タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

帝王切開の原因は貧困?

2021-10-15 20:14:21 | 産科
消防署の裏山を車で登ると母子(もうし)小学校が出てきますが、その近くに母子大池が有ります。
タマル産からはわずか11キロ、車で19分しかかからないのですが、穴場スポットですよ。
ちゃんと駐車場やトイレも有ります。

写真は母子第2展望所なのですが、紅葉には少し早かったようです。
その先に「紅葉とせせらぎの道」という遊歩道が整備されていて、往復6キロほどです。
ですが途中で折り返しても良いでしょう。

反対側では、永沢寺の花のじゅうたんも綺麗です。
ここに我が家のお墓が有るのですよ。
25年前に篠山に引っ越してきた時に、真っ先にお墓を建てました。
そこに兄が入り、その後に父と母も入りましたから、親孝行ではありませんか。
地方ではもともとの住民と引っ越してきた住民の不和が問題とされています。
お墓の問題は大きいと思うのですよ。
だから宗教や地域に関係なく入れるというのは良いのではないでしょうか。
まさか都会から来て土葬になるというのは信じられないものですから。

わが師の1人、新島襄先生は、京都の東山にお墓が有ります。
当時はキリスト教が受け入れられなくて、市内に葬る許可が得られなかったから町外れだったのです。
ここ篠山に来てからも、家族で新島先生のお墓をお参りしました。
その志を継ぐ者の1人としてです。

心地よい季節になってきましたから、みなさんも近くに散策に行かれてはいかがでしょうか。
そうそう、私は大丹波(だいたんば)の観光大使にもなっているものですからね。
大丹波とは、京丹波と兵庫丹波も含めた丹波地方という意味ですよ。

前置きが長くなりましたから、今日は産婦人科のワンポイントレッスンです。
最近は大きな赤ちゃんが多いのですよ。
原因は実は貧困だと言われます。
貧困だと赤ちゃんが小さくなるのでは?と思われるでしょう。
ですが実際には大きくなるのです。

それはパンとジュースだけ、という食生活の妊婦さんが多いからなのですね。
パンとジュースなら200円で1食になりますよ。
子供にも菓子パンだけで済ませていませんか?
本当は妊娠中の食事は低カロリー、高タンパクと言われます。
パンは控えめ、砂糖や果糖の入った飲み物はダメです。
代わりに味噌汁や魚、豆料理、お豆腐などはベストですよ。
そうすればブクブクに太った赤ちゃんは生まれません。

ブクブクに太った赤ちゃんは他院ではすぐに帝王切開になってしまいますよ。
だから3人に1人は帝王切開なのです。
あるいは陣痛誘発剤を使用されるのです。
大きな赤ちゃんは予定日より遅れてさらに大きくなりますからね。
そうです、帝王切開になる一因は、貧困だったのですね。

ところがタマル産ではほとんど帝王切開にならないのには理由が有ります。
妊娠中に太らないように食事指導をします。これは不評ですけれど。
それと予定日辺りで、妊婦健診の際に、卵膜剥離という処置をしてあげます。
少し痛いと言われますが、陣痛に比べれば微々たるものです。
たいていはその日の夜か次の日には陣痛が始まるのですよ。
それで大きくなり過ぎる前に、そしてなるべく薬を使わずに、生まれてくれるというわけです。

さて今週もそれで大きな赤ちゃんが予定日少し前に生まれました。
今日もこれから夜中に赤ちゃんが生まれそうですよ。

産科医療補償制度の中身

2021-10-08 20:56:44 | 産科
今日、お城の近くの商店街を通ったら、観光客の人波が復活していて、華やぎが戻ってきていましたよ。
皆さんのお家でも、ハロウィンの飾りつけなどされていますか?
収穫に感謝する季節になりましたからね。

さて、お産の費用は全国的に50万円前後ではないでしょうか。
都会ではもっと高いようですが。
タマル産では、42万円プラス初産婦さんで予約金の1万円と79,800円となっています。
経産婦さんでそれより2万円割安ですが、1日だけ入院期間も短くしています。
夜中や休日に生まれても追加費用は有りませんし、
そもそも個室費用が無料です。
しかもお産で2日がかりでも追加費用は頂いていませんから、すごく良心的ですね。
帝王切開だけもう少し高いのですが、年に3人ほどですしね。
そうそう、さかごでも吸引分娩などの異常分娩でも追加費用は有りません。
ただしこれはタマル産だけで、他院ではもっとお高いでしょう。

さて、その42万円は手続きをしなくても無料分です。
ですがその内訳はご存知ないのではないでしょうか?
もともとはその内の3万円は保険料で、新生児が脳性麻痺になった時に保育料が支払われるためのものです。
だから実際の産婦人科の売り上げは39万円でした。
ちなみに高齢者の方が介護施設に入院されても、1ヶ月に50万円ほどで、お産の入院と変わりません。
保険がきくので10万円代です。
産婦人科は救急医療でリスクが高く、人手も必要ですが、介護施設の方が実入りは良いのですよね。

それは置いておいて、産科医療補償制度という保険は当初予想されていた以上に利用者が少なく、
3万円の保険料が現在では16,000円に半額ほどになっています。
ただし42万円のところは不変です。
それが来年の1月からはさらに下がって12,000円になるのですよ。
補償を受けるより産婦人科を訴えて、1億とか2億もらう方が効率が良いですからね。
補償の方は生涯で3,000万円だけですから。
補償を受ける人が増えないのももっともです。

それではダメだと、補償される範囲が大幅に増えることになりましたよ。
今までは1,4000グラム、32週以上の赤ちゃんが対象でしたが、
来年からは体重制限無し、28週以降の赤ちゃんからです。

ですがこの制度には根本的なところで間違いが有ることが分かりました。
それは胎児の心音を計測する分娩監視装置が、あまり役に立っていないということなのです。
それに加えて、へその緒からの採血で酸性かアルカリ性かで元気具合を調べているのですが、
どちらも新生児の低酸素症に伴う脳性麻痺との相関が認められなかったのです。
だからそれらの検査に関係なく補償をしていこうということに変わります。

ということはこれまで産婦人科医が悪いとされてきたことは、冤罪なのではないか、ということです。
少し難しかったですか?



帝王切開するならどこで?

2021-10-01 20:46:26 | 産科
緊急事態宣言が解除されるというので、昨日は一足早く保育園のお迎えに行ってきましたよ。
これが小さな幸せなわけです。

さて、前々回の続きになります。
私が20年以上前に開業する前は、兵庫県立塚口病院に勤務していましたから、
そのまま居れば、今頃は県立尼崎総合医療センターの部長になっていたことでしょう。
部長ってね、年齢が来れば誰でもなれるのですよ。
言っては何ですが、地方の部長は、中央から左遷されてきてなるものです。
まるで自民党の選挙戦のようなものなのです。
まあ、ですがそんな権力闘争に興味は無く、日本のお産が変化してきていることに危機感を覚えたための開業だったのです。

当時も今も日本でのお産の半分は診療所で、半分は病院で行われています。
そして診療所でのお産は帝王切開がすごく少ないのに、病院でのお産は1/3が帝王切開なのです。
私の師匠は、「帝王切開なら外科医で十分」と言っていましたからね。
産婦人科たるもの、赤ちゃんを産ませてあげなくてはならないという使命のもと、開業したというわけです。

20年前のタマル産では、さかごのお産も、ほぼ皆さん経膣的に産んでもらっていましたよ。
それが当たり前の時代だったからです。
ですがその頃から病院では、さかごと言えば帝王切開となり、今ではお母さんたちも帝王切開が当たり前と考えられるようになりました。
それで今ではチャレンジしたいというお母さんも無くなってきました。

そこで私は外回転術で、頭位に直してから経膣分娩するということもしてきたのですが、
やはり初産婦さんでは直らないことも多く、帝王切開を希望されるのですよね。
そんな事情で、今回初めて、帝王切開を県立病院にお願いしました。
今まではさかごの帝王切開はタマル産でしてきたのですが、時代も変わったので、どうせ帝王切開なら次も帝王切開ですし、
病院を紹介する方針に変えたというわけです。

そこで1つだけ問題なのが、いつ紹介するかということです。
というのも、妊娠中期はさかごって多いのですが、たいていは何もしなくても36週ごろまでには自然に頭位に直ります。
先日も36週の健診で自然に直っていたお母さんが居られましたし、
人によっては陣痛が来てから回転して直ることも有るのですよ。
それで今回は36週になっても治らなかった初産婦さんを紹介することにしたというわけです。

ただし結果は、県立病院の部長が嫌がるのですよ。
県立病院なのにね。
もっと早い時期に紹介しろと言われます。ですがさかごが直るかどうかぎりぎりのところまで診ないと、
帝王切開するかどうかも判断できませんし、子宮の出口の状態では、経膣分娩の方が良いことも有りますからね。
だいたい開業医の悪口まで言われる始末ですよ。
開業医は楽して儲かるとでも思われているのでしょうね。
まったくその逆なのですけれど。

それで今後はどうするかですが、やはりタマル産で帝王切開しましょうか。
それともなるべく経膣分娩を勧めましょうか。

タマル産では帝王切開率はわずか2%弱です。
病院なら丹波市でも西脇市でも30%ほどですよ。
ただしさかごを事前に紹介すれば1%も切るでしょう。
どうしてこんなに方針が違うのかと、ふしぎに思われませんか?

私は若い頃に20箇所以上の病院で働きましたが、自分で言うのもはばかれますが、
こんなに帝王切開率が低いところは有りませんよ。世界的に見てもです。
1つだけ、綾部の夏山先生だけは1%を達成しておられましたけれど。
ですが時代が違いますからね。
今は裁判が多いですから無理はできない時代です。
なるべく事故にならないように、しかも帝王切開にもならないように、
そして帝王切開が減れば輸血する患者さんも減ります。
その方がお母さんにとっても、安全だと思うのですが。
何も大きな病院で産むことだけが安全だとは思いません。

ですが、なかなか理解してもらえない世の中になってきたものです。

出生前検査と着床前検査の違い

2021-09-24 20:47:43 | 不妊症
夜診が終わる頃は、もうすっかり暗くなりました。
昨日は秋分の日でしたから、これからさらに暗くなるのが早くなるのでしょうね。
その昨日の祝日も2人、赤ちゃんが生まれましたよ。
コロナで赤ちゃんを産み控える傾向も、少しましになってきたようにも感じています。

さて最近の話題に、「出生前」検査ならぬ、着床前検査のニュースが有りましたね。
出生前検査というのは、妊娠中期までにお母さんの血液検査で、ダウン症などの染色体異常を見つけるという検査のことです。
ですがこれに関しては、生命の選択という倫理的な問題に賛否が有りますね。
ダウン症の子はタマル産でもときどき生まれますが、みな元気に育ってくれていますよ。
平均寿命は短いのですが、生命の長短ではありませんからね。

それとはまったく別の検査で、「着床前」検査というのが有ります。
海外では広く行われているものですが、日本では選ばれた施設だけで共同研究が行われています。
この検査は体外受精の際にしかできません。
採取した卵を受精させて、たくさんの細胞に分裂したところで、
その中から1つの細胞を取り出して、子宮に戻す前に染色体の検査をしてしまうというものです。
これならまだ妊娠前なので、生命を中絶することなく、倫理的な問題が減るだろうという想定です。

その結果がニュースとして流れていましたね。
染色体に異常の無い受精卵を確認してから子宮に戻すと、流産率が下がるという結果でした。
2回以上体外受精をしても成功しなかったり、流産を繰り返す女性での治療成績ですから、信頼できるものでしょう。
ただし残念ながら、受精卵に染色体異常の有ることが多く、子宮に戻せなかった症例が多かったというのです。
それでトータルで見ると、着床前診断を行っても、生産率は上げることができなかったということです。
ただし体外受精で不成功が続く女性には、勧められるものだとされましたよ。

結局は医学は常に発展途上で、もちろん不妊治療の成績は向上していますが、
治療を受けられるカップルの年齢が上昇しているので、受精卵の染色体異常の確率が上がっていき、
いつまで経っても妊娠できないカップルの割合は改善できないのかもしれませんね。

本当は、医学を発展させることよりも、女性に、20代で子を授かるような社会にしていった方が本来の姿でしょう。
そうすれば不妊治療に多額の費用をかける必要はなくなり、
得られる子供の数も理想に近づくことでしょう。

今は年金のことばかり話題に上がりますが、
生涯、現役で働けるような環境を整えることも必要ではないでしょうか。
個人の未来よりも、子供たちの未来を考えてあげることの方が、より重要だと思うのですよ。

不妊治療の薬や人工授精が保険適応に

2021-09-17 20:47:22 | 不妊症
図は神戸大学産婦人科、山田秀人教授の教室の厚生省研究事業の結果の一部です。
この1年半で、妊娠中に新型コロナに感染した妊婦さんの評価なのです。
おそらく全員ではなくて、その一部の180人分の研究でしょう。

約1/4の妊婦さんは中等症から重症になるようです。
そのうち36週以降で感染した場合は半分強が帝王切開で産まれていました。
週数にかかわらず重症の妊婦さんは早産でも帝王切開されていたようです。
そのために感染した妊婦さんの1/4は、早産をされていましたよ。

結論として、妊娠中に感染すると、早産と帝王切開が増えるということです。
やはり新型コロナのワクチンを打っておいた方が良いということですね。
もっとも今のところ妊娠中にコロナで生命を落とされた方は居られないようで、良かったです。

次に新生児への影響ですが、感染して2週間以内に分娩になった場合は9割が母児分離されています。
赤ちゃんに会えないということです。
それに対して2週間以上経ってからお産になった場合は、77%が母児同室できたようですよ。
タマル産でも妊娠中にかかられた方と濃厚接触で隔離された妊婦さんが居られて、
どちらも満期で無事にお産されました。
以上がこれまでの報告です。

さて、今日はもう1つ別の話題も提供しておきましょう。
最近はニュースで来春の不妊治療の保険適応の話題が出てきています。

まず一般不妊治療で変わりそうなのが、排卵誘発剤として使用されているレトロゾールという薬が保険適応になるようです。
排卵誘発剤のクロミッドという薬と同じような使い方をするのですが、今は自由診療として処方しています。
もともと安い薬なので、保険診療になってもそれほどメリットは大きく有りませんが、説明は楽になりそうです。
だって乳がんで使う薬なので、抗がん剤ではないと毎回説明するのもたいへんですから。

一般不妊治療で大きく変わるのが、人工授精が保険適応になりそうなことです。
こちらはインパクトは大きいですよ。

次に高度不妊治療、いわゆる体外受精や顕微受精と、それに伴う凍結保存などですが、
その際に使用する注射が保険適応になるようです。
この注射は毎日する必要が有って、かなり高額なので、いいところをついていますね。
それで体外受精そのものが保険適応になるのかどうかは、まだ検討中のようですけれどね。
以上が速報でしたよ。

次の総裁選で女性の高市早苗さんが総裁になられれば、女性診療科を創設されるようですから、
女性のみなさんは応援されてはいかがでしょう。
もっとも女性診療科をすでに掲げている病院も有りますけれどね。
そうなるとやはり女医さんでなくてはいけないのでしょうか。
われわれ男性産婦人科医は、そろそろ退役が近いようですね。