タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

みな幸せに育ってください

2019-03-01 21:27:04 | ウォーターベッドバース
写真は、神戸市北区の七葉(ななは)ちゃん、1月28日生まれ。
「幸せに育ってください。
お産は、しんどかったです。」

2人目ですが、まだお産が楽しいというレベルには達しませんでしたか。
何人か産んでいるお母さんでは、お産が気持ち良かったと言われることも有りますよ。

今週は何度もお話していますが、今日3月1日で、タマル産はちょうど20歳となりました。
保険診療は開業した翌月からしかできないので、
実際に診療を始めたのは4月1日なのです。
だからその1ヶ月間は新しい職員と、開業準備をしていたのです。

開業当初からの職員は、助産師のYさん、調理師のAさん、それに裏方のDさんです。
その他の職員さんも長く働いてもらっています。
長く働けるというのは、職場環境が良いからだ、なんて自負していますよ。

それに受付のKさん、看護師のWさん、リフロクソロジストのAさん、調理師のAさんの娘さんたちは、
タマル産で何人も赤ちゃんを産まれましたしね。
自分の職場で産めるなんて、すてきではないですか。

20年前の5月14日に、第1号の赤ちゃんが生まれました。
開業してすぐですよ。
なぜ記憶に有るかと言えば、我が家の5番目の子だからです。

タマル産で初めての赤ちゃんは、水中出産で生まれたのですね。
この水中出産用のプールは、私がフランスから輸入したもので、
もちろん日本では初めてのものでした。
医療用具として、ちゃんと厚生省だかの承認も降りたものなのです。
おかげでたかがビニールプールに2百万円という値段が付いたのですけれどね。

夕方に陣痛が始まったと連絡が入り、柏原から篠山まで迎えに走っている間に、
プールにお湯をはってもらいました。
水着に着替えてプールに入ってもらい、比較的スムーズに産むことができましたよ。

その後は何人も水中出産を希望するお母さんに、トライしていただきました。
希望されないお母さんの方が多かったのですが、
そういうお母さんには当初よりウォーターベッドでのお産をして頂いていたのです。
水中出産の簡易版と考えていただければ良いでしょう。

ウォーターベッドも、開業を考えた時、分娩台をいろいろと考慮する中で、
坐位でする分娩椅子だとか、宇宙飛行士のように回る椅子、
それに今で言う介護浴槽のような扉の付いたお風呂などを調査したのです。
そこでピンと来たのがウォーターベッドでのお産だったのですね。
もちろんこちらも世界で初めて、というか今でもタマル産でしかしていない方法なのです。

なかなか好評ですよ。
分娩台に抵抗の有る女性は多いのです。
そもそも歴史的に分娩台は、医療者が処置しやすいように考えられたものですから、
産むために気持ち良いかという意味では、最悪なのです。
もちろん緊急の処置が必要なお母さんや、帝王切開では分娩台を使用するのですが、
それではがっかりされる方も多いのですよね。

そんなこんなで20年、今だに手探りのまま、常に良いものを探し続けているのですよ。
とくに分娩介助の方法は、助産師さん任せにはなかなかできないのですよ。
やはり赤ちゃんの産み時というのが有って、こればかりはなかなか伝授できないのですね。

最近では神戸市北区と言えば、オカ・レディース・クリニックさんと松岡産婦人科クリニックさんが、
ともに今年中に分娩の取り扱いを中止すると発表されました。
残念ながらこれからは、病院中心のお産となっていくのでしょうね。
そんな中でタマル産は、少しでも足跡を残せれば、と思っていますよ。

3ドルのお産のセット

2017-07-24 21:20:40 | ウォーターベッドバース
小野市の天嶺(たかね)くん、6月19日生まれ。
「高嶺の花のように、考えるだけでなく、自分自身で行動してください。
お産は、今までで一番の痛みでした。
優しく、何でも教えてもらえました。」

高嶺の花、って、ひょっとしてマンガの主人公ですか?
もう若い人には付いていけませんよ。

昨日は日曜日でしたが、夜中から次の夜中までに、3人も赤ちゃんが生まれました。
3人のうち2人のお母さんは産後に弛緩出血を起こして、いろいろと処置をしましたよ。
産後に子宮の収縮が緩むと、出血が増えることがまれに有るのです。

輸血をするほど出血するということは、タマル産では年に1人も無いくらいですが、まれには有ります。
輸血をする場合は、大きな病院に救急車で、医師同乗で、転院していただくのですよ。

出血を抑えるためには、まずは子宮収縮剤の点滴をします。
点滴をすると尿が溜まるので、溜まると子宮の収縮には逆効果となるので、
膀胱に管を入れ、トイレに行かなくても良いようにします。
そして3番目は、物理的にお腹の上から子宮を圧迫するのですよ。
これがもっとも有効だったりします。

昨日は私も夜中に2時間近くも子宮を圧迫しました。それでちょっとお疲れですよ。
子宮を押している間、産婦さんとおしゃべりです。
眠らせないためと、意識が遠のかないか反応を見る意味も有ります。

「放っておいたら出血が増えて、生命にかかわるのですよ。」
「え〜?」
何せ、お産は初めての経験ですから、いろんなことをされても戸惑うことばかりでしょう。

話は変わりますが、このブログを読まれる6分ほどの間に、
世界では3人の産婦さんがお産で亡くなられているのです。
1人はこの弛緩出血などのため、
1人は10代の低年齢での妊娠のため、
1人はお産の環境が不衛生なため、へその緒を切るキットが無いためと言われます。

詳しくはですね、次の動画を見られると分かりますよ。
ただし英語ですが、字幕が有ります。
それに丁寧な英語なので、英語の聞き取りの勉強にもなりますよ。いろんなテーマも興味を引きます。
https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170724-00002731-ted

それで、へその緒を切るセットですが、
今までは1セット2ドルほどで作成されて途上国に配られていたようなのですが、
これが不評だったと言うのです。
それでズバイダ・バイさんが揃えたのが、
吸水シートと、清潔な使い捨てのメスの歯、へその緒を止めるクリップ、それに手袋と石鹸です。
1セット3ドルと少し高くなりましたが、という解説です。
この女性、自分の母を自分のお産で亡くされたそうです。
自分も新生児期の感染症で長く治療を受けられた方のようですよ。

このキットを世界中の女性に配ることができたら良いでしょうね。
ですが使い方の教育も要りそうですね。

ところで、私のカミさんは3人目、4人目を自宅で産んでいます。
この時に私は、自宅出産用に、殆ど同じようなものでセットを組んでいました。
ですからズバイダ・バイさんよりずっと先に行っていましたね。
また自慢してしまいました。
さらには、会陰裂傷用の縫合セットも用意していましたけれどね。

実は、タマル産を開業した時にとてもこれが役に立ったのです。
というのも、タマル産の分娩室はLDRで、たいそうな分娩台は無いからです。
それにウォーターベッドの上で産んでいただくことが多いですしね。
だから、今でも、自分の経験をもとに組んだ分娩セットだけでお産に挑んでいるのです。
よく、救急車の中にも同じようなセットが有りますし、
何度も救急車内で、分娩の準備をしたことも有りますが、
タマル産のものの方が優れていますよ。

ずうっとこれでやってきたのですが、
最近は、お産の時には点滴のルートを取るところが大きく変わりました。
予防的な処置ですからね。
本当は産婦さんを固定してしまうのでイヤなのですが、
最近の風潮からすれば致し方ないかと。

それで結局、タマル産では、クリニックの中で、自宅出産のようなことをしている、ということです。
ですが、最近、病院でも、病院の中に助産所を作ろうというのが、国の方針ですからね。
残念ながらそうは簡単に行かないでしょうけれどね。
それは、助産師が責任を負える体制にはなっていないからです。
だいたい8時間毎にコロコロ変わっていては、お産の進み方に誰も責任を持てないでしょうしね。




タマル産のお産の歴史

2017-07-12 21:33:59 | ウォーターベッドバース
丹波市柏原町の陽葵(ひまり)ちゃん、6月6日生まれ。
「ひまわりのように明るく元気いっぱいすくすくと成長しますように。
いきむ時は痛かったけど、赤ちゃんを見ると痛さを忘れました。
みなさん優しい方ばかりで、もっとお世話になりたかったです。」

そうそう、今度から、もっと入院したいお母さんには、入院を延長できる制度ができましたからね。
最近は家に帰ってもだれも手伝ってもらえないとか、
産後1週間くらいは一番、うつ傾向になる時で、涙が出るとか、
初めてのお産で、まだオッパイが出ないとか、
そんな悩みを抱えているお母さんは、最大1週間まで延長できるのですよ。
ただし今のところは篠山在住の方だけですが。
そのうち丹波市でも始まることでしょう。その時はきっとタマル産でも使えると思いますよ。

先日、小野市のひまわり公園を通ったら、ひまわりが満開でしたよ。
子供さんを連れて行かれても、広い公園ですし、ゆっくりできるのではないですか。
レストランの名前は、そろばん亭ですよ。
トンカツ屋さんです。

私たちが小さい頃には、子供は全員、そろばんを習っていました。
私も、うちの子供たちには全員、そろばんを教えましたよ。
読み書きそろばん、くらい教えるのが親の使命ではありませんか。

ところで先日、世界日報、という新聞に、私の記事が載ったものですから、
その記事の中に有る、5番目の子を水中出産で産んだ、というものに興味を示されたお母さんが居られます。
ちょっと補足しておきましょうか。

世界で水中出産で有名な先生と言えば、ミシェル・オダン先生ですよ。
きくちさかえさん、という方が日本語に訳された、バースリボーンという本は有名です。
陣痛は「野生の部屋」で過ごすのです。
お産は必ずしも、水中でとは限らないのですよ。
むしろ夫婦で、自然な形で産む、というところを強調された本ですからね。
そのオダン先生は、今でも毎年、日本の鎌倉に来られています。

その件では笑い話も有るのですが、
鎌倉の助産所では、部屋にロープが1本、垂れ下がっていて、
さあ産みなさい、と言われて困惑した、という女性を知っていますよ。
まあ、もう少し説明には丁寧さが必要でしょう。
せめてソフロロジークラスを開いて、事前に練習しておくとかね。

それで日本では、奈良県の久(ひさ)産婦人科が有名です。
私も当時、奈良の天理に居たので、その噂は知っていましたよ。
ですが、そこまでのバイタリティーはさすがに私には無いので、
自分のできる範囲で、お産を介助しています。
だって月に70人ものお産を手助けしているのですから、
丹波、篠山のすべてのお産を1人でしているようなものですからね。

それでも私も触発されて、18年前のタマル産の開業と同時に水中出産を始めました。
水中出産第1号は、うちの子ですから、誰も苦情を言われません。
それから希望される方に、行ってきました。
丹波市の外科の先生の奥さんなども懐かしいですね。

メリットは陣痛の間、自由に動けて、背中を温められるということでしょう。
お風呂に入っていると、陣痛の痛みが緩和できますからね。
ただし長風呂にならないようにしなければなりません。
だいたい昔から日本では、陣痛の間にお風呂に入るという習慣は有ったようです。
ですから何も特別なことではないのかもしれませんね。

デメリットも有って、やはり介助が難しいです。
産後の出血もコントロールしにくいです。
だからタマル産でおこなっているのが、水上出産なわけですよ。
これらのデメリットがすべて改善されましたからね。
これはタマル産オリジナルで、世界の誰も真似していません。

ただし一部の例外は有ります。
さかごの子や、前回帝王切開で産む場合など、
あるいはへその緒が強く引っ張れていて、胎児が元気が無い時などは、
すぐに帝王切開もできるように、分娩台で産んでいただくことも有ります。

まあ、そんなに産み方なんてこだわらなくても良いのですよ。
自然に任せれば良いのです。

無痛分娩は危険ですか?

2017-04-17 20:33:02 | ウォーターベッドバース
写真は、昨夜生まれた赤ちゃんとお婆ちゃんです。
里帰りでしたね。
所属する教会が同じだったので、タマル産に産みに来られたのですよ。

もう1人、昨夜から夜中中かけて難産の赤ちゃんが生まれました。
3人目だったのですが、赤ちゃんが小さかったせいで、へその緒も短くて、生まれにくかったのです。
お父さんには、先生もたいへんですね、と労っていただきましたが、
いえいえ、たいへんなのはお母さんの方ですよ。
無事、生まれてくれて良かったですね。
帝王切開もできるように準備までしましたからね。

今日は、読売新聞に産婦人科に関する緊急のニュースが載っていたので、そのお話をしましょう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170417-00050023-yomidr-sctch

麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言、というニュースです。
今、無痛分娩が流行りかけているので、安易な流行を懸念してのことでしょう。

神戸市北区でも、開業の先生で、基本的に無痛分娩を施術されている先生が居られますね。
有名な先生ですよ。
数年前に、タマル産にかかっておられた初妊婦さんを、そちらに紹介したことが有ります。
その妊婦さんは、非常に分娩を恐れておられました。
痛みに耐られない、と感じておられたようです。
それは強迫観念というべき、病的な状態でしたから、
実際に無痛分娩の適応だったでしょうね。
もしくは心療内科的に、抗不安薬の適応だったかもしれません。

そういう特殊な方を除いては、敢えてお産に痛み止めは必要無いと思うのですよ。
ですが若い世代では、チェレンジしてみたいと考えられるのでしょうね。
では、厚生省の言うほど無痛分娩は危険なのでしょうか?

答えはイエスでしょうね。
ですが生命を落とすほどか、と言われれば、わずか13人ですから、
普通のお産でもお母さんが亡くなることも有るので、比較はできないかもしれません。
わざとキャッチャーな見出しを掲げているのでしょう。
むしろ無痛分娩や普通分娩より帝王切開の方が、
10倍近く、生命を落とす危険が高まると言われています。

横道に逸れますが帝王切開が危険なのは、
手術時に出血が多くなったり、
帝王切開後の次の妊娠で、子宮が破裂したり、
子宮の傷口に胎盤が貼り付いて剥がれなかったりするからです。
大野病院事件も、帝王切開時の癒着胎盤が原因で亡くなられたのでしたね。

それで、無痛分娩のお話に戻りますが、お母さんが生命を落とす確率が上がるほどではないかもしれません。
ただし、麻酔で亡くなられている方も居られるので、やはり少し危険かな。
普通の帝王切開の麻酔は、脊髄麻酔というものなのですが、
無痛分娩の麻酔は、硬膜外麻酔と言って、手技的に難しいのですよ。
私などは麻酔科の標榜医という免許を持っていて、
妊婦さんの硬膜外麻酔は、山ほど経験が有りますから問題は少ないのですが、
普通の産婦人科医は、この麻酔の経験は浅いと思いますよ。
脊髄麻酔より10倍ほど多く麻酔薬を使いますからね。

無痛分娩は何が問題になるかと言えば、
陣痛がわかりにくいので、陣痛促進剤を一緒に使わないといけないのです。
すると、いくら安全に薬を少量ずつポンプで注入していると言っても、ある頻度では子宮破裂が起こるのです。
吸引分娩も併用しますから、児へのリスクも高まります。

そんな怖いものだと知らずに、無痛分娩を選ぶのは安易すぎますよ、という警告なのでしょうね。
ですが、リスクも知って選択するのなら、それも1つの考えでしょう。

18年前に、タマル産を開業したのですが、
この時、バーズリボーンの著者の、ミシェルオダン先生の水中出産や野生的な分娩が、
世界中で試されていた時代なのです。

フランスの都会ではとくに、無痛分娩が流行っていて、
それに対する拒絶感から、オダン先生の水中出産が受け入れられたのです。
ただしこれさえも、安易な模倣は母子ともに危険になると言われて、
現在では水中出産そのものは衰退しています。
ですが、タマル産では、ウォーターベッドでのお産をしているのでしたね。
水中出産をより安全にしたものですよね。

外国の歴史的に見れば、無痛分娩の後に自然分娩が流行したのですよ。
日本では逆に、自然分娩主体だったものが、無痛分娩に興味を持ち出した、という構図なのですね。

分娩体位考をもう一度

2016-12-26 21:10:01 | ウォーターベッドバース
篠山市味間新の充希(みつき)ちゃん、11月5日生まれ。
「健やかに、笑顔いっぱいの子に育ってください。
お産は何回してもたいへんですが、ととも幸せになれます。
手のこんだ温かい食事、家でもまねしています。」

食事はね、自慢なんですよ。
まったくの日替わりですから、おそらく前回妊娠時とは、まったく違う食事だったでしょう?
前回妊娠時の献立を調べて作ることも有るのですよ。
ちゃんとノートに、何を出したかまで記録されているのです。
まるでカルテ並みではないですか。

それでは、今日はいよいよ年末ですね。
外来で有った質問に、お答えしておきましょうか。

お産の時に、他院と同じように分娩台で産めますか?という質問でした。
タマル産ではフリースタイルという類の分娩方法ですから、
逆に不安になるようですね。
あるいは友人から、分娩台でないと足が滑って力が入りにくかった、と聞くことも有るようです。

それで、希望によって、分娩台でもぜんぜん構いませんよ。
ただね、せっかくですから、一度ウォーターベッドでのお産も経験してもらいたいですね。
できれば両方して、3人目の時に選んでみてはどうでしょうか。

タマル産で、ウォーターベッドのお産を始めたきっかけは、
もちろんミッシェルオダン先生の「バースリボーン」という本を読んだからです。
それから世界中のウォーターバースの本を個人輸入して、たどり着いたのです。
今なら個人輸入は簡単ですけれどね。
日本でも当時、「分娩体位考」という本が、医療者の間では話題になりましたよ。

オダン先生の方は、精神的なお話で、言うなれば野生に戻りなさい、というものです。
これには根拠が有るのですが、興味の有る方は、著者の本を読んでくださいよ。

分娩体位考の方は、科学的な著作です。
床に近い位置で産むことは、医療者や家族と視線が近しい関係を作れるというものです。
分娩台では、周囲の人が威圧的に感じるからです。

それに脚を脚受けに乗せると、それ以上会陰が延びないので裂けてしまうのですよ。
それで会陰切開が必要になります。
ですが脚を自由にすると、会陰に延びる余地ができて、会陰裂傷が小さくて済むのです。
だから会陰切開をしなくてもいいのですよ。
陣痛の間に、のたうちまわっても、叫んでも、しゃがんでも、何でもできるのです。
分娩台なら縛られたまま、身動きが取れませんからね。

ウォーターベッドの中の水は温めたお湯なので、
陣痛の時の背中の痛みが軽減されるのですよ。
マッサージ効果も有りますしね。
だいたいお産が近い時に、分娩台まで移動するのは、けっこうたいへんです。

デメリットも有るのでお話しておきましょう。
緊急の処置がしにくいです。
ですからお産が長引いたり、胎児の状態が悪くて吸引分娩や帝王切開になる可能性が有る時は、
処置のしやすい分娩台に移っていただくことも有ります。
もともと分娩台は、お産するお母さんが気持ちよくという意味で作られたものではなく、
医療者が処置しやすいように作られたものですからね。
分娩台でお産してもらうと、とてもがっかりされる方が多いです。
次回はウォーターベッドで産みたいとね。
ですが、産み方なんて、それほどこだわる必要は有りませんよ。
要は、医療介入がなるべく少ないお産を目指しているということです。

最近、知り合いから聞いた話で、笑い話のようなものが有りました。
オダン先生は、毎年、講演のために鎌倉に来られるのですよ。
その鎌倉での話です。
やはり感銘を受けた助産所が有るのでしょう。
1人目の時は、部屋に縄が1本、ぶら下がっているだけだったそうです。
好きにするようにと言われたようです。
さすがに2人目は、無痛分娩の病院で産んだそうです。
痛みが無いので、楽だったとか。

両極端なお産をされたわけですね。
この分だと、もし3人目を妊娠したら、また無痛分娩を選択されるでしょうね。
ですがちょっと待ってください。
タマル産のウォーターベッドで1人目を産んでください。
すると、産んだ、という感動が味わえると思いますよ。
それも本来のお産よりはずっと楽なはずです。
すると、2人目の時は、もっと楽に産めるでしょうから、
3人目ならわざわざ背中に麻酔をしなくても、簡単に産めてしまうでしょう。
私が理想としているのは、そんな感動できるお産なのです。

開業するまでに、20箇所くらいで、お産を手伝ってきました。
メインで働いたのは3箇所ですが、若い時はよく応援に行きますからね。
一番性に合っていたのは、綾部の夏山先生のところでしょうか。
今はもう亡くなられましたけれどね。
そこは古い旅館を改造しただけの施設なのです。
ですがその実、医療器械は最先端のものばかりで、
帝王切開率はたったの1%だと言われていました。

そんな風になりたいですね。
ただ放ったらかしではないのですよ。
普通の病院のようにただ安全なだけではなくて、すごく快適に過ごせるということですね。