クリニックの3階が私の自宅です。
毎晩当直しているとも言えますよ。
軟禁状態とも取れるのですが。
そのベランダに、イングリッシュローズのパットオースチンが咲きました。
デビットオースチンが、娘さんの名前を付けたその橙色のバラは、ひときわ目立つ存在です。
娘さんの名前を付けるなんて、よほどお気に入りなのでしょうね。
うちの娘も、一番気に入っていますよ。
さて、この2週間で、皆さんをとても不安に陥れてしまいましたね。
私もとても疲れましたよ。
本来丹波篠山市とは、連携し合ってこそ市民の皆さんの役に立てるはずなのですが、
次から次へと難題を押しつけられては、存亡の危機に陥っていたのですからね。
兵庫医大さんが分娩の取り扱いを中止されました。
これは全国的な流れで、医師が3人以上で、せめて300人以上の赤ちゃんが生まれなければ、存続はできないのは当然なのです。
一番の原因は少子化ですよ。
そこで市長が考えたのは、タマル産への援助ではなく、
新たに分娩施設である助産所を作ろうとされたのです。
都会で、異常が有れば10分で他院に搬送できるような所では開業できるかもしれません。
ですが地方では無理なのです。とくに丹波篠山のように、NICUから遠い所では。
医療関係者なら誰でも分かることなので、他の病院からは連携なんて、ことごとく断られたのです。
にも関わらず諦めきれずに、分娩だけタマル産に行って、健診から産後まですべて助産院でするのですって。
しかも多額の費用をかけて。
もしそんなことになっていたら、皆さんは納得できたでしょうか?
しかもニュージーランド方式ですよ。
ニュージーランドは世界一安全な日本と違って、
赤ちゃんの死亡率(周産期死亡率)は2倍も高く、
妊婦さんの死亡率に至っては3倍も高いのです。
世界一安全な日本の医療システムなのに、わざわざ他国のシステムを真似して大丈夫なのかな?
下のグラフでは、左下に行くほど安全な国で、右上に行くほど危険な国を示しています。
厚生省が全国の産婦人科医に配布した資料から取りました。
日本はダントツの左下、ニュージーは上の方ですね。
ニュージーでは医療費抑制政策も有り、
病院で産むと出産費用が50万円くらいかかるのですが、
助産所で産むと無料なのだそうです。
タダより安いものは無いですね。
もう1つのトリックですが、
近年の分娩での死亡原因は分娩時の出血ではなく、自殺だと市は言います。
だから助産師を増やして心のケアが必要なのだと。
ですがそれは間違いで、厚生省の発表によれば、わずか全体の8%しか無いのですよ。
それでも若者の自殺率をさらに下げるために、厚生省の指導により、
丹波地域では少し前から「養育支援ネット」というものを作って、
そこに地域の精神科ドクターも参加してもらい、
より早期に専門家に紹介するシステムができあがっているのです。
助産師が相談に乗って解決できるものではなく、いち早く専門家に依頼するのです。
私もすぐに紹介するようにしているのですからね。
前回の養育支援ネットの会合でも、市の保健師さんが、精神科につなぐのが難しいと話されていましたが、それこそが産婦人科医の仕事なのです。
話せば切りが有りませんが、病院の代わりに助産所を、というのは、あまりにも稚拙だと思われませんか?
しかも運営費を含めると、何億円もかかるのですよ。
6月18日に市長は市議会の予算委員会を強引に通して、設計料を通しました。
ですがタマル産が経営の危機に陥ると知って、安井博幸市議会議員さんたちが中心になり、
市民の心を動かしてくださり、わずか数日で市長に案件を取り下げてもらうことに成功し、
記者会見となった次第です。
議会で通ったものがひっくり返るなんて、市政が始まって以来の出来事だそうです。
市民の声が直接、市政を動かしたのですよ。
私は本当に感動で涙が出ました。
それでこの結果を受けて、本日よりもう一度、分娩予約を再開することに決定しました。
ご心配をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。
実際のところ私も、もう無理だと観念していたのですからね。
このわずか2週間の間に、いろんな方々から励ましのお声をいただきました。
ここに感謝の気持ちを表わさせていただきます。
1995年の阪神淡路大震災の直前に、私は京大の森教授から兵庫県入りを指示されたのです。
ですがたとえ指示されていなくても、天の召命だと解っていました。
震災後すぐに10年ぶりに第3子を妊娠し、その年の10月に自宅のマンションの一室で、私1人の介助の元に出産しました。
念のために助産院の助産師さんにも健診をお願いして。
その子が今年、兵庫県で研修医を始めたのですからね。
私は本来、病院の医療介入の入ったお産より、自然なお産をむしろ応援したいのです。
タマル産もそのために開業したのですから。
ただしそのためには、密な関係を築いておかかなければなりません。
その時の助産師さんは、最近亡くなられたと孫娘さんから連絡を頂きましたよ。
愛された孫娘さんは看護師になられていて、タマル産で出産されたのも、天の導きでしょうか?
毎晩当直しているとも言えますよ。
軟禁状態とも取れるのですが。
そのベランダに、イングリッシュローズのパットオースチンが咲きました。
デビットオースチンが、娘さんの名前を付けたその橙色のバラは、ひときわ目立つ存在です。
娘さんの名前を付けるなんて、よほどお気に入りなのでしょうね。
うちの娘も、一番気に入っていますよ。
さて、この2週間で、皆さんをとても不安に陥れてしまいましたね。
私もとても疲れましたよ。
本来丹波篠山市とは、連携し合ってこそ市民の皆さんの役に立てるはずなのですが、
次から次へと難題を押しつけられては、存亡の危機に陥っていたのですからね。
兵庫医大さんが分娩の取り扱いを中止されました。
これは全国的な流れで、医師が3人以上で、せめて300人以上の赤ちゃんが生まれなければ、存続はできないのは当然なのです。
一番の原因は少子化ですよ。
そこで市長が考えたのは、タマル産への援助ではなく、
新たに分娩施設である助産所を作ろうとされたのです。
都会で、異常が有れば10分で他院に搬送できるような所では開業できるかもしれません。
ですが地方では無理なのです。とくに丹波篠山のように、NICUから遠い所では。
医療関係者なら誰でも分かることなので、他の病院からは連携なんて、ことごとく断られたのです。
にも関わらず諦めきれずに、分娩だけタマル産に行って、健診から産後まですべて助産院でするのですって。
しかも多額の費用をかけて。
もしそんなことになっていたら、皆さんは納得できたでしょうか?
しかもニュージーランド方式ですよ。
ニュージーランドは世界一安全な日本と違って、
赤ちゃんの死亡率(周産期死亡率)は2倍も高く、
妊婦さんの死亡率に至っては3倍も高いのです。
世界一安全な日本の医療システムなのに、わざわざ他国のシステムを真似して大丈夫なのかな?
下のグラフでは、左下に行くほど安全な国で、右上に行くほど危険な国を示しています。
厚生省が全国の産婦人科医に配布した資料から取りました。
日本はダントツの左下、ニュージーは上の方ですね。
ニュージーでは医療費抑制政策も有り、
病院で産むと出産費用が50万円くらいかかるのですが、
助産所で産むと無料なのだそうです。
タダより安いものは無いですね。
もう1つのトリックですが、
近年の分娩での死亡原因は分娩時の出血ではなく、自殺だと市は言います。
だから助産師を増やして心のケアが必要なのだと。
ですがそれは間違いで、厚生省の発表によれば、わずか全体の8%しか無いのですよ。
それでも若者の自殺率をさらに下げるために、厚生省の指導により、
丹波地域では少し前から「養育支援ネット」というものを作って、
そこに地域の精神科ドクターも参加してもらい、
より早期に専門家に紹介するシステムができあがっているのです。
助産師が相談に乗って解決できるものではなく、いち早く専門家に依頼するのです。
私もすぐに紹介するようにしているのですからね。
前回の養育支援ネットの会合でも、市の保健師さんが、精神科につなぐのが難しいと話されていましたが、それこそが産婦人科医の仕事なのです。
話せば切りが有りませんが、病院の代わりに助産所を、というのは、あまりにも稚拙だと思われませんか?
しかも運営費を含めると、何億円もかかるのですよ。
6月18日に市長は市議会の予算委員会を強引に通して、設計料を通しました。
ですがタマル産が経営の危機に陥ると知って、安井博幸市議会議員さんたちが中心になり、
市民の心を動かしてくださり、わずか数日で市長に案件を取り下げてもらうことに成功し、
記者会見となった次第です。
議会で通ったものがひっくり返るなんて、市政が始まって以来の出来事だそうです。
市民の声が直接、市政を動かしたのですよ。
私は本当に感動で涙が出ました。
それでこの結果を受けて、本日よりもう一度、分娩予約を再開することに決定しました。
ご心配をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。
実際のところ私も、もう無理だと観念していたのですからね。
このわずか2週間の間に、いろんな方々から励ましのお声をいただきました。
ここに感謝の気持ちを表わさせていただきます。
1995年の阪神淡路大震災の直前に、私は京大の森教授から兵庫県入りを指示されたのです。
ですがたとえ指示されていなくても、天の召命だと解っていました。
震災後すぐに10年ぶりに第3子を妊娠し、その年の10月に自宅のマンションの一室で、私1人の介助の元に出産しました。
念のために助産院の助産師さんにも健診をお願いして。
その子が今年、兵庫県で研修医を始めたのですからね。
私は本来、病院の医療介入の入ったお産より、自然なお産をむしろ応援したいのです。
タマル産もそのために開業したのですから。
ただしそのためには、密な関係を築いておかかなければなりません。
その時の助産師さんは、最近亡くなられたと孫娘さんから連絡を頂きましたよ。
愛された孫娘さんは看護師になられていて、タマル産で出産されたのも、天の導きでしょうか?