ゴールデンウィークも赤ちゃんは生まれているのですよ。しかもまだまだ生まれそうですよ。
みなさんは遊びに行っていますか?田植えで忙しいですか?
私も少し出かけては呼び戻され、を繰り返していますからね。
さて今週はたった3日ですが、張り切っていきましょう。
火曜日ですから不妊症関係の話題でしたね。
「妊すぐ」だとか、「不妊なんとか」などの月刊誌がよく送ってこられます。
確かにこれはこれで役に立つのです。以前は不妊の雑誌なんて有りませんでしたが、
最近はたくさん出版されますからね。それだけ読者が増えてきたということでしょう。
でもだんだんとその内容も過激になってきています。
私たち不妊治療をしている医師に対して、先日も雑誌社からアンケートが有りました。
でもこれがアンケートというよりも、世論を形成するような内容なのです。
例えば、人工授精は3回でやめるか5回までならするか、患者さんが希望するなら何回でもするか、
とか人工授精なんて無駄だからすぐに体外受精するか、なんていう回答欄も有りました。
この問題の意図は、あくまで体外受精を前提としているわけです。
例えば内科の病気なら、かぜをひいたら、近くの無いかの診療所に行くし、
どうも重病そうだったら、総合病院にいこうかとか考えるものでしょう?
それがはじめから高度不妊症治療病院を受診した場合の選択しかないわけなんです。
何が言いたいかと言えば、不妊のカップルは10組に1組以上とすごく多いわけなんです。
ですが、体外受精などの高度不妊治療まで要するカップルはすごく少ないのです。
そこのところの認識が欠けていて、誰もが体外受精しないといけないような錯覚を覚えるわけです。
まずはね、一通りの検査と一通りの治療をやればいいのです。
それでダメならそこで体外受精まで受けるのか、そこまでは希望しないのかを考えればいいのです。
だから出版社というものは、書籍やとくに雑誌の売れ行きが悪くなってきているので、
なんとしても本を売りたいわけです。だから過激な言動に出ているので、
そこは話八分目に聞いておかなければなりません。
ただしですね、時間が残されていないカップルはあまりゆっくると時間はかけられません。
私が思うに、不妊症のタイプは大きく2つに分かれます。
1つ目のタイプは結婚して何年もするけれど、なかなか妊娠しないタイプ。
もちろん不妊外来を受診して、一般不妊治療を受けます。
1、2年頑張ってみる覚悟が有ればこれでたいてい妊娠します。
2年経っても妊娠しなければ、いつまでもその保存的な治療をすることはやめて、
次のステップに進むべきです。
そしてもう1つのタイプは結婚したのが遅かったタイプです。
35歳くらいになってから結婚して、そのうちできるだろうと思っても、
1年経ってもできないというタイプです。
この場合もまず一般不妊治療を受けるべきです。
ちょっとしたことが原因になっていることも有りますから。
ですが、35歳を過ぎるという年齢的な要因で妊娠しない場合は、
酷な話ですが、たとえ体外受精をしたとしても、それほど妊娠率が上がるわけではないのです。
年齢によってはむしろ一般不妊治療だけで諦めた方がいいことも有ります。
タイムリミットは40歳過ぎと考えておきましょう。
今、不妊治療の助成制度が議論されていますが、補助対象は40歳までにするかどうかも
1つの大きな論点です。
結論は何でしたか?
雑誌は読んだらいいけれど、それは患者さんの立場からでなく、
その本に出て来ている病院の宣伝であったり、雑誌社の過激な治療であったりすることを
常に意識しながら読まないといけないということです。
もう1つ、とにかく早く不妊外来を受診して、時間を無駄にしないこと。
思っておられるより妊娠できる可能性は、若い時ほど高くはないということなんです。
願わくは商業主義の餌食になられませんように。
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