タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

雑誌は広告で成り立っています

2013-04-30 20:27:03 | 不妊症

ゴールデンウィークも赤ちゃんは生まれているのですよ。しかもまだまだ生まれそうですよ。
みなさんは遊びに行っていますか?田植えで忙しいですか?
私も少し出かけては呼び戻され、を繰り返していますからね。

さて今週はたった3日ですが、張り切っていきましょう。
火曜日ですから不妊症関係の話題でしたね。
「妊すぐ」だとか、「不妊なんとか」などの月刊誌がよく送ってこられます。
確かにこれはこれで役に立つのです。以前は不妊の雑誌なんて有りませんでしたが、
最近はたくさん出版されますからね。それだけ読者が増えてきたということでしょう。
でもだんだんとその内容も過激になってきています。

私たち不妊治療をしている医師に対して、先日も雑誌社からアンケートが有りました。
でもこれがアンケートというよりも、世論を形成するような内容なのです。
例えば、人工授精は3回でやめるか5回までならするか、患者さんが希望するなら何回でもするか、
とか人工授精なんて無駄だからすぐに体外受精するか、なんていう回答欄も有りました。
この問題の意図は、あくまで体外受精を前提としているわけです。

例えば内科の病気なら、かぜをひいたら、近くの無いかの診療所に行くし、
どうも重病そうだったら、総合病院にいこうかとか考えるものでしょう?
それがはじめから高度不妊症治療病院を受診した場合の選択しかないわけなんです。
何が言いたいかと言えば、不妊のカップルは10組に1組以上とすごく多いわけなんです。
ですが、体外受精などの高度不妊治療まで要するカップルはすごく少ないのです。
そこのところの認識が欠けていて、誰もが体外受精しないといけないような錯覚を覚えるわけです。
まずはね、一通りの検査と一通りの治療をやればいいのです。
それでダメならそこで体外受精まで受けるのか、そこまでは希望しないのかを考えればいいのです。
だから出版社というものは、書籍やとくに雑誌の売れ行きが悪くなってきているので、
なんとしても本を売りたいわけです。だから過激な言動に出ているので、
そこは話八分目に聞いておかなければなりません。

ただしですね、時間が残されていないカップルはあまりゆっくると時間はかけられません。
私が思うに、不妊症のタイプは大きく2つに分かれます。
1つ目のタイプは結婚して何年もするけれど、なかなか妊娠しないタイプ。
もちろん不妊外来を受診して、一般不妊治療を受けます。
1、2年頑張ってみる覚悟が有ればこれでたいてい妊娠します。
2年経っても妊娠しなければ、いつまでもその保存的な治療をすることはやめて、
次のステップに進むべきです。

そしてもう1つのタイプは結婚したのが遅かったタイプです。
35歳くらいになってから結婚して、そのうちできるだろうと思っても、
1年経ってもできないというタイプです。
この場合もまず一般不妊治療を受けるべきです。
ちょっとしたことが原因になっていることも有りますから。
ですが、35歳を過ぎるという年齢的な要因で妊娠しない場合は、
酷な話ですが、たとえ体外受精をしたとしても、それほど妊娠率が上がるわけではないのです。
年齢によってはむしろ一般不妊治療だけで諦めた方がいいことも有ります。
タイムリミットは40歳過ぎと考えておきましょう。
今、不妊治療の助成制度が議論されていますが、補助対象は40歳までにするかどうかも
1つの大きな論点です。

結論は何でしたか?
雑誌は読んだらいいけれど、それは患者さんの立場からでなく、
その本に出て来ている病院の宣伝であったり、雑誌社の過激な治療であったりすることを
常に意識しながら読まないといけないということです。
もう1つ、とにかく早く不妊外来を受診して、時間を無駄にしないこと。
思っておられるより妊娠できる可能性は、若い時ほど高くはないということなんです。
願わくは商業主義の餌食になられませんように。

ホームページはこちらhttp://www.tamar.jp

褥婦さんへの新たなサービス

2013-04-26 21:15:07 | 美容医療


産後の方を褥婦(じょくふ)さんと呼びます。
いつ頃までをそう呼ぶかと言うと、産後の6週間くらいまでを言います。
この間がだいたい悪露(おろ)が出る期間だからでしょう。

タマル産ではすべての褥婦さんにリフレクソロジーのサービスをしています。
横文字でイメージが湧かないでしょうが、足の裏のマッサージのことです。
産褥で疲れているのに、全身のマッサージではなくて足の裏なんです。
でもね、足の裏には身体のツボが有りますから、これがまた気持ちいいのです。
アンケートでもよく、やみつきになりそう、と書かれています。
産褥はお乳が張ってくるので、背中のマッサージがしにくいというのも有るでしょうか。

今考えているのは、5月の連休が開けたら、
さらにサービスを拡張しようかということです。
もちろん美容皮膚科の宣伝も兼ねてなのですが、
やはり一度体験してもらわないと、その良さに気付いていただけないでしょう。

一番いいのは顔のマッサージでしょうか。
イオン導入という方法で、ビタミンCを導入していきます。
入院中はお化粧もされていないので、すぐに処置できるのでいいのです。
赤ちゃんを産む度に、やはりお母さんの皮膚のたるみも気になりますし、
栄養をお乳に取られて、赤ちゃんにばかり行ってしまいますからね。
お母さんもいたわってあげないと。産後こそビタミンは必要なのです。

他にもできそうなのが、ケミカルピーリングでしょうか。
やればすぐ効果が現れます。肌がすべすべになるからです。
産後は肌が敏感だからと心配される向きも有るかもしれませんが、
今も産後に毎月通われている方が居られます。
処置を受けて帰られる時にはほんとに肌が白く艶やかになっています。

光治療プラス高周波温熱療法はやや高級な治療ですが、
これも一度は体験してもらわないと、その良さが分かりません。
肌のたるみが目に見えて改善するのですから。

もう1つ、わきの下、医学用語では腋窩(えきか)と言いますが、
脱毛はとても喜ばれます。
以上の1点を全員の褥婦さんに来月からサービス致しましょう。
リフレクソロジーも9年も続いていますから、
リジュビネーションのサービスも末永く提供していこうと考えています。
ホームページはこちらhttp://www.tamar.jp/pg101.html

母子感染

2013-04-24 21:19:56 | 産科
今は風疹が問題になっていますね。
だから敢えて、その他にも母子感染は有るのだ、ということをお話しましょう。
写真は先天性トキソプラズマ、サイトメガロウィルス感染症患者会の配布許可された資料から転載致しました。http://toxo-cmv.org/index.html
こういうノンフィクションの体験談は、私のうわべだけの経験と違い、重く受け止める必要があります。

妊婦健診で妊娠初期に受ける検査と言えば、母子感染の感染症の検査が多いのです。
日本ではこの検査はだいたいは統一されているのですが、
強制ではないので、産科施設によって多少の違いは有ります。
しかも市町村によって、妊婦健診助成事業が異なるので、
補助が有ればするけれど、無ければしていないということも有るようです。
例えば篠山市では私が直に市長と交渉したので、一般的な検査は助成が利きますが、
丹波市や三田市では、助成されていない検査が多く有ります。

一般的にはエイズ、HTLV-1という名前の白血病のウィルス、B型肝炎、C型肝炎、
風疹、梅毒が検査されますが、トキソプラズマとサイトメガロウィルス、結核などはされません。
ですが、この中で一番多いのが実はトキソプラズマ感染症による、
先天性トキソプラズマ症候群なんです。今話題の先天性風疹症候群よりも多いのです。
なのに検査はされることはなく、説明もされていません。
もし受けてみたいと考えれば、自己申告という形態になっているのです。
だからちょっと勉強しておきましょう。

日本人でトキソプラズマに対する抗体を持っている人は少ないのです。
逆に言うとそれだけ妊娠中にも感染する可能性が有るということです。
ヨーロッパなんかでは、幼い時から感染して、抗体を持っている人の方がずっと多いのです。
以前学会の発表でイタリアに行ったことが有るのですが、
メニューも当然イタリア語なわけで、読めた単語が「タルタル」だったのです。
タルタルソースなら聞いた事が有るので、おいしそうなイメージも有ったのですが、
なんと出てきたものは生肉です。ハンバーグを作る時のミンチの状態です。
え、焼いていないの?といったもの。
これではヨーロッパ人はトキゾプラズマに感染するのは当たり前ですね。
問題は妊娠中に初めてトキソプラズマにかかった時に、胎児にいろいろな障害を及ぼすことです。

サイトメガロウィルスについては、当初はトキソプラズマ感染症と同一のものだと思われていました。
トキソプラズマは顕微鏡で見えるけれど、サイトメガロウィルスはウィルスなので、
電子顕微鏡でしか見えませんからね。
野口英世が黄熱病の原因を見つけられなかったのと同じですね。
後に別の病気だと分かるのです。

ただこれらトキソプラズマもサイトメガロウィルスも検査を読むのが複雑です。
妊娠前の感染か妊娠してからの感染かを調べる方法が有るようで、もひとつ確実ではないのです。
だからなかなかすっきりとした回答が得られないので、
検査をすると却って心配になることがあるのです。
だからまだルーチン化していないのでしょう。
でも検査をするしないに関わらず、妊娠中は肉にはよく火を通して食べる、
ペットを新しく飼わない、猫などのペットはなるべく、家猫がいい、
土いじりはなるべくしない、手をしっかり洗う、などの一般的なことに注意すればいいです。

今日はこの2つの感染症の名前だけでも覚えていただければいいでしょう。
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春になって子供たちが進級し帰りが遅くなり、ブログの更新時間も遅れがちになっています。

妊娠する前の食事

2013-04-23 20:22:58 | 不妊症
すごくかわいらしく大きくなりました。早くお姉ちゃんになれるといいね。

妊娠前から摂っておかないといけないものって有るのでしょうか?
数年前から企業努力もあって葉酸を摂りなさい、と言われますね。
私に言わせると、バレンタインデーのチョコレートみたいなものでしょうか。
皆が言うから、その方がいいのかな、と思うのですね。
昔はそんな習慣は無かったのですが。

確かに欧米では二分脊椎という赤ちゃんの病気が多いので、
シリアルなんかにも葉酸が混ぜてあるらしいです。
日本でも食事が欧米化しているので、葉酸を積極的に摂った方がいいということです。
だいたい最近のほうれん草にしても、昔のと違ってミネラル分が少ないみたいですから。
だからもちろん意識して摂った方がいいと思うのですよ。
でも敢えてサプリメントとして摂る必要が有るのかは疑問です。

生まれた赤ちゃんにはビタミンKを飲ませることが、これまた数年前から推奨されています。
病気の原因がいろいろと分かってきたことは、
赤ちゃんの消化管からの出血や、お産の時の脳がこすれることによる出血を予防します。
また胎児の時の赤血球が壊れて大人の赤血球に変わっていく移行期である新生児期に、
赤血球が壊れて血液が黄色くなることを新生児黄疸というのですが、
止血剤であるビタミンKを飲むと少しでも予防できるのです。
そんなことから粉ミルクにはビタミンKを混ぜてあるのですね。
だから母乳をあげている普通のお母さんの赤ちゃんは黄疸が強く出るので、
母乳性黄疸なんて言われて、肩身の狭い思いをしてしまいます。
でもその方が普通だったのですね。
だから日本人の赤ちゃんは皆いろいろ飲ませられるようになったのですよ。

でも私たちは宇宙に行って、宇宙食を食べているのではないのに、
普通の食事をして、普通に生きるということさえも許されなくなってきたのですね。
そういう私も、鉄が不足している妊婦さんに、胎児の血液を造るためだと、
今日も鉄剤というサプリメントを処方してきたのですから、
医療者が一番この考えに毒されているのかもしれません。
もちろん一番いいのは、土から穫れるもの、
すなわち穀物、野菜、果物を精製しないで摂ることです。
魚、肉、卵、牛乳なんていうものはあまり必要ではないのですね。

そうそう今日、妊婦さんに質問されました。
妊娠中は魚をあまり摂らない方がいいのかと。
確かに最近の指導書には金目鯛や大型の魚なんかは週に1回までとか言われますね。
でもそれっておかしくないでしょうか?
イタイイタイ病という病気が有ります。
水銀が身体に蓄積されて、神経が痛くなるのですね。
抗がん剤の白金も使えば使うほど、痛みが出てきます。
私も卵巣がんの患者さんにいっぱい使いました。
ヨーロッパではお茶のポットの鉛が溶け出すことによる病気などもあります。
重金属は身体に悪いということです。

でもイタイイタイ病の患者さんは妊娠すると痛みが取れるのです。
そう、胎児が吸収してくれるからなんです。
その代わり赤ちゃんは生まれた時から先天性のイタイイタイ病になっているわけです。
だから妊娠してから魚を減らしたってダメなのです。
今まで数十年生きて、食べて来たものが次世代に影響するということだったのです。

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緊急と選択

2013-04-22 21:06:17 | 産科


先週末は記事をさぼってしまってゴメンなさい。ひょっとして期待されていたでしょうか。

先週の日曜日は、急な帝王切開がありました。
両親学級でいつもお話しているように、タマル産では滅多に帝王切開が有りません。
年間にして10人ちょっと。

帝王切開には前もって決めておく、選択帝王切開というのと、
今回のように緊急で行う、緊急帝王切開というのに分かれます。
いえ、数年前までは保険点数では分かれていなくて、ただの帝王切開だったのです。
それが産婦人科の医師が少なくなったとかで、この2つを分けて、
緊急帝王切開の方を高い点数にして、夜中や休日に働いたら実入りがいいぞ、となったのです。
ところが2年毎の保険点数の改訂で、
わずかその2年後にはどちらも点数が一緒になってしまいました。
なんだ、厚生省に騙されたのか。

今のは余談です。
タマル産ではだから緊急の帝王切開は年に数人しかないのです。
予定の帝王切開はたいてい、さかごか前回帝王切開の方です。
そして緊急の帝王切開はたいてい、へその緒が首に巻いている時に、
陣痛が強くなってくると、胎児の元気がなくなってくることによります。
医学用語では、胎児ジストレスと言います。
昔は胎児切迫仮死と言ったものですが、イメージチェンジのために、
呼び名がころころと変わっていきます。

へその緒が巻いているだけなら、しょっちゅう有ることで、
3~4人に1人の胎児は首にへその緒が巻いています。
中には3回、4回巻いていることだって有ります。
首とは限らずに、手や足や胴体に巻いていることも有って、
事前に分からないことも有るのです。

先週が緊急手術だった印象も強く残っている今週も、
胎児の状態が悪くなり、帝王切開の準備をしていました。
すぐにでも帝王切開できる状態で普通のお産も平行してできる状態を、
ダブルセットアップと言います。
理想は帝王切開するぞ、と決めたら30分以内がベストとされます。
でも30分以内に帝王切開できる病院なんて、そんなに無いのですよ。
そんな中、すぐにでもできる状態でお産に挑んでいました。
なぜ直ぐにでもできるかと言えば、普通の病院はお産の部屋と手術室が遠く離れているから。
タマル産では普通は隣の部屋なのですが、ダブルセットアップの時は分娩室で陣痛を過ごし、
帝王切開になってもそのままのベッドでできるから、時間が短縮されるからなのです。

タマル産でのお産がいかに緊急に対応できるか、ということをお話したかったのですが、
そのポイントは診療所の設計に始まる、ということだったのです。
この設計には以前、柏原で開業していた5年間の知恵が活かされているのです。
こんなところにも工夫が有ったのですよ。

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草花が太陽に向けて花を咲かすように
私たちも人の温かさにふれた時
固く閉じていた心がやさしくなごみます。
ちょっとした思いやりが
人の心を感動させ
小さないたわりが
人と人を結びつけるきずなとなります。

   レバレンド・ムーン