タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

医師の働き方改革

2020-12-25 20:48:17 | 産科
年末になって、駐車場の白線を新しく引き直しました。
これで新しい年を、新たな気持ちで迎えられそうです。

今年は新型コロナで煩わされていますが、タマル産では、分娩停止に追いやられる事件も有りました。
みなさんの声に押されて復活できたことは、みなさんにとっても良かったのではないでしょうか。

まず、助産所建設に反対してきたのですが、これを阻止することができました。
これだけ高齢出産が増えてきて、母体合併症も急増しているのに、今さら過去に戻るなんてできませんからね。

35歳以上で出産する女性が増えているのですから、助産所で対応できるレベルではないのです。
しかも丹波篠山市は、救命救急センターから距離が離れているのでなおさらです。

今年、兵庫県健康福祉部健康局医務課が、助産師活用推進事業報告というのを発表しています。
その要点を述べてみましょう。

何も正常出産を、助産師が対応してはいけないという意味ではないのです。
それどころか、これからは助産師を活用していかないといけないというのです。
医師の仕事と助産師の仕事は相反するものではなくて、互いにおぎなって、チーム医療とするのです。
とくに助産師は、栄養生活、保健指導、乳房健診、母乳支援、育児支援、メンタルケア、社会的ハイリスクに対応することが求められています。
そのために助産師による妊婦健診、それと院内助産が求められているのです。


今では、半分以上の施設で、助産師外来が普及してきています。
タマル産でも、20年以上も前から、全国に先駆けて助産師主体の指導を行ってきました。
そして最近になって、さらに妊婦健診にも助産師による健診を取り入れました。
低リスクな妊婦さんに関しては14回とも助産師だけで良いとされおり、
ハイリスクな妊婦さんに関しては、14回は医師により、それとは別枠で助産師外来をするのが良いとされました。

そしてさらに、まだ十分普及していないのが、院内助産なのです。
医師を呼べばすぐに待機している状態下で、助産師だけでお産の介助をするのです。
ただしこちらはまだまだ普及していないのが実情です。
私の以前勤務していた、兵庫県立塚口病院では、以前の院長が産婦人科医で、もう30年以上も前から、
院内助産を実践してこられたのです。
とくに経産婦さんのお産では医師は呼ばれないのです。
もちろん呼べばすぐに医師が駆けつけるのですよ。

タマル産でもこれを次の目標にして、医師の働き方改革をする予定です。
というのも、私が長く働けるようにという意図が有るのはもちろんです。
ここ数日も夜中も仕事しているし、休みなんてただの1日も有りませんからね。
産婦人科医は、忙しいとされている救急科や研修医よりも週あたりの勤務時間がダントツで長いとされていますよ。

以前、丹波新聞からの取材で、丹波篠山市の助産師ケアセンターの建設だけでなく、マイ助産師制度にも反対か、と問われたのです。
私は明確に反対の立場ですよ。
そこには医師のバックアップが無いからです。
本来は、助産師外来にしても、異常を見つけたら医師による健診に回ってもらわなければならないのです。
お産においても、ケアセンターという、医師の居ない施設で産むのではなく、
医師の待機している施設において、助産師主体で分娩介助をすることが求められているのです。
もちろん初めから高齢でリスクの高い妊婦さんには、より高次の医療施設で健診する必要が有るのです。
だから今でも丹波篠山市が推進しようとしているマイ助産師制度には反対なのです。
それよりも、兵庫県あるいは全国で推進されているのがチーム医療であって、
タマル産でもそれを実現しようとしているのですよ。

追伸です。
今日は消防署の所長がタマル産を訪問されて、先日要望していた件で前向きな答えをいただきました。
それは産科危機的出血のような場合は、速やかに高次医療期間に搬送できる体制を組んでいただいたということでした。

それと来週は丹波篠山市長にも会う約束をしています。
ともに丹波園域の産科医療を良くするために、専門職として意見を述べるためにですよ。

里帰り出産をお考えの方に

2020-12-18 20:54:31 | 産科
夜診の途中で、スタッフ皆で、夜空を眺めました。
西南の空の月の右下の地平線近くに、明るく輝く木星と、その少しだけ上に土星が見えましたよ。
何しろ400年ぶり、いえ、その時は見えなかったらしいので、500年ぶりだとか。
ちなみに上の写真では、スマホでは暗くて土星は写っていません。

小学生の時に、大津市立科学館に、友人と2人で天文クラブに通っていたのです。
月の写真を現像して焼き付けたり、日時計を作ったり、土星の輪を観察したりするのです。
私が医師を志したのはこの頃です。
その友人は、最近になって、おせっかいにも友達を薦めるフェイスブックの機能によって、近況がわかったのですよ。
彼はアルバイトでプラネタリウムの解説委員をしていたのです。
お互いに小学生の時の写真を交換したりなどして。
子供には小学生の時の貴重な時間が大切だという話です。
新型コロナで友人と思いっきり遊べないのは寂しいですね。

今は晩婚化、少子化だと言われますが、実はこれからが深刻で、2025年から加速度的に少子化が進むと言われていました。
ところがコロナのせいで、5年早く、少子化が加速するようですよ。
私の知り合いでも結婚を延期した人は多いですし、今年は5%以上婚姻率が下がっているようです。
結婚しないと子供も生まれませんから、現在の妊娠届けの受理率も下がっていて、来年は10%以上赤ちゃんも少なくなるのですって。

タマル産でも来年の予約は少なくなっていますよ。
それで里帰り分娩を受け入れるかどうかの選択が迫られているのです。
里帰り分娩を受け入れないとクリニックが経営的に潰れてしまうからです。

ところがどうも都会ではご主人の立ち会い出産が禁止されているようなのですね。
それで丹波篠山市に里帰りしてご主人に立ち会ってもらおうとする、「消極的里帰り分娩」という方が出始めました。
やはり都会からのご主人の立ち会いを断るべきかとも迷いますが、
もともと丹波篠山の方は、大阪に通勤している方も多いですし、それでは片手落ちかもしれませんね。

そこで考えた結論です。
里帰りされる妊婦さんは、34週になれば新型コロナのPCR検査が無料で受けられ、結果も数日以内に判明するので、
今通っている産院で結果が判明後、すぐにそれを持って里帰りしてください。
そして立ち会い希望のご主人には、37週ごろになったら、近くの自費で検査を受けられるところで受けてもらっておいてください。
2万円近くかかるかもしれませんけれど。
付き添いの間は24時間、マスクをしていただきます。
トイレは分娩時はトイレ付きの個室なので、それを使用してください。
そして産後は、速やかに職場に戻っていただくというお約束に致しましょう。

明日からアナウンス予定です。




助産師外来を活用しています

2020-12-11 20:54:20 | 産科
大丹波観光サポーターに申し込みましたよ。
行政の方から頼まれた、というのが本当のところなのですが、私も主旨には賛同していますから。
もともとは同一の地方であった兵庫丹波と京都丹波を合わせて、大丹波(だいたんば)と呼ぶのだそうです。
やれ、丹波市だ、丹波篠山市だと張り合っているのは、外から見ると恥ずかしいように思います。
それよりももっと大きな視点で、京都方面にも視野を拡げるのは良いことでしょうね。

数日前にネットで登録したら、さっそくそれぞれの地域のパンフレットが送られてきましたよ。
サポーターになってすることは、活動報告や意見を書く用紙が同封されているので、FAXかメールで1枚ものの報告書を送るだけです。
大丹波地域に遊びに行ったとか、SNSで発信したなどの報告を書くのですって。
最終の締め切りは来年の3月26日ですよ。
ですが新型コロナのせいで、それどころではないかもしれませんけれど。

それともう1つ案内は、行政ではなく、子育てママさんたちの集いです。
やはり行政主体のものも必要でしょうけれど、草の根的な活動に心を打たれるものです。
以前タマル産でお産されたお母さん方が、子育てのグループを作られています。
以前にもその活動を報告したことが有るのですが、新しいパンフレットができたそうなので、外来に置いておきましたからね。
ママ友作りには良いと思いますよ。
こちらも直接集まるのは難しいですから、ネットでも友達になれるようです。

では本題ですよ。
タマル産に新しい職員が増えているのを気づいておられるでしょうか。
1人転居により退職したのですが、5人の職員が増えているのですよ。
これで以前のように夜勤も2人体制が組めるようになりました。
しかも助産師が3人体制になったので、指導もますます充実していますよ。

今、世の中の産婦人科の動きは、助産師外来を活用することなのです。
産婦人科の診療所はここ20年で半減し、代わりに病院での出産が増える傾向にあります。
産婦人科医師が増えないのに対して、助産師養成校が急増しているので、
通常の妊婦健診や分娩は、助産師が主体になっていこうという流れなのです。

そこでタマル産では母親学級を、他院や丹波篠山市のマイ助産師制度では通常1、2回しかしないところを、
なんと妊娠中に7回もすることにしています。
なるべく健診に来られた土曜日にしていますから、仕事を休まなくてもよいのです。
そして医師による14回の妊婦健診のうち、1回を助産師外来に変えました。
将来はもっと増やそうかとも思っていますが、まずは1回からです。

通常の健診だと、医師としては短い時間しか関われないので、
助産師が時間をかけて診察や、集団と個別指導をできるようになりました。
まだお互いに慣れていなくて、超音波検査は無いのか、などの質問も有りますが、
一番安定している時期に設定したので、超音波よりもむしろメンタルケアだと思っていただければ良いのですよ。

産後も、今までの1ヶ月健診から、2週間健診も増えています。
ここまでをすべてタマル産で行っていますよ。

丹波篠山市という行政が、独自の制度を試すのは宣伝になるのかもしれませんが、
今現在、日本産婦人科学会と助産師学会が求めていることを実践していくことが、最良だと思うのですよ。










病気よりワクチンの副作用の方が怖いのですか?

2020-12-04 20:59:57 | つれづれ
今年の12月は、クリスマス商戦は賑やかではないようですね。
だって新型コロナが流行しているのですから。
それにしても若い人の死者が出ないのですから、若者は気が抜けているかもしれません。
先日、新型コロナが怖い妊婦さんに向けて、無料で抗原検査ができるようになります、と書きましたが、
いよいよ検査できることになりました。
メリットとデメリットのことは前回のブログを参照してください。
新型コロナに対して不安な妊婦さんへ

新型コロナのワクチンが早く接種できると良いですね。
でも初めに受ける人は、副作用が怖いのでしょう?
60年ほど前にも同じようなことが有りました。
それはポリオウィルスというウイルスが世界的に流行した時のことです。
多くの子供たちが亡くなったのですよ。
私の兄もその1人です。

1956年生まれの兄の時には予防接種はまだ無くて、1959年生まれの姉の時にはワクチンができていたのです。
と言ってもソ連製で、まずは日本人で試されたのですよ。
安全そうだということで本国でも接種されるようになったのです。
そんなことは世間ではよく有ることで、今ならアフリカなどで試されますよね。
「ナイロビの蜂」という映画は観ましたか?

今でも同じようなことが起こっていますが、さて何でしょう?
ヒトパピローマウィルスというウィルスに感染すると子宮頸がんになって、死んでしまうことも有るのでしたね。
それも副作用が怖くて打たないのでしょう?
先日、外来に来られた方の友人が、タマル産を受診して初期のガンが見つかって手術を受けたと報告が有りました。
感謝していると伝えて欲しいということでした。
これからは中学生の間に、無料でワクチンを受けておけば良いのです。

ここで新しい報告が有ります。
今度、男子もワクチンを受けられることになるようです。
これは私が以前から何度も書いてきたことですが、集団免疫を付けるためには、男子も打たないと意味が無いからですね。

妊娠されようとする方には、風疹のワクチンやインフルエンザワクチンなど、受けなければならないものがたくさん有りますね。
過去の記事を探してくださいね。
いつまでも現代医学の副作用が怖いとばかり言っていては、医療の恩恵を受けられませんよ。