなんて、知っていましたか?
まあ、そんな堅苦しいことはよしとしましょう。


次の写真は、丹波篠山市住吉台の洸太朗(こうたろう)くん、9月2日生まれ。
「元気に育ってください。
1人目より楽に産めました。
ご飯がおいしかったです。」

元気が何より。
笑顔も大切ですね。


今月はまた新しい超音波の器械を入れました。
今年2台目の器械です。
内診室用の小さなものですが、それでもみなさんの車の新車1台分くらいの値段です。
先日導入した4Dの超音波なら2台分くらいですよ。

内診室用のものは、妊娠初期に使用するので、カラーで血流を表示できると、
わずかな心拍も確認できて便利なのです。
さらにはドップラーで、胎児の心音も聞こえるのですよ。
わずか数ミリの赤ちゃんの心音が聞こえるのは驚きですね。
うちの助産師さんたちでさえ、感動ものだと言っていますよ。

これらが意味するものは何でしょうか。
そう、あと5年以上は頑張らないと、器械の元を取れないということです。
要するにまだまだ丹波医療圏のために、この身を捧げますよ、という意思表示なのです。

先日、丹波篠山市長がクリニックを訪問された時、
「安全な医療」ということを仰っておられました。
どうも病院で産むと安全で、クリニックで産むと安全ではないと勘違いされているのでしょうね。

ちょうど昨年度の医療統計を厚生省に届けなければならないので計算していたのですが、
昨年度に入院中の患者さんを救急車で他院に搬送したのは、わずか4人でしたよ。
外来から直接搬送した方が他に1名居られたかもしれませんが、統計には含まれません。

4人のうち3人はお母さんで、1人が赤ちゃんです。
年間170人ほど生まれて、すぐにNICUに搬送しないといけない赤ちゃんは、
たったの1人だけだったのです。
とても少ないと思っていますよ。
3人のお母さんは、産後の出血や、切迫早産で転院になられたのです。

別の例を挙げてみましょうか。
タマル産では20年以上の期間で、輸血を要したお母さんは、わずか5人ほどですよ。
そのうちの1人が、今日ご紹介した産婦さんなのですけれどね。
他の病院では、頻度としてその何倍も多いのですよ。
今年、済生会病院と神戸大学に紹介したお母さんだけでも、
2人のお母さんがリスクも無いのに、産後に輸血されていました。

クリニックでは帝王切開する頻度が低いので、それだけ危険に陥るリスクも少ないのですね。
だから日本ではクリニック半分、病院半分でお産していても、
世界一、お産では安全な国だと言われているのです。
もちろん何か有れば、3次医療施設にすぐに搬送できるという制度が必要なのは言うまでもありません。
ですが何のリスクも無いのに、いきなり3次医療施設で産むとなると、
かえってリスクを増やしてしまうものなのですよ。

ですから丹波篠山市長が言われるように、
病院が無くなればリスクが上がる、というのは誤解なのです。

お産は五国に分割して考えないと

2019-10-18 21:19:16 | つれづれ
写真は、丹波市山南町の隼羽(しゅうば)くん、8月21日生まれ。
「元気に大きく、心の優しい子に育ってください。
3人目で3000グラム超えて、一番大変だったかも。
みなさん優しく、いろいろ話せて良かったです。」

妊娠中はよく体重管理に気をつけるようにお話しするのですが、
なかなか難しいのは分かっていますよ。

一般的な原因は、ファストフードと言われるものでしょう。
簡単に食べられて安い、パンやラーメンなどとジュースが良くないのでしょうね。
マクドで済ませる、のが問題なのです。
ご飯はむしろちゃんと食べて、おかずの魚やお肉と野菜もしっかり摂らないといけません。


ところで今日は、丹波新聞さんから取材を受けましたよ。
さすがにそろそろ兵庫医大撤退問題の根本原因は何か、というのが分かってきたようですね。
私が繰り返し発信していますからね。
新聞の記事に先駆けて、情報を漏らしてしまいましょう。

ここで1つ、先ほど作成した図を示してみますよ。

兵庫県の地図ですが、赤い部分はお産ができる市で、青い部分はお産ができない市です。
三田市は気が早いですが、お産できない市に入れてみましたよ。
すると半分くらいの市でもうすでにお産はできないのですね。

ところが丹波篠山市は、兵庫医大が撤退すると市内でお産ができなくなる、と騒いでいるのですからね。
信じられないフェイクニュースですが、丹波篠山市で一番多く赤ちゃんを取り上げているのは、
タマル産のこの私なのにね。

先日、丹波篠山市長がタマル産を訪ねて来られた時に提案をしておいたのですが、
本来であれば後はお願いしますと言ってもらいたかったのですが、
その後も引き続いて、新しく産婦人科医を探しておられるのは困ったものです。
どうもタマル産にはやめて欲しいようですね。
それは市長がコントロールできないからでしょう。
一連の会議にもタマル産を締め出しているのが、その根拠です。

それで丹波篠山市の根本問題は何かと言えば、
兵庫医大の撤退ではなく、
少子化の急激な進行を食い止められなかった市長の責任問題でしょう。
先の市長は箱物で失敗して借金を増やし、
今回の市長は医療行政と少子化対策で失敗しておられるのですよ。

先日市長には、丹波市や神戸市北区と提携して、
医療圏を広域に考えないといけないと提言したのです。
兵庫県は五国に分割して、それぞれで3次医療施設を作れば良いのです。
播磨は北磻磨総合医療センターで成功しました。
神戸は十分で、もっと減らしても良いでしょう。
但馬は豊岡病院に産婦人科医が集約されています。
淡路は2箇所の病院を1つにまとめた方が良いでしょう。
残る丹波だけが迷走しているのです。

丹波篠山市長は、丹波市や神戸市北区に頭を下げるのがイヤみたいですね。
1つの市で解決できる問題ではないのです。
三田市はすでに交渉を始めていますよ。
このままでは失政で被害を受けるのは私たち市民なのです。



少子化の決め手

2019-10-11 21:20:40 | つれづれ
写真は、丹波篠山市日置の絋弥(こうや)くん、8月19日生まれ。
「優しく穏やかな子になってください。
2人目でも大変でした。体力の無さを実感しました。
綺麗でとても快適、みなさん親切で嬉しかったです。」

1人目は違う病院での出産でしたが、満足していただけたでしょうか。

さて、最近の産婦人科関連のニュースと言えば、
「出生数90万人割れ、19年、推計より2年早く」というものなのですが、
ああまたか、と気にもされていないかもしれませんね。


だいたい推計は正しかったのか?と疑ってしまうのですが、
この政府の推計というものは、わざと高めに設定されているのですよ。
だって将来の年金を推計するのに使われるのですから、
あまりにも本当のことを言うと、がっかりさせてしまいますからね。
わざと年金を支える若者の数を多めに設定しているだけなのです。

だから丹波篠山市の将来の人口推計も希望的な推計であって、
実際はもっと早く減るのですよ。
丹波市さんはもっと深刻でしたね。

私は滋賀県の、生徒数2千名を超えるマンモス小学校で育ったのです。
いわゆる団塊の世代とは私より1回り上で、当時は年間260万人以上生まれていたのですよ。
その時代が第一次ベビーブームで、
さらにその赤ちゃんが大人になって産んだのが第二次ベビーブームだったのですが、
その第二次ベビーブームが途切れたのが、まさに今年ということになるのですね。
ですから来年以降は急激に出生数が減少することになりそうです。
残念ながらもう少子化は止められない、そんな大きな意味を持つニュースだったのですよ。


ところでこの夏、尼崎市から4組の若いカップルがタマル産の見学に来てくれました。
私の通う教会から、新婚カップルが出産のためにわざわざ遠方からです。
この中には1人目を産んだカップル、現在妊娠中のカップル、
そしてこれからのカップルで構成されていました。
夢が有りますね。

私は中学校からは京都で育ったので、学校と言えば宗教教育するのが当たり前という環境でしたよ。
働いた病院も、京都の日本バプテスト病院や奈良の天理よろづ相談所病院などです。
看護師さんたちは全員、宗教人で根が優しいのです。
しかもみんな子沢山です。
みなさんもそんな看護師さんに看護してもらいたくなるでしょう?

私は少子化対策の決め手は、宗教教育だと思っていますよ。
幸せな家庭を築いて、子供に愛情を注ぐことができれば、
自然とコミュニティーが発展するものです。
離婚や虐待とも無縁になります。

以前、丹波篠山に末日聖徒キリスト教会の若い宣教師が伝道に来られていて、
私もたくさん友人ができましたよ。
でもね、今は丹波篠山からは撤退していったのです。
この土地は伝道が難しかったからなのですね。
みなさんの心は頑なではないですか?
だいじょうぶかな。

そうそう、タマル産では毎朝の朝礼で礼拝の時間を取っているので、
看護師さんも親切で優しいのかもしれませんね。

医療不信への対応

2019-10-04 21:46:03 | 産科
写真は、丹波篠山市住吉台の凌央(りお)くん、7月18日生まれ。
「優しく、周りを思いやれる人に育ってください。
お産は痛かったけど、今回が一番楽に産めました。
みなさんとても親切、気さくで、安心できました。」

もう3人目になりましたね。
初めての妊娠の時から、よく覚えていますよ。




次の写真は、丹波篠山市杉の蒼大(そうた)くん、7月28日生まれ。
「周りの人を大切にできる子になってください。
みなさん本当に親切で、感謝しています。
次も今回と同じように立ち合いで産みたいです。」

そう、初めてのお産でしたよ。
家族やスタッフのおかげで安心して産めたとも。
初めてって、不安で不安でというお母さんが多いのですが、これこそ理想ですね。



そして次の写真は、丹波篠山市住吉台の玲奈(れな)ちゃん、7月30日生まれ。
「思いやりの有る、優しい子に育ってください。
VBACができる産院が少ない中、タマル産では挑戦できたので良かったです。」

何のことかと解説しますと、1人目のお産の時は、子宮口が全開するところまで進んだのですが、
へその緒が捲いていて結局、緊急で帝王切開になったのです。
1人目が帝王切開だと最近は2人目も帝王切開になるのが普通なのですが、
タマル産では希望者には、再度経膣分娩にチャレンジしてもらっているのですよ。
だってたいていは成功するからです。

ただし今回も子宮口が全開するところまで進んだのに、
1人目の時と同じようにへその緒が強く捲いていて、また緊急で帝王切開になられたのです。
とても悔しがっておられましたよ。
それでもほぼ産むところまで行ったと満足していただけたということですよ。

昨日の木曜日は、丹波市や丹波篠山市のほとんどの医師が四季の森会館に集合していたのですよ。
テーマの1つは、医療安全対策についてです。
対策と言いながら、実は医療安全を徹底するというよりは、
医事紛争やクレームに対してどう対応するか、という実践的なものです。

1999年が医療事故元年と言われます。
この年から急に医療者バッシングの報道が増え、裁判件数が急激に増加し、
医療不信が植え付けられることになったのです。
それまでは「先生にお任せします」という風潮だったのが、
「結果が悪ければ訴えてやる」という風に変わったのですね。

そしてその5年後に大野病院事件が起こり、
何も悪いことをしていない産婦人科医が逮捕されたのですよ。
結局は無罪にはなりましたが、これがきっかけで産婦人科を閉めた病院が続出したのですね。
今もその流れは続き、最近でも無痛分娩で事故が起こる度に開業医は閉院していますよ。
最近では神戸市北区の無痛分娩ばかりされていたオカ・レディース・クリニックさんが閉院されたのも無関係ではないでしょう。

タマル産が開業したのは1999年で、ちょうど医療事故元年に重なるのですよ。
そして丹波篠山市に転居したのがその5年後で、これも大野病院事件に重なります。

みなさんは医療事故は有ってはならないものだと思われているでしょうけれど、
実は医療事故はしょっちゅう起こるものなのですよ。
例えば、妊婦健診に来ている妊婦さんのお腹の中で突然胎児が亡くなるとか、
妊娠中期に突然破水してしまうとかです。
それは予期できることも有るのですが、できないことの方が圧倒的に多いのです。

産婦人科ではこの10年、さらに医事紛争が著増しています。
産婦人科医が何か悪いことをしているのでしょうか?
原因は医療不信ですよ。
そんな中で、これからも帝王切開の既往の有る女性に次は経膣分娩を勧められるでしょうか?
さかごのお母さんに、経膣的に頑張りましょうと今までのように言えるでしょうか?

そうです、医療に不信を抱いている方々は、これからはNICUの有る病院で産んでくださいね。
ただし大きな病院で産んだら医療事故が減る、というわけではありませんよ。

昨日の丹波新聞には、兵庫医大がお産を扱わなくなるのなら助産所をたちあげよう、
という報道が有りましたよ。
そう言えば先日来院された丹波篠山市長も同じことを言われていました。
まったく馬鹿げた話ではありませんか。
まるで60年前のようですね。
丹波市でも以前助産所がたくさん有ったと聞いていますが、
母体死亡が有って、最後の産院も閉院を余儀なくされたと聞いていますよ。

丹波篠山市では、お産はタマル産でもできますし、
妊婦健診だけなら他にも細見医院でもされているではないですか。
丹波篠山市に3箇所も必要ですか?たった250人ほどの出生数に対してです。
敢えて税金で助産所など、いかがなものでしょう。

タマル産が丹波篠山市に引っ越してくる前は、丸尾先生が開業されていましたが、
分娩数が月に10人を下回ったので、分娩取り扱いを中止されたのです。
今回のささやま医療センターさんも、月に10人を下回ったので、中止されるだけです。
タマル産もいずれは月に10人を下回れば中止します。
以前は月に20人近くでしたが、昨年はわずか月平均13人でしたしね。
丹波新聞には、「タマル産にお産が集中する」などと、あらぬ疑いをかけられましたが、
まったくのフェイクニュースを発せられているのは残念です。
また「地元で産みたいけれど市外に出ないといけなくなる」とはどういう意味でしょう?

結局のところ医療不信は、もっとも損をするのは患者さんなのですよね。