タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

世界日報社に取材されました

2017-05-31 20:47:27 | つれづれ
メジャーな新聞ではないのですが、一応全国版の新聞で、「世界日報」というものが有ります。
すごく常識的な新聞で、偏りなく、正直な新聞社です。
時に広告を出すので編集者と知り合いになり、今回、取材を受けました。
3日前に最終ページの全面の記事に掲載されましたので、みなさんにも報告しますね。
ちょっと読みにくいかもしれませんが、拡大すると読めるかもしれません。
印刷したものと、新聞そのものがクリニックに有りますので、興味がもしお有りなら、取って行ってくださいね。

私にとっても、この開業してからの18年間、医師になって30年の集大成になったと自負しています。
昨日、クリニックの年に1度の消防点検のために、消防隊員の方が来院されたのですが、
その時にこの記事が話題となり、指摘されたのですが、
医師になったのは、私の母親の影響、
産婦人科になったのは、私のカミさんの影響が強く、
私の生き方には、女性の影が有ったのですね、と言われてしまいましたよ。
まさに産婦人科とは、世の女性のための仕事ですからね。

赤ちゃんのお父さんも歯科検診を

2017-05-29 21:23:16 | 産科
いよいよ次の土日は、大阪でマタニティーカーニバルが有ります。
少し遠いのでおすすめはしないのですけれどね。
妊娠中の方はネットで見て、雰囲気を味わわれてはいかがでしょうか。

また、次の日曜日には、お菓子の里丹波で、14時から2時間にわたって、
「不妊治療セミナー2017 in Tamba を開催します。」
お菓子の里さんの一番奥のミオール館の2階で有ります。
1時半ごろから会場は開いていますよ。
まだ不妊治療はしていないけれど興味が有るという方や、
実際に不妊治療を始められたカップルなど、どなたでも参加できますよ。

参加費は無料ですが、申し込みは必要なので、前日までにネットもしくは電話でお申し込みください。
申し込みはこちらです。
http://www.tamar.jp/2017

それでは今日の話題ですよ。
先日、篠山市医師会に参加してきたことは報告しましたね。
その時に歯科検診のことを話されていました。

まず一般的な話ですと、40歳以上の実に80%の人が「歯周病」だと言われます。
歯周病は自覚症状が出にくいので、知らないうちに進行する病気です。
最近では糖尿病や心臓病、肺炎などの原因ではないか、などと言われていますね。
ですがその逆のようにも思うのですよ。
血糖値が高いと、感染しやすくなりますからね。
どちらが先かは鶏と卵みたいなものでしょうか。

それで、篠山市では40歳、50歳、60歳、70歳、75歳、80歳の方を対象に、
「節目歯周病検診」として、クーポン券が送られてきたら、無料で1回、受けられるのですよ。

もちろん妊婦さんも妊娠中に無料で、歯科検診を受けられるのはご存知ですね?
これは、虫歯や歯周病は「感染」するからなのですよ。
たしかに妊娠すると、歯やはぐきの調子が悪くなります。
赤ちゃんを産むごとに悪くなっていきますよね。
それはご自分に対しての問題なのですが、
実は赤ちゃんにも影響するのですよ。
例えば早産との関係が言われています。
あるいは離乳食を始めると、お母さんが噛み砕いたものをあげたりしますからね。

妊娠したら歯医者さんにも行ってくださいよ。
それともう1つ、実は赤ちゃんのお父さんも無料で歯科検診を受けられる、って知っていましたか?
これは最近のことなのですが、お父さんの受診券も一緒にもらうはずですからね。

さらに言えば、小中高校の子どもたちの話もしないといけないのですが、
このお話はまた次回にします。


丹波地域の自殺の実態

2017-05-26 20:21:17 | 婦人科
篠山市吹上の仁乃(にの)ちゃん、4月24日生まれ。
「自分も大切にしながら、人への思いやりを忘れない子になってください。
お産は想像を超える痛さでした。でも無事産ませてもらえて嬉しかったです。
産後のケアも母子ともにしっかりして頂いて、嬉しかったです。」

お産の痛みなんて、後になれば笑い話になってしまいますから、良い経験になったのではないでしょうか。

さて、昨日は木曜日でしたが、お昼に3日がかりのお産も有って、
お昼からは医師会の会合にも参加してきましたよ。
むしろ会議の後の、行政の方々との会食がメインなのかもしれませんが、
私は酒席は苦手なので、早々に退散してきました。
断酒しなと、近隣のお産にも責任が有りますからね。

それでもいくつか勉強になる話は有ったのです。
丹波地域の自殺の実態と課題について、というものがそれです。
最近、自殺予防ということがよくテーマにりますね。
平成10年から22年ごろまでが高く、日本全国で年間3万人を超えていたのです。
ですがその後は総数自体は、年々減少傾向に有るのですよ。
昨年は約2万人にまで減少したのですから。
兵庫県でも、昨年は942人で、ようやく1,000人を割ったのです。

丹波地域では、昨年の篠山市が15人、丹波市が12人です。
多少でこぼこは有りますが、どちらの市も同じような推移です。
とくに多い年齢層は、意外なことに男性では50代の働き盛り、
女性では70歳以上の高齢者なのです。
しかも独居している方でなく、同居者が居る家庭で起こるのです。

原因の半分は健康問題で、さらにそのうちの2/3は精神疾患、1/3は身体の病気です。
続く原因は家庭問題、経済問題、勤務問題、学校問題、男女問題です。
ですからやはり最大の原因は精神疾患なのですよ。

そこで今、兵庫県で取り組まれているのは、自殺予防ネットワークなのです。
なるべく内科などで診ずに、精神科に紹介しましょうということです。
産婦人科でもよく診療にあたるのですが、最近はより早期に精神科に紹介するようにしていますよ。
そうしないと、自殺した方の周りの家族もショックを受けて、
残された家族も自殺してしまうことが有るからです。

健康課からのお知らせでしたよ。
覚えておいてくださいね。

体重管理に尽きます

2017-05-24 21:08:17 | 産科
篠山市大沢新の穂花(ほのか)ちゃん、4月21日生まれ。
「春の花のように愛らしく、実りの有る人生を送ってください。
赤ちゃんが大きかったので、2人目でも痛かったです。
足のマッサージがとても気持ち良かったです。
個室で、上の子が来ても気を使わずに過ごせたのも良かったです。」

実はタマル産では同じ日にもう1人赤ちゃんが生まれたのですが、
赤ちゃんの名前が同じだったのですよ。漢字は違いますけれど。
大きくなったら、どこかで再会するかもしれませんね。
5月に生まれた赤ちゃんは、風という漢字も多いですね。
うちの子もそうなのですが。

ところで、赤ちゃんが大きくてたいへんでしたか。
最近有った帝王切開は、思い出すと、3例だったでしょうか。
うち1例は、常位胎盤早期剥離という病気でした。
胎盤が1/3以上剥がれると、子宮の中で赤ちゃんが亡くなってしまう病気です。

幸い、胎児は元気だったのですが、
早朝だったので大きな病院に搬送しましたよ。
場合によっては子宮の中の出血が多くて、麻酔をかけただけでショックになることが有るからです。
それに帝王切開中に出血が止まらなくなる、DICという合併症を招くおそれが有るのです。
ですから可能であれば、輸血ができる施設で帝王切開した方がいいからですよ。

ですが、そう頻繁に有る病気ではありませんから、あまり心配し過ぎないようにしてください。
起こる原因は、妊娠高血圧症候群という病気の時で、合併して起こることが有ります。
それは胎盤の働きが悪くなる病気なので、悪くなると胎盤が自然に剥がれてしまうからです。

もう1つ、よくある原因は、へその緒が首に巻いている場合です。
陣痛が来ると、あるいは陣痛が来る前でも赤ちゃんが動いたでけで、
へその緒が胎盤を引っ張ってしまうことが有るのですよ。
とくにへその緒が2回、3回、あるいは4回と巻いていると、とくに起こりやすいです。
ですが、かと言って、早い時期から帝王切開するのも難しいですよね。
ですが、こういう時は稀に有って、そうですね、数年に一度は有ります。
こういう時は、説明してもなかなか受け入れてもらえないのですよ。
すべての亡くなった赤ちゃんのことは覚えていますよ。
それを乗り越えられたお母さんは、またタマル産で産まれていますし。

そうそう、その他の2人の帝王切開の原因は、
赤ちゃんが大きすぎたことです。
それに加えて、へその緒も巻いていたか、引っ張られていた症例ですよ。
本当は自分でも対策が取れることなのです。
妊娠中に体重を増やしすぎたというところが原因の1つだからです。

実は今も、予定日が2週間近くも過ぎた初産婦さんの陣痛を誘発している最中なのですよ。
明日は3日目になるのですが、なかなか大きくてたいへんです。
やはり妊娠中は、とくに食生活が大切だと実感する次第です。


女性はこの世に生まれない?

2017-05-22 21:06:16 | 産科
最近、知り合いの若い先生2人がタマル産を訪ねてこられた時の写真です。
お2人は兄弟なんですよね。

さて、今日のお話は、先週の続きです。
それは済生会兵庫県病院で開催された、北神・三田周産期医療検討会での話題です。

NIPTという検査を覚えておられるでしょうか?
一時期話題になりましたが、忘れられたのではないでしょうか。
忘れられたなら、それはそれで良いのですよ。
ですがニュースになると、途端に問い合わせが増えるのです。

簡単に言うと、染色体の特定のものが私たちより1本、多い方を選別するという検査のことです。
21番の染色体が2本でなく3本有れば、21トリソミーと言います。
いわゆるダウン症のことです。
18番や13番が3本の場合も検査の対象になりますが、この場合は流産することも多いのです。

そもそも検査をする必要が有るのか、という前提が揺らいでいますから、
検査を敢えて勧めていないのですが、
もしダウン症の子が生まれて、両親が文句を言った場合、
説明義務違反ということで、クリニック側が訴えられると、裁判に負けてしまうのですよ。
だから一応、お話しておきましょう。

染色体の異常は、高齢出産の女性が増えれば、それだけ増えるはずです。
ところが最近では産む前に選別されてしまうことが多くなりました。
何も問題なくても、中絶手術を受ける女性は居られるので、罪の意識は無いでしょうね?

それで染色体の検査は、確実なのは羊水穿刺しか有りません。
それしか無いのですよ、ここをお忘れなく。
お腹に針を刺して、直接羊水を20ミリリットルほど抜きます。
そしてそれを1ヶ月ほど培養して、細胞を分解して染色体の数を数えるという検査です。
検査に1ヶ月かかるということは、中絶できるのが21週までなので、
逆算すれば、15週くらいに受けないといけませんね。
ですが、この検査自体、流産するリスクが有ります。
だから安易には考えない方が良いのですよ。

それで羊水検査を受けた方が良いのか、あまり受ける必要が無いのかの判断をする検査が、その前に出てきたのです。
それがお母さんの血液検査である、トリプルマーカーやクアトロ検査です。
でもこれって、すごくいい加減な検査で、受けてもあまり参考にならないのですよ。
そんな中で、2013年から新しく出てきた検査が、先ほどのNIPT検査です。

簡単に言うと、かなり精度が高いのです。
検査も簡単で、お母さんから採血するだけです。
適応は、35歳以上の女性です。
以前にダウン症の子を産んでいるなどであれば、若くても対象です。
でも、繰り返しますが羊水検査にはかないませんよ。
なので、検査が陽性と出ても、必ず羊水検査はその後に必要です。
ということは羊水検査のさらに2週間前の、妊娠13週頃に採血しないといけませんね。
兵庫県では5箇所、検査できる施設が有ります。

この検査を良いと考えるかどうかは、皆さんが決めることかもしれません。
今の日本ではようやく先の3つの異常を検査できるようになりました。
世界ではもっといろんな検査をしていますが、日本ではまだ解禁されていないのです。
外国では、もっと細かな、染色体の数だけでなく、染色体の構造の異常なども、検査されているようです。
そのうち、先天的な病気の素因なんかも検査されるのではないですか。
どんどんどんどん進めば、私もあなたも、生まれてきてはいけないのかもしれませんよ。

でもそれでも検査してみたくなるのでしょうね。
今でも男か女か、というだけでも、ぜったいに知りたいお母さんも多いですからね。
アジアだけでも男の数が1億人ほど多くなっているようです。
出生前の検査で女の子だと分かったら、中絶されるからです。
ほら、みなさんも生まれてこなかったかもしれないでしょ?