CO2レーザーは凹凸、たるみにも

先週の金曜日のブログでは、炭酸ガスレーザーによる、
突起したホクロの除去のお話をしました。
その前には、平坦なホクロを深く削って除去するお話もしたような。
この炭酸ガスレーザーという器械について、もう少し詳しくお話しましょう。

ものを削るという使い方は、このレーザーがすごくエネルギーが高いことによります。
エネルギーが高いものだから、手術の時にメスの代わりに使えるわけです。
メスだと、切ったところをいちいち止血していかないといけないので
手術に時間がかかってしまうのですが、
炭酸ガスレーザーだと、切ったところの皮膚が焦げるので、出血しにくいのです。
このような使い方を、すごく短い時間だけ高い出力を出すので、パルス波と言うのです。
先ほどのホクロを吹き飛ばすような使い方はノーマル波と言って、
弱めのエネルギーを、少し長めの時間照射する設定にするとうまくいきます。

さらに、もっともっと短い時間で、最も強力なエネルギーを出せるようにしたものが、
ウルトラパルスレーザーと言い高機能で高級機になります。
実はタマル美容皮膚科に有るのも、このウルトラパルス波を出せる器械なのです。
スパッという切れ味ですね。

このような使い方とは別に、皮膚のリジュビネーションにも使用できるのです。
これは皮膚に極く小さい穴を無数に開けていくことによって、
皮膚の下の皮下組織を構成するコラーゲンの合成を促進することにより、
たるんだ皮膚を持ち上げます。
こんな使い方は、フラクショナルCO2レーザー治療と呼ばれるものです。
この治療効果が、レーザーフェイスリフトと呼ばれるものです。
これは皮下組織の変化だけでなくって、皮膚表面でもニキビ跡の平坦化を促します。

上のモデルの方は産後数ヶ月の授乳中の方なのですが、
昔からのニキビに照射しているところなのです。
動画はこちらhttp://www.facebook.com/photo.php?v=472207239533432&set=vb.282195655231670&type=2&theater
この前にイオン導入とケミカルピーリングを繰り返して施術され、
肌が白く綺麗になって、すごく喜ばれていたので、この際ニキビにも、というわけです。
来年里に帰る前についでに、産後に垂れ下がった、ほっぺたや、皮膚のたるみをリフトアップするつもりだそうです。
これが２つ目の使い方です。

このようにノーマル波とパルス波、そしてウルトラパルス波という３つの波を使い分けます。
ニキビにはこのうちの、網の目のようなウルトラパルス波を顔なら顔全体に使う、
フラクショナルレーザーという使い方の他に、もう１つ効果的なものも有ります。
ただしそれは、ニキビの跡の凹んだ箇所の１個ずつをなだらかに焼いて行くという、
とても手間のかかる方法です。
凹んだ古いニキビに色素を塗って、凹んだ周囲をなだらかに削っていき、目立たなくさせるのですよ。
ということは、凹んだ所を持ち上げるというわけではないのですね。

ちょっと説明が悪かったでしょうか？
医療用の場合、波の形は大きく分けて、３種類有って、その使い方を変えることによって、
切ったり、焼いたり、焼き潰したり、深く掘ったり、なだらかに削ったり、
あるいは点状に穴を開けてリフトアップ効果を期待するものまで有るのですね。
まあ、凹凸やたるみ、突起物、色素沈着、ほくろなど、何でも来い、というところでしょうか。

タマル美容皮膚科のフェイスブックはこちらhttp://www.tamarcosme.info/index.html

前にも書いたかな、１０デイズルール

６月は久しぶりに赤ちゃんが生まれました。
７月、８月と忙しくなりそうなのですが、この６月は予約が少なかったのです。
職員もみな、笑顔が戻りましたよ。また、そのお母さんも楽しい人です。

梅雨らしくなってきた、この水曜日も婦人科のお話をしましょう。
今日、外来で質問されたことにお答えします。
妊娠を希望している方が、検診を受けてもいいか、というのです。
もちろん検診の内容にもよるのですが、放射線を使った検査の場合、
というのは胸部エックス線しかり、バリウムを飲む胃の透視検査しかり、
あるいは注腸検査などがこれに含まれます。

これにはテンデイズルールなるものが有ります。
要するに月経が始まってから１０日以内に検査を受けること、という意味です。
本当を言うと排卵するまでに、という意味なのですが、
いちいち排卵しているかどうかを検査するわけにもいきませんから、
ある程度余裕を持って、１０日以内なら安全ですよ、ということなのです。
ですが正確には２８日周期の人であれば、１４日目くらいまでは大丈夫なわけです。
でもやはり、１０デイズを守るべきでしょう。

排卵というのは月経が始まって１４日程すると、卵巣から人間の卵が飛び出すことを言います。
もちろんまだ無精卵ですよ。これがお腹の一番底のダグラスか、という名前の凹みに落ちます。
数ミリリットルの卵胞液という液体にプカプカと漂っているところを、
イソギンチャクのような、２本の卵管のどちらかに、吸い取られていくのです。
その途中の卵管の膨らんだところで、少しの時間留まっています。
ここには事前に精子がやってきていますから、すぐに受精します。
ここから７日ほどかけて、子宮に流れ着き、貼り付いて、着床が完了というわけです。

詳しく書き過ぎましたが、排卵して１週間は受精卵は丸裸の状態で卵管の中を漂っている、
すなわち無防備だということですね。放射線の影響を最も受け易いのは当然です。
影響が有れば子宮に貼り付かないか、分からないうちに流産しているわけです。
この場合はエコーでも見えないでしょうから、化学的流産と言って、流産には数えませんが。

胸部エックス線の検査を受けたくらいでは影響はまず有りませんが、
透視検査を受けた場合は、３回くらい受ければ影響有りと言われますから、
癌で放射線療法を受けた、というような場合でない限り、放射線の影響はまず無いのです。
それでも心配な方は、エックス線検査の時に、防御服というエプロンを借りるといいでしょう。
ですが、放射線技師の方がそこまでするなら、検査はしてくれないかもしれませんが。

よく歯科に努めている衛生士さんから、妊娠したんだけれど、大丈夫でしょうか？
と聞かれることが有りますが、私ならすぐに仕事をやめるでしょうね。
私なども、大学で研究していた頃は、放射線量を測るガイガーカウンターというのを付けて、
ホルモンの検査をしていました。女性ホルモンというのは極く微量ですから、
放射性物質の同位元素を使って調べるのですね。
でもガイガーカウンターって、その場ですぐに分かるものではなくて、
１ヶ月に１回くらい、現像してもらうものですから、結果はとっても遅いのですよ。

まあそんなたわいもない話ですが、
私の同級生やクラブの先輩でも、福島県や周辺の出身の先生がおられて、
今も毎日、少なくなった医療施設を掛け持ちで飛び回って頑張っておられるようです。
受けた放射線量なんて気にしていたら、仕事にならないと言われていました。
献身的なその仕事ぶりを、決して忘れてはいけません。
先日、舞鶴市を通る機会がありましたが、地元や日本の産業を護るために、
その国土を犠牲にする必要が有るのかな？
そのうち日本は住める所が無くなってしまうのでしょうね。

さきほど生まれた赤ちゃんをアップしておきましたので、Facebookも見てくださいな。
この子どもたちの未来を残すために。http://www.facebook.com/tamarclinic

泣くほど辛いこと

6月はラベンダーと夾竹桃（きょうちくとう）が花盛りです。
新しく学生さんと一緒に今年はさらにラベンダーを増やしたので、
来年の今頃がまた楽しみです。
医院の入口が少し見通しが悪くなっていたので、雲南黄梅を切ったのですよね。
医院の前は小、中、高生の通学路ですから、これでみんな安全だね。

不妊外来はできれば３年は辛抱してほしいと、初めての診察の時にお話しています。
私的には、30代では２年、40代では１年以内に保存的な治療は終えるようにしています。
これくらいの期間が必要かつ十分な時間だと考えています。
逆に言うと、それよりも短い時間では、なかなか結果がついていきません。
毎年何十人もタマル産の不妊外来を受診されるのですが、
その内の半分の方は１年もしないうちに再診されなくなってしまいます。
ですが１年から２年の時間を頂いた方は、殆どの方が妊娠されています。
実際の成績は産婦人科のホームページに載せています。http://www.tamar.jp/pg73.html


ところが案外、この２年という時間は皆さんにとって、かなり負担になるようです。
最近では、できちゃった婚が多いですから、意識しないうちに赤ちゃんができるのですよね。
ですが女性でも大学を出て、就職もして、結婚しても共働きで、
さあそろそろ赤ちゃんでも、という年齢になると今度はなかなか赤ちゃんを授からないのです。
赤ちゃんなんて、簡単にできるものだと思っていたのに。
今日のニュースでも初産の年齢は３０歳を超えた、と報道されていました。

先日のことですが、不妊外来を受診されてまだ半年も経っていないのに、
基礎体温を付けて、タイミングをとるのに疲れた、と泣かれるのです。
私としては、温泉にでも行って、ゆっくりするのがいいと指導しました。
気が落ち着いてから、また治療を続けるのも善し、続けないのもまた１つの選択でしょう。
その方は一子不妊と言って、他院で上の子を産んでからの不妊の方でした。
何が何でも、というわけでもなかったのかもしれません。

もう１つの選択として、初めから体外受精を受ける、という選択も考えられてもいいかもしれません。
残念ながらタマル産では８年程前に体外受精は経営上の理由で、やめてしまいました。
毎日毎日するほどの症例のある施設でしか、やればやるほど赤字が増えますからね。
それは置いておいて、今でも体外受精をしている方の立場なのに、
体外受精に対して否定的な考えを持つ先生もおられます。
例として、一通りの保存的治療をして、人工授精も４ないし６回程しても妊娠しない場合、
適応だと考えます。
そこで体外受精専門施設に紹介しても。なお保存的な治療をされる場合が有るのが事実です。
そうなると結局疲れてしまわれるのです。

外国ではだんだんと保存的な治療はしない方向に有るようです。
やはり晩婚化のせいで残された時間が少ないのと、
仕事を持っている関係で来院できない、ということもあるでしょうし、
日本のように、なるべく保存的な方法で、という偏見が有るのかもしれません。

京都大学で初めて体外受精で妊娠された時、
その頃私は研修医ながら主治医として、排卵刺激に携わったものです。
それからすでに26年、めまぐるしく治療方法も変わってきました。
結論めいた事を書けば、やはり初めに示した通り、まず保存的な治療をするのがいい。
そして、１年ないし２年間治療しても妊娠されない場合は体外受精をするのがいい、
それが言いたいのです。
このステップアップ法が、もっとも確実で、治療成績を上げる方法だと思いますよ。
だからもう少し肩の力を抜いて、２人３脚で頑張っていきましょうよ。
抽象的な話でしたが、このことを治療を始める際にまず確認しています。

風疹予防接種緊急助成事業のお知らせ

昨年は風疹が流行して問題になりましたが、
今年はそれを遥かに上回る勢いで流行しています。
しかも最も流行している都道府県は大阪で、東京、神奈川に続いて兵庫県は全国４位です。

グラフを見ていてだくと、昨年の流行が黄色の折れ線です。
そして急激に上昇している赤い折れ線が、今年の前半です。
これからもまだまだ上昇しそうな勢いですね。

そこで本日、篠山市から医師会を通じて、風疹予防接種緊急助成事業の案内が来ました。
簡単に言うと、安く受けられるので、みんな受けましょうね、というものです。
とくに若い人は受けた方がいいでしょう。
これほど流行すると、誰が受けるかなどという適応はもはや関係ありません。
受けていない人があればどんどん受ければいいのです。

ただし風疹単独の予防接種はもう品切れで有りません。
風疹と麻疹の混合ワクチンは今のところまだ有りますが、
全国的に在庫が少なくなってきていますから、
８月頃には受けれるところがなくなるかもしれません。
実際、今日の時点でも注文に制限がかかりましたからね。
麻疹って知っておられますか？「はしか」のことです。
ちなみに風疹は「３日ばしか」と呼ばれますね。
どちらも症状が似ており、妊婦さんがかかれば、胎児が流産したり、障害が残ったりします。

このMRワクチンですが、在庫が限られているので、接種には注意が必要です。
まず篠山市の健康課に出向きます。
健康課の窓口に行くと、資格を確認するらしいです。
資格って何でしょう？詳しくは聞いていないのですが、初めてかどうかとかでしょうか。
ワクチンを打つ資格が有れば、予診表を兼ねた助成券が発行されます。
これを持って医療機関に予約をするのです。
在庫が切れているといけないので、注射に名前シールでも貼ってもらえれば安心ですね。

費用はいくらかと言うと、助成券を持っていても、4,320円します。
もし予約もせずに医療機関を受診したら、9,320円も徴収されますからね。
しかも予約していないと断られる可能性も有ります。
１つ注意を申しますと、もし６月１日から今日までの間に受けられた方が居られれば、
その領収書を市の健康課に持って行けば、償還払いしてもらえるそうですよ。

今から妊娠したい方、結婚されたばかりの方、
とりあえず妊娠適齢期の女性は全員受けられてはどうでしょう？
ちなみに以前に１人でも産まれている方は、全員、医療機関で検査しているはずです。
受けるように言われてなければ、まず抗体が有りますから受ける必要は有りません。
だからお産したことのない女性が受けるのですよ。
もし妊娠してしまった後で、女性に抗体価が低いと言われたら、
ご主人や同居の家族も打ってもいいわけです。
ですがとくに若い男性が抗体を持っていないので、ご主人優先でね。

もちろんタマルさんでもMRワクチンの予防接種は可能です。
診察時間内に電話で予約してください。
ついでに注射に名前シールを貼ってもらうことも申し添えてください。
いつ在庫切れになるか分かりませんからね。

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炭酸ガスレーザーはこんな適応です

先日赤ちゃんを産まれたばかりの方なのですが、
小さい時から「うなじ」の大きなホクロが気になっていたと言われます。
ちょうど赤ちゃんを産んでゆっくりできましたからね。
髪の毛を綺麗なストレートに伸ばされていたので、少しも気付きませんでしたよ。
でも本人にとってはずっと気になっていたのでしょうね。

こういう時は炭酸ガスレーザーという器械でホクロの部分を吹き飛ばすように削ります。
CO2レーザーと書かれているかもしれません。
顔などの見える箇所だったら、ホクロよりも大きめに、そして深めに取って、
何度も治療しないようにした方がいいでしょうが、
この方のように、うなじなど、髪の毛の生えた所はむしろ浅めに削って、
髪の毛がまた再生できるくらいの方がいいでしょう。
あるいは頭の中とかですね。浅めだと再発することもありますが、
その場合はまた取ればいいのです。

大きなホクロを取って１週間後の写真です。
炭酸ガスレーザーで削った跡は、湿潤環境を提供するシールで保護します。
テープを剥がすと、写真のように、ウェットになっているでしょう？
写真では見にくいのですが、毛根も温存されていますので、また髪の毛も生えますよ。
この後さらに、シールを継続して貼っていただきました。
テープが浸出液を含んで膨らんでくると次のテープに替え時です。

次の写真は治療後３週間のものです。
ここまでくると、浸出液で濡れることは有りませんでした。
もうテーピングの必要はありませんね。
後は時間をかけて綺麗になるのを待つばかりです。
これで、長年悩んで来た心の重荷も取れましたか？そんなに大袈裟でもないのかな。

ところで、炭酸ガスレーザーという器械は婦人科では昔からよく使う器械です。
電気メスの代用として使います。
STDの１つ、尖形ヘルペスという名のイボイボを焼くのにも使用します。
子宮頸癌の極く初期の子宮頸部上皮内がんの場合には、子宮の出口だけ取るのですが、
この場合もよく電気メスを使います。
この場合の電気メスはループ状になっていて、発泡スチロールを切る時みたいに
膣から入れて、出口だけ切り取ります。
切り口は止血だけして放置する場合も有れば、切り口の両端を縫い合わせて閉じることも。
これを炭酸ガスレーザーで同じようにする手術が流行です。
というのも、切り口が炭化するので、止血も兼ねることができるからでしょうね。

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