タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

来年も良き年でありますように

2018-12-28 21:44:19 | つれづれ
写真は、篠山市細工所の晃成(こうせい)くん、11月20日生まれ。
「太陽のように、周りに居る人を明るく照らしてください。
3人目ということもあり、落ち着いてお産に臨めました。
個室なので、上の子たちが来た時も気兼ねなく過ごせました。」



次の写真は、篠山市住山の音(おと)くん、11月21日生まれ。
「明るくて、優しい子に育ってください。
3回目の出産だったので、今までで一番落ち着いて産めました。
しんどい時は赤ちゃんを預かってもらえうことができたので、ゆっくりできました。」


続いての写真は、徳島県美馬市の陽大(ひなた)くん、11月27日生まれ。
「周りの人まで幸せにしてくれるような明るい子に育ってください。
教室で習った呼吸法をしたら、1人目の時よりマシだった気がします。
みなさん優しくて、いろんな話もできて楽しかったです。」


今日最後の写真は、丹波市春日町の玲音(れん)くん、11月27日生まれ。
「思いやりの有る、優しい子に育ってください。
12年ぶりで緊張しましたが、スムーズにお産ができて良かったです。
みなさん優しく、ご飯もすごくおいしかったです。」

2018年のうちに1ヶ月健診をされた母子に登場していただきました。
12月生まれの赤ちゃんは、また来年に掲載させていただきますね。

こうしてみなさんの意見を伺うと、不思議とみなさん、同じような感想ですね。
明るくて優しい子、そして周りの人にも幸せにできる子になってほしいと願われるのですね。

今年はこれで外来は終了ですよ。
また来年、元気でお会いしましょう。
そこが産婦人科は他科とは違うところですね。
元気でない方も居られるでしょうからね。

ですが、つい先ほども、赤ちゃんが生まれたところです。
首にへその緒が3回も巻いていて、とってもたいへんなお産でしたよ。
もう少しで帝王切開になるところでした。
年の瀬に緊急の帝王切開はたいへんですから、ホッとしていますよ。
もちろん家族や本人さんが一番ホッとされているのでしょうけれど。

でもね、医療者の方がそのたいへんさを分かっているが故に、
より喜びも大きいのかもしれませんよ。
そして悲しいことが有ると、本人さん以上に医療者も傷つくものなのです。

喜びも悲しみも、みなで乗り越えていきましょう。

愛によって生まれ、愛を残していくのです

2018-12-26 21:32:59 | つれづれ
クリスマスは終わってしまいましたが、孫娘よりご挨拶申し上げます。

今年の天皇誕生日は兵庫県庁の前に有る、神戸市文化会館というところに、
クリスマスの講演会に行ってきたのです。
親子3代で行ったのですよね。
その日も夜中に赤ちゃんが生まれたところでしたが、
幸い時間が取れたのです。


講演会のテーマも、家族を大切にすることで、
地域の活性化、そして世界平和に繋がるというお話でしたからね。
県会議員さんや、市議会議員さんなども来られていましたよ。
司会は、以前タマル産で働かれていた井上先生だったのですよね。
頑張っておられましたよ。


会場の雰囲気はこんな感じです。
この時は、長崎に落とされた原子爆弾の話の時でした。
永井隆博士という放射線科の先生が書かれた被曝の体験の記録からです。
自身も余命を宣告されていた中で、奥さんから感謝するように言われていたそうです。
与えられた人生を有意義に生きられるじゃないかとね。

ですが、原子爆弾は長崎の造船所ではなく、ちょうどミサを捧げていた天主堂の真上に落ちたのですよね。
その時に奥さんが先に亡くなられたそうです。
それでも戦争やアメリカを憎まなかったという話でしたよ。

それで思い出したのが、20年ほど前に、レーガン元アメリカ大統領が日本に来られて講演された時のことです。
この時は直接、元大統領の話を聞くことができたのです。
戦争で実際に日本と闘い、すごく日本を憎まれていたそうです。
ですが、戦後に愛について学び直して、以後は日本を許されたという話でしたよ。

結局のところ憎しみからは何も生まれず、
ただ愛のみが平和への道だということですね。

そして私たちが人生をかけて残さないといけないものは、愛だけなのですよ。
それを、親子3世代に渡って続けていかなくてはならないのです。

不妊治療のやめ時

2018-12-21 21:16:30 | 不妊症
昨日タマル産では毎冬恒例の、冬季勉強会でした。

今年は特別に、県立柏原病院小児科の岡本先生を講師にお迎えしての、
新生児蘇生法の講義と実技、それにテストでしたよ。
正式なNCPRという免許をもらえる講習会だったのです。
朝から夕方までの丸1日がかりでしたが、職員みんなに良い刺激になったようです。


講義はこんな感じです。
そして実技は下のような感じです。
よくできた人形で、本物の赤ちゃんではありませんからね。


どこの病院でもね、産婦人科と小児科は、それほど仲が良くはないのですよ。
いつも言うように、後医は名医と言って、産婦人科は患者さんを紹介する方で、
小児科医は受ける方ですから、どうしても患者さんは小児科医びいきななるからです。

産婦人科医はお母さん主体に診ますし、赤ちゃんに関しては甘くみてしまいがちです。
それに対して小児科医はもちろん赤ちゃん主体に診ますから、
親御さんにはシビアな説明をするものです。
その方が障害が残ったとしても責任から逃れやすいですからね。
産婦人科医はいつも重圧にさらされているのとは違いますよ。

内科と外科だって、同じような関係にあります。
でもね、岡本先生はなかなか均衡が取れた先生なのです。
おそらく家庭でも子どもさんを妊娠、出産されてきたからだと思うのです。
どちらの気持ちも分かるということでしょうね。
それで、おおいに楽しく過ごさせてもらいましたよ。

1つ例に挙げるなら、赤ちゃんが生まれると、元気具合の点数を付けるのですよ。
10点満点で評価するのですが、私などはたいてい10点満点を付けます。
ですが、皮膚の色がまだ青いと言っては9点しか付けない先生も多いのです。
とくに小児科医の先生は、なかなか10点満点は付けないものです。
それが岡本先生は、10点が基本だとおっしゃっていました。
私も同感した次第ですよ。

違うお話もしてみましょう。
今日も外来で不妊治療の患者さんを多く診ました。
以前、一通り保存的な治療をしても男性因子の問題が大きくて、
1年近く経って妊娠されないカップルが居られました。
それですぐに体外受精目的で小野レディースクリニックを紹介したのです。

それからまたタマル産を受診される機会が有ったのですが、
なんと10回以上も体外受精を受けても妊娠しなかったそうです。
普通は3回、それでダメなら諦めることも選択肢の1つなのです。
目安は、県や市から助成金が有るのですが、それがもらえる範囲が良いのですよ。
それは43歳までで年に3回まで。
その後は助成が減っていきます。

それで、その治療は中止して、他院でもう1度だけ体外受精を受けて、
それで諦めるように指導したのです。
ところが今回またタマル産を受診される機会が有って話を聞くと、
次のアドベンチスト病院では、なんと一から検査をやり直して、
体外受精には進まずに、ステップダウンで人工授精をされる予定なのだとか。

もちろん先生によってやり方は違うのでしょうが、
日本産婦人科学会が提唱している、スタンダードな治療というものが有るので、
なるべくそれに従った治療をされた方が良いと思うのです。
そうでないと5年も10年も不妊治療に精を出して、
人生を無駄に過ごしてしまうことにもなりかねませんからね。

後医は名医、セカンドオピニオンをしてくださる先生の方が良く見えるものですが、
自分でも深くなくても良いので、一般論くらいは知っておかれた方が良いのですよ。

20年の総括

2018-12-19 21:10:32 | つれづれ
写真は、篠山市杉の絢士(あやと)くん、11月16日生まれ。
「きらびやかな人生を送れますように。
お産は痛かったです。会えた時の喜びはその分大きかったです。
個室だったので、ゆっくりできました。」

初めての赤ちゃんで、ちょっと大きかったけれど、ちゃんと産めましたね。

今週のタマル産では、続けて赤ちゃんが生まれていますよ。
昨日生まれた赤ちゃんは、美方郡香美町から来られたお母さんです。
香美町って、豊岡よりも向こうで、鳥取に行く方が近い所ですよ。
里帰りでもないのです。
不妊症の治療で当初は豊岡病院に通われていたのですが、
結果が出ずにタマル産に変更されての妊娠と、それに続く初めてのお産でした。

最近の世の中は、義母と同居するのも嫌う風潮に有りますが、
その家庭はとても仲が良さそうで、お産の時もずっとお嫁さんの腰をさすっておられましたよ。
もともと不妊治療も義母がタマル産にまず来院され、
気に入ったらしく、お嫁さんを連れて来られたのです。
普通なら、義母に不妊の話をされるのは嫌なものでしょう?
ところが不妊治療から、お産までも楽にできたと、とても喜んでもらえました。

産婦人科という科は、数少ない全身を診ることができる科なのです。
妊娠したら虫垂炎だって、歯痛だって、風邪でさえ、産婦人科を受診されるのです。
それでも今は、不妊症は不妊外来へ、お産は産科外来へ、婦人科系疾患はそちらへ、
と言った具合に、専門に分化されてしまって、せっかく全身を診れるはずが、
一部の疾患しか診れなくなってしまっているのです。

私の理想は、不妊外来からお産まで、あるいは更年期になっても、
ずっと通ってもらえるようなお付き合いをさせていただくことなのですよ。
そういう信念で診療に当たっています。
ただ、広く浅くではなく、なるべくすべてにおいて専門性を発揮できるようにしたいものです。

大病院の先生も良いのでしょうが、
大病院では定年が迫ってくると、とにかく役職に就きたくなるものです。
そうすれば定年も関係なく長期に働けますからね。
すると臨床よりも、政治活動に時間を取られるようになるのです。

先日も、男性しかしないような仕事を持たれた女性でしたが、
不妊症の治療で妊娠されたまでは良かったのですが、流産してしまわれたのです。
さらに不妊症の治療を継続して、再度妊娠され、
切迫流産でまた入院となり、とても精神的に参っておられました。
さらにようやく安定期を迎えたところで、ご主人の転勤に伴って突然の引っ越しです。

今日、本人さんからお手紙が届き、お詫びとお礼の内容でしたよ。
そんなことの積み重ねが、私たちの宝物なのです。

つい先ほど、また赤ちゃんが生まれました。
前回が大きな赤ちゃんで、今回も大きな赤ちゃんが予想されたのです。
ですがちょこちょこっと用手剥離という方法で、2回とも妊娠の38週で産ませてあげることに成功です。
それでも大きくて、大きな泣き声の、しっかりした赤ちゃんでしたよ。

外来と、入院でのお産の主治医が異なることもなく、
ずっと一連の経過を追うえることも、またタマル産の強みでしょう?
年末を迎えて、20年の総括と致します。

婦人科でGならぬAG

2018-12-17 20:37:58 | 婦人科
写真は、丹波市春日町の「そら」くん、11月14日生まれ。
「優しく、大きな心を持った子に育ってください。
12年ぶりのお産で、何もかも一からですが、毎日とても楽しいです。
テレビも無く、ゆっくり過ごすことができました。」

12歳のお姉ちゃんは、お産の時にドアの外で待っていましたよ。
でも感動は味わっていたようです。

子育て中のテレビは、短時間にしておかなくてはいけません。
一応タマル産ではwi-fiを使えるようにしたのですが、
大容量のものではないのでテレビは難しいです。
赤ちゃんの写真を送ったり、メールしたりできることが目的ですからね。
赤ちゃんには、お母さんの声だけが頼りなのですから。
先日入院されていたお母さんは、テレビが映らないと苦情を言われていましたよ。
ニュースではゲームばかりして子供が餓死した、なんていう報道まで有る時代です。

あるいは香水や、部屋でハーブを炊くのもどうでしょう。
お母さんのお乳の匂いが分かるのですよ。
六甲山で一斉に生まれる子ヒツジたちでさえ、
お母さんを匂いで見分けているそうです。
そういう意味でも、子育ては楽しいものですね。

さて、今日は情報を1つ。
最近では薬と言えば、コピー商品であるジェネリック(G)を処方するのでしたね。
先発品に比べて、特許が切れたものを安く売れるというメリットが有りますよ。
もちろん医療費削減のための政策誘導です。

ただし先発品と比べて効果は落ちるのではないかという疑問も有ります。
それでもプラセボの薬で、まったく効果は無い薬でさえ、効果が有る人も居るくらいですから、
先発品とジェネリックにどれほどの差が有るかは分かりません。

さらに進んで、コピー商品のジェネリックではなく、オーソライズドジェネリック(AG)も許可されだしました。
これは先発品とまったく同じ製法で、効果は同じなのですが、
ジェネリック並みの安い薬価で購入できるというものです。

婦人科で子宮内膜症などによく使う低容量ピルが有るのですが、
3日前にジェネリック以外に、オーソライズドジェネリックが新発売されました。
タマル産では順次入れ替えていますよ。
それでメーカーが変わったのかな、くらいにしか思われないでしょうけれど、
効果は先発品と同等で、しかも安いということなのです。
ちょっと覚えておいてくださいね。

今日はほぼ徹夜で2人の赤ちゃんを取り上げましたよ。
2人ともへその緒が首に巻いていてたいへんでしたが、
1人は急遽、帝王切開でした。
もちろん異常と判断すれば、たとえ3人目でも、子宮口が全開近くても、
いくらタマル産では帝王切開率が低いと言っても、
吸引分娩でなく帝王切開を選択することも有りますからね。