タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

一宮神社には誰が祀られているでしょう?

2016-10-31 21:13:51 | つれづれ
11月の22日から27日まで、神戸の三宮駅近くで、
マークエステル展が開催されます。
私も行くつもりですよ。
みなさんも覗いてみられてはどうでしょうか。
直接、マーク先生とお話できるかもしれませんからね。

これは会場近くの一宮神社に、「須佐之男命(すさのおのみこと)に祝福を受ける田心姫命(たきりびめ)」
という絵を奉納されることを記念して行われるのです。
マーク先生の絵は全国の神社に奉納されており、今回が167社目となるのですが、
兵庫県では湯泉神社や生田神社などに続いて8社目となるそうです。

神戸には一宮から八宮まで有るのでしょう?
一宮にはその田心姫命が祀られているのです。
伊勢から紀伊半島を西に回ると瀬戸内、そして玄界灘を通って、韓国、中国に続く海の道に沿って、
田心姫命が祀られている神社が並ぶようですよ。
天照大神がその弟、須佐之男命から預かった剣から、田心姫命を産み出すのです。
父と娘という構図なのですね。
成長した娘に祝福を授けている絵なのですね。深い思いが有ることでしょう。

タマル産の診察室にも、マーク先生が描かれた、海の絵が有るのを覚えておられますか?
これはマークエステル先生の父が経営していた南仏のカップエステルというホテルからの景色なのですよ。
若い頃に過ごした風景なのですね。「朝の愛」というタイトルです。
普段はアジアの神話を題材に描かれているのに、自分の心の中の郷愁を描かれるのは珍しいのです。
額縁が窓枠のようになっているのを気付かれましたか?
部屋の中から外を眺めているかのような感じでしょうか。

今は万博公園跡地に有る、太陽の塔の内部が公開されているようですが、
その岡本太郎先生の言葉を借りてみましょう。
「マークエステルは人間誰しも心の底にある感情、愛や喜び、そして悲しみや郷愁を描写しようと努める。
私にとって更に重要なことは、子供の絵に見られるような魔法の魅力を持ち合わせることである。」

私には、小さい頃に家族で行った、1970年の万国博覧会が懐かしいのですよ。

男性不妊とタマルという女性

2016-10-28 21:14:54 | 不妊症
宮城県岩沼市の香隠(かのん)ちゃん、9月23日生まれ。
「みんなに優しくできる、穏やかな子になってください。
お産では、一度寝た方がスムーズというアドバイスが効きました。
1人目の時より心に余裕が持てました。みなさんと気軽にお話ができました。感謝しています。」

次は男の子だと嬉しいです、ということでした。
でもこればかりは分かりませんからね。

陣痛が弱い時や、夜から陣痛が始まった時など、
一度寝て、次の日が本番、という姿勢も良いでしょう。
今朝というか丑三つ時に、2人続けて赤ちゃんが生まれましたが、
先の方には一度寝てもらったおかげで、その後陣痛もついてきたのですよ。
あまり緊張して、生まれるまで起きておこうなんてすると、次の日がたいへんですからね。
今朝生まれた赤ちゃんは、了解を得て、フェイスブックに載せていますよ。
https://www.facebook.com/tamarclinic/photos/a.193338350720952.64150.172667016121419/1117707638284014/?type=3&theater

昨日も木曜日で外来はお休みだったので、出かけていたのですが、
お産の入院が有るというので、すぐにお呼び出しとなったわけです。
だいたい木曜日は、私は本屋さんか古本屋さんに出没しているのです。
昨日買ってきたうちの1つが、図説よくわかる臨床不妊症学、という本です。
中古なのにすごく高価でした。

男性不妊症の項目に、近年、男性不妊が増加する背景、というものが有りました。
何か社会的な問題や環境因子の話が書かれているのかと思いきや、
男性不妊の大半を占める特発性造精機能障害に対する根治療法がなく、
対症的に生殖補助医療に依存せざるを得ない現況では、
初診時には女性不妊の方が多くても、残ってくるのは難治性の男性不妊であって、
男性不妊の比率も上がる、という論理でした。

この本も初版が9年前ですからね。
致し方有りませんか。
ここ1年ほどでは、より積極的に男性不妊に対しても、タマル産ではホルモン療法を施行しています。
この1年の手応えとしては、劇的に改善する方も居られれば、
半年ほどの治療では殆ど変化無いという方も居られます。
実際、初診時は殆ど精子が居ないような方でも、
治療後さらに人工授精と組み合わせて妊娠されたカップルも居られます。
もう少し症例数を増やしたいところですね。

そしてもし保存的な方法で改善しないとなれば、次は顕微受精ということになってきます。
ただ顕微授精の場合、卵に注入する精子は、今のところ顕微鏡下に肉眼的に観察するくらいしか方法が無いのです。
ですから自然妊娠や普通の体外受精と比べると、
生まれてきた子の染色体異常の確率は高いとされています。
ここがまだ未解決な部分なのですよ。

先日のニュースで、体外受精の際、ご主人の精子の代わりにご主人のお父さんの精子を使って、
すでに赤ちゃんが生まれているというものが有りましたね。
覚えておられますか?
感情的な問題を考慮しないなら、すごく良い方法だとは思いますけれどね。
遺伝子的にはご主人のものと一番近いわけです。
問題は赤ちゃんのお爺ちゃんとの関係が問題にならないか、ということくらいでしょうか。

タマルという女性の話を復習してみましょうか。
ユダには3人の息子が居たのです。
長男のお嫁さんがタマルです。
ですが長男がすぐに亡くなってしまうのですね。

それで昔は次男と再婚する風習が有り、それに従いました。
ですが次男もまたすぐに亡くなってしまうのです。
ユダおじいさんは、三男も早死にしてしまうのかと思ってしまうのですね。
だから結婚させないのです。

それでもタマルは、ユダの血統を残そうとするのですよ。
それがお嫁さんの使命だと考えているからです。
それで娼婦に化けて、ユダと関係を持つのです。

当時不倫は石打の刑という公開処刑だったのですが、タマルは機転を利かせて無罪となるのです。
結局は、その子孫からイエスキリストが生まれてくるのですよね。
タマルという女性は聖書の中では重要なポジションに居るわけなんですよ。

たとえおじいさんの精子であっても、その血統を残すという意味では許されることだと思いますが。
現代的な感覚では理解し難いでしょうね。

ところで、今日外来に来られた患者さんのお母さん、
14年前にタマル産で赤ちゃんを産まれた方です。
もちろん覚えていますよ。
その赤ちゃんが14歳になって来院される年頃です。
お話だけで済みましたが、大きくなった赤ちゃんを見て居るような気分でしたよ。
おもしろいでしょう?

陣痛の際に注意する持病って?

2016-10-26 21:40:13 | 産科
神戸市西区の陽菜(はるな)ちゃん、9月21日生まれ。
「優しい、思いやりの有る子に育ってください。
3人目が一番楽なお産でした。
お料理はとってもおいしかったです。アレルギーの対応もしていただき、嬉しかったです。」

里帰りなので、上の子たちがいつも健診に付いて来ていて、興味深々でしたよ。
もう1人、妹が生まれてよかったね。

タマル産では小さなクリニックなので、
食事は個別に対応できるところはしているのです。
ですが好き嫌いまでは、ちょっと難しいでしょうか。
私など、食べに行ったら物を残すなんていうのは考えられないのですが、
最近の若い方は、嫌いな物は平気で残すのではないですか?

食事に対してアレルギーを持っておられる方は増えましたね。
生魚を食べると息が止まってしまう、などというお母さんも最近居られましたよ。
そういうお母さんが入院してくると分かると、タマル産では予行演習もしています。

対応としては、ボスミンという注射を1/3アンプルだけ、筋肉注射するように指導しています。
一般名はアドレナリンのことですよ。他にも数種類アドレナリンを置いています。

以前はショックにはステロイドを使用すると言われたことも有りましたが、
今では効果が無いことが分かっています。
とにかく交感神経刺激剤である、アドレナリンを注射するのです。

学校などには、エピペンが常時、置いて有るのかと思っていましたが、
そうではなくて基本は、アレルギーの有る子に処方されたものを使用するのですね。
他の子のものがたまたま有ったからとかは、基本的にはダメなわけです。
注射は一時的な効果しか有りませんから、注射後に救急車で医療機関を受診しないといけません。

エピペンの使い方はYouTubeなどに有りますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=6lLz8t52buM
注射は太ももの外側にするのですね。
緊急の場合は、ズボンの上から注射しても大丈夫です。

もう1つ、別のお話をしましょう。
お産では、よく喘息になったことが有ったり、
今でも喘息発作が出るという女性もおられます。
こんな時は、陣痛促進剤の使用が限られます。

プロスタグランディンのEやFという種類の薬が使えないので、
アトニンという薬だけが慎重に点滴することができます。
ただしアトニンという薬は、小刻みに子宮の収縮を起こす薬なので、
生まれる直前に使用する薬なのですよ。
赤ちゃんが大き過ぎたり、へその緒が絡んでいたりですね。

前期破水と言って、陣痛からでなく破水から始まったような女性では使いにくいのです。
こういう場合は、使える薬が限定されているので、ちょっと苦労するのですよ。
時間を掛けすぎると、子宮の中に感染が起こってしまうので、
帝王切開になることも有りますからね。

「現代病」と言えるような病気を持った妊婦さんが多くなった、というお話でした。

不妊外来はまずは土日からでも

2016-10-24 21:17:18 | 不妊症
先週生まれた赤ちゃんとお婆ちゃん。
赤ちゃんのお母さんは里帰りだったのに、ご主人は飛んできましたね。

さて、今日は不妊症の話題です。
最近妊娠された女性は、クラミジアの治療をしたら直ぐでしたよ。
まずは受診するかどうか悩んでいないで、結婚して1年も経てば受診すべきですね。
もしくは月経が不規則だとか、気になることが有れば、1年も待つ必要は有りません。

タマル産では、最近はコンスタントに日曜日も診療しています。
というのも不妊で悩む女性は、ほぼ仕事を持っておられるからです。
内科などでは、受診される患者さんは定年退職した方も多いのではないですか。
だから平日でもそれほど負担がかかるわけではないでしょうからね。

そして土日もやっているというのを聞きつけて、
最近では土日しか来院できない患者さんが増えてきました。
不妊外来を受診するきっかけを作る、という意味では成功していると思います。
ですが、少し物足りないのですよ。

まずタイミング指導することから始めるのですが、
若いカップルなら数ヶ月、40歳前後なら1ヶ月もかければ十分でしょう。
この間なら、週に1回の受診でも何とかなるものです。

次のステップは、不妊の検査ですね。
タイミング指導と同時に行うことも多いのですよ。
ホルモンの負荷試験以外は夜診でも可能ですから、
月水金の夜診でも構いません。
排卵期の性行後検査なども有りますが、
急がなければ数ヶ月かければ検査はできます。

次に最近では内服の排卵誘発剤を使用することも多くなりました。
本来は、注射の排卵誘発剤の方が良いと言われています。
その後の体外受精のステップも念頭に置いておくという意味合いが有るからです。
ですが、注射剤の場合は、週に最低でも2回は来院していただかないといけないので、
うまくタイミングを取れないことも有るのです。

それで1年、一般不妊外来で治療しても妊娠されない場合は、体外受精に進んだ方が良いでしょう。
そうなるとさすがに仕事を休む日数も増えてくるでしょうね。
ですから、ステップアップしていくに従って、仕事との兼ね合いが難しくなってくるのです。
それでも土日から通い出すのは、足がかりとしては良いことだと思うのですよ。

もう1つ言うなら、もしうまく妊娠された時に、仕事を続ける意思が有るのか、ということです。
34週か、公務員の方はもっと早くから産休に入るでしょう?
産休に入るまで仕事を続けられると、
1年の育児休暇を取っても収入が有るのでお得なのですよね。
ですが企業によっては、妊娠すると退職しないといけないようなことが有るのではないですか?
タマル産では、これまでに多くの職員さんが育児休暇を取られたのが自慢です。
小さい職場なのに、なんとかやりくりしてきました。

妊娠したら仕事をやめる、と考えておられるならば、
不妊治療に入る時にやめてしまってもいいのではないですか?
ですが治療費もばかにならないでしょうから、
それを選択する若いカップルは居られないのでしょうね。

理想を言えば、初めに人生設計有りき、なのですが、
若い時は、行き当たりばったりというのも、また世の常なのかもしれませんね。

カンボジアでも子宮頸がん検診

2016-10-21 21:17:58 | 婦人科

今週はとにかく忙しかったですからね。
写真はその時の赤ちゃんたちですよ。
そして今日、いっせいに4組揃って帰られました。
入院した時よりも人数が増えて退院するなんて、産婦人科だけですからね。

うち1組は姉妹でお産され、お姉ちゃんの時は入院も長くて、2人目だったのですが、
雪の激しい早朝で、切迫早産のために救急車で新設されたばかりの
福知山市民病院に転院していただいたのでしたね。
妹さんも2人目で、今日、お迎えのお姉さんと一緒に退院されましたね。
職員もみな、その日のことはよく覚えています。

別の入院中のファミリーは、個室なので、まるで家庭の再現ですよ。
赤ちゃんをかわいがっている一番上の子は、
13年前にタマル産が柏原に有った時に生まれた子なのですって。

長く続けられていることに感謝です。
またいろいろな病院の方々にもお世話になっていることに感謝ですよ。
ただタマル産が有ることによって、地域の1次医療も充実してきているのではないでしょうか。
同じことを病院だけで成そうとすれば、莫大な労力や資金が必要になるでしょうから。

さて、今日は日本産婦人科学会からのお知らせが来ていて、
カンボジアでの、「工場労働者のための子宮頸がんを入口とした女性のヘルスケア工場プロジェクト」がこの夏、行われたというものです。

だいたいカンボジアって、どこに有るのですか?
中国の南、ベトナムやタイの横に有る、人口1500万人ほどの国です。
地理的に重要な所ですから、長い内戦期間後に平和を取り戻したのは、1990年代に入ってからなのですよ。
だからまだ地雷が除去されていない危険な地域も有るようですよ。

知識人はすべて虐殺されてしまいましたから、今、日本からの支援も受けているのです。
そんな状況下で、女性のヘルスケアの向上を目指した活動なのです。
ある700名規模の工場で、子宮頸がんを受けましょう、という啓発が行われたのです。
ほとんどの従業員が興味を持って受講し、
その内容は、どのようにこの病気になるのか、どこで検査を受けられるのかなどです。
みなさんはもう子宮頸がんの原因は知っていますよね?

別のチームは5施設の病院の視察にも行ってきたようです。
問題は、病理医が国全体で7人しか居ないことだそうです。
もっとも他にも必要な分野が多そうですから仕方ないのでしょうね。
病理医というのは、とくに婦人科には重要で、
子宮頸がん検診の診断は、検査技師がスクリーニングし、病理医がするからです。
そのうちヒトパピローマウィルスの検査が主体となれば、
重要度は下がるのかもしれませんが。

日本では平和過ぎて、子宮頸がん検診さえも、受けないでいるのではないですか?
受診率がとても低いのですよ。
妊娠されると全員に検査をするのですが、
赤ちゃんを産み終えると、婦人科を受診する機会を失っておられるようですね。
その後も毎年、受診されると良いですよ。
乳がんと子宮頸がんを、ぜひセットで受けてくださいね。
http://www.tamar.jp/nyuugan

ところで、うちの子供の1人が、今年の末にカンボジアの教育現場の視察に行くのです。
地雷を踏まないようにしてもらわないといけませんね。