タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

牛の陣痛なら事前に分かります

2017-03-31 20:59:58 | 産科
いよいよ明日から新学期ですね。
小学校に入学する子は 居るかな?
それとも進級するのかな?
期待の大きい季節ですね。

昨日はタマル産の外来はお休みだったので、宝塚まで出かけてきました。
「あいあいパーク」は知っていますか?
私はよくここに植木を買いにいくのです。
ガーデニンググッズも豊富なので参考になりますよ。
1年分のバラの肥料やら治療薬なんかを買ってきました。

さて、今日のお話は近未来のお話ということで。
牛が赤ちゃんを産むのは、どんな様子なのでしょうね。
タマル産のシェフは農家の方で、以前は牛も飼っていて、お産も手伝われていたそうです。
朝見回ると、牛が赤ちゃんを産んでいた、ということも有るのでしょう。
あるいは、夜中に何回も見回りをするということも有るのでしょうか。

ですが最近では、牛の膣の中に体温計を入れておいて、
これが膣の外に飛び出したら温度が変化するので、スマホにアラームが届くみたいです。
さらには予定日近くになってくると、牛の体温そのものが変化してきて、
もうすぐ陣痛が起こりそうだよ、と教えてくれるようですね。
人間より研究が進んでいるかもしれません。
実際、大学の研究室で研究をしていると、
体外受精の研究などでも、競争相手はなんと他大学ではなくて、畜産科なのですよ。

私は以前から、妊婦さんにも体温計を付けておき、
陣痛の予兆などをクリニック側が把握できたら良いな、と思っていたところです。
最近ではスマホで体温を測るソフトも出ていますし、これをwi-fiで飛ばせば良いのです。

ところが今日、私と同じ考えの研究者を見つけてしまったのです。
少しショックなのですよ。それはジョーク。
https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170321-00002605-ted&utm_source=taboola&utm_medium=exchange
英語の動画ですが、下の方に日本語訳も付いています。

人間の場合は、切迫早産の管理に、陣痛計や子宮収縮計をお母さんのお腹に付けるのです。
だから病院にずっと入院しているか、危険を犯して家で安静にするかのどちらかしか方法が無いのです。
ところが小さなチップ、それは刺青シールのようなものなのですが、
それを肌に貼っておくと、体温などの情報がネットを使って病院に送られてくるのです。
ただしこれはまだ研究段階です。でもね、近い将来に実用化されるでしょうね。

ただ私としては、さらに妊婦さんのデータを蓄積すれば、
もっとおもしろいことが分かると思いますよ。
先ほどの陣痛が24時間後に開始しそうだ、とかです。
ついでに貼るタイプの体温計って、もう少し大きなものならすでに発売されているのですね。
まだソフトが日本語対応ではないようですけれどね。
赤ちゃんが病気の時なんかに、24時間貼るようですが、感度はイマイチという噂です。







HPVワクチンは集団に効果有り

2017-03-29 21:28:27 | 婦人科
篠山市今田町の栞(しおり)ちゃん、2月23日生まれ。
「目標とする道を信じて、地道に一歩一歩進んでいってください。
お産は、お腹の子と共に頑張れたと思います。
みなさん優しくて、本当に尊敬します。」

2人目のお産でしたからね。
要領もわかっていたので、安心して産めましたね。

さて、3月もあと少し、年度末となりましたね。
こうなると毎年、子宮頸がん検診の駆け込みが有るのですよ。
通常の月より3月は、2〜3倍の検診率です。
できれば誕生月に受けていただきたいのですけれどね。

それでも、
みなさんが受けてもらえれば良いのですが、
日本ではまだまだ未受診率が高いのですよ。
それで若い20代、30代の女性の子宮頸がんの発症率が、ものすごい勢いで増えているのでしたね。
原因はもちろんHPV(ヒトパピローマウィルス)の性行為による感染です。

これを解決するためには、予防接種ということになるのですが、
残念ながら日本では、副作用の問題で、積極的な予防接種が推奨されていない状態が続いています。
そうしている間に、世界では予防接種の効果が、次々と報告されているのですよ。

アメリカでは、HPVワクチン接種プログラム導入によって、
15〜24歳の子宮頸部病変が有為に減少しました。

オーストラリアでは男女ともに接種するために、
ワクチンを接種していない人までもが、HPVの感染率が下がりました。
これは何を意味するのかと言えば、集団としてのHPVの有病率が下がったために、
性行為でも感染する率が下がったということですよ。
こういうのを集団免疫獲得と呼びます。

日本では今も、中学生の女子だけが予防接種の対象ですが、
男子も一緒に受ければ、集団での有病率が下がるので、より効果が高まるわけです。

それで日本でだけ問題になっている副作用の件ですが、
予防接種を受けていないグループでも、受けたグループと同じような多様な症状が出ており、
予防接種の副作用とは決め付けられないようですよ。
どうもマスコミがセンセーショナルに報道したものだから、
副作用ばかりが強調されましたが、効果の方は報道されませんでしたからね。
最後は、マスコミが責任を持って、科学的な報道をしてほしいものですね。

これは日本産婦人科学会の記者懇談会での話でした。
かいつまんでお知らせしたものですよ。



帝王切開後の傷のケア

2017-03-27 22:05:44 | 産科
生まれたばかりの写真の中の赤ちゃんは、今日、もう退院されましたよ。
1週間は、あっという間なのですよ。

ここ最近、帝王切開が無いのですっかり忘れてしまっていましたが、
帝王切開の後の傷を、お手入れされていますか。

タマル産で産まれたお母さんには、以前は医療用シリコンでできた、
「ようかん」のようなものを買っていただいていました。
その前は何も指導していなかったのですが、
何もしないと時々、ミミズ腫れのようにケロイド状になるお母さんが居られるのですよ。
それで数千円する、シリコンのテープを勧めていたわけです。

ただシリコンのテープは、粘着力も有って、洗えば繰り返し使えるのですが、
次第に粘着力が落ちてきて、シリコンのテープ自体をさらに止めるテープが必要になっていたのですよ。
これをだいたい6ヶ月ほど使用すると、少しはましになります。
完全かと言われれば、やはり貼っていても、赤く膨れる方は居られます。
シリコンの糊というのも有るのですけれどね。

そもそも値段が高いと感じられるようです。
いったん大きく腫れると、再度その傷を切除して、
コバルトという放射線を当てるという方法で、美容外科的には治療するのですよ。
そうなれば大ごとで、費用もさらにかかるというのにね。

よく耳鼻咽喉科では甲状腺腫瘍の手術をすることが有りますが、
首の傷跡で目立つ部位ですから、薄いテープを貼るのです。
これを応用して、タマル産でも最近では、「カブレステープ」、
かぶれないテープという商品名なのですが、これを貼っていただいています。
これなら1本数百円と安く、1本有ればちょうど半年ほど保ちそうですからね。

むかし、帝王切開をした或るお母さんから、手術から何年もして手紙が来たのですよ。
それはお礼の手紙ではないのですよ。
陣痛の途中で胎児の心音が落ちてきて、緊急で帝王切開をしたのです。
急いで手術しないと、赤ちゃんが仮死で生まれてきたり、
最悪、お腹の中で亡くなってしまうことだって有るのです。
ですが元気で生まれて良かったですよ。

ところがその手紙には、傷跡がみにくくて、公衆浴場にも入れないと書いてあるのです。
ケロイド状態になっていたのでしょうね。
ただしこればかりは体質も一因です。
しかも開業当初は、傷の手入れまではお話していませんでしたからね。
というか、手入れ用のテープは、5年ほど前に売り始められたところです。

直接電話しても良かったのでしょうが、
傷は、赤ちゃんを元気で産んであげたお母さんの誇りだと自慢してあげてください、
というようなことを書いて送った記憶が有ります。

そうそう、最近、見ず知らずのおばあちゃんからお悩み相談の手紙が来て、
丁重に返事を出しておいたのですよ。
そのお礼に、次の日には畑で採れたという黒豆やら山芋やらが贈られてきましたよ。
もちろんそんなことは期待していませんでしたけれど、
そういうお付き合いは、なんだか嬉しくなりますね。

そうかと思えば、今日は、妊娠初期の妊婦さんのご主人から、
辛そうだというメールが来ました。
妊娠6週と言えば、つわりが出る時期ですからね、健診を待たずに来院してもいいのです、とお返事したところ、
安心した旨の返事がすぐに有りましたよ。
ただし若い方には、すぐに返事しないといけないのでしょうね。

話が横にそれましたが、要は、何でも相談できる関係が良いということでしょう。


臍帯血バンク

2017-03-24 21:48:19 | 産科
写真は最近生まれた赤ちゃんのお父さんです。
生まれてすぐに赤ちゃんを抱っこすることで、父性もまた芽生えるのですね。
つい先ほども赤ちゃんが生まれたのですが、
お父さんに分娩に立ち会ってもらって、すぐに赤ちゃんも抱っこしてもらいましたからね。

20年ほど前になりますが、小学校の時の先生からいきなり電話がかかってきて、
臍帯血輸血をするのはどうしたら良いか、と聞かれたことが有ります。
ちょうどその頃、臍帯血バンクが始まったというニュースが流れていたからなのでしょう。

また30年近く前になりますが、
天理よろづ相談所病院に居た時に、医局の隣の席の先生は大野先生といわれて、
骨髄バンクを創設するメンバーの先生で、有名だったらしいのです。
そうか、その頃にドナーを登録する制度が始まったのですね。
みんなにも登録しないか、と持ちかけられましたよ。

また最近では、数日前に日本造血細胞移植学会という機関からアンケートが届きました。
というのも、産婦人科の医師ですら、私のような者のことですが、
臍帯血バンクに関しては、まったくの無知だからです。
まだ一部の大学病院などでしかしていないのだろうと思っていたからです。

普通、臍帯血はどうするのか、と言えば、
まず胎児が元気だったかどうか調べるために、ごく少量を検査に回します。
残りはわざわざ取り出さなくても、臍帯のまま、胎盤と一緒に
医療廃棄物業者さんに引き取ってもらうのです。

ヨーロッパなどでは昔は胎盤と臍帯を庭に埋め、
そこに誕生月の苗木を植えたそうです。
胎盤の栄養を吸って木が成長し、赤ちゃんの影として一緒に育つのです。

ちなみに臍帯の中を流れる血液は、誰の血だと思いますか?
お母さんの血液ですか、それとも胎児、いえいえ混ざっていると思いますか?
実は臍帯の中の血液は、胎児の血液ですよ。
お母さんの血液は一滴も混じっていませんからね。
そもそも母体と胎児の血液は、酸素や栄養を交換しますが、
まったく混じっていないのですよ。
そうでないと、お母さんと赤ちゃんの血液型が違うのは、不思議でしょうからね。

この臍帯血の中には、造血幹細胞という特殊な細胞が有ります。
この造血幹細胞は、例えば白血病の子の治療に使ったり、
iPS細胞を作って、臓器に変え、移植に役立てたりできるわけです。

ただし赤血球のように、ABO型の違いでなく、
造血幹細胞には、HLA型というものが有って、適合する血液は、
なんと数百万から数万人に1人だけなのですよ。
家族で言えば、4人に1人ですが、4人以上の兄弟姉妹なんて少ないでしょうから、
家族の中でも適合する確率は低いのです。
だから多くの胎児の臍帯から臍帯血をもらう必要が有るのですね。

最近では大きな手術の前や、大出血を来たしそうな出産の前に、
自分の血液を前もって採血しておき、手術や出産の時に自分に返すということもされます。
いわゆる自己血採取というものです。
これと同じように、自分の赤ちゃんが将来病気になるかもしれないので、
そのために前もって臍帯血の造血幹細胞を残しておき、
自分に再使用するということも理論上できるわけです。

現在、公的な臍帯血バンクは、全国に6箇所有り、いずれも日赤が管理しています。
私的バンクというものも有って、企業が運営しているのです。
交通事故などの時、輸血のための血液は、誰のものが良いかなんて選べないでしょう?
提供者さんから匿名で提供していただいているわけです。
ですが最近では献血する人も少なくなり、
多くは外国人提供者のものですよ。

これと同じで公的バンク、いわゆる日赤の臍帯血は、他人に使われます。
その代わり、採取費用は無料です。
将来自分が病気になった時の保険として残しておくのは、私的バンクで、当然費用がかかります。
初期費用と10年保存料で、21万円ほどだそうです。
私的バンクは数百も有るそうですね。

タマル産にはまだ依頼が無いので、臍帯血の採取や提供はしていませんよ。
そのうち強制になったりする時代が来るかもしれませんね。

大学が春休みで娘が帰ってきたのですが、
最近、所属する運動クラブ全員で献血をしたそうです。
クラブの宣伝も兼ねているようなのですよ。いいのかな?
まあ、日本人が日本人のために、若いうちに献血する習慣を付けるなんて、理想的ではないですか。

シミのレーザー治療

2017-03-22 21:49:52 | 美容医療
先ほどまでお産が有ったので、今日も更新が遅れてしまいました。
今週は3人続けて、たいへんなお産でしたよ。
はっきり言って、他院では3人とも帝王切開になっていたようなお産でしたよ。
なぜ分かるかですか?
私はタマル産を開業する前の4年間は兵庫県立病院に勤務していたからです。
陣痛の、まだ中ほどで、胎児の心音が下がるような場合は、たいてい帝王切開になるのです。
ですが、経験を活かすと、経膣分娩することもできるのですね。

さて、今日は、美容医療のお話ですよ。
春休みで問い合わせが多くなっています。
それに春のTポイント2倍キャンペーンも、まもなく終了しますからね。

写真は、タマル産の職員さんの「しみ」です。
もちろん本人の許可を得ています。
こんな小さな「しみ」でも、女性にとっては気になるもののようです。

この職員さんの「しみ」は左右のほっぺたに有りました。
こういう場合は診断が難しいです。
左右の頰にできるシミの代表的なものは、「肝斑(かんぱん)」です。
肝斑は女性ホルモンと関係すると言われていて、
40代頃から目立ってきます。
あるいは若くても女性ホルモン剤を内服されている場合も、出ることが有ります。

肝斑であれば、ヤグレーザーが効かないのですよ。
先日も肝斑かどうかはっきりしないシミにヤグレーザーを照射した方が居られるのですが、
確かに一度剥がれるのですが、すっきりと治らないのですよ。
そういう場合は飲み薬の方がよく効きます。

それで、この職員さんは、と言うと、肝斑も疑われたのですが、
むしろ老人性のシミを疑いました。
老人性などと言うと嫌われてしまいますが、私が名付けたのではないのでお許しください。
肝斑と違い、老人性のシミは、レーザーによく反応します。


上の写真はレーザー照射直後です。
白化現象と言って、一時的にまっ白になります。


それからしばらくすると、上の写真のように、やけどをした時のように赤くなってきます。
この写真は照射翌日なのですが、痛々しいくらいです。
患者さんは、ひょっとして失敗したのかと思われるかもしれませんね。



上の写真は、照射後3日目です。
こうなると少し安心ですよ。
乾燥してきて、日焼けの後に、皮がめくれてくる前のような状態になってくるからです。


そして照射後、6日目の写真です。
きれいにシミが剥がれ落ちました。
中からピンク色の新しい皮膚が出てきましたね。
残念ながら、ほんの少し茶色い部分が残ってしまったので、追加照射は要るでしょう。

たいてい1週間から2週間のうちには、シミは日焼けの後のように剥がれるのです。
ここで注意していただきたいのは、この新しい皮膚は弱いので、
しばらくは日焼け止めクリームを塗って、日焼けしないようにしてください。

もう1つ注意は、せっかくピンクになった皮膚ですが、
一時的にまた茶色くなります。
「戻りジミ」と言うのですよ。
それがまた半年ほどかけて徐々に薄くなっていきます。
ですから、シミの治療をした場合は、少なくとも半年は経過を見てください。
もし追加で照射が要るようなら、半年後の方が良いかもしれませんね。

ちなみに費用は、初回なら保険が効くことも有りますから、
大きさにもよりますが、1万円もかかるかかからないかの程度です。
2度目以降は、ホームページの料金表を参考にしてください。
http://www.tamar.jp/biyo

ちなみによくお化粧によって、逆にシミが出ている方が居られますね。
あるいはケガした後のシミや、メガネがよく当たる場所のシミなど。
こういうのを、炎症後のシミと呼びます。
そんな場合は、レーザーよりむしろ光照射を月に1度、半年間ほどする方が効果的なことも有ります。
知っておいて損は無いですね。